精神障害者保健福祉手帳の2級と3級の違い


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精神疾患が原因で生活に支障が出ている場合、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することで、生活しやすくなるかもしれません。手帳を持っていればさまざまなサービスを受けられ、障害者雇用枠での就労も可能です。

この記事では、取得者の多い2級と3級の違いや、受けられるサービスなどを解説します。

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)は障害者手帳の1つ

精神障害者手帳は、精神疾患が原因で生活等に長期間支障が出ている場合に交付される手帳です。1級〜3級の3つの等級があり、数字が小さくなるほど障害が大きくなります。

手帳の交付対象疾患の代表例は、統合失調症やうつ病ですが、さまざまなストレス関連障害も対象になっています。

精神障害者手帳とは

精神障害者手帳の正式名称は「精神障害者保健福祉手帳」。障害者手帳の一種で、精神疾患が原因で6か月以上にわたって日常生活や社会生活に支障を来している人に交付されます。

精神障害者手帳以外の障害者手帳には、身体障害者に交付される「身体障害者手帳」、知的障害者に交付される「療育手帳」(東京都では「愛の手帳」)があります。

精神障害者手帳の等級の基準や交付に関することは、精神保健福祉法が定めています。手帳を所持するメリットは、さまざまな福祉サービスを受けられたり、障害者雇用枠で就労できたりすることなどがあります。

「平成30年度衛生行政報告例の概況」によれば、2018年度では約106万人が精神障害者手帳を所持しており、2017年度から7万人ほど増えました。

【参考】
平成30年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省

対象となる精神疾患

精神障害者手帳の交付対象となる精神疾患は、多くあります。具体的には、

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、双極性障害など)
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる急性中毒やその依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害)
  • その他の神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害

などです。

いずれの精神疾患も、日常生活に制限がかかる場合に手帳交付対象になります。

また、知的障害と精神障害の両方がある場合は、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳の両方を受け取れることもあります。

等級と判定の基準

精神障害者手帳には1級〜3級という等級があります。等級は、症状の程度や生活にどのくらい支障があるかを基準に定められています。大まかには、

  • 1級:「精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」
  • 2級:「精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」
  • 3級:「精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」

と定められています。等級が上がるほど1人で生活するのが困難になるというイメージです。

実際の手帳交付の審査では、「能力障害の状態」と「精神疾患の状態」の両方から総合的な判断が行われます。

「能力障害の状態」とは、日常生活に必要な行動がどれだけできるか、通院・服薬の状況、コミュニケーションがどのくらいとれるか、公的な手続きがどのくらいできるか、趣味・娯楽にどれだけ関心があるかなど。

「精神疾患の状態」とは、人格の変化や気分障害、妄想・幻覚の有無、その他の精神神経症状の有無や頻度などです。

精神障害者手帳を持つことで受けられるサービス

精神障害者手帳を持つことで、さまざまな福祉サービスが受けられます。全国共通で受けられるものでは、

  • NHK受診料の割引
  • 所得税、住民税、相続税の控除
  • 自動車税、自動車取得税の軽減(1級のみ)

などがあります。

これに加え、たとえば東京都では以下のようなサービスや優遇措置を受けることも可能です。

  • 都営交通の無料利用(都電、都バス、都営地下鉄等)
  • 都内路線バスの運賃半額割引
  • 都立公園、都立施設の無料入場
  • 都立公園の有料駐車場の無料利用
  • 都営住宅の優先入居、使用承継制度の適用
  • 携帯電話料金の割引

他にも、民間企業がさまざまな形で利用料等の割引を行っています。

神奈川県でも、一部バスやフェリーといった交通機関の運賃割引、公営住宅への優先入居、公共施設の利用料や駐車場料金の割引・免除といったサービスを利用可能。

具体的にどのようなサービスがあるかは自治体によって異なるため、手帳交付時に渡される冊子等で確認しましょう。

【参考】
精神障害者保健福祉手帳|東京都福祉保健局
精神障害者保健福祉手帳|神奈川県

2級と3級の違い|症状と受けられるサービス

「平成30年度衛生行政報告例の概況」では、2級取得者が約63万人と最も多く、3級取得者は約30万人で2番目に多い人数でした。では、2級と3級の違いは何でしょうか。受けられる福祉サービスに違いはあるのでしょうか。

精神障害者手帳2級とは

先述した通り、2級の判定基準は「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」となっています。これを細かく見ていくと、下の図のような基準があります。


2級に相当する場合の生活イメージとしては、

  • 通院やデイケア、訓練等の習慣化された外出は自分でできるが、それ以外の場所に行くには誰かの助けが必要
  • バランスの良い食事をとったり適切に家事を行ったりするには誰かの助けが必要
  • 通院・服薬が必要
  • 入浴や洗面等を自分できちんと行うのは難しい
  • ストレスが大きい状態だと症状が悪化しやすい
  • 他の人や周りの雰囲気に合わせた行動ができないことがある

というもの。

2級は障害の程度が3級よりも重いため、3級では受けられないサービスを受けることも可能です。たとえば東京都では、都営住宅の特別減額や生活保護の障害者加算などが適用されます。

精神障害者手帳3級とは

精神障害者手帳3級の判定基準は「日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」です。3級にも、下の図のような細かい基準が設けられています。


生活のイメージとしては、

  • 1人で外出し、デイケアや訓練等に通ったり、配慮のある事業所で働いたりもできる
  • 基本的に自分で家事ができるが、状況や手順が変化すると誰かの助けが必要になる
  • 入浴や洗面等は大体自分でできる
  • 引きこもりがちではなく、他の人とのコミュニケーションもおおむねとれるが、不安定である
  • おおむね他の人や周りの雰囲気に合わせた行動をとれる

2級ほど障害が大きくないものの、強いストレスがかかる状況やいつもと違う状況では、自分1人でうまく対応するのが難しくなるイメージです。

また、2級は通院・服薬が必要な人のみが対象ですが、3級は必ずしも必要ではありません。

【参考】精神障害者保健福祉手帳の手続き|東京都福祉保健局

障害者手帳を申請するには。まずは主治医と相談を

手帳交付の審査では、主に診断書を元に判定が行われます。もしあなたの状態を主治医が適切に把握していなければ、適切な判定は困難になってしまうでしょう。

そのため、精神疾患で通っている病院の主治医と事前にじっくり相談することが重要。症状は今どのような状態なのか、あなたは何ができて何ができないのか、申請前に医師と一緒に確認してみましょう。

障害者手帳の申請はお住まいの自治体の窓口で

障害者手帳の申請は、お住いの自治体の障がい福祉課などで行います。

申請に必要な書類

  • 申請書
  • 診断書又は、精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等の写し
  • 本人の写真

申請後、精神保健福祉センターにで審査が行われ、認められると手帳が交付されます。

手帳に必要な手続きや流れはこちらの記事で詳しく解説しています。

障害者手帳を取得すべきか迷ったら、市区町村の障害福祉窓口やかかりつけの医師などにまずは相談してみましょう。自分から見せない限り、他人に障害者手帳を持っていることを知られることもありませんし、勤務先に障害者手帳を見せなければならないこともありません。

障害者手帳は不要になれば返納もできますので、必要に応じて申請するかどうかを考えるとよいでしょう。

 

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