2019年度第18回東京アビリンピック開催! 種目・課題と大会結果


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2020年2月1日、18回目となる東京アビリンピック(正式名称「東京障害者技能競技大会」)が小平市にて開催されました。

108名の選手が互いに技能を競い、11名が金賞を受賞。金メダリストたちは2020年11月に愛知で開催される全国アビリンピックに出場予定です。

第18回東京アビリンピック(2019年度)の結果と入賞者

第18回東京アビリンピックの各競技種目で技能を競い、見事金賞に輝いたのは11名の選手。

会場の様子とともに、各賞の受賞者数、種目ごとの金メダリスト、受賞者の多い企業について紹介します。

入賞者決定! 大会結果と会場の様子

第18回東京大会の会場となったのは、昨年度に引き続き小平市にある東京障害者職業能力開発校および職業能力開発総合大学校。西武国分寺線・西武拝島線の小川駅から徒歩5分のところにあります。

体育館で行われた開会式には選手の他に多数の支援者や観覧者が出席し、多くの立ち見が出るほどの盛況ぶり。9時40分頃から競技がスタートしました。

会場では、競技の他に車イスや点字の体験、スタンプラリー、調理パンなどの物品販売もあり、特に物品販売が人気です。

14時半頃からは授賞式が行われ、金賞11名、銀賞11名、銅賞11名、努力賞9名、特別賞2名を発表。努力賞は各種目の成績上位3名以外に、優秀な成績と認められる選手に、特別賞はデモンストレーション競技の上位者に授与されます。

入賞者の氏名が呼ばれると、選手本人だけでなく会場からも驚きと喜びの声があがっていました。

金メダリストは誰? バンダイナムコウィルから5名の受賞者

第18回東京アビリンピックの金メダリストは、以下の方々です。

  • ワード・プロセッサ:山口未愛さん
  • DTP:大堀寛人さん
  • ホームページ:(該当者なし)
  • 表計算:手島拓身さん
  • データベース:小松智和さん
  • オフィスアシスタント:狩野大介さん
  • ビルクリーニング:谷口湧真さん
  • 喫茶サービス:松下奈津希さん
  • 製品パッキング:木下一太郎さん
  • ネイル施術:黒沢伸子さん
  • パソコン操作:原真波さん
  • パソコンデータ入力:渡部雄太さん

金賞・銀賞・銅賞の受賞者が最も多かった企業は、株式会社バンダイナムコウィル(東京都港区)で、金賞1名、銀賞2名、銅賞2名でした。バンダイナムコホールディングスの特例子会社です。

バンダイナムコウィルでは、グループ各社の社内メール、郵便物、宅配便の集荷配送、会議室やゲームセンターの製造、機材のクリーニング、オフィスアシスタント、おもちゃの試作品の造形補助、ゲームのデバック、景品の加工やサンプルの製作、農園支援など、さまざまな分野で従業員が活躍。

2019年4月1日時点で知的障害者68名、精神障害者11名、身体障害者6名が働き、台東区や江東区、栃木県などにも事業所を持っています。

【参考】
株式会社バンダイナムコウィル
第18回 東京アビリンピックの入賞者について|東京都

第18回東京アビリンピックの種目と競技課題

2019年度の東京大会は14種目で競技が行われ、うち2種目は順位を決めないデモンストレーションとして実施されました。

H3 競技種目と参加人数

第18回東京大会でもっとも参加者が多い種目は、喫茶サービスの17名。他に、毎年参加者が多い種目の人数は以下のようになりました。

  • ワード・プロセッサ:8名
  • DTP:9名
  • 表計算:10名
  • オフィスアシスタント:16名
  • ビルクリーニング:16名
  • パソコンデータ入力:11名

一方、最も参加人数の少ない種目は、ネイル施術、パソコン操作、建築CADで、それぞれ2名でした。

2019年度の競技課題

アビリンピックの競技課題内容については、事前課題や課題概要が大会前に公式ページに公開されます。また、大会後に当日課題が公開される種目もあります。以下、それぞれの課題の概要を見ていきましょう。

ワード・プロセッサ

課題概要のみの公開です。身体・知的・精神障害者が参加できます。制限時間は90分です。

事前課題はありません。大会当日に提示された見本の文書と同じ文書を、マイクロソフト オフィスのワードを用いて作成する競技です。作表・書簡文作成・文章入力の3つの課題があり、これらを90分以内に完成させます。

文章の作成・編集の速さ、正確さ、見本通りに仕上げる技能を競う種目。課題の指示に従った上でどれくらい見本通りに作成できているかがポイントで、印刷プレビューなどで確認しながら作業を進める必要があります。

ホームページ

事前課題があり、当日課題は概要のみの公開です。身体・知的・精神障害者が参加できます。当日の制限時間は90分です。

与えられたテーマと構成に基づき、閲覧しやすく魅力的なホームページを作成する競技です。DreamWeaverやホームページビルダーのようなホームページ作成専用ソフトの使用は認められていません。また、JavaScript、PHP、SQLは使用OKですが、Flashは使用不可です。

今回の事前課題は、選手が所属する企業で、人生100年時代に向けた「IOT・5G」プロジェクトとして“企業と社会課題の解決”をテーマとしたサイト制作を行うという設定。

メインテーマは『高齢者や障害者を含むすべての人が社会とつながり、安心して暮らせる社会の実現に向けたソリューションの創出を目指す』ことです。

事前に作成するホームページの構成として、以下の3ページを含む必要があります。

  • 「トップページ」:国の施策や全国各地で取り組んでいる「IOTと5G」のトピックスを紹介する
  • 「IOT・5Gで健康と福祉」:”高齢者の単独世帯化がどのように解決できるのか?”、“どんな介護需給のギャップが解決できるのか”の2つの項目を最低限設けて、画像で見やすく閲覧・選択できるよう配置する
  • 「作品紹介」:競技者がどのような考えで、この作品(ホームページ)を作成したか説明する

当日課題は、広報・啓発を強化する、具体的な先進事例を紹介する、スマートフォンのページをサンプルとして出す、検索フォームや問い合わせフォームを設置する、などの課題が出されます。

採点は、大会当日に作成されたものを対象として

  • 技術力 50点(アクセシビリティを含む)
  • 芸術性 30点
  • 独創性 20点

で行われます。事前に用意された素材等の良し悪しは採点の対象にはなりません。

表計算

事前課題はなく、課題概要のみの公開で、身体・知的・精神障害者が参加できます。制限時間は85分です。今後、全国大会の競技時間である75分まで段階的に短縮される予定です。また、例年5つの課題が出されていましたが、時間が短縮された関係で2019年度の課題数は4つになりました。

マイクロソフト オフィスのエクセルを使う技術を競う競技で、大会当日に与えられたデータ(提供データ)をもとに、データの抽出・集計や書式設定、データ処理、グラフ作成などを行います。

喫茶サービス

事前課題はありません。身体・知的・精神障害者が参加できます。制限時間は、選手1名あたり10分です。毎年ほぼ同じ課題が出されます。

冬の日曜日、午前10時(開店直後)のカジュアルスタイルの「カフェ」での接客という設定です。友人同士のお客様2名(うち1名は車イス利用者)が来店するので、客席への案内誘導、おしぼりとお水の提供、注文品の提供、退店時の見送り、テーブルのクリーンナップなどを行います。

評価のポイントは、選手の身だしなみや言葉遣い、所作の丁寧さなどです。お客様にくつろいでもらいたいという気持ちが表れたサービスであるほど評価が高くなります。

データベース

事前課題はなく、課題概要のみの公開です。身体・知的・精神障害者が参加できます。制限時間は90分です。

マイクロソフトのアクセスを用いて新規データベースを作成する競技です。仕様に従い、テーブルやクエリ、画面レイアウトなど、利用者が使いやすいように設計を行います。

テーブル間のリレーションシップの作成、情報検索・追加・更新ができるフォームの作成、一覧作成を行うクエリの作成、システム全体を統括するフォームの作成技術などが競われます。

評価ポイントは、登録されたデータがきちんとあるか、アクセスの機能を正しく使っているか、画面が見やすく操作がしやすいか、処理が正確かなどです。特に可視性や操作性については、操作マニュアルがなくても利用者が操作できるかどうかが重視されます。

オフィスアシスタント

事前課題はありません。身体・知的・精神障害者が参加できます。課題は2つあります。

1つめの課題は、A3資料の二つ折り、送付状に基づく資料のピッキング、宛名ラベル貼り、封入・封かんの発送準備作業。制限時間は40分です。

2つめの課題は、職員名簿に照らし、郵便物(長3封筒)を社内の部署別に仕分けます。制限時間は10分です。

ビルクリーニング

事前課題はありませんが、大会後に競技課題の詳細が公開されており、2つの課題があります。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加できます。毎年同じ課題が出されています。

1つめの課題は、カーペット床の清掃で、制限時間は7分です。4×4mの作業面積で、カーペット床に50ml程度のシュレッダーで裁断した紙がまかれます。2つめの課題は、弾性床と机上の清掃で、制限時間は10分です。

しっかり作業準備ができたか、作業の手順は適切か、指示に従って作業をしているか、入室と退室の挨拶や確認を怠っていないかが評価のポイント。作業時間の計測もあるので、より早く正確に作業ができると高評価になります。

パソコン操作

事前課題はなく、概要のみの公開です。視覚障害者が参加できます。制限時間は60分です。

パソコンのモニターに表示されている文字を音声化する画面読み上げソフトや、画像を拡大表示する拡大ソフトを使いながら、エクセルを用いてデータ分析を行う競技です。

テキストファイルにある指示に従って速く正確にデータ分析を行っているか、体裁の整った表やグラフを作成できるかなどが評価ポイントとなります。

パソコンデータ入力

事前課題はなく、競技概要のみの公開です。知的障害者が参加できます。制限時間は90分です。

パソコンデータ入力は、パソコンにデータを入力する速さと正確さを競う競技で、3つの課題があります。

1つめの課題は、表計算ソフトを使ってデータを入力する課題。アンケート用紙をもとに入力していくものですが、プルダウンメニューから選択するという操作が昨年の課題よりも増えました。また、入力枚数も増え、50枚になりました。

2つめは、表計算ソフトで請求書などの帳票等を作成する課題で、昨年から変更はありません。

3つめはワープロソフトを用いて文章を修正する課題。昨年までは文章を入力する課題でしたが、今年は文章の間違っているところを探し、紙で提示された正しい文章に修正する課題に変更となりました。

DTP

事前課題はなく、課題概要のみの公開です。身体・知的・精神障害者が参加できます。競技時間は105分で、120分の時点で打ち切られます。

AdobeのPhotoshop CCとIllustrator CCを使用し、テーマに沿ってB4判1枚のポスターを作成します。DTPの基本的技術、企画力、創造力、データ処理能力を競う種目です。

評価ポイントは、印刷に適した写真素材の加工や切り抜き、要素に応じた文字素材の設定、組み版、テーマに応じたパーツやカット・ロゴの制作技術、効果的な配色やレイアウトの他、仕上がったデータを印刷会社に入稿する時のルール(ネイティブ入稿またはPDF入稿)が実践できているかどうかなどです。

フラワーアレンジメント(デモンストレーション)

事前課題はありません。身体・知的・精神障害者が参加できます。制限時間は70分です(後片付けも含む)。ハサミは選手が使い慣れたものを持ち込めます。

フラワーアレンジメントの技術と創造力を競う競技で、今大会では「バレンタイン」をテーマに、ラウンド型(円形)の花束をスパイラルテクニックで作成する課題が出されました。仕上がり寸法は、高さ35〜40cm以内、幅35〜40cmです。

評価ポイントは、製作条件を満たしていること、形や花の配置が美しいこと、テーマにあった花選びとデザイン性などです。

製品パッキング

事前課題はありません。身体・知的・精神障害者が参加できます。課題は2つあり、競技開始前に練習時間があります。

製品パッキングは、化粧箱の身と蓋を組み立てる競技です。1つめの課題は化粧箱(蓋)の組み立て、2つめの課題は化粧箱(身)の組み立てです。それぞれ、制限時間は20分です。

評価ポイントは、組み立て後の化粧箱の出来映えです。きちんと折り目を折り、しわや汚れがないように仕上げましょう。時間内で組み立てられた数量も評価対象です(それぞれ最大20個)。

ネイル施術

事前課題はありませんが、ネイル施術のモデルを選手が連れていく必要があります。その際、モデルの左手は事前にネイルケアおよびファイリングを終了させておきますが、右手は1週間ケアをしていない状態でなければいけません。

競技で使用するエタノールやコットン、ケア用のお湯や水、その他必要な道具類は選手が持参します。ただし、競技会場にメモやデッサン画、参考書等の資料の持ち込みは一切できません。

課題は2つあります。1つめの課題はネイルケアで、制限時間は20分。もし制限時間内に終えられない場合は、2つめの課題の中で終了させます(減点あり)。

2つめの課題は、マット赤を用いたカラーリングです。右手の5本にはポリッシュを、左手の5本にはジェルを施します。制限時間は50分です。

評価ポイントは、ケアやカラーリングの仕上がりと、衛生的な施術であったかどうか、器具・材料を正しく使用しているかどうかなどです。モデルに出血や傷がある場合、減点対象となります。

建築CAD(デモンストレーション)

事前課題はなく、概要のみの公開です。身体・知的・精神障害者が参加できます。競技時間は90分です。

大会当日に配られるスケッチ、構造図、建具表、建築設備リストを読図し、CADシステムを用いて指定された図面をスケッチと同じレイアウトで作成します。図面が完成したら、A3サイズに印刷し、提出します。

競技会場に選手が持参するものは、スケール(ミリメートル用)と筆記用具、電卓で、これ以外の物は持ち込み不可です。

障害者が技能を競う東京アビリンピック

ここであらためてアビリンピックについて説明しましょう。

アビリンピックとは、障害者が仕事や訓練で磨き上げた技能を競い合う大会です。開催規模によって3種類あり、東京で開催される地方アビリンピックが「東京アビリンピック」と呼ばれています。

アビリンピックの意味と開催規模の種類

「アビリンピック」という名称は、「アビリティ」(能力)と「オリンピック」を合わせた言葉。正式名称である「障害者技能競技大会」の愛称として用いられています。

アビリンピックは開催規模によって以下の3種類に分けられます。

  • 世界の選手が参加する「国際アビリンピック」(大体4年に1度開催)
  • 日本全国の都道府県から選手が参加する「全国アビリンピック」(原則として毎年)
  • 各都道府県別に開催される「地方アビリンピック」(毎年)

種目の数や種類は時代に合わせて少しずつ変化していて、国際大会では40種目以上、全国大会では平均20種目前後、地方大会では10種目前後となる場合が多いようです。

次の全国大会は2020年11月14日〜15日に愛知県で開催。国際大会は2021年5月26日〜30日にモスクワで開催予定です。

「東京アビリンピック」は毎年2月に開催

地方アビリンピックの東京大会である「東京アビリンピック」は例年2月上旬〜中旬に開催されており、2019年度は2020年2月1日の開催でした。

ただ、地方大会の開催時期は都道府県ごとに異なり、同じ都道府県でも今後変更される可能性があります。参加や観覧を考えている場合は、早めに公式ページをチェックしましょう。

過去4年分の東京アビリンピックの種目数と参加人数は、下表の通りです。

東京アビリンピックの種目数と参加者数

年度 種目数 参加者数
2016年度 9種目 109名
2017年度 9種目 112名
2018年度 11種 96名
2019年度 14種目 108名

東京アビリンピックの参加資格と申込み方法(2019年度)

東京アビリンピックに出場したい場合は、参加資格を見たした上で募集期間内に申込みをしましょう。

アビリンピックに参加資格は、以下の通り。

  • 手帳や判定書を所持している身体障害者、知的障害者、または精神障害者である
  • 2019年4月1日時点で15歳以上の者である
  • 東京都内に居住しているか、東京都内の事業所等に勤務しているか、東京都内の障害者職業能力開発施設や特別支援学校等に在籍している

2019年度の募集期間は2019年10月28日〜11月20日(必着)でした。

申込み方法は、以下の手順で行います。

  1. 所定の「参加申込書・同意書」を独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の東京支部から入手する(または公式サイトからダウンロードする)
  2. 「参加申込書・同意書」に必要事項を記入する
  3. 東京支部まで郵送で提出する

【参考】
第18回東京障害者技能競技大会(東京アビリンピック)|TOKYOはたらくネット

アビリンピック過去問題で技能をアップ!

アビリンピックに出場してみたいという方はもちろん、大会出場はしないけど仕事でスキルアップしたいと考えている方にも、アビリンピックの競技課題は役立ちます。

過去3年分の全国大会課題は機構ウェブサイトで閲覧可能

アビリンピックの競技課題は、課題内容の具体的な指示や注意事項が公開されていることも多く、評価基準も明記されています。そのため、どこを重点的に取り組めばいいか、どのくらいの時間でできればいいのかなど、スキルアップの目標として設定しやすい内容になっています。

特に全国アビリンピックは種目数も多く、情報が充実。過去3年分の競技課題が公開されていますから、少しずつ取り組んでいくと確実にスキルアップできるでしょう。

全国アビリンピックの過去問題は、以下のページからアクセスできます。

【参考】
過去3年の技能競技課題|機構

東京アビリンピックの過去問題

東京アビリンピックの過去大会で出された競技課題については、前年度の課題が参考として公式ページに掲載されています。

【参考】今年度の競技課題等の公開について|機構・東京支部

また、当メディアでも課題概要を順次掲載していきますので、ぜひスキルアップにお役立てください。

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