【合理的配慮好事例・第19回】障害者雇用でフレックスタイム制・シフト制導入! メリットは?


通勤電車の混雑緩和や感染症拡大防止で近年注目されているフレックスタイム制ですが、障害者雇用でも合理的配慮の1つとして導入する企業があります。あらかじめ従業員の疲れやすさや治療の予定が分かっている場合はシフト制で対応する企業も。

合理的配慮好事例解説シリーズ第19回は、従業員の健康管理に配慮してフレックスタイム制やシフト制を導入した好事例を紹介・解説します。

フレックスタイム制とは? シフト制との違い

フレックスタイム制は、1カ月の合計勤務時間を定め、1日ごとの勤務時間は従業員自身が柔軟に決められる勤務体制のこと。必ず出勤しなければならない「コアタイム」という時間を設ける場合と、コアタイムなしで出勤・退勤が可能な場合とがあります。

フレックスタイム制では1日ごとの勤務時間が決められていないため、
「今日は体調が悪いから3時間だけ仕事をする」
「今日は元気なので8時間仕事をする」
といった働き方ができます。

一方、シフト制は日々の勤務時間をあらかじめ設定する働き方です。

たとえば「毎週木曜日は通院があるので仕事に出られない」という場合、木曜日を休日として設定することで休暇を取得しなくても働けます。疲れやすい従業員の場合は「水曜日を休日に、金曜日は半日だけ」などとすることで、安定した勤務をしやすくなるでしょう。

本人の通院や体調に合わせて勤務時間を設定できるという点で両者は共通していますが、「決められた時間に勤務する」必要があるかどうかが大きく異なります。

体調が変化しやすい人の場合は、シフト制よりもフレックスタイム制のほうが働きやすいかもしれません。

では、現場で実際どのように活用されているのでしょうか?

短時間勤務とフレックスタイム制で1カ月単位の勤務時間調整OK—富士ソフト企画株式会社

富士ソフト企画株式会社(神奈川県)は、富士ソフト株式会社の特例子会社。従業員263名のうち228名が障害者で、身体障害者42名、知的障害者33名、精神障害者153名を雇用しています(2020年4月時点)。

同社では入社時は短時間勤務からスタートできる制度を導入しており、体調を見極めつつ段階的に勤務時間を延長・短縮できる勤務制度。これとあわせて活用されているのがフレックスタイム制です。

富士ソフト企画のフレックスタイム制

富士ソフト企画のフレックスタイム制は、

  • 9:00-17:30の中で勤務
  • コアタイムなし

入社した社員の多くは1日5〜6時間の勤務を基本に1カ月の勤務時間を定め、無理のない範囲で段階的にフルタイムへ移行していくシステム。勤務時間の長さは1カ月単位で調整可能です。

活用のメリット

同社でフレックスタイム制を導入したのは、精神障害者の疲労の蓄積や体調不良への配慮が理由でした。

コアタイムがないため、通院や体調不良で出勤が遅れる場合でも、休暇をとらずに勤務可能であることが大きなメリットです。

フレックスタイム制を活用することで、3割の従業員がフルタイム勤務で就労できているとのことでした。

【参考】
精神障害者のための職場改善好事例集(平成21年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
富士ソフト企画株式会社

コアタイムなしのフレックスタイム制で柔軟な休憩時間設定に対応—大和ライフプラス株式会社

大和ライフネクスト株式会社の特例子会社である大和ライフプラス株式会社(東京都)は、従業員64名のうち53名が障害者で、身体障害者15名、知的障害者12名、精神障害者26名を雇用(2020年5月時点)。精神障害者の雇用を積極的に進めています。

精神障害をもつ従業員の負担を軽減するため、親会社同様のフレックスタイム制を導入しました。

大和ライフプラスのタイムフレックス制

大和ライフプラスのフレックスタイム制は、

  • 9:00-17:40で勤務
  • コアタイムなし

となっています。

事業所設立にあたり、精神障害者にとって負担が少ない仕組みが必要と考え、親会社と同じフレックスタイム制を導入しました。

変則的な勤務対応が必要な場合は、本人と管理者で相談して勤務時間を調整することが可能です。

活用のメリット

同社では、フレックスタイム制ではないフルタイム勤務でしか働けない体制は精神障害者にとって負担が大きいことに着目しました。「休んだら迷惑をかけてしまう」「有休が減ってしまう」などの理由で無理をして体調不良になる可能性が高いからです。

フレックスタイム制導入のメリットは、障害をもつ従業員が通院・体調不良などによる遅刻・早退・欠勤が必要になっても有休を取らずにすむようになったこと。これにより、有休を計画的に取得することも可能になりました。

また、それぞれの特性に合わせて個別に休憩時間を設定する場合でも「1日7時間」のような実働時間の縛りがないため、柔軟に対応できます。

こうした取り組みにより、障害をもっていても大きく体調を崩さずに安定した勤務ができるようになりました。

【参考】
精神障害者のための職域拡大及び職場定着に関する職場改善好事例集(平成25年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
大和ライフプラス株式会社

治療との両立のためシフト制を活用 週2日半日勤務・平日を休日に—株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター

株式会社シーエックスカーゴは、障害者の実雇用率5%以上を達成した日本生活協同組合連合会の物流子会社です。CO・OP商品の発注・在庫管理や在庫保管センター業務を中心に物流業務も手掛けています。

特例子会社ではないものの、従業員4489名のうち144名が障害者で、20%が身体障害者、50%が知的障害者、30%が精神障害者です(2020年3月時点)。

桶川流通センター(埼玉県)では知的障害者を中心に雇用を進め、シフト制による柔軟な勤務体制を導入しています。

シーエックスカーゴ桶川流通センターのシフト制

同センターでは、透析など定期的な治療が必要な従業員の就労への配慮として、柔軟な勤務時間を設定する必要性から、シフト制での勤務体制を活用しています。

週休2日のシフト制で、休日を平日に設定することも可能。余裕のある日はフルタイムで、それ以外は半日だけといった働き方にも対応できます。

活用の事例

同社のシフト体制で紹介されたのは、身体障害をもつ従業員の事例でした。

もともと週5日のフルタイムで働いていましたが、透析治療が必要になったためフルタイム勤務が困難に。退職を考えて上司に相談したところ、上司から提案されたのが「週5日のうち2日を短時間勤務へ」という働き方でした。

<透析治療に配慮したシフトの事例>
(月) 9:00-17:15
(火) 9:00-12:00(透析治療)
(水) 9:00-17:15
(木) 休日 (透析治療)
(金) 9:00-17:15
(土) 9:00-12:00 (透析治療)
(日) 休日

シフト制で働けるようになったことで、休暇を取得せず確実に治療と仕事を両立できるシステムへ。従業員にとっても安心して勤務できる体制になりました。

【参考】
中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集(令和元年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
多様な働き方|株式会社シーエックスカーゴ

障害者雇用でのフレックスタイム制・シフト制のメリット

障害者雇用でフレックスタイム制やシフト制を導入することは、障害をもつ従業員の働きやすさに直接関係してきます。特に、有休を取得しなくても体調に配慮した働き方ができる点が大きなメリットです。

<障害者雇用でのフレックスタイム制・シフト制のメリット>

  • 通院や体調不良で遅刻・早退・欠勤になっても有休を取得せずに済む
  • 有休を計画的に取得できるようになる
  • 特性に合わせた休憩時間の設定が容易になる
  • 1カ月単位で月の勤務時間を調整できる
  • 仕事と治療を両立しやすくなり安定して勤務できるようになる

「週5日、1日8時間」という毎日の就業時間が固定されたフルタイム勤務の多い日本。近年は通勤電車の混雑緩和や感染症対策といった観点から、フレックスタイム制が注目されています。

東京都でも、障害者雇用でフレックスタイム制など仕事と治療の両立がしやすい勤務体制を導入する企業に奨励金を出す「障害者安定雇用奨励金」制度があります。

(関連記事)
東京都・神奈川の障害者雇用支援一覧|奨励金・助成金・補助金

従業員の勤務時間について検討する際は、障害者雇用でよく採用される短時間勤務だけでなく、フレックスタイム制やシフト制といった勤務時間の柔軟な設定についても視野に入れてみてください。

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