障害者と雇用保険|障害者の失業給付は一般離職者とどう違う?


失業したときの強い味方、失業給付。一般離職者と障害者である離職者を比べると、就職困難者である障害者のほうが受給期間などで優遇されています。雇用保険の基本をおさらいしつつ、両者の違いを見てみましょう。また、失業給付の受給期間中に再就職すると支給される手当などについても紹介します。

雇用保険とはどんな制度?

失業したら基本手当(失業給付)を受け取れる雇用保険。受給資格の種類や離職理由にもよって期間は異なりますが、90日〜360日の範囲で基本手当がもらえます。まずは雇用保険の基本をおさらいしましょう。

失業したら基本手当(失業給付)を受け取れる

雇用保険に加入できるのは、雇用保険の適用事業所に雇用される労働者です。労働者を雇用した事業主は雇用保険加入に必要な手続きを行うことが法律で義務づけられていますので、雇用されれば自動的に加入するのが基本です。

ただし、以下のような人などは雇用保険の被保険者にはなりません。
 週所定労働時間が20時間未満の人(日雇労働被保険者に該当する人を除く)
 適用事業所に連続して31日以上雇用される見込みがない人
 昼間学生

被保険者には一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者という4つの種類があります。

基本手当の受給資格を得るには、被保険者が失業状態であることが前提。失業している状態とは、「離職し、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態」(ハローワーク)です。

よって、以下のような場合は失業状態ではありません。
 「就職しようとする意思」がない
 病気などが理由で「いつでも就職できる能力」があるわけではない
 「職業に就けず」にいるわけではない(すでに内定が出ている等)
 「積極的に求職活動を行って」いない

一般離職者の場合

基本手当を受け取るには、ハローワークから失業認定を受ける必要があります。加えて、雇用保険の被保険者である期間が離職日以前の2年間に通算12か月以上でなければなりません。

離職から受給資格を得るまでの大まかな流れは、次のようになります。
(1) 在職中に退職する会社から離職票を受け取る
(2) 管轄ハローワークを訪れ、求職の申込みを行い、離職票を提出する
(3) 受給説明会に参加し、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取る

受給できる期間は、離職理由と被保険者であった期間によって変わります。自己都合で離職した場合は原則として「一般離職者」、会社都合で離職した場合は「特定受給資格者」です。

支給される金額は、離職者の年齢と離職した日以前の給与によって変わります。

「離職日直前6か月分の月給の合計額÷180」で算出される額を「賃金日額」と呼び、賃金日額の5割〜8割が「基本手当日額」(基本手当として支給される1日あたりの金額)になります(賃金日額が低いほど率が高い)。

また、基本手当日額は年齢によって上限額が決まっています。

支給されるまでの流れ|待期期間と給付制限

ハローワークに求職の申込みをしてから最初の基本手当が支給されるまでに、1か月〜3か月かかります。

まず注意すべきなのは、「待期期間」。求職の申込みをしてから受給説明会に参加するまでの7日間のことです。一般離職者にも特定受給資格者にも、後に述べる就職困難者にも、待期期間が発生します。

その後、受給説明会に参加すると「雇用保険受給資格者証」などを渡されます。基本手当の支給のために行われる失業の認定の日時も知らされるので、失業認定日までにハローワークの窓口で求職活動を行います。

もし自己都合で退職した場合は、ここで3か月間の「給付制限」が発生します。給付制限とは、基本手当を支給しない期間のこと。給付制限がある場合、最初の受給は求職の申込みから約3ヶ月後です。ただし、一定の条件を満たせば給付制限は発生せず、申込みから約1か月後に受給できます。

失業認定日には、求職活動状況を記入した「失業認定申告書」と雇用保険受給資格者証をハローワークの窓口に提出。原則として5日後に基本手当が口座に振り込まれます。

【参考】
ハローワークインターネットサービス「雇用保険手続きの案内」
および「失業された方からのご質問」

障害者は「就職困難者」として受給要件が緩和、受給期間も長い

障害者である離職者は「就職困難者」に分類されます。就職困難者は基本手当の受給要件が緩和され、受給できる期間も一般被保険者よりかなり長いのが特徴です。

就職困難者の受給要件は、離職前の「1年間」に被保険者期間が通算して「6か月以上」あること。一般離職者は「2年間」に「12か月以上」ですので、その半分の期間で受給資格を得られます。

受給できる期間は被保険者であった期間と年齢によって変わりますが、就職が困難であるため最低でも150日というかなり長い期間で受給可能です。

なお、給付制限については一般被保険者と同じで自己都合で退職した場合は原則として3か月の給付制限が発生します。ただし、「病気で働けなくなった」などの正当な理由があって退職した場合は、自己都合であっても給付制限が発生しない場合があります。

離職理由に関する注意

離職する場合、在職中に会社から離職票を受け取ります。もし離職票の離職理由に事業主が「自己都合」と記載し、それに納得がいかない場合は、ハローワークへ提出する際にきちんと主張しましょう。もしパワハラやいじめが原因で離職したなら理由は「会社都合」です。離職者が主張をすることで、「自己都合」と書かれても実際は「会社都合」であることが認められる場合があります。

離職理由は給付制限の有無に関わる問題なので、ハローワークも一方の主張をそのまま採用するのではなく、事実関係を確認して慎重に判断しています。事業主と離職者の間で主張が食い違うなら、「客観的資料」がより重視されます。

客観的資料とは、たとえば以下のようなものです。
 メールの文面(メール本体の他に、スクリーンショットなどもあると良い)
 録音や動画
 給与明細や給与の支払い状況が分かるもの(経済的虐待を受けた場合)
 病院の診断書

なお、会社によっては労働者から言わないと離職票を出さないこともあるとか。離職する際は必ず離職票をもらうようにしましょう。もし離職票が欲しいと伝えても交付してもらえない場合は、ハローワークに相談しましょう。

離職したら基本手当(失業給付)の受給申請は必須?

基本手当は失業している被保険者に支給されるものなので、離職時点ですでに転職先が決まっている場合は受給申請の必要はありません。

離職したらとにかく基本手当をもらうほうが「得」だと考える人もいるようですが、転職先が決まっている場合は、そもそも受給資格である「職業に就けず」を満たしません。もし偽って申請し受給すれば「不正受給」となり、最悪の場合は詐欺罪にも問われます。

ただ、転職先が決まっていても、離職票はもらっておくほうが良いでしょう。万一転職先をすぐに辞めてしまっても、基本手当の受給申請に使えます。

早期再就職で残日数分の給付金の一部がもらえる!

雇用保険の基本手当は、失業中だけでなく再就職が決定した場合にも一部支給されます。再就職先の給与とあわせれば、基本手当を期間いっぱいもらってから再就職するよりも多い額を手にできるでしょう。

早期再就職をする場合|再就職手当

基本手当の残日数が3分の1以上ある状態で再就職した場合、「再就職手当」が支給されます。

具体的な支給要件は、
 基本手当の受給資格がある
 雇用保険の被保険者となる職業に就いた、または事業主となって雇用保険被保険者を雇用した
 支給残日数が3分の1以上ある
です。

残日数が3分の2以上なら、その残りの期間で支給される予定の額の7割が、残日数が3分の1以上なら6割の額がもらえます。

【参考】ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」

障害者や45歳以上の人が再就職する場合|常用就職支度手当

障害者や45歳以上の再就職が困難な人が1年以上継続して雇用されることが確実な職業に就いた場合、「常用就職支度手当」が支給されます。

支給要件は、
 基本手当の受給資格がある
 身体障害者、知的障害者、精神障害者、45歳以上の人などの就職が困難な人である
 離職前の事業主に再び雇用されたのではない
などです。

最大で基本手当の30日分、最低でも15日分が支給され、残日数が多いほど額が多くなります。

ただし、再就職手当の支給要件を満たす場合は、再就職手当が支給され常用就職支度手当は支給されません。

再就職後の給与が離職前より下がる場合|就業促進定着手当

再就職後の給与が離職前より下がる場合は「就業促進定着手当」として、最大で残日数の4割の額を受け取れます。

支給要件は、以下の3つ。
 再就職手当の支給を受けている
 再就職手当の支給を受けた再就職の日から同じ事業主に6か月以上、雇用保険被保険者として雇用されている
 所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回る

支給申請書はハローワークから郵送されてきます。再就職した日の6か月後から2か月間の申請期間に手続きを行いましょう。

【参考】ハローワーク「再就職手当を受給した皆さんへ」

就職、職場定着に真に役立つ情報をわかりやすく解説。
あなたの就労に活用ください。
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