メモ書きの基本ポイントと速く書くコツ 「メモの取り方が下手」と悩む障害者のために


「何をメモすればいいのか分からない」
「言われたことを全部書こうとして書き切れない」
「メモをとったはずなのに見つからない」

発達障害や双極性障害、統合失調症などがある方の中には、「メモを取るのが苦手」という方が多く見られます。

メモを取るのは意外と難しいもの。うまく取るには、いくつかのポイントがあります。

メモの取り方のポイント4つ

メモを書くのが苦手な方に多く見られる特徴は、「何をメモしたらいいのか分からない」ことです。その結果、何も書けずにメモ用紙が真っ白だったり、全部書こうとして相手の話に追いつけなくなったりします。

うまくメモを取るには、4つのポイントを押さえましょう。

メモの取り方の1つめのポイントは、素早くとること。単語や短めの表現で書くことで、相手が話した通りの文章で書くよりも大きく時間を節約できます。

2つめのポイントは、重要な単語を書くこと。重要な単語とは、主に数字・固有名詞・成果物の名前です。

  • 数字:日付・作る個数・参加人数など
  • 固有名詞:人の名前・会社の名前・部屋の名前・会場の名前・製品の名前など
  • 成果物の名前:作る製品の名前・書類の名前・提供するサービスの名前など

今後の予定をメモする場合は、これらを踏まえて日付・時間・場所・何をするかを必ずメモしましょう。

3つめのポイントは、相手の言ったことを自分も復唱しながらメモをとること。メモを取ることに慣れたら無言で書いても構いません。しかし、まだメモの取り方に自信がないなら、相手の言ったことを復唱してからメモに書きましょう。自分で声に出すことで、相手もきちんとポイントが伝わっているかどうか確認することができます。

4つめのポイントは、よく使う表現の言葉や記号を決めておくこと。メモの取り方に慣れてから使うとよいでしょう。たとえば、以下のような記号や言葉が便利です。

  • 「△△してから○○」は「△△→○○」
  • 「会議室A」は「会A」
  • 「○○さんにメール」は「mail:○○さん」

どのような表現を繰り返し使うかは、実際に何回もメモを書いてみないと分かりません。自分が覚えやすく使いやすい言葉や記号を探してみてください。

メモのフォーマットを用意しよう

メモの取り方のポイントをきちんと押さえるには、ちょっとした工夫が必要です。

工夫例の1つは、フォーマットの作成。その場で「何が重要か」を考えるよりも「こういう場合はこれをメモする」と分かっているほうがラクです。

業務指示メモのフォーマット例

たとえば、日常の業務指示メモなら、次のようなフォーマットはいかがでしょうか。

<業務指示メモのフォーマットに書くこと>

  • メモを書いた日付
  • 指示内容(メモのタイトル):「資料コピー」「請求書作成」などと単語で書く
  • 何をどれだけ:「コピーを10部」「A社・B社・C社の請求書作成」など具体的に書く
  • いつ:業務の締め切り日時を書く
  • どこで:「自席」「印刷室」「会議室A」などと具体的に単語で書く
  • 誰と/誰に:一緒に業務を行う人や教えてもらう人、成果物を提出する相手の名前を書く
  • どうやって/何を使って:「請求書テンプレートAで作成」「メールで提出」「コピー機」など業務に必要な特別な手順や道具類を書く
  • 備考:「左肩留め」「A社請求書作成のあとに一度チェック」など、上記の他に必要な情報を書く

フォーマットを使う場合は、なるべく空欄を作らないことが重要。その場の判断で「これはいいや」と省いてしまうと、重要な情報をメモし忘れる恐れがあるためです。メモを書き終わったら相手に内容を確認してもらいましょう。

会議メモのフォーマット例

会議に出席するなら、会議メモのフォーマットも作りましょう。会議は事前準備も大切。事前準備用のメモと会議中のメモを分けて書くと分かりやすくなるでしょう。

<会議メモのフォーマットに書くこと>

  • メモを書いた日付
  • 会議の内容:メモのタイトル
  • 会議の日時:「2020/09/18」など。時間が確定していれば時間も書く
  • 会議の目的:「プロジェクトAの進捗報告と課題の確認」など目的を書く
  • 会議の場所:「会議室A」など場所の名前を書く
  • 出席者:出席者の名前を書く。人数が多い場合は「各事業部長」「入社1年目社員」などでもOK
  • 準備するもの:「メール添付資料を印刷して持参」「進捗報告資料作成」など会議までに用意すべきものを書く
  • 会議でやること:「タスクA進捗報告」など会議で自分が行うべきことを書く
  • 会議で確認したいこと:「納品を待つ間にやるべきタスクは?」「人員補充は可能か?」など会議で確認したいことを書く

会議メモの場合、メモ帳を左右見開きで使うと事前準備メモと会議中のメモを同時に見られて便利です。左ページに会議事前準備メモを書いておき、右ページに会議で実際に確認できたことや追加されたタスクなどをメモしましょう。

メモ帳の使い方の基本ルールは3つ

メモのフォーマットを用意するだけでなく、メモ帳の使い方にもルールを作りましょう。

メモ帳のルール作りは、「びっしり書きすぎて読みにくい」「せっかくメモした紙をなくしてしまう」「メモ帳を何冊も用意して、どれにメモしたのか分からなくなってしまう」といった事態を避けることが目的です。

<メモ帳の基本ルール3つ>

  • メモは1ページ1枚
  • ページの1番上に日付とタイトルを大きく書く
  • 原則としてメモ帳は1冊だけ持つ

全く空白を作らずにぎっしりとメモを書いていたり、ページのあちらこちらに書き散らしていたりしませんか。そうした書き方だと、必要な時に必要な情報を探すのが、とても難しくなってしまいます。メモを見やすくするには、「1回のメモで使うのは1ページ」と決めてしまいましょう。

メモを探しやすくするために、各ページの1番上にメモを書いた日付とタイトルを大きく書きましょう。

メモのタイトルは、パっと見て分かることが重要。たとえば、

  • 「○○の作成方法」
  • 「○○の提出方法」
  • 「○○を作成」
  • 「○○を提出」
  • 「○○を教わる」
  • 「○○を発注」
  • 「○○にメール」

など、名詞を中心に短く書くのがおすすめです。

メモがバラバラになって行方不明になるのを防ぐには、メモ帳を原則として1冊だけにして、それを常に持ち歩くようにします。1冊にまとまっていれば、「どこいったかな?」と探す手間が省けますし、「どの紙にメモすれば・・・」と悩む必要もありません。持ち歩きやすいサイズのノートを選び「メモは必ずこの1冊に書く」と決めましょう。

メモを「書けない」ならボイスレコーダーやカメラも使って

障害を持つ方の中には、文字を書くことが苦手な方もいます。聞きながら書くことが苦手な場合もありますし、文字を書くこと自体が難しい場合もあります。そうした特性があるなら、ボイスレコーダーを使って録音したり、カメラで写真を撮ったりするのも1つの手段です。

ボイスレコーダーで相手の指示を録音する

声で指示が出される場合、もっとも手軽な方法はボイスレコーダーを使うこと。録音には専用のボイスレコーダーを使ってもいいですし、スマートフォンの録音アプリを使っても構いません。

<専用ボイスレコーダーの特徴>

  • 録音時間が長い
  • 音質が良い
  • 自動で日付や時間が記録される
  • パソコンに音声データを移せば、探すのも便利

<スマートフォンの録音アプリの特徴>

  • 無料または安価なアプリが多い
  • 最長録音時間はアプリによって異なる
  • 遠くの人の声は音質が悪くなる傾向がある
  • 自動で日付や時間が記録される
  • 録音した直後から一覧表で見られる

お店の人に聞いたり試しに使ってみたりして、自分に合ったボイスレコーダー・録音アプリを選んでください。

なお、仕事上必要なものでも録音してはいけない場合もあります。どのような場合に録音できないのかはケースバイケース。録音を開始する前に必ず上司や相手に録音してよいかどうか聞いてください。録音できない状況では、話が終わったあと忘れないうちに自分でレコーダーに吹き込みましょう。

もし録音をうまくスタートできなかった場合は、相手に「すみません、もう一度お願いします」と言うことも大切です。業務上のミスを防ぐためなら、きっと相手ももう一度話してくれるでしょう。

カメラで板書や書類、現場の様子を写真に撮る

目で見るタイプの情報であれば、写真に撮って画像メモとして残しておく方法も有効。会議の板書、壁に貼られた予定表、資料などの書類や見本、現場の様子などのメモに適しています。

会議の板書を撮影するタイミングは、休憩時間か会議終了後がベスト。会議中にシャッターを切る音がすると、周りの人の迷惑になる恐れがあるからです。もし会議中に撮影したい場合は、上司や会議の進行役に人に許可をとりましょう。

業務の手順など流れが重要な情報については、動画に撮ることで細かいところまで記録に残せます。

写真や動画をとる場合、守秘義務のあることやプライバシーに関わりそうなことが映り込んでいないかどうか気をつけてください。他人の所有物や客先のものを撮影する場合は、事前に許可をとりましょう。

【参考】
對馬 陽一郎 著・林 寧哲 監修『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本』翔泳社、2017年

就労移行支援事業所ルミノーゾで行っているメモの練習

「障がい者としごとマガジン」編集部のある就労移行支援事業所ルミノーゾでも、利用される方々のメモスキル向上のため、メモを取る練習や「タスク管理メモ」を使う練習などを行っています。

たとえば業務指示メモを取る練習では、業務指示を録音させてもらった後でメモを取る時間を設けたり、録音しない場合はメモの内容を指示者に確認してもらったりします。また、面談内容のメモを作成したもらったあとでスタッフが内容をチェックし、面談内容のポイントを一緒に確認することもあります。

一方、「タスク管理メモ」ではボードと付箋を使って練習しています。その日のタスクを確認しやすくするためのメモで、付箋を使って未完了タスクと完了タスクを分けることがポイントです。

<タスク管理メモのやり方>

  1. 付箋紙に、その日のタスクを書き出す(1枚に1タスク
  2. タスクを書いた付箋紙を時系列に並べて、ボードの左列に貼る
  3. 上から順番にタスクを行う
  4. 完了したタスクの付箋紙は、ボードの右列に移動させる

タスク管理メモのメリットは、

  • 1枚1タスクなので抱えているタスクの量が見やすい
  • 優先順位に変更があっても、書き直す手間がない(付箋の順番を入れ替えるだけ)
  • 完了したタスクと未完了のタスクが一目瞭然

という点です。

メモの取り方以外にタスク管理でも悩んでいるなら、ぜひタスク管理メモを試してみてください。

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