【合理的配慮好事例第13回】障害者雇用で今すぐ始められる体調管理やストレス軽減ツール


障害をもつ方が安定して働き続けるには、体調管理やストレスの軽減が欠かせません。体調管理の中心は通院・服薬ですが、しっかり睡眠をとったり日々の生活リズムを整えたりすることも非常に重要。不安や悩み事があると不眠になる方も多いため、職場での不安解消や相談しやすい環境作りもポイントです。

合理的配慮好事例解説シリーズ第13回では、従業員の体調管理やストレス軽減のためにチェックシート等を用いている3社の好事例を紹介します。

週間予定表で1週間の業務と困りごとを、タイムリーな相談は連絡帳を活用—新潟ワコール縫製株式会社

大手アパレルメーカー、株式会社ワコールの子会社である新潟ワコール縫製株式会社。スリープ・スポーツ領域の製造や本社からの委託による仕様書作成、サンプル点検、協力工場の製品の検査などを担っています。

同社で導入しているのは、「口頭では理解しにくい」「他の人に相談しにくい」という課題を抱える従業員の相談のしやすさに配慮した「週間予定表」や「連絡帳」です。

「週間予定表」では1週間の業務予定を記入できるようになっており、予定とともに困りごとや質問も記入できます。

<週間予定表の内容>

  • 1週間分の日付・業務内容・行事予定
  • 会社からの連絡
  • 業務内容やその他での困りごと
  • その他話したいこと・質問したいこと

「連絡帳」は、体調や疲れ具合、集中力を選択式で記入できるとともに、困りごとや質問を自由に記入できるもの。相談したいことが出てきたら、その都度書いて提出してもらい、指導者や生活相談員がコメントを記入。それを所属部署の相談員、上司、ジョブコーチ、総務担当、社長へと回覧して本人に返却するという仕組みです。

<連絡帳の内容>

  • 日付
  • 体調(選択式)
  • 疲れ具合(選択式)
  • 集中力(選択式)
  • 業務内容やその他での困りごと
  • その他話したいこと・質問したいこと
  • 指導者、相談員の意見・備考


出典:支援機関の活用や企業内における専門人材の育成等による精神障害者の職場改善好事例集(平成26年度)資料・支援ツール(p.42)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

【参考】
支援機関の活用や企業内における専門人材の育成等による精神障害者の職場改善好事例集(平成26年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
ワコールグループ 公式サイト

従業員の特性に合わせて「頭痛チェックシート」を作成・活用—大和ライフプラス株式会社

大和ライフプラス株式会社は大和ライフネクスト株式会社の特例子会社です。従業員48名中45名が障害者で、コピーサービスやデータ入力、書類の電子化といった業務を担当しています。障害をもつ従業員の正社員雇用を進め、フレックスタイム制度の導入によって勤務しやすい体制を整えてきました。

障害をもつ従業員の健康面でのサポートとして、同社では支援機関が作成した「頭痛チェックシート」や「行動予定表」を活用しています。

「頭痛チェックシート」は、頭痛の度合いを数値化して表にしたもの。「行動予定表」と合わせて活用することで、従業員本人の状態と行動の両面から健康面の課題に取り組みました。

これによって、体調が原因で出勤が不安定だった従業員の出勤が安定していったとのことです。

【参考】
中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集(平成28年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
大和ライフプラス株式会社

服薬や睡眠をチェックシートに記入しセルフモニタリングに—MCSハートフル株式会社

MCSハートフル株式会社は全国でグループホームなどを運営するメディカル・ケアサービス株式会社の特例子会社です。清掃やPCのセットアップ、ホームページ作成、各種印刷などの業務を行っています。

従業員65名中47名が障害をもっており、そのうち28名が勤続3年以上。職場定着にも成功している会社です。

同社で健康管理のために活用されているのは、会社独自のシート。服薬や睡眠時間、業務の内容や状況、職場満足度などを記入できるようになっています。障害特性に応じて、記入欄のカスタマイズもできます。

<チェックシートの内容(一部)>

  • 服薬管理
    • 種類と成分量
    • 各日の朝・昼・夕の服薬チェック欄
    • メモ欄
  • 睡眠
    • 入眠時刻
    • 起床時刻
    • 日中の眠気
  • 日付・自由記述欄・スタッフコメント欄

こうしたチェックシートに記入してくことで、1日の変化だけでなく一定期間の状況も振り返りも可能に。本人にとっても、セルフモニタリングをしやすくなるため、勤務日と休日のスケジュール管理に役立てられるでしょう。

【参考】
中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集(平成28年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
MCSハートフル株式会社

障害者雇用で今すぐ始められる体調管理ノート・チェックシート

今回紹介した3社では、障害をもつ従業員の体調管理やストレス軽減のために独自のフォーマットやチェックシートを活用していました。

疲れ具合や集中力、服薬など一般的な項目を中心に構成されている場合もありますし、「頭痛チェックシート」のように従業員の障害特性に応じて活用されているものもあります。ポイントは、「何を目的として活用するのか」ということです。

<体調管理ノート・チェックシートに取り入れる記入項目(例)>

  • 1週間分の業務内容・行事予定
  • 体調(選択式)
  • 疲れ具合(選択式)
  • 集中力(選択式)
  • 服薬状況(種類と成分量・服薬チェック欄)
  • 睡眠時間(就寝時刻・起床時刻・日中の眠気)
  • 頭痛(選択式)
  • 困りごとや質問の記入欄
  • 支援スタッフ・指導者からの意見・備考記入欄


体調管理について従業員に記録してもらう際は、継続のしやすさやプライバシーの観点から、あくまで業務遂行に関する項目に絞ることが重要です。

体調や疲れ具合、集中力、仕事のミスの量などは、業務内容・量を調整したり、習得にかける時間が不足していないか、モチベーションはどうかといった点を推測したりするのに役立つ項目。服薬状況は、服薬による体調管理を行うことで安定した勤務や職場定着へ結びつけるためのものです。

睡眠時間も、業務中の集中力・判断力・記憶力の低下や気分の落ち込みなどの原因となり得ます。勤務の安定しない従業員や体調不良、ミスが増えた従業員に睡眠不足がないかどうかは常に気をつけて見ておき、課題が見られる場合は継続的に記録をとるとよいでしょう。

もし、あまり問題なく安定して勤務しているなら、体調や疲れ具合といったごく一般的な項目のみ確認すればOK。業務中のミスの増加や欠勤の増加が見られる場合は、

  • 課題があること
  • その課題の解決が必要であること
  • 課題の原因となっている事は何か
  • 課題を解決するために必要なこと
  • モニタリングするべき項目は何か

について本人と相談・合意した上で、記録をつけてもらうとよいでしょう。

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