2020/02/07
アビリンピックで全国の障害者が技能を競う|参加資格・種目と結果
就労する障害者が技能を競い合うアビリンピック。制限時間内に課題を高いクオリティで達成すべく奮闘する姿に、会場を訪れる人々の胸も熱くなります。
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、パラリンピック終了後の開催となるアビリンピックにも、ぜひご声援をお願いします。
アビリンピックとは
アビリンピックは1972年から開催されている障害者技能競技大会のこと。特に、岡本太郎による大会シンボルでも知られる全国障害者技能競技大会(「全国アビリンピック」)が有名です。
アビリンピックの概要と趣旨
アビリンピックでは障害のある人が、普段職場などで培ってきた技能を競います。全国の障害者が技能を競う「全国障害者技能競技大会」は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」)の主催で、1972年に第1回大会が開かれました。
当初は毎年千葉県での開催でしたが、2002年からは他県でも開催。北海道から沖縄まで、全国から選手が参加しており、障害のある人たちがどのような技能を持っているのかを間近で見ることができます。
障害者の職業能力向上に対する意欲を高めるだけでなく、企業や障害のない人に理解を深めてもらい、障害者の雇用を進めてもらうきっかけづくりにも貢献している大会です。
アビリンピックの種類と開催地域・種目
アビリンピックには3種類の大会があります。世界規模で開催される「国際アビリンピック」、日本の全国大会である「全国アビリンピック」、そして全国アビリンピックの予選を兼ねた都道府県別の「地方アビリンピック」です。
世界大会「国際アビリンピック」
アビリンピックの世界大会は「国際アビリンピック」。第1回大会は日本で開催され、その後世界各地で大体4年に1度開催されています。
直近の第9回大会はフランスのボルドーで開催されました。31の国と地域から合計1,300名、日本からは31名の選手が参加。2名が金メダル、3名が銀メダル、5名が銅メダルを獲得しました。
国際アビリンピックの種目は全部で48種目あります。
全国大会「全国アビリンピック」
日本の全国大会である「全国アビリンピック」は、これまで千葉、神奈川、山形、宮城、熊本、沖縄、愛知など、日本各地で毎年1回開催されています(国際アビリンピックがある年は開催なし)。後に述べる地方大会を勝ち上がってきた人々が全国の都道府県代表選手と技能を競う大会です。
イベント会場などで3日間にわたって開催され、種目の内容や数は、産業・技術の変化や障害者雇用・就業動向などを考慮して決定。平均的には22種目程度です。
全国アビリンピック会場では、障害者の就労について紹介し理解を深めてもらう障害者ワークフェアも同時開催しています。
地方大会「地方アビリンピック」
全国大会の予選を兼ねた都道府県別のアビリンピックは「地方アビリンピック」と呼ばれます。個別の名称は都道府県によって少しずつ異なり、東京の場合は「東京アビリンピック」、神奈川の場合は「アビリンピック神奈川」です。
都道府県内の学校などで1〜2日間で開催されることが多く、種目の数や内容は各都道府県が独自に決めています。10種目〜15種目程度で開催されることが多いようです。
全国アビリンピックの選手になるには?
アビリンピックは障害者雇用と深い関わりがあるため、手帳や判定書を所持する身体障害者、知的障害者、精神障害者がアビリンピック出場対象者です。
加えて、以下の条件も満たさなければなりません。
15歳以上である
直近で開催された5回の全国大会で金メダルを取っていない(第39回の場合は、第34回〜第38回で金メダルをとっていない)
直近で開催された5回の全国大会で、参加を希望する技能競技種目に3大会連続して参加していない
全国大会の選手に選ばれるには、第一に以上の条件を満たした上で地方アビリンピックの同じ競技種目で勝ち上がり、金メダルを取る(金賞を受賞する)必要があります。そして都道府県知事の推薦を正式に受け、全国大会会長による検討を経て代表に選出されなければなりません。
2018年度全国アビリンピックの概要と結果
過去に開催された全国アビリンピックはどのようなものだったのでしょうか。
過去最多の参加人数となった2018年度の第38回全国アビリンピックは沖縄県で開催。身体障害者105名、知的障害者207名、精神障害者70名の合計382名が参加し、全22種目で技能を競いました。代表的な種目には、DTP、表計算、フラワーアレンジメント、喫茶サービスなどがあります。
金メダリストは、民間事業所、介護施設、就労継続支援事業所などで働く人々。東京都は銀メダル3つ、銅メダル1つを獲得し、神奈川県は金メダル1つ、銀メダル1つ、銅メダル3つ、努力賞1つを獲得しました。
全国の入賞者一覧は、以下のリンクから見ることができます。
【参考】「第38回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」の入賞者決定!!|機構
2019年度のアビリンピックの概要と結果
2019年度の全国アビリンピックは愛知県で開催されました。SKE48も参加する華やかな幕開けとなり、競技の様子がダイジェスト動画で残されています。障害をもつ人々が非常に高い技能をもって就労していることがよく分かる動画です。2019年度の地方アビリンピックは、開催済みの地域とこれから開催する地域があります。
【参考】あいち技能五輪・アビリンピック2019-202 公式サイト
第39回全国アビリンピック
第39回全国アビリンピックは、2019年11月15日〜17日の3日間、愛知県国際展示場で開催されました。種目数は23、参加選手の合計数は2018年度と同じ382名です。開会式が行われた15日には、SKE48と県立松蔭高校和太鼓部によるコラボレーションも実現。賑やかな大会となりました。
一例ですが、第39回大会の課題と制限時間は以下のようなものでした。
一部の種目では、一定以上の成績を修めると技能証の交付を受けられる参加特典も設けられています。
東京都と神奈川県の成績は、東京都が銀メダル2つ、銅メダル1つ、努力賞1つ、神奈川県は金メダル1つ、銀メダル2つ、銅メダル2つ。全国の入賞者一覧は以下のURLから見ることができます。
【参考】
「天皇陛下御即位記念 第39回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」の入賞者を決定しました|厚生労働省
地方アビリンピック
2019年度の地方アビリンピックのうち、神奈川県と東京都のアビリンピックをご紹介しましょう。
アビリンピック神奈川
2019年度の神奈川県の地方大会「第17回神奈川県障害者技能競技大会(アビリンピック神奈川)」は、神奈川県障害者職業能力開発校で開催。全12種目の競技が行われました。
第17回アビリンピック神奈川の課題や制限時間は以下のようになっています。表を見ると、ワード・プロセッサ以外は全国大会と同じような内容で競技を行っていることが分かります。
【参考】
第17回神奈川県障害者技能競技大会〜アビリンピック神奈川 2019〜|機構
東京アビリンピック
2019年度大会となる「第18回東京障害者技能競技大会(東京アビリンピック)」は、2020年2月1日に開催されます。場所は、小平市の東京障害者職業能力開発校および職業能力開発総合大学校。以下の14種目で競技が行われます。
第18回東京アビリンピックの参加申込みはすでに締め切っていますが、課題を見て「できそう」と感じた障害者の方は第19回大会に挑戦してみてはいかがでしょうか。
【参考】第18回東京障害者技能競技大会(東京アビリンピック)|機構
2020年度以降のアビリンピック
2020年度および2021年度の全国アビリンピック開催予定が公表されています。
2020年度は、2019年度に引き続き愛知県国際展示場で11月13日〜15日の開催。2021年度は、東京都(会場未定)で12月17日〜20日に開催される予定です。
2020年度は東京2020の盛り上がりと共に愛知県に集う選手たちにもご声援を。2021年度は東京都、神奈川県で働く障害者も参加しやすい大会ですので、近郊にお住まいの方はぜひ間近で彼らの活躍をご覧ください。
