精神障害者保険福祉手帳(精神障害者手帳)を持つメリット一覧、東京都での具体例


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精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)には、税金の減免や控除、交通機関・施設等での割引、障害者雇用枠での就職、そして様々な福祉サービスの利用など、多くのメリットがあります。手帳の申請・更新に必要な手続きの煩わしさはありますが、メリットはそれよりも圧倒的に多く、経済的にも大きな助けになってくれるでしょう。

今回は、精神障害者保健福祉手帳を持つメリット・デメリットと、東京都で受けられる具体的なサービスをご紹介します。

精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)とは

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患などが原因で日常生活や社会生活に何らかの障害を感じている人に交付される、障害者手帳の1種です。1級・2級・3級という3つの等級があり、障害が大きいほど数字が小さくなります。

【精神障害者保健福祉手帳の等級】

等級 概要
1級
  • 精神障害である
  • 日常生活に必要なことができない
2級
  • 精神障害である
  • 日常生活で著しい制限を受けている、または日常生活に著しい制限を加える必要がある
3級
  • 精神障害である
  • 日常生活もしくは社会生活で制限を受けている、または日常生活もしくは社会生活に制限を加える必要がある

精神障害者保健福祉手帳の対象となる疾患は、以下のものです。

【精神障害者保健福祉手帳の対象疾患】

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、双極性障害など)
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)
  • その他、ストレス関連障害等

 

手帳交付・更新にあたっての審査では、症状や普段の行動について細かく確認したうえで、障害の程度が総合的に判断されます。

精神障害者保健福祉手帳のメリット一覧

精神障害者保健福祉手帳を持つメリットは、大きく分けて次のものがあります。

【精神障害者保健福祉手帳を持つメリット一覧】

分野 具体例
税金 減額・免除や控除を受けられる
就職 障害者雇用枠での求人応募・就職ができる
公共料金・通信費 水道料金やNHK受診料、携帯電話料金が割引される
交通機関 電車・バス・タクシーなどで運賃が割引される
公的施設・民間施設 入場料・利用料・チケット料金などが割引される
公的支援制度 医療費負担の軽減や、障害福祉サービスなどを受けられる(手帳は必須ではない)

 

上の表からわかるように、精神障害者保健福祉手帳を持つメリットの多くは、経済的な負担の軽減につながるものとなっています。次項から順番に見ていきましょう。

【メリット1】税金の減額・免除や控除

障害者保健福祉手帳の税金に関するメリットのまとめ図。詳しくは、以下本文。

精神障害者保健福祉手帳を持つことの第1のメリットは、さまざまな税における障害者控除です。たとえば、所得税では27万円または40万円、相続税では85歳に達するまでの年数1年につき10万円または20万円が控除されます。

 

【所得税・相続税の障害者控除】※1

障害者の場合 特別障害者の場合
所得税 27万円 40万円
相続税 85歳までの1年につき10万円 85歳までの1年につき20万円

 

ここでいう「特別障害者」とは、次のいずれかに当てはまる人です。

 

【精神障害のある人における特別障害者】

  • 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人
  • 精神障害者保健福祉手帳1級を持っている人
  • 精神に障害のある満65歳以上の人で、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人」に準ずるものとして、市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人

 

精神障害者保健福祉手帳の所持者で、特別障害者の要件に当てはまらない人は、基本的には「障害者」の控除額が適用されると考えてよいでしょう。

ほかに、贈与税の非課税制度や、「親亡き後」に備える心身障害者扶養共済制度(しょうがい共済)の給付金の非課税制度もあります。非課税となる対象金額は下表の通りです。

【贈与税の非課税】※2

特定障害者の場合 特別障害者である特定障害者の場合

対象金額

3,000万円まで 6,000万円まで

 

【贈与税非課税における特定障害者とは】

  • 特別障害者である人
  • 特別障害者以外の障害者で、精神に障害がある人

 

【心身障害者扶養共済制度(しょうがい共済)給付金の非課税】※2

対象金額

脱退一時金を除く給付金

 

さらに、住民税についても一定の控除があります。具体的な内容は区市町村によって異なります。

(関連コラム)
障害者扶養共済制度とは?「親亡き後」を支える公的保険の申し込み条件・メリット・デメリット

 

なお、所得税の障害者控除には、「同居特別障害者」という区分もあります。特別障害者に該当する人が親族の誰かと同居している場合に当てはまります。この区分では、特別障害者にあたる人を扶養している人の所得税について、75万円の控除を受けることが可能です。

相続税の障害者控除に関しては、障害者の家族も受けられるメリットがあります。障害者控除額が障害者本人の相続税額より大きくて引き切れない控除額が発生する場合、障害者の扶養義務者の相続税額について、引き切れない控除額分を差し引くという仕組みがあるからです。

 

※1参考:

※2 参考:障害者と税|国税庁

【メリット2】障害者雇用枠での求人応募・就職

障害があることを開示して働きたい人の場合、障害者手帳を持っていると障害者雇用枠での就労が可能です。

障害者雇用枠で働くことには、一般枠で働くよりも障害特性に応じた配慮を受けやすく、企業側にとっても障害者の法定雇用率達成につながる等の利点があります。

【障害者雇用枠における配慮の例】

  • 通院や受診に考慮した勤務体制をとる
  • 本人の特性・能力に応じた配置や業務の割り当てを行う
  • 1時間ごとに休憩時間を設ける

 

誰にどのような配慮が必要かはケースバイケースなので、社内または会社が委託する外部の相談窓口に相談し、話し合いながら決めていきましょう。

障害者雇用促進法などで定められた合理的配慮については、以下の関連コラムで解説しています。

(関連コラム)
合理的配慮の要請は「わがまま」? 民間企業で義務化する前に知りたい合理的配慮の具体例

【メリット3】公共料金・NHK受信料・携帯電話料金の割引

障害者手帳を持っていると、公共料金やNHK受信料、携帯電話料金の割引を受けることができます。

 

【NHK受信料の減免制度】※

区分 精神障害者での対象者
全額免除
  • 市町村民税非課税の精神障害者
  • 社会福祉事業を行う施設または事業所に入所している人
  • 生活保護法に規定する扶助を受けている人
半額免除
  • 精神障害者保健福祉手帳1級を持っている人

 

光熱水費の減免に関しては、電気代・ガス代の障害者割引はありません。水道代の割引は、都道府県または市町村によって扱いが異なります。

 

携帯電話料金の障害者割引の代表例は、docomo、SoftBank、au各社の割引制度です。

【携帯電話料金の障害者割引(例)】

携帯電話会社 割引制度の名称
docomo ハーティ割引
SoftBank ハートフレンド割引
au スマイルハート割引

 

いずれも障害者手帳の所持者を対象としており、割引制度の申込みをすることで、携帯電話の基本使用料や各種サービスの月額使用料が割引されます。

※ 参考:受信料免除の対象となる方について|NHK 受信料の窓口

【メリット4】交通機関・公的施設・民間施設での割引

障害者保健福祉手帳の交通機関・公的施設・民間施設での割引に関するメリットのまとめ図。詳しくは、以下本文。

電車やバス、タクシーの運賃、各種施設の入場料・利用料にも障害者割引制度があります。

東京都の場合、都内在住の精神障害者保健福祉手帳を持っている人には「東京都精神障害者都営交通乗車証」が交付されます。これを利用することで、都営の電車・バスに無料で乗車することが可能です。

民営バスの運賃は企業によって異なりますが、東京都内は半額となるケースが多く見られます。タクシーの場合も事業者によって異なります。障害者割引を実施しているタクシーであれば、運賃料金が1割引になります。

民営の電車についても多くの鉄道会社で割引制度を設けています。ただし、手帳の種類・等級によって扱いが異なります。単独で乗車するケースでは、営業キロメートルが100キロメートルを超える区間で運賃が半額になる例が大半です。詳しくは、以下の関連コラムをご覧ください。

(関連コラム)
【情報更新】JRと東京・神奈川の地下鉄・私鉄での精神障害者割引

公的施設については、障害者手帳所持者と付き添いの人の入場料や公的施設の駐車場利用料金が免除されるケースが多く見られます。東京都の場合、都立の公園や美術館、体育館、スポーツセンターなどで入場料が免除されています。

民間施設でも、美術館・博物館・映画館・テーマパークといった多様な施設で障害者割引の適用を受けることが可能です。

割引額や付き添いの人への適用など、詳細については各施設のホームページで確認できることが多くなりました。お出かけの際は、事前に障害者割引の有無と対象者をチェックするとよいでしょう。

【メリット5】医療費負担軽減・障害福祉サービスの利用

精神障害者保健福祉手帳の医療費負担軽減および障害福祉サービスの利用に関するメリットのまとめ図。詳しくは、以下本文

そして、精神障害者保健福祉手帳を持つ最大のメリットが、公的な支援サービスを受けやすくなることです。障害者手帳の所持が必須ではないものもありますが、持っていれば審査がスムーズになり、選択肢の幅も広がります。

精神障害者保健福祉手帳を持つ人に役立つ公的支援サービスの代表例は、医療費負担軽減のための制度である「自立支援医療制度」と、生活や就労を支援する障害福祉サービスです。

自立医療支援制度とは、心身の障害がある人の治療費について、その自己負担額を軽減する制度。指定病院・指定薬局での受診・処方が必要となりますが、自己負担上限額が原則1割となり、長期的な治療や悪化の予防につなげられます。

(関連コラム)
自立支援医療制度とは?法律とメリット、対象疾患・新規申請・更新方法

他方、精神障害者保健福祉手帳を持っている人は、障害福祉サービスを受けられる可能性もあります。障害福祉サービスには、大きく分けて「介護給付」と「訓練等給付」があります。介護給付は日常生活に関する支援、訓練等給付は生活能力や就労に必要な能力等の向上に向けた支援です。

【精神障害者保健福祉手帳の所持者が受けられる介護給付】

サービスの名称 概要
居宅介護(ホームヘルプ) 自宅での入浴・排泄・食事の介護等
重度訪問介護 自宅での入浴・排泄・食事の介護と外出時の移動支援や入院時の支援等
行動援護 危険を回避するために必要な支援、外出支援
生活介護 昼間の入浴・排泄・食事の介護等、創作活動又は生産活動の機会の提供
重度障害者等包括支援 居宅介護等、複数の包括的なサービスの実施
施設入所支援 夜間や休日に入所する施設で、入浴・排泄・食事の介護等

 

【精神障害者保健福祉手帳の所持者が受けられる訓練等給付】

サービスの名称 概要
自立訓練(生活訓練) 一定期間、生活能力の維持・向上のために必要な支援・訓練
宿泊型自立訓練 宿泊させながら日常生活能力向上のための支援、生活等に関する相談・助言
就労移行支援 一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
就労継続支援A型 雇用して就労の機会を提供、能力等の向上に必要な訓練
就労継続支援B型 就労する機会の提供、能力等の向上に必要な訓練
就労定着支援 就労に伴う生活面の課題に対応するための支援
自立生活援助 一人暮らしに必要な理解力・生活力を補うため、定期的な訪問や随時の対応
共同生活援助(グループホーム) 夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談・入浴・排泄・食事の介助・日常生活上の援助

 

障害福祉サービスの利用には所得に応じた利用料がかかります。とはいえ、利用料の自己負担額には上限が設定されており、最大でも月額37,200円で支援を受けることが可能です。生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯なら利用者負担はありません。

ただ、いずれも障害の度合いや居住場所等の要件、お願いできることとできないことなどがあります。詳しくは、お住まいの区市町村の担当窓口にお問い合わせください。

就労に関する支援は、以下の関連コラムでも解説しています。

(関連コラム)

精神障害者保健福祉手帳のデメリット

精神障害者保健福祉手帳を所持することのデメリットは、基本的にはありません。

「手帳を所持していると障害者差別を受けるのではないか」と恐れる方もいますが、手帳の提示は自分の意思で決められますから、手帳を持っていても割引や優遇措置を受けずにいることも可能です。

ただ、それ以外のデメリットとして考えられるのは、以下のような交付にかかる手続きなどです。書類の作成や取得、窓口での受け渡しが必要な場面が発生し、その労力が負担になるかもしれません。

【デメリット1】医師に手帳交付申請のための診断書を作成してもらう必要がある

障害年金を受給していない人が手帳の交付申請を行う場合、医師の診断書が必要になります。これが1つ目のデメリットです。

交付の審査で適切な判定が行われるには、医師に自分の状況をきちんと分かってもらわなければなりません。現在通院していない人は、新たに主治医を探す労力もかかります。

診断書作成には1か月ほど必要でしょうし、申請後の審査でも2か月ほどかかります。今すぐ手帳が手に入るわけではありません。また、こうした一連の過程で、自分が精神疾患によって抱えている障害を自分で把握しなければなりません。

症状が強く出ている時期では、大きな負担となることが予想されます。

【デメリット2】2年に1度の更新手続きがある

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年。自動更新されないため、2年ごとに更新手続きが必要です。

更新手続きには、再び医師の診断書等を提出しなければなりません。期限ぎりぎりまで手続きを行わないでいると、元の手帳の期限が切れても新しい手帳が届かないという、失効期間が発生してしまいます。

また、症状が軽くなった場合は、更新手続きの審査で「非該当」となり、手帳を返還しなければならない場合もあります。

こうした「更新できるか、却下されるか」といった心配が心理的負担になるケースが見られます。

 精精神疾患などで生活・仕事に困りごとがある人は精神障害者保健福祉手帳の申請検討を

精神障害者保健福祉手帳は必ず所持しなければいけないものではありません。たとえ1級に該当する障害があったとしても、手帳を持ちたくなければ申請しなくても構いませんし、取得した後に不要だと感じたら、いつでも返還できます。

しかし、手帳を持つことで社会参加が容易になったり、生活が楽になったりします。「他の人に助けてもらえれば、もっと生きやすくなる」と感じるなら、手帳は心強い味方になってくれるでしょう。

精神疾患の初診日から半年以上経っても生活や仕事で支障を感じているなら、精神科医に手帳交付申請について相談してみるのも、1つの選択肢です。

このコラムの内容をルミノーゾチャンネルの動画でも解説しています。お金の心配に対応したお話となっていますので、併せてご活用ください。

【参考】
精神障害者保健福祉手帳|東京都福祉局

【画像・イラスト素材提供】
yukinosirokuma / PIXTA(ピクスタ)
kabu/ PIXTA(ピクスタ)
keko-ka/ PIXTA(ピクスタ)
K.Nakano/ PIXTA(ピクスタ)

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