綜合キャリアオプション 業界初「メタバース」活用で障害者雇用促進へ


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2024年3月19日、綜合キャリアオプションが展開する“実践型障害者雇用メタバースサービス”のメディア発表会が開催されました。同サービスは、キャムコムグループの綜合キャリアオプションと綜合キャリアトラストが連携するBPO事業。アウトソーシングされた業務に障害者が従事することで、社会における障害者雇用促進へ結びつけるサービスです。

実践型障害者雇用メタバースサービスとは

綜合キャリアオプションと綜合キャリアトラストが展開する“実践型障害者雇用メタバースサービス”は、綜合キャリアオプションのBPO事業で受託した業務の一部に綜合キャリアトラストで雇用される障害者が従事するサービスです。

BPOとは業務のアウトソーシングの一種。個別の業務ではなく業務プロセスをまるごと外部企業にアウトソーシングする形です。例えば、経理業務、人材採用、受付業務、コールセンター業務などがあります。

同業他社にない大きな特徴は、業務遂行にあたって「メタバース」を活用する点です。業務に従事する綜合キャリアトラストの社員は、実在するオフィスを再現した「仮想オフィス」を活用し、そこでコミュニケーションを取りながら業務を進めます。

メタバースとは

メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間のこと。ユーザーは「アバター」と呼ばれる仮の姿でメタバースに入り、他のアバターと交流できます。構築される空間は、実在の建造物を再現したものであったり、現実にはない建造物であったりなど、さまざまです。より没入感を高めるため、「VRゴーグル」や「VRヘッドセット」と呼ばれるデバイスを頭部に装着し、視界全体に仮想空間を映し出す方法が主流となっています。

国レベルでも利活用が検討され、実際にいくつかの自治体事例も見られます。例えば、沖縄の観光名所をメタバースで再現し、オンラインショッピングの機能も備えた「バーチャルOKINAWA」。静岡県藤枝市では、地域企業のマッチング機会としてメタバース体験商談会を実施しました。

東京都では、今年2月に「HELLO! TOKYO FRIENDS」を公開。メタバースに再現した東京の街と現実の東京とをリンクさせ、そこで宝探しゲームやAR撮影などを体験できます。

企業でも、コロナ禍のICT活用拡大に伴って、メタバースの活用事例が増えました。代表的な例は、メタバースに会場を構築した展示会でしょう。他にも、短時間での擬似的な旅行体験を可能とするサービスや、実店舗やモデルハウスを再現して空間性を体験してもらうサービスも展開されています。

『令和5年版 情報通信白書』によれば、2022年における世界のメタバースの市場規模は8兆6,144億円。2030年には約124兆円にまで拡大すると予想されており、今後のさらなる普及が見込まれています。

なぜ障害者雇用でメタバースか?

キャムコムグループにおける主な障害者雇用は、グループの特例子会社である綜合キャリアトラストを中心に行われてきました。現在100名ほどの障害者を雇用しており、その8割以上が精神障害者です。CVT事業、SAKURA事業、トラスト事業という3つを事業を展開しています。

SAKURA事業では、障害福祉サービスのひとつである就労移行支援事業所「SAKURAセンター」を展開し、全国に16センターを有します。トラスト事業は、自社での障害者雇用などにおけるノウハウを使った企業向けコンサルティングサービス。障害者の採用・定着を支援してきました。

そして、同社のコア事業であるCVT事業は、障害者業務受託サービスです。東京・長野・富山・福岡の4拠点があり、グループ内の仕事だけでなく外部から委託された業務も請け負っています。

CVT事業で外部からの業務委託を請け負う際に連携しているのが、綜合キャリアオプションのBPOというわけです。

AIやVRを活用する綜合キャリアオプションのBPOと障害者による業務受託サービスを掛け合わせることで、多様な働き方を実現して社会的持続性を高められること、障害のある労働者の戦力化と委託元企業の業務効率化につながることに、この事業の意義があります。

メタバースは意味ない? 空間性がもたらすメリット


撮影・加工:編集部

メタバースのビジネス活用は「意味がない」と言われることもあります。それは、「何となく3Dの仮想空間にいるだけ」という活用ノウハウの少なさだったり、端末が普及途上だったりすることが原因かもしれません。

今回のメディア発表会では、同様の課題がやや見られる一方で、それでもメタバースの「空間性」による多くのメリットを感じられました。

個人情報や機密情報を守りながら「オフィス」で働く

1つめのメリットは、労働者がアバターとして仮想オフィスに入り、その空間を活用するというシステムそのものにあります。

精神障害のある方には、対面でのコミュニケーションが難しかったり、自分の顔などの情報をあまり出したくない方がいます。そうしたケースでも、メタバースなら安心して他の人と一緒に働けるのです。

同時に、企業側にとって機密情報を守れるというメリットもあります。

アバターが働く仮想オフィスは、実際に存在する綜合キャリアトラストの拠点を元に構築されていますが、忠実に全てを再現しているわけではありません。現実のオフィスのような間取りや什器を再現しつつ、機密情報がその空間から取り除かれているのです。

こうしたシステムにより、開示したくない自分の情報を意思に反して開示してしまう、閲覧権限のない書類をうっかり見てしまう、機密情報を外部に持ち出してしまうというリスクを大きく減らすことができます。

在宅勤務でも「オフィスにいる」という没入感がある

一般的にメタバースを活用するときの特徴として、パソコン上で操作する場合とVRゴーグルを装着する場合があり、ゴーグルを装着した際には没入感もあります。自分の頭を動かせば視界が上下左右に動きますし、手元のコントローラーでアバターを歩かせることも可能です。

デバイスがより充実すれば、直接腕や足に装着してダイレクトに「中の人」の動きをアバターに反映させることもできるでしょう。在宅勤務でありながら、身体性や存在感のある自分と他者のコミュニケーションが生まれます。

なお、現在のアバターは、テンプレートから選択したり多少のカスタマイズをしたりして、好みの姿に調整できます。今後はさらにバリエーションを増やし、動物など人間以外のアバターも考えているとのことでした。

人材教育・研修に使えるコンテンツを蓄積しやすい

CVT事業の現場で語られたメリットに、「困りごとや解決方法を動画として記録し、コンテンツ化できる」という点もありました。

これまで、メタバースを活用した業務の体験会を複数回実施してきた中で、さまざまなトラブルがあったといいます。そこで活躍するのが、メタバースの世界を映像として記録する機能。発生した課題や解決策を動画で記録し、労働者に提示できるのです。

実際、同社では仮想オフィスの壁など特定の場所にマニュアルを掲示し、「ここを見て」と伝えて共有しています。慣れない人にとっては読みにくいファイルパスの代わりに、空間で直接明示できる仕組みは、直感的で非常に分かりやすいものでした。

業務や操作に関する質問についても、空間性を活かしたコミュニケーションができます。全ての拠点にそれぞれ常駐サポートする専任の社員なども仮想オフィスに入っているため、「質問があったら私の所へ来て」と言えるからです。同じ困りごとや疑問を抱えている労働者をその場に集めれば、自然に1対多のコミュニケーションも簡単です。

近くの音は大きく、遠くの音は小さくなる

日常生活では当たり前なのにZoom等のテレビ会議システムでは難しいことも、メタバースでは可能です。それは、「近くの音は大きく、遠くの音は小さく」という音の伝わり方です。

テレビ会議システムでは、参加者の声とマイクの距離、そしてボリュームコントロールで音の大小が変わります。「相手との距離」によるボリュームコントロールはできません。

しかし、メタバースで相手の声をより大きく聞きたい場合は、自分のアバターを相手のアバターに近づけるだけ。複数の人が同時に話している中で特定の人の話だけに集中したいなら、他の人のアバターから遠い場所で、かつ話を聞きたい人のアバターに近い場所に自分が移動すればいいというわけです。

加えて、現実のオフィスでも合理的配慮としてしばしば採用される「静かな空間」も実現できます。

常時接続の会議システムでは音を「ミュート」するしかありませんが、メタバースでは、他の人から遠ざかることで、ボリュームを下げられます。もし上司や他のメンバーとのコミュニケーションが必要になったら、そのまま相手に近寄って声をかければいいだけ。チャットでの呼びかけやミュート解除の要請も不要です。

綜合キャリアオプションの今後の取り組み

画像提供:綜合キャリアオプション

“実践型障害者雇用メタバースサービス”は、今後SAKURA BPOセンターと連携していきます。雇用した障害者にBPOを通じて業務を任せることで、障害者自身の仕事のスキルアップと実績につなげる仕組みです。

委託元企業の業務に習熟して良い仕事ができれば、その企業の担当者からも障害者雇用の理解を得やすくなるでしょう。最終的に、その障害者の委託元企業への転職(転籍)もサポートし、転職先での職場定着支援も提供していくとのことでした。

今年4月から、民間企業の法定雇用率は2.5%になりました。2025年4月には、特定業界における法定雇用率に例外を設けた「除外率」が10%引き下げられ、2026年7月からは法定雇用率がさらに2.7%へ引き上げられます。

雇用される障害者数や実雇用率(企業における実際の障害者雇用率)は毎年伸びてはいるものの、法定雇用率を達成した企業は全体の約半分に過ぎません。

綜合キャリアオプションと綜合キャリアトラストは、メタバースを活用した就労により、障害特性を理由とする出社やコミュニケーション上の困難、職場環境の整備といった課題の軽減・解消を図ります。

“実践型障害者雇用メタバースサービス”は、障害のある方との仕事で蓄積したノウハウをBPOに活用し、適切な業務の切り出しを行いながら、共に働くための仕組み作りとスキルアップ施策を実践に結びつける重要な事業といえるでしょう。

【取材協力】
株式会社綜合キャリアオプション
株式会社綜合キャリアトラスト

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