アビリンピック過去問題|第40回全国(2020)洋裁・縫製


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感染症対策と同時にライブ配信も行われた2020年度の全国アビリンピック。服飾に関係する競技種目である「洋裁」と「縫製」では、例年とほぼ同様の競技課題が出されました。「洋裁」では初出場の方が、「縫製」では出場経験者が好成績を収めています。

2020年度の「洋裁」「縫製」は例年と同様の内容で実施

2020年度の全国アビリンピックにおける競技種目「洋裁」および「縫製」では、例年とほぼ同様の課題で技能が競われました。

「洋裁」では裏無しオーバーブラウスの製作が課され、初出場の方が上位入賞に。「縫製」では、例年の課題であるエプロン製作のうちポケット部分がやや変更されたものの、大会出場経験者が入賞者の半数を占める結果となっています。

それぞれの競技の概要や評価ポイントを見ていきましょう。

「洋裁」の制限時間・評価ポイント

身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能な競技種目「洋裁」では、薄手ウールを使用したテーラーカラーの長袖オーバーブラウスを製作します。

布地は粗断ちされたものを選手が自分で裁断する必要があるとともに芯貼りなどを行い、上着として羽織ってもきれいに見えるよう仕上げなければなりません。

制限時間は、6時間です。今大会では、午前2時間、午後4時間に分けて実施されました。

評価ポイントは

  1. 美しいシルエットに仕上げられているか
  2. 袖や衿がきれいにつけられているか
  3. ポケットは正しい位置につけられているか
  4. ボタンとボタンホールは正しくきれいにつけられているか
  5. 袖口、裾、見返しのまつりが表にひびいていないか
  6. ソフトな仕上がりになっているか

などとなっています。

今大会では金賞の受賞者はなく、銀賞1名、銅賞2名という結果になりました。好成績を収めた方は、競技時間である6時間以内に仕上げられるよう10着分の練習を重ねたとのこと。与えられた時間をどのように使うか、作業の進め方や時間配分の重要性があらためて分かる大会となりました。

「洋裁」の課題概要

競技種目「洋裁」では、オーダーメイド仕立ての裏無しオーバーブラウスを製作します。

当日会場で支給されるもの、製作にあたっての仕様は以下のとおり。布地は粗断ちしただけのものなので、型紙を使って選手自身で裁断する必要があります。

<会場で支給される材料>

材料 内容
型紙 一式
表地 薄手ウール 1.5m
芯地 接着芯 0.8m
接着テープ たて地 1.5m
ミシン糸(200m巻)1個

手縫い糸 1枚

穴糸 1枚

ロック糸 3個

ボタン 2.0cm 3個
肩パット 1組

<会場に用意される設備等>

品名 内容
作業台・丸いす 1台・2脚
本縫いミシン

ベビーロックミシン

1台ずつ
電気スタンド 3台
ボビン

ボビンケース

1組
ミシン針 11号 2本
ハンガー 1本
スチームアイロン 1台
仕上げ用具

(まんじゅう、小馬、そでまん)

一式

<製作上の仕様>

項目 内容
オーバーブラウス全体 裏無し テーラーカラー

長袖 パッチポケット付き

肩、脇、袖下、袖付け、ヘム、見返し奥 ロック始末
衿付け(前身頃、見返し) 縫い代を割る
後ろ衿ぐり 片返し、手まつり
ポケット コバミシン付け
ボタンホール 手かがり
表衿、見返しのゆとり 選手が各自で行う

また、選手が持参するものとして、以下の3つが指定されています。

<選手が持参するもの>

品名 内容
洋裁用具一式 ステッチ定規、しつけ糸、霧吹き等
敷布 1枚
当て布 1枚

練習の際は、これらの材料、用具を用いることを想定しながら製作を行いましょう。ブラウスの具体的な形状や会場で用意される設備の配置等は、アビリンピック公式サイトにある映像やJEEDの過去問題などで確認できます。

「縫製」の制限時間・評価ポイント

競技種目「縫製」は、知的障害をもつ方のみが参加可能な種目です。原則として毎年同じ「エプロン製作」課題が出され、ミシンをかける技術やアイロン作業の技術などが競われます。

ただし、今大会ではポケットに丸みが加わり、前年度の課題よりもより正確なアイロン操作が求められました。

制限時間は、4時間。2020年度大会では午前3時間、午後1時間で実施されました。

評価ポイントは

  1. ミシンをかける際の指先と布の扱い方が適切かどうか
  2. 布のいせ、ギャザー、曲線のクセ取りなどの部分にしっかりとアイロンをかけているか
  3. きれいに仕上がっているか

などです。

競技種目「洋裁」同様、競技中の作業の進め方や時間配分が重要で、時間内での完成を目指したい競技です。今大会は、金賞1名、銀賞1名、銅賞2名という結果になりました。

「縫製」の課題概要

競技種目「縫製」では、裁断済みの材料を用いてポケット2つとフリルがついたエプロンを製作します。支給材料、制作上の仕様、当日会場に用意される設備などは以下のとおりです。

<会場で支給される材料>

材料 内容
表地 綿ツイル 1着分
ミシン糸 1個

<会場に用意される設備等>

品名 内容
作業台 1台
ミシン(職業用自動糸切り) 1台
ボビン 2個
ボビンケース 1個
ミシン針 11号 2本
スチームアイロン 1台
敷布 1枚

<製作上の仕様>

項目 内容
肩ひも 2cmのできあがり幅

三方に端ミシンステッチ

腰ひも 4cmのできあがり幅

三方に端ミシンステッチ

ダーツ縫い 中縫いをする

縫い代は中心側へ倒す

ポケット口 1cm、2cmの三つ折り縫い
ポケット付け 配布される図の位置に付ける

端ミシンは押え金幅0.6cmのダブルステッチ

見返し 見返し布の下側を0.5cm、1cm の三つ折り縫い
肩ひも付け 見返しに挟み付ける
袖ぐりカーブ 1cm折り

袖ぐりから胸に押え金幅0.6cmのステッチ

フリル作り できあがり幅10cm

裾、両端は0.5cmの三つ折り縫い

フリル付け ギャザーを寄せる

身頃の裾につける

付け縫い代の両端はわき縫いで挟み付ける

身頃の裾に押え金幅0.6cmのステッチをかける

1cm、1.5cmの三つ折り縫い

フリル付けの後、肩ひもを挟み込み、脇縫いをする

……

また、選手が持参するものとして、以下のものが指定されています。

<選手が持参するもの>

品名 内容
洋裁用具一式 裁ちばさみ、小ばさみ、目打ち、ものさし、チャコ、ステッチ定規、その他必要な補助具類

毎年ほぼ同じ課題が出題される「縫製」では、大会出場経験をもつ選手のほうが高いスキルを持っている傾向が見られます。これからスキルアップを目指したい方は、過去問題に何度も取り組み、作業の正確さや速さを少しずつ上げていくとよいでしょう。自分が進めやすい作業手順なども、ぜひ検討してみてください。

【参考】
アビリンピック 公式サイト
全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)|JEED

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