2026/06/24
精神障害者手帳の対象となる病名・障害と申請・更新の手続き
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現在、150万人以上の人が所持する精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)。手帳を所持していると、税金の控除や様々な障害福祉サービスなどが受けられます。手帳の申請から発行まで数か月を要するため、余裕をもった手続きが必要です。
精神障害者手帳の対象となる病名・障害のほか、新規申請・更新申請・等級変更など、主な手続きと必要書類をご紹介します。

もくじ
精神障害者手帳とは?等級・人数・療育手帳との違い

はじめに、精神障害者手帳とは何か、身体障害者手帳や療育手帳との違いなどを確認していきましょう。
精神障害者手帳とは?正式名称・等級と2024年度の人数
精神障害者手帳とは、一定基準を上回る精神障害や発達障害がある人に対して交付される障害者手帳です。正式名称を「精神障害者保健福祉手帳」といいます。1級・2級・3級の3種類があり、数字が小さくなるほど障害の状態が重くなります。
精神障害者手帳を持つ目的は、生活や仕事において様々なサポートを受けやすくすることです。例えば、以下のような優遇措置・サポートを受けられます。
【精神障害者手帳を持っている人に対する優遇措置・サポート】
- 公的な障害福祉サービスを受けやすくなる
- 税金の控除を受けられる
- 電車やバスの料金が割引されることがある
- NHK受診料や携帯電話料金の割引を受けられる
- 障害者雇用枠の求人に応募できる
- 公的施設・美術館・博物館・映画館などの料金が割引されることがある
- 職場定着について就労定着支援やジョブコーチによる支援などを受けやすくなる
厚生労働省の「令和6(2024)年度衛星行政報告例の概況」によれば、精神障害者手帳を交付した人数は、2024年度で154万7,433人となっています。等級別の人数は、下表の通りです。
【精神障害者手帳の交付を受けた人数(2024年度)】※
| 等級 | 人数 | 前年からの増減 |
| 1級 | 13万9,406人 | 2,555人 増加 |
| 2級 | 89万7,292人 | 6万531人 増加 |
| 3級 | 51万735人 | 4万6,254人 増加 |
なお、2020年10月からは、障害者手帳のカード化が進んでいます。紙よりもコンパクトになり、生活の様々な場面で活用しやすくなりました。
※「精神保健福祉関係」、『令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況』(厚生労働省)、p.2より作成
精神障害者手帳と身体障害者手帳・療育手帳(愛の手帳)の違い
障害者手帳には、精神障害者手帳のほかに身体障害者手帳と療育手帳(愛の手帳)があります。
身体障害者手帳は、名称の通り、身体障害がある人に交付される障害者手帳です。障害のある部位や程度によって細かい区分があり、1級から7級まであります。
療育手帳(愛の手帳)は、知的障害がある人に交付される障害者手帳です。多くの人は、18歳未満のうちに児童相談所などを通じて受け取ります。知能指数および日常生活・社会生活に必要な支援の程度、身体障害の状態などをもとに判定される点が特徴です。
療育手帳の等級は、発行する自治体によってやや異なります。基本的には、「重度」「重度以外」の2つの大きな分類をもとに4つの等級で定められます。下表は、東京都と神奈川県の例です。
【療育手帳の等級(東京都)】
| 等級 | 障害の程度 | 知能指数 |
生活での支援 |
| 1度 | 最重度 | おおむね19以下 | 生活全般で常に個別の援助が必要 |
| 2度 | 重度 | おおむね20〜34 | 社会生活で個別の援助が必要 |
| 3度 | 中度 | おおむね35〜49 | サポートがあれば社会生活が可能 |
| 4度 | 軽度 | おおむね50〜75 | 簡単な社会生活のルールに従って行動可 |
【療育手帳の等級(神奈川県)】
| 等級 | 障害の程度 | 知能指数 | 身体障害の状態・その他 |
| A1 | 最重度 | おおむね20以下 | — |
| おおむね21〜35 | 身体障害1級・2級・3級のどれかに該当 | ||
| A2 | 重度 | おおむね21〜35 | 身体障害1級・2級・3級に非該当 |
| おおむね36〜50 | 身体障害1級・2級・3級のどれかに該当 | ||
| B1 | 中度 | おおむね36〜50 | 身体障害1級・2級・3級に非該当 |
| B2 | 軽度 | おおむね51〜75 | 自閉症の診断書あり
児童相談所または県立総合療育相談センターの長による認定あり |
知的障害と精神障害・発達障害の両方がある人は、原則として療育手帳と精神障害手帳の両方を持つことができます。
ただ、18歳未満で療育手帳を取得した人の場合、精神障害者手帳を追加で取得する例は多くありません。もともと療育手帳を持っていて、成人になってから精神障害の状態となった場合は、精神障害者手帳を取得するケースもあります。
反対に、精神障害者手帳を取得した人が、その後の検査で知的障害もあると判定された場合には、追加で療育手帳を取得することがあります。子ども時代に知的障害があることを見逃されていたケースです。
2つ以上の障害者手帳を交付する具体的な基準は、各担当窓口にご確認ください。
精神障害者手帳の対象となる病名・障害と審査基準
精神障害者手帳の交付を受けられるのは、対象となる病名や障害の状態に当てはまる人です。対象となる疾患や障害、基本的な認定基準を見ていきましょう。
精神障害者手帳の対象疾患・障害の状態
精神障害者手帳の対象となる疾患・障害は、以下のようになっています。
【精神障害者手帳の対象疾患・障害】
- 統合失調症
- うつ病、躁うつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(ASD、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)など)
- そのほかの精神疾患(ストレス関連障害など)
注意が必要なのは、上記の疾患・障害があるということだけでなく、その期間が長く続いていることも交付条件となっていることです。「長期間にわたって日常生活や社会生活に制約がある」というものであり、初診日から6か月以上が経過していなければなりません。
精神障害者手帳の基本的な認定基準
交付条件について、もう少し細かく見ていきましょう。精神障害者手帳の等級の判定は、申請の際に提出する診断書などをもとに行われます。自治体によって細かな基準は異なりますが、大枠は以下のようなものです。
【精神障害者手帳の等級別の判定基準】※
| 等級 |
判定基準 |
| 1級 | 精神障害であって、日常生活の用の弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
| 2級 | 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
| 3級 | 精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受ける程度のもの。または、日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの。 |
精神障害者手帳の等級の判定基準についての詳細は、以下の関連コラムで解説しています。疾患・障害別の基準をご紹介していますので、併せてご覧ください。
(関連コラム)
精神障害者保健福祉手帳と障害年金の等級判定基準
精神障害者手帳の申請方法・必要書類・有効期限

精神障害者手帳の新規申請には、申請書のほかに疾患・障害の状態がわかる診断書と本人の写真、マイナンバーを確認できる書類などが必要です。精神障害のある本人が手続きできない場合は、代理人による申請も可能です。それぞれの手続きの概要をご紹介します。
新規申請の手続きと必要書類(本人による手続き)
精神障害者手帳の新規申請は、現在住んでいる区市町村の担当窓口で行います。所定の様式の申請書と診断書が必要ですので、まずは窓口に問い合わせましょう。手続きに関する具体的な案内と書類を受け取れます。
新規申請での必要書類は、以下のものです。
【精神障害者手帳 新規申請の必要書類】
| 書類 | 条件・注意事項 |
| 障害者手帳申請書 |
|
| 診断書 |
|
| 本人の写真 |
|
| マイナンバー確認書類 (いずれか1つ) |
|
| 本人の身元確認書類 (いずれか1つまたは2つ) |
|
自治体によっては、申請書類の提出を郵送で受け付けています。郵送する場合は、マイナンバー確認書類と身元確認書類のコピーを送付しましょう。
なお、自立支援医療制度(精神通院)も新たに利用したい場合は、手帳の申請と一緒に申請することができます。詳しくは、自治体の窓口でご確認ください。
自立支援医療制度の詳細は、以下の関連コラムで解説しています。
(関連コラム)
自立支援医療制度とは?法律とメリット、対象疾患・新規申請・更新方法
代理人による申請の手続きと必要書類
本人が申請手続きをできない場合は、代理人が申請することもできます。代理人による申請では、代理権が与えられていることを確認できる書類と、代理人の身元確認書類が必要となります。
【代理人による申請での必要書類】
- 障害者手帳申請書
- 診断書(または年金証書などのコピー)
- 本人の写真
- 本人のマイナンバー確認書類のコピー
- 代理権の確認書類
- 代理人の身元確認書類
代理権の確認書類と代理人の身元確認書類とは、具体的には以下のものです。
【代理権・代理人に関する書類】
| 書類 | 条件・注意事項 |
| 代理権の確認書類 |
|
| 代理人の身元確認書類 |
|
なお、法定代理人とは以下の人を指します。
【法定代理人とは】
| 本人の年齢 | 法定代理人 |
| 18歳未満 |
|
| 18歳以上 |
|
法定代理人以外の代理人は、全て「任意代理人」です。任意代理人が申請するケースで本人の障害の状態などで代理権の付与自体が難しい場合は、申請書等に記載するマイナンバーを空欄のまま申請できることもあります。詳しい手続きについては、区市町村の担当窓口にご確認ください。
精神障害者手帳の有効期限
精神障害者手帳の有効期限は、申請受理日から2年間です。より具体的には、「2年後の月末まで」となっています。交付日からの年数ではないため、ご注意ください。
精神障害者手帳の申請から発行までの期間と注意事項
精神障害者手帳は、申請してもすぐに受け取れるわけではありません。病気や障害の状態などの審査・確認があるため、2〜3か月ほどかかるとされています。また、審査で「非該当」とされれば、精神障害者手帳は交付されません。
精神障害者手帳は、申請からどのくらいで届く?
精神障害者手帳は、申請してから受け取りまで2〜3か月ほどかかります。
東京都の場合、紙の障害者手帳では申請から約2か月、カード形式の手帳では約2か月半かかるとされています。
自治体によっては、様々な事情から4か月程度かかるケースもあるようです。申請内容について医療機関に確認するケースなど、審査が長引く場合は、想定より多くの時間がかかるかもしれません。
障害者手帳が必要となる時期が明確な場合は、早めに手続きを開始することが大切です。
審査に合格したのに届かないのはなぜ?

申請から3か月以上が経過しても手帳が届かないケースとしては、以下のパターンが考えられます。
【手帳が届かないケース】
- 審査により、「非該当」となった(手帳は交付されない)
- 交付の手続きは進んでいるが、時間がかかっている
- 交付の手続きでトラブルが発生している
- そもそも手帳は窓口での受け取りが必要で、郵送されない
申請書などの審査の結果、障害者手帳の交付対象に該当しない(非該当)と判断された場合は、「不承認通知書」が届きます。反対に、障害者手帳の交付が決まった場合は「交付決定のお知らせ」などが届きます。
不承認通知書が届いていないにもかかわらず、3か月経っても何も通知がないのであれば、手続きが遅れていたり、何らかのトラブルが発生していたりするかもしれません。区市町村の担当窓口に問い合わせてみましょう。
問い合わせ先や交付までにかかる期間の案内は、「〇〇(区市町村名) 障害者手帳 届かない」などで検索すると見つけやすくなります。
なお、障害者手帳を郵送で受け取れるかどうかは、自治体によって異なります。「窓口でしか受け取れない」という自治体も多くあります。郵送で受け取れる自治体でも、事前に郵送希望であることを伝えなければなりません。
問い合わせの際は、
- 精神障害者手帳の交付決定のお知らせが届いていること
- 通常より精神障害者手帳の交付が遅れている可能性があること
- 郵送(または窓口)で受け取りたいこと
などを伝え、今後の流れについて確認するとよいでしょう。
精神障害者手帳の更新・紛失・引っ越しの際の手続き

精神障害者手帳を受け取ったあとも、有効期限が切れる前や手帳を紛失したとき、引っ越しで住所が変わったときなどには、手続きが必要です。それぞれのケースについて解説します。
精神障害者手帳の更新期間と手続き、必要書類

精神障害者手帳の有効期限は、申請受理日から2年間。有効期限を迎える前に、更新の手続きが必要となります。更新申請が可能な期間は、有効期限の3か月前からです。
東京都の場合、更新申請期間が始まる日の1週間前に、LINEやSMS(ショートメッセージサービス)から通知するサービスを実施しています。ほかの自治体では、ハガキや書類の郵送などで知らせるケースも見られますし、通知自体を行っていない所もあるようです。
手帳の更新手続きは、自治体からの通知がなくても可能です。有効期限の3か月前になったら、担当窓口で所定の様式(申請書や診断書など)を受け取りましょう。
精神障害者手帳の更新申請に必要な書類は、新規申請とほぼ同様です。新規申請に必要な書類と現在所持している障害者手帳のコピーを提出しましょう。
【更新申請に必要な書類】
- 障害者手帳申請書
- 診断書(または年金証書などのコピー)
- 本人の写真
- マイナンバーを確認できる書類
- 本人の身元確認書類
- 精神障害者手帳のコピー
更新申請を代理人が行う場合も、新規申請と同様に、代理権が与えられたことを確認できる書類と代理人の身元確認書類が必要です。
ここで気をつけるべきポイントがあります。更新の審査では、等級が自動で引き継がれるわけではないことです。診断書などをもとに改めて審査が行われます。そのため、交付までの期間も、新規申請と同様に2〜3か月かかります。
「新しい手帳が届かないのに、手帳の有効期限が切れてしまった」という空白期間が生じないよう、更新可能期間に入ったらすぐに手続きを開始しましょう。
精神障害者手帳を更新できないケース
更新申請では改めて審査が行われます。障害の状態が改善している場合は、精神障害者手帳の非該当と判定される可能性もあります。非該当の場合は、手帳が交付されません。
非該当や等級の変更など、審査結果に納得できない場合は「不服申立て」をすることが可能です。まずは不承認通知書などに記載されている窓口へ問い合わせてみてください。
なお、不服申立てによって再審査を請求することはできますが、審査結果が必ず「該当」になるという保証はありません。再審査でも非該当となった場合、やはり手帳の交付は受けられません。
精神障害者手帳を紛失・汚損・破損した場合の再発行手続き
精神障害者手帳を紛失したり、破れてしまったり、ひどく汚れてしまったときは、手帳の再交付申請が可能です。
再交付申請に必要な書類は、「再交付申請書」と現在持っている精神障害者手帳(紛失の場合を除く)です。現在の手帳と引き換えに、新しい手帳を受け取ることになります。
引っ越しで他の区市町村・県外の住所になったときの手続き
引っ越しで住所が変わった場合も、手続きが必要です。引っ越し先の区市町村の窓口で行いましょう。
同じ区市町村内であれば、手続きは比較的簡単です。
- 申請書
- マイナンバー確認書類
- 身元確認書類
- 現在持っている精神障害者手帳の原本
を窓口に提出してください。
他方、別の区市町村や都道府県外から引っ越してきた場合は、本人の写真も必要です。
なお、具体的な必要書類は自治体によってやや異なります。引っ越し先となる自治体の窓口へ事前に問い合わせてみてください。
精神障害者手帳の等級変更・返還の手続き

精神障害者手帳では、更新申請以外のタイミングでも、障害の等級変更申請ができます。また、手帳を所持するメリットを感じない場合などには、自主的に手帳を返還することも可能です。
更新前に障害の等級を変更したいとき
更新申請以外のタイミングでの等級変更には、等級変更申請が必要です。申請を受けると、自治体側は提出された書類などをもとに改めて審査を行います。
等級変更申請に必要な書類は、新規申請・更新申請の場合とほぼ同じです。現在持っている障害者手帳のコピーも提出しましょう。
等級の変更が認められた場合の有効期限は、「変更決定の日から2年後の月末まで」です。
精神障害の状態がなくなったとき、手帳を返還したいとき
精神障害者手帳を持つ必要がなくなったときは、区市町村の担当窓口で返還手続きを行います。
必要な書類は、
- 返還にかかる申請書(返還届・返還申請書など)
- 現在所持している精神障害者手帳
などです。
申請書の様式は自治体によって異なりますので、ほかの手続き同様、事前に担当窓口に連絡しましょう。
申請に関する様々な期間の指定に気をつけよう

精神障害者手帳の受け取りには、申請の受理日から2〜3か月かかります。申請に必要な診断書の作成日には、「初診日から6か月目以降」「申請日の3か月以内」という条件もあります。さらに、手帳の有効期間は「2年間」、更新手続きは「有効期限の3か月前から」。精神障害者手帳に関する手続きでは、こうした期間を意識しなければなりません。
「うっかり手続きを忘れてしまった」
「手帳がいつ届くのかわからない」
「診断書を取るタイミングがわからない」
といったストレスを軽減するためにも、手続き開始日と提出締め切り日を決めて、カレンダーにメモしておくとよいでしょう。
【参考】
【画像・イラスト素材提供】
yukinosirokuma/ PIXTA(ピクスタ)
kabu / PIXTA(ピクスタ)
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