なぜ必要? 精神障害者雇用での合理的配慮とは


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近年増加し続けている精神障害者雇用数。しかし、その雇用の質には課題があるようです。企業側が合理的配慮を「わがまま」と考えず、障害のある方が働きやすく相談しやすい環境を作るには、どうすればよいのでしょうか。パーソル総合研究所(協力:パーソルダイバース)による調査結果を交えながら、精神障害者雇用における合理的配慮の重要性、雇用におけるポイントを見ていきましょう。

精神障害者雇用と合理的配慮

精神障害者雇用人数は、2015年以降右肩上がり。国や自治体の障害者雇用施策でも、精神障害者を対象とする施策が増えています。ただ、精神障害者雇用において求められる配慮は、身体障害者や知的障害者と同じではありません。こうした点で、雇用の質に課題を抱える企業が多く見られます。

精神障害者雇用の現状

厚生労働省による障害者雇用状況の集計結果を見ると、精神障害者雇用数は継続的に増加しています。2023年の集計結果では、雇用されている精神障害者の人数は13万298.0人。前年から2万人以上の増加となりました。身体障害者、知的障害者の雇用数の伸び率(身体障害0.7%、知的障害3.6%増)と比較すると、精神障害は18.7%と、特に大きく伸びていると言えるでしょう。

精神障害者の雇用数については、パーソル総合研究所による「精神障害者雇用の現場マネジメントについての定量調査」でも、「増加した」とする企業が多くありました。直近5年間で精神障害者雇用数が増えた企業は、回答した640社のうち33.8%。身体障害者、知的障害者、発達障害者の場合と比べて、最も大きな割合を占めました。

合理的配慮の提供義務

精神障害者の場合に限らず、障害者雇用では「合理的配慮」の提供が職場定着において非常に重要な役割を担っています。障害のない方には問題のない職場環境や業務内容、手順であっても、障害のある方にとっては「やりにくい」「できない」場合があるからです。

例えば、

  • 手足が不自由な方が、手足を使わなければ進められない業務を振られる
  • 聴覚障害のある方が、音声チェック業務を振られる

などがイメージしやすいかもしれません。

精神障害者の場合でも、ご本人の障害特性の影響で、他の方であれば問題なくできることが困難なケースがあります。個人差がありますが、例えば以下のような状況です。

  • 休憩時間に同僚と一緒に外出し、食事をしながら会話を楽しむ
  • 同僚や上司が周囲で活発にコミュニケーションをしている中で、自分の業務を進める
  • 資料づくりとメール対応の同時進行など、マルチタスク状態で業務を進める
  • 複数の業務指示を一度に受け、各業務の優先順位を自分で判断して取り組み、納期に間に合わせる

こうした困難さに対して、「自分で頑張って何とかしなさい」と言っても、なかなか課題解決はできません。精神障害のある方は、疲れやすさやストレスの感じやすさを抱えている方が多く、「疲れるな」「ストレスを感じるな」という要求を満たすことは、非常に難しいのです。それどころか、責任感の強い方なら「自分はダメなんだ」と自己否定感が強まり、仕事自体ができなくなってしまうことすらあります。

現実的な解決策は、

  • 疲れがたまる前に休憩時間等を設けて、疲れすぎないようにする
  • 他の従業員の行動や視線が視界に入りにくいよう、座席の変更やパーティションの設置を検討する
  • ストレスになりやすい状況をなるべく避けられるよう、可能な範囲で職場環境改善を図る

といった配慮の実施になるでしょう。

「何とかしろ」と本人任せにするのではなく、障害者雇用の担当者や支援者、現場の上司などがご本人と協力しながら、回復する時間や刺激を避けられる時間、環境等を整備することで、困りごとの軽減につなげられます。

このような、障害特性に応じた建設的で合理的な工夫を行うことを「合理的配慮の提供」と呼びます。

障害のある従業員の特性や状況に応じて適切な合理的配慮を検討し、現実的な手段で合理的配慮を提供できる企業側の知識・スキルこそ、重要な障害者雇用ノウハウなのです。

(関連記事)
障害者雇用の「合理的配慮」提供義務とは?|法律・事例・ガイドライン
民間企業での合理的配慮提供義務化「改正障害者差別解消法」2024年4月1日施行
合理的配慮の要請は「わがまま」? 民間企業で義務化する前に知りたい合理的配慮の具体例

雇用ノウハウがある企業は合理的配慮の提供に積極的

実際に精神障害者雇用を実施していても、雇用ノウハウが十分にあるとは限りません。一方、すでにノウハウを蓄積している企業では、精神障害者の定着度や活躍度が高い傾向にあります。引き続き、パーソル総合研究所による調査結果を見ていきましょう。

精神障害者雇用ノウハウ「蓄積途上・手探り状態」が過半数

調査では、精神障害者雇用のノウハウ蓄積度に関する質問では「蓄積途上」「手探り状態」と回答した企業が半数を超える57.0%となりました。身体障害者よりも5.6pt、知的障害者よりも10.2pt高い結果です。

同じ設問で「雇用ノウハウは十分にある」「雇用ノウハウは困らない程度にはある」とした企業の割合を見ると、身体障害者雇用で44.6%、知的障害者雇用で29.9%だったのに対して、精神障害者雇用では23.1%にとどまっています。

精神障害者雇用では、身体障害者や知的障害者の雇用よりもノウハウが不足している傾向にあることが分かります。

雇用ノウハウ蓄積度と定着度・活躍度の関係

精神障害者雇用に関するノウハウがある企業では、精神障害のある従業員の職場定着度や活躍度について、ポジティブな評価が高い傾向が見られました。

例えば、パーソル総合研究所が作成した下のグラフです。


出典:パーソル総合研究所(協力:パーソルダイバース)「精神障害者雇用の現場マネジメントについての定量調査」p.75

このグラフで入社後1年以内の離職を見ると、「雇用経験に乏しく手探り状態だ」と回答した企業では、「入社後1年以内に離職することはほとんどない」と回答した割合が36.9%であったのに対して、「雇用ノウハウは困らない程度にはある」企業では52.9%、「雇用ノウハウは十分にある」企業では60.0%となりました。

精神障害者雇用で課題となりやすい勤怠やパフォーマンスの安定についても、手探り状態である企業で肯定的に回答した割合は22.9%、雇用ノウハウが十分にある企業では、約2.3倍となる53.5%が「とてもあてはまる」「あてはまる」と回答しています。

障害者雇用のノウハウは、職場における合理的配慮の提供と切り離せません。上手に合理的配慮を提供するには、ご本人の訓練と同時に、社内の体制整備や環境づくりも不可欠です。

精神障害者が職場で合理的配慮を受けるための工夫

合理的配慮を提供するには、「どのような配慮が必要か」を企業側が受け取れなければなりません。ご本人からの申し出があれば分かりやすいのですが、精神障害の特性によって「人と話しにくい」「うまく伝えられない」という困難を持つ方もいます。そのため、ご本人の伝える努力だけでなく、企業側としても要望を受け取りやすい体制を構築する必要があります。

当事者の方が合理的配慮を受けやすくなるためのポイントは、大きく分けて5つあります。

(1)企業側で障害理解の研修を実施する・受講する

1つめのポイントは、障害者雇用関連の支援機関や専門家との連携です。具体的には、以下のような機関等と連携する場合が多く見られます。

  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 就労移行支援事業所 など

支援機関等には、障害理解や合理的配慮に関するセミナーや講座を実施していることもあります。こうしたセミナーや講座は、専門家の知見や過去の事例を踏まえた有益なものが多く、自社で独自に進めるよりも効率的に理解を深められるでしょう。講座では、修了すると資格を認定されるものもあります。

【障害理解等に関するセミナー・講座の探し方】

都道府県労働局やJEEDによるセミナー、講座
  • 公式サイトや公式SNSアカウントなどの案内を定期的にチェックする
民間の支援機関等によるセミナー、ワークショップ
  • 公式サイトやプレスリリースサイトなどをチェックする
  • お問い合わせフォームや相談窓口から、問い合わせる

障害理解を深めるための社内研修を実施する場合は、厚生労働省やJEEDが公表しているガイドライン、マニュアル等の把握が必要です。たとえば、以下のような公式ページがありますので、必ずご確認ください。

(2)障害特性に合わせたコミュニケーション方法を共有する

2つめのポイントは、障害特性に合わせたコミュニケーション方法を実践することです。それには、誰に対して、どのようなコミュニケーション方法をとる必要があるのかを共有する必要があります。

具体的には、「伝え方を工夫する」「ツールや、ツールの使い方を工夫する」という2点を意識しましょう。それぞれの工夫内容は、対象となる方の障害特性に応じて異なります。一例として、以下のような工夫があります。

【コミュニケーション方法の工夫(例)】

伝え方を工夫する
  • 業務は1つずつ指示する(あれもこれもと指示しない)
  • 複数の業務を指示する場合は、優先順位を伝える
  • 業務手順を明確にして伝える(作業手順書やマニュアルを作成する)
  • 業務指示等のメモを取る時間を確保する(メモを取っている間、待つ)
活用するツールや、その使い方を工夫する
  • 音声・会話での情報把握が苦手な場合、文字で伝える(メール、チャット、紙へのメモなど)
  • 文字による情報把握が苦手な場合、口頭の指示とともに、写真やイラストなども使って説明する
  • 成果物のイメージが分かりやすいよう、見本を示す
  • 書式等のテンプレートがあるなら、どのテンプレートを使うか、どこに格納されているかを伝える
  • 相談や質問がある場合の連絡方法、連絡のタイミングなどを伝える

 

なお、障害特性の共有にあたっては、プライバシーに配慮しなければなりません。例えば次のような説明や確認が求められます。本人の同意なく障害特性等の情報を共有したり目的外のことに利用したりすると、「プライバシーの侵害」となりますので、ご注意ください。

【プライバシーへの配慮のポイント】

  • 障害特性の確認・把握を「何のために行うのか」を本人に明示する
  • 本人の同意を得た上で、目的に必要な情報を取得する
  • 情報の利用目的に必要のない情報取得は、行わない
  • 本人の同意なく、取得した情報を目的外のことに利用しない

精神障害者雇用におけるコミュニケーションについては、以下の関連記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ、本記事とあわせてご覧ください。

(関連記事)
職場での精神障害者との接し方とコミュニケーション上の注意点
精神障害者がコミュニケーションを高めるには|就労移行支援と補助ツール

(3)障害特性に合った配置や目標設定を行う

3つめは、障害特性に合った人材配置や業務等の目標設定を行うことです。

障害者雇用では、ご本人に無理をさせまいとして、本来持っている能力をうまく発揮できない業務を割り振ってしまうことがあります。精神障害者雇用の例では、軽作業やルーチンワークだけ割り振っているような状況です。ご本人にとって簡単すぎる業務ばかりでは、モチベーションが低下したり、自信をなくしたりしてしまう場合があります。

どのような業務に従事できるかは、障害のある従業員それぞれの障害特性や、その時点での障害状況を見なければなりません。適切な業務の切り出しや創出が難しい場合は、業務全体の工程を分解し、一部のタスクを担当する等の工夫が可能です。

目標設定についても、一律に売上目標額や一定の生産性向上を設定するのではなく、各人の強みや苦手を意識した設定を行いましょう。例えば、

  • 手順を習得したタスクの作業効率を上げる
  • ビジネスマナーとして必要な振る舞いを習得、強化する
  • コミュニケーション時に行うべきこと(メモを取る、復唱する等)を明確化する
  • タイムマネジメント、タスクマネジメントのスキルを習得・向上させる

などが考えられます。

目標設定で大切なことは、具体的に何をできるようになればいいのかを考え、スモールステップで取り組めるようにすることです。

以下の関連記事では、障害のある方がキャリアアップ実現するためのさまざまな取り組みをご紹介していますので、ぜひお役立てください。

(関連記事)
【合理的配慮好事例・第6回】統合失調症などの精神障害者雇用におけるキャリアアップ!相互理解・上司同士の連携・相談のしやすさがポイント
【合理的配慮好事例・第10回】精神障害者のキャリアアップには人事制度の見直しと本人の意欲向上がポイント【障害者雇用】

(4)当事者からの申し出や相談をしやすい環境づくりを進める

4つめのポイントは、相談しやすい環境づくりを進めることです。これには、相談窓口の設置、職場における心理的安全性の向上、合理的配慮の提供に関する伝え方の共有などがあります。

まず、2016年の改正障害者雇用促進法の施行により、相談窓口の設置が障害者を雇用する事業主に義務づけられました。障害のある従業員から合理的配慮の提供に関する相談や苦情などを受け付け、解決に向けて取り組みを進めることが目的です。

職場における心理的安全性の向上は、「こんなことを言ったらバカにされるのではないか」「こんな要望を出したら怒られるのではないか」という当事者の方の恐れやためらいを軽減する取り組みです。相談や報告を受けた際、上司や同僚が適切な対応をとれるようにすることがポイントとなります。

職場の心理的安全性向上の取り組みは、障害者雇用以外でも重視されています。書籍やインターネットでも、多くの情報を得られるでしょう。一例として、次のような取り組みがあります。

  • 「困ったら相談する」「困った時はお互い様」の文化を作る
  • 発言者が偏らないようにする
  • 仕事以外でのコミュニケーションも大切にする(あいさつや声かけなど)
  • 「当たり前のこと」の相談があっても、怒らない
  • さまざまな価値観があることを前提に検討を進める

そして、合理的配慮の提供に関する伝え方の共有については、すでに活用されている「ナビゲーションブック」や「就労パスポート」などを活用できます。これらのツールでは、ご本人が得意なこと、苦手なこと、配慮が必要なこと、ストレス解消の仕方など、働く上で重要となる事柄を簡潔に記載し、共有するためのポイントが詰まっているからです。

合理的配慮が必要か否か、どのような配慮が必要かを定期的な面談や目標管理制度の中で確認する方法もあります。例えば、前回設定した目標の達成度とフィードバック、達成・未達成の要因分析を行う中で、困りごとや不満をヒアリングするという方法です。

  • 生活リズムは安定しているか
  • 睡眠はとれているか
  • 健康状態はどうか
  • 仕事の進め方で分かりにくい部分はないか
  • 業務内容は合っているか
  • 人間関係で困っていないか
  • 移動やトイレ、休憩時間などで困っていることはないか

など、必要に応じて分析していくと、具体的な解決策を見いだしやすくなるでしょう。

何よりも大切なことは、当事者と職場の上司・仲間、支援者とのていねいなコミュニケーションです。精神障害のある方は、ときに、自分自身の体調の変化に気づいていないこともあります。日頃から細かなコミュニケーションを行っていれば、そうした変化に周囲が気づき、大きなトラブルの回避にもつなげられます。

障害者雇用で好事例となった取り組みでは、手帳や業務日誌を活用した体調管理の例もありました。先行事例を参考にしつつ、自社での取り組みを検討してみましょう。

(関連記事)
【合理的配慮好事例第12回】手帳や業務日誌の工夫で体調管理と相談しやすい環境作りを

(5)環境や勤務条件の定期的な見直しを行う

そして5つめのポイントは、現在の職場環境に関するフィードバックをもとに、改善し続けることです。

職場のメンバーや社会の変化、事業内容そのものの変化など、一度安定した体制を築いても、内外のやむを得ない変化により、うまく機能しなくなることがあります。新たな課題の改善策についてアイデアを出し合い、実施した取り組みの効果を測定・検証しましょう。

障害者雇用においても、現状の課題把握と分析、新たな取り組みと効果測定・検証というPDCAのサイクルを回し続けることは欠かせません。近年注目されている新たな働き方なども考慮し、より効果的な障害者雇用施策を模索していきましょう。

(関連記事)
【合理的配慮好事例・第19回】障害者雇用でフレックスタイム制・シフト制導入! メリットは?
【合理的配慮好事例第15回】業務の遂行にチーム制を導入! 従業員の健康管理へ

精神障害者雇用に欠かせない復職支援

精神障害者雇用では、障害のある従業員の休職から職場復帰に向けた支援も非常に重要です。精神障害のある従業員が休職する場合、本人に合わない労働条件や人間関係、職場環境などが原因かもしれません。

精神障害者雇用で見られる休職の原因

休職の原因となりやすい項目は、3つあります。その1つめが、勤務内容や労働時間。ご本人の苦手分野が大きく関わる内容であったり、ノルマが厳しすぎたり、特性や体力に合わない働き方になっていたりといったケースがあります。

①  勤務内容や労働時間が原因となる例
  • 業務内容が、本人の強みを生かせず、苦手分野の影響が大きい
  • 納期やノルマが障害特性やスキルに合わず、過度のプレッシャーがある
  • 人混みで疲弊しやすい特性がありながら、毎日通勤ラッシュの中で移動している
  • 労働時間が長すぎて、終業から翌日の始業までに体力・気力の回復がきちんとできない
  • 勤務時間が短すぎて、不安や自己否定感が強くなる
  • 睡眠障害があり、始業時間を守ることで睡眠不足が常態化してしまう

2つめは、人間関係です。障害のない方でも、人間関係は休職や離職につながる要因のひとつ。精神障害者の場合も、上司や他の同僚、その他の担当者や支援者、あるいは顧客などとの関係で、ストレスをためやすかったり、うまくコミュニケーションができなかったりする例があります。

②  人間関係が原因となる例
  • 上司や指導係のメンバーと信頼関係を築けない
  • 障害特性の影響で、指定されたツール・手段では、メンバーとうまくコミュニケーションを取れない
  • 職場で孤独を感じている
  • 障害特性について、暴言を受けたり嫌みを言われたりする

そして3つめが、職場環境。先述した相談窓口だけでなく、障害特性に合った業務の切り出しや創出、割り振り、分かりやすいマニュアルや集中しやすい環境などが整えられていないことで、うまく仕事が進まず、ご本人の悩みが大きくなってしまうケースです。

③  職場環境が原因となる例
  • 困りごとを相談しにくい
  • 担当業務が明確に定義されておらず、何をすればよいか、いつまでにやればよいかなどが曖昧で、うまく判断できない
  • 業務で使用する機器の使いにくさが原因で業務効率が上がらず、「自分は仕事ができない」と感じてしまう
  • 他のメンバーの雑談や視線、その他の音・光などが気になり、業務に集中できない

他に、人事異動による環境の変化、家族や友人との関係の変化、精神疾患の症状の悪化なども、休職につながる場合があります。

障害のある従業員が休職する場合、ご本人は焦らずじっくり心身を休養させ、会社側は休職の原因をきちんと分析して環境改善につなげる必要があります。そのためにも、主治医や産業医、支援者と連携しながら、休職中の適切な支援を行いましょう。

休職中の支援ポイント3つ

休職中の支援ポイントは、ご本人が普段通院している主治医、会社の産業医、そして障害者雇用等の支援機関と密に連携をとりながら、ご本人の状況に合わせて定期的に連絡をとることです。

まず、主治医や産業医との連携では、支援に必要な範囲でご本人の状態を共有し、それに合わせた具体的な配慮内容を相談・検討するとよいでしょう。休職中の支援内容なども、障害特性に合わせて考えます。

回復してきたら、復帰時期や復帰後の配属についても相談してください。ご本人と会社側の担当者を交えた三者面談で、休職中の状況、復職時の希望を確認・把握することも重要です。

次に、支援機関との連携では、障害特性に合わせた職務の選定、職域の創出などに関する相談ができます。人間関係や業務内容、作業環境等を改めて見直し、必要に応じて配置転換も検討しなければならないでしょう。

体調が安定してきたら、支援機関で実施されるリワーク支援を活用することもできます。リワーク支援は、地域障害者職業センターや精神科のある病院、就労移行支援事業所等で実施しています。就労移行支援事業所の中には、職場復帰後の定着支援を行っている所もあります。

そして、おろそかにしてはいけないのが、休職しているご本人との定期的なコミュニケーションです。休職中は会社の内部事情を知ることができませんので、孤独感をいっそう強めてしまったり、そのまま離職を考えたりする方が少なくありません。

そこで、会社でどのようなことが起きているのかを定期的に知らせて、休職中も会社の一員であるという感覚を得られるようにするのです。具体的には、月1回の手紙やメール、社内報を送るなどの事例が見られます。その際、ご本人が焦らずきちんと休養できるような声かけも、ぜひ行ってください。

ご本人への連絡の頻度は、障害の状況等に合わせることもポイントです。ご本人があまり連絡を取りたくない場合は、頻繁な連絡は避けましょう。連絡方法などに指定がある場合は、それに応じた形でコミュニケーションを取るとよいでしょう。

(関連記事)
【合理的配慮好事例・第20回】休職した社員の職場復帰支援はどうする? 復職支援のポイント

【参考】
パーソル総合研究所「精神障害者雇用の現場マネジメントについての定量調査」
令和5年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

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