【合理的配慮好事例・第9回】精神障害者・発達障害者のためにできる勤務体制への配慮は?【障害者雇用】


精神障害や発達障害をもつ従業員への配慮を検討する際、
「この業務への適性はあるけど、1週間続けて取り組むのは負担になるようだ」
「通院のための休暇だけで有給休暇がなくなってしまうようだ」
といった問題が発生することがあります。これらの課題に取り組むには、勤務体制の再検討が必要かもしれません。

合理的配慮好事例シリーズ第9回では、精神障害者や発達障害者のために取り入れられる勤務体制について紹介・解説します。

正社員雇用とフレックスタイム制度で働きやすい勤務体制を実現 —大和ライフプラス株式会社

大和ライフプラス株式会社は、大和ライフネクスト株式会社の特例子会社。45人の障害をもつ従業員のうち25名が勤続3年以上となっており、職場定着に成功している企業です。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下、機構)の「中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集(平成28年度)」では、データ入力や書類の電子化業務などを担当する発達障害をもつ社員の事例が紹介されました。

同社の障害者雇用における勤務体制の特徴は、正社員雇用とフレックスタイム制です。

正社員として雇用することで「契約が更新されなかったらどうしよう」という不安を軽減し、長期の就労やモチベーション向上につなげました。

フレックスタイム制では、その日の労働時間を体調や通院などに合わせて調整できるというメリットを重視。有給休暇を使わずに体調管理ができるとともに、短時間勤務から仕事を始めることもできるようになっています。

また、同社では休職している社員への配慮も支援機関と緊密に連携して行っています。好事例では、そうした支援の結果、早期復帰につながった例が紹介されました。

同社で行った休職者への支援は、まず「(休職)制度を利用して休養し、復帰を」と明確に伝えることでした。もともと設定していた業務上の目標についても、本人や支援機関と相談し、「件数を半年間維持する」という無理のない目標を設定。復帰後は、1日4時間勤務から始め、2カ月かけて休職前の勤務時間へ戻していくことを目指しました。

なお、自治体によっては障害者雇用のためにフレックスタイム制度などの勤務体制を整備した企業に一定の金額が支給される制度を設けている場合があります。障害をもつ従業員のために勤務制度の新規導入や改善を考えるなら、ぜひ利用を検討してみてください。

(関連記事)
東京都・神奈川の障害者雇用支援一覧|奨励金・助成金・補助金

【参考】
中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集(平成28年度)|機構
大和ライフプラス株式会社 公式サイト

「ハイブリッド型勤務」で不安を軽減、スキルとチャレンジ精神に応える—総合メディカル株式会社

総合メディカル株式会社は、医療機関のコンサルティングを中心に医療機器のリースや薬局・高齢者向け住宅・病院内の売店や飲食店の運営など、さまざまな事業を展開する企業です。障害をもつ従業員50名のうち10名が精神障害者となっています。

同社の障害者雇用に関する取り組みは、機構の「就職困難性の高い障害者のための職場改善好事例集-精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者-(平成27年度)」などで評価され、紹介されています。

平成27年度の好事例集で取り上げられたのは、統合失調症をもつ従業員への合理的配慮でした。担当業務は介護施設での清掃と本社での庶務業務。もともとは清掃のみでしたが、心身ともにつらさを感じるようになり、庶務業務と組み合わせた「ハイブリッド型勤務」へと移行しています。

同社で導入したハイブリッド型勤務とは、1週間の業務を2つ以上に分けて勤務するものです。この事例では、1週間の業務(4日勤務)を“介護施設での清掃業務2日間+本社での小業務2日間”で行う形をとりました。

ハイブリッド型勤務のメリットは、

  • 従業員の症状や体力に合わせて担当業務を組み合わせることができる
  • 「他の業務もやってみたい」という希望に応えられる
  • 従業員の複数の能力を活かせる
  • 週の半分で業務が切り替わるので、気持ちを切り替えやすい
  • 複数の業務を任せてもマルチタスクになりにくい

などです。

組み合わせる業務について、同社ではまず本社で実際に業務を体験してもらうことから始めました。その中で業務への適性と本人の意思を確認し、本決定となりました。

精神障害をもちながら働く方々への合理的配慮として「シングルタスク」や「特性に配慮した業務内容」ということはよく言われます。しかし、それらの条件が本人のやる気を低下させたり、疲労につながったりすることもありました。

同社のハイブリッド型勤務の例からは、複数の業務を日によって分けることで、障害のある従業員のもつ複数の能力やチャレンジ精神に応えられるということが分かります。ハイブリッド型勤務は、従業員側と企業側の双方にとってのメリットを示しているのです。

【参考】
就職困難性の高い障害者のための職場改善好事例集-精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者-(平成27年度)|機構
総合メディカル株式会社 公式サイト

精神障害や発達障害をもつ社員のためにできる勤務体制への配慮

今回の2つの好事例から分かる勤務体制上の配慮のポイントは3つあります。

<精神障害者・発達障害者のための勤務体制に関する配慮のポイント>

  • フレックスタイム制度などの導入で通院や体調管理をしやすくする
  • 従業員の能力・体力に合わせて「ハイブリッド型勤務」を導入する
  • 休職からの職場復帰後は、短時間勤務から始めて少しずつ勤務時間をのばす

これらの配慮は障害者雇用だけでなく、障害はないけれど急な用事が発生したり体調を崩しやすかったりする社員にとっても魅力的。「1日8時間・週5日で皆が一斉に働く」という枠を外し、たとえば「1カ月で160時間働けばOK」というフレックスタイム制にすることで、休暇制度を使わずに時間のやりくりが可能になるからです。

勤務制度の変更や調整は、多くの方にとって働きやすく、能力を発揮しやすい環境の整備につながるでしょう。

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