【障害者の在宅ワーク】テープ起こし(文字起こし)【職域と事例】


在宅ワークとして始めやすいと言われる「テープ起こし」(文字起こし)。障害者の在宅ワークでも、テープ起こしを業務として受注しているケースが複数あります。今回は、テープ起こしの仕事内容、必要なツールや設備、テープ起こし特有の業務管理ポイントなどを見てきましょう。

「テープ起こし」「文字起こし」とは

「テープ起こし」「文字起こし」とは、音声を文字にしていくこと。「音声を聞いて文字にする」という作業自体は比較的簡単で、必須のツールも決して多くはありません。ただ、録音された音声をよく聞きながらテキストを入力しなければならないため、集中力とタイピングスキルが必要な業務です。

また、音声データをそのまま文字にする以外に、「あー」や「えー」といった発声や言いよどみを取り除いて読みやすくする、話し口調ではなく書き言葉として整える、という形での納品を求められることもあります。これらを含めるとテープ起こしには「素起こし」「ケバ取り」「整文」という3つの種類があることが分かります。

<3種類のテープ起こし>

素起こし 「あー」「えっと・・・」などの言葉も含めて、音声のとおりにそのまま文字にする方法。
ケバ取り 「あー」「えっと・・・」などを取り除いて文字にする方法。会議、セミナー、インタビューなどに多い。
整文 ケバ取りだけでなく、書き言葉として読めるような文に書き直す方法。書籍など。

さらにテープ起こしで気をつけなければならないのは、音声の内容にはさまざまなものがあり、録音の質自体も一定ではないということです。企業の会議、セミナー、講義動画、インタビュー、対談、学術研究会、ときには地方特有の言葉づかいに対応することもあるでしょう。

このように、テープ起こしの業務でより適切に書き起こすには、録音内容に対応できる背景知識や高いスキルが必要です。普段から多様な分野に興味を抱くとともに、テープ起こしの仕事をとおして多様な知識や見解に触れ、より正確なテープ起こしに向けてスキルアップしていくことが重要になります。

「テープ起こし」は在宅ワーク事例が多数

テープ起こしの仕事自体は、音声データとイヤホンやヘッドホン、パソコンがあれば始められます。そしてアウトソーシングしやすい分野ですので、在宅ワークを行う障害をもつ方に発注しているという例も決して少なくありません。

実際に業務としてテープ起こしを受注している障害者の在宅ワーク事例を見ていきましょう。

バーチャル工房やまなしの事例


出典:NPO法人 バーチャル工房やまなし 公式サイト

NPO法人バーチャル工房やまなしで手がけている業務は、テープ起こし、自費出版誌作成、手書き原稿の電子データ化、音声コード(SP/ユニボイスコード)の作成、ホームページの作成・保守、チラシやパンフレット作成など多岐にわたります。重度障害者がICTを活用することで在宅ワークをできるよう支援しているのが特徴です。

官公庁、自治体、企業などから業務を受注し、登録している在宅ワーカーに業務を発注。ワーカーに対しては技術研修なども実施してきました。

テープ起こしでは、会議や講演、法話、インタビュー、対談などの音声データをテキストに起こすとともに、発注元の希望に応じてデータ、紙面に印刷、CD-Rへの焼き付けなどの形で納品しています。

<バーチャル工房やまなしの事例>

主な業務連絡手段 メール
必須のもの
  • パソコン
  • インターネット回線 など
音声の内容 会議、講演、法話、インタビュー、対談など
研修 スキルアップのための技術研修等を実施

テープ起こしの価格は、音声の質や長さを元に設定されています。

在宅ワーカーとして登録されているのは、

  1. 自宅にパソコンがありインターネット接続環境が整っている
  2. 1日1回はメールチェックができる
  3. メールへの添付ファイルの送受信ができる
  4. バーチャル工房やまなしの講習会や打ち合わせなどに参加できる

といった要件を満たした方々です。

【参考】
NPO法人 バーチャル工房やまなし 公式サイト

在宅就労支援事業団の事例


出典:NPO法人 在宅就労支援事業団 公式サイト

NPO法人である在宅就労支援事業団では、パソコンを使った業務の在宅ワークを企業などから受注し、登録した在宅ワーカーに割り振っています。受注している業務は、データ入力やデジタル採点、情報収集など。在宅ワーカーが自分のパソコンを使って取り組める業務として、テープ起こしもあります。

テキスト化する音声データは会議や講演などの音声です。会議内での発言などを文字に起こして文書にするという作業で、30分程度のものもあれば4時間に及ぶものもあるとのことです。

そうしたテープ起こしなどの業務連絡は、主にPCメールを活用しています。

<在宅就労支援事業団の事例>

主な業務連絡手段 メール
必須のもの
  • 14インチ以上のモニター
  • Windows7以上のパソコン
  • Word、Excel
  • インターネット回線
音声の長さ 30分〜4時間程度
音声の内容 会議、講演、会話

在宅ワーカーとして登録しているのは、

  1. 常時接続のインターネット回線がある
  2. Windows7以上のパソコンを使っている
  3. ExcelとWordを使える
  4. 14インチ以上のモニターがある

といった要件を満たした方々です。

【参考】
NPO法人 在宅就労支援事業団 公式サイト

テープ起こしで使用されているツールや設備

テープ起こしで必須のものは、インターネット接続環境と日本語入力ができるパソコンです。また、バーチャル工房やまなしや在宅就労支援事業団が業務管理で主に利用している手段がメールであるように、パソコン用メールアドレスとメールソフトを使うスキルも必要になります。

テキストを入力するソフトはWordが一般的。音声再生ソフトについては、Windows Media Playerを使う人もいれば、テープ起こし用に開発された音声再生ソフトを使う人もいるようです。

テープ起こし用再生ソフトの場合、特定の部分をリピート再生したり、イコライザで音を調整して聞きやすくしたりなどができる他、再生や巻き戻し等にショートカットキーを設定することも可能なので他の再生ソフトより効率的に作業を進められます。

音声をより聞き取りやすくするために、イヤホンまたはヘッドホンも用意するとよいでしょう。音質のよいイヤホンやヘッドホンを使えば、録音された声がより分かりやすくなります。

基本的にはこれらのものがあればテープ起こしの作業を進められますが、さらに、プロとしてテープ起こしの業務を担う場合は「フットコントロール」「フットスイッチ」「フットペダル」と呼ばれるものがあると便利でしょう。

フットコントロールは、パソコンに接続して足下に置き、足を使って音声の再生や巻き戻しができる機器です。キーボードから手を離さずに音声をコントロールできるため、使い慣れると効率的なテープ起こしに欠かせないという声も聞かれます。

テープ起こしの業務管理ポイント

テープ起こしの業務管理については、大きな枠組みで言えばデータ入力等の業務管理と大きくは変わらないでしょう。

今回ご紹介したバーチャル工房やまなしと在宅就労支援事業団の例で見れば、発注元になる可能性のある機関や企業、団体等への営業や見積もり、受注、在宅ワーカーへの発注へと進み、必要に応じて技術サポートや業務に関係する質問・相談に対応しています。在宅ワーカーから成果物が上がってきたあとは内容をチェックし、発注元へ納品できる品質にして納品完了、ワーカーへの報酬支払いという形です。

他の在宅ワークの業務と同様、テープ起こしを担うそれぞれのワーカーに適した長さ・内容の作業を割り振ると業務効率がアップするでしょう。

テープ起こしに特有の業務管理としては、音声データのバックアップをとったり、誤字・脱字のチェック、ケバ取りや書き言葉へ修正したりすることなどがあります。また、専門的な内容の会議や講演などの音声の場合は、どのような漢字を使うのか、どういう言葉なのかをきちんと確認しなければなりません。

テープ起こしは「音声をテキスト化する」仕事ですが、実際は音声を巻き戻したり言葉を調べたりなど、さまざまな作業が伴います。音声の質が悪ければ繰り返し聞き直すことも増えるでしょう。

1時間の音声でもきちんとテキストに起こそうとすれば5時間以上かかることもあるため、発注元から受け取った音声の長さに対して、どのくらいの作業時間が必要になるかを計算してから作業を始めるのがポイントです。

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