2026/04/29
ジョブコーチになるには?種類と業務内容、養成研修受講の要件・費用
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障害者雇用では、障害のある従業員が働き続けられるように様々な調整が行われます。そうした現場で活躍する専門職のひとつが、ジョブコーチです。ジョブコーチになるには、障害者職業総合センターや地域障害者職業センターなどが実施する「職場適応援助者養成研修」を受講し、全カリキュラムを修了しなければなりません。
ジョブコーチに関する基本情報や役割、養成研修を受講するための要件などについてご紹介します。

もくじ
ジョブコーチとは?定義と法的根拠、主な業務内容

はじめに、ジョブコーチとは何か、求められる役割や支援内容を確認していきましょう。
職場適応援助者(ジョブコーチ)の定義と法律
ジョブコーチは、正式には「職場適応援助者」という名称です。法律や法律を根拠とする講座、助成金などでは、この名称が登場します。
ジョブコーチについて定めている法律は、障害者雇用促進法です。例えば、以下のような条文があります。
| 障害者雇用促進法20条3号 |
| 第24条の障害者職業カウンセラー及び職場適応援助者(身体障害者、知的障害者、精神障害者その他厚生労働省令で定める障害者(以下「知的障害者等」という。)が職場に適応することを容易にするための援助を行う者をいう。以下同じ。)の養成及び研修を行うこと。 |
障害者雇用促進法20条は、障害者職業総合センターの業務内容を定めた部分です。ここに、職場適応援助者とは「身体障害者、知的障害者、精神障害者その他厚生労働省令で定める障害者(中略)が職場に適応することを容易にするための援助を行う者」と明記されています。
障害者雇用の現場では、様々な要因により“働きにくさ”が発生します。本人の障害特性に起因することもあれば、職場環境や指示の出し方、通勤の負担などが原因となることもあるでしょう。そうした困りごとが発生した際に、「甘えるな」「気合いで頑張れ」と言っても解決しません。障害特性をしっかり理解したうえで、適切な対処法や工夫を講じる必要があります。
ジョブコーチは、職業リハビリテーションの理論・手法に代表される専門的なスキルをもって計画的に職場適応を促す支援を行う専門職です。障害のある従業員が働き続けるための合理的配慮の提供・職場環境調整において、重要な役割を果たす存在なのです。
ジョブコーチ支援の対象者・支援内容
ジョブコーチが支援する対象者は、障害者雇用促進法20条3号にあるように、主に障害者手帳を所持する労働者や求職者です。ただし、手帳の有無だけで決まるものではなく、手帳を所持していない場合でも、状況に応じて障害者本人と事業主の同意があればジョブコーチ支援を行います。
ジョブコーチの業務内容は、大きく分けて支援計画の策定と職場での支援の2つです。
支援計画は、標準的な支援期間を2〜4か月を想定したもの。障害者本人の状況によっては、より長い期間を見据えて計画するケースもあります。対象障害者や事業主のニーズを把握して具体的な課題改善に向けた取り組みを行う「集中支援期」や、必要な支援を継続しながらも事業所が支援の主体となれるように取り組む「移行支援期」などを考慮して作成されます。
ジョブコーチが現場で行う支援は、対象障害者に対する支援と事業主に対する支援、そして対象障害者の家族に対する支援の3種類です。例えば、下表のような支援を行います。
【ジョブコーチの業務内容の例】
| 支援対象 | 施策例 |
| 対象障害者 |
|
| 事業主 |
|
| 対象障害者の家族 |
|
ジョブコーチの役割や支援内容、助成金については、以下の関連コラムでも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
(関連コラム)
- 障害者雇用におけるジョブコーチとは? 役割・導入方法・受けられる助成金
- 【ジョブコーチ編】NS(ナチュラルサポート)とは? メリット・形成のポイント・注意点
ジョブコーチと就労定着支援・ジョブサポーターとの違い

障害のある従業員の職場定着支援においては、ジョブコーチ以外に「就労定着支援」やジョブサポーターといった名称を聞くこともあるでしょう。障害特性の理解と特性に応じた支援という大きな方向性は似ていますが、いずれもジョブコーチとは異なるものです。
ジョブコーチと就労定着支援の違い
ジョブコーチと就労定着支援の違いは、根拠となる法律や対象者、利用のための申請方法などにあります。
【ジョブコーチと就労定着支援の違い】
| ジョブコーチ | 就労定着支援 | |
| 法律 | 障害者雇用促進法 | 障害者総合支援法 |
| 支援を行う主体 | 地域障害者職業センターや社会福祉法人、障害者を雇用する事業所などに在籍するジョブコーチ | 就労定着支援事業所に在籍する職員 |
| 支援対象者 | 障害のある求職者や既に雇用されて働く労働者 | 以下の障害福祉サービスを利用して一般就労した障害者
|
| 支援の要件 | 雇用事業主が社会保険に加入し、労働基準法・労働安全衛生法に規定されている安全衛生などの作業条件が整備されている など |
|
| 支援期間 | 1〜8か月(標準期間は2〜4か月) | 最大3年間 |
| 利用申請 | 管轄のハローワークまたは地域障害者職業センターに連絡する | 対象障害者側が自治体の窓口へ申請し、「障害福祉サービス受給者証」をもらう |
就労定着支援は、生活介護や自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を利用して就職した障害者が支援対象となる障害福祉サービス。そのため、特別支援学校を卒業してそのまま就職した人や、ハローワークの紹介からそのまま就職した人は、支援対象とはなりません。これらのケースで外部支援機関による現場での支援が必要な場合は、ジョブコーチの利用を申請することになります。
ジョブコーチとジョブサポーターの違い
ジョブコーチとジョブサポーターの違いは、その専門性や法律による規定の有無です。
ジョブコーチは、法律に定めがある専門職であり、ジョブコーチになるには専用の養成研修を受講・修了しなければなりません。また、「職場適応援助者」「ジョブコーチ」という名称も全国で共通して用いられる名称です。
他方、ジョブサポーターは、企業や自治体によって様々な役割を期待されるポジションであり、名称にもバリエーションが見られます。例えば、千葉県船橋市と神奈川県横浜市、厚生労働省では、それぞれ以下のようになっています。
【ジョブサポーターの役割の例】
| 組織 | ジョブサポーターの名称 | 特徴 |
| 千葉県船橋市 | 障害者就労支援ジョブサポーター*1 |
|
| 神奈川県横浜市 | ジョブサポーター(障害者雇用事務員)*2 |
|
| 厚生労働省 | 精神・発達障害者しごとサポーター*3 |
|
全体の傾向を見ると、
- ジョブコーチほどの専門性を要求されるものではない
- 現場での支援について理解と主体的な協力が求められる
- 比較的短時間の研修・講習に参加することで名乗ることができる
- 具体的な役割や支援内容は、組織によって異なる
といった特徴があります。
【参考】
*1 令和7年度障害者就労支援ジョブサポーター養成研修を開催します|千葉県船橋市
*2 【総務局】会計年度任用職員月額職(ジョブサポーター(障害者雇用事務員))登録制度について【令和8年度】|神奈川県横浜市
*3 精神・発達障害者しごとサポーター|厚生労働省
ジョブコーチはどこにいる?3種類の働き方

ジョブコーチには3種類の働き方があります。1つ目は公的機関である地域障害者職業センターの職員として働く「配置型ジョブコーチ」、2つ目は障害者就労支援を行う社会福祉法人などの職員として働く「訪問型ジョブコーチ」、そして3つ目は障害者を雇用する企業の社員として働く「企業在籍型ジョブコーチ」です。
配置型ジョブコーチとは
配置型ジョブコーチとは、地域障害者職業センターに雇用されて働くジョブコーチです。そのため、配置型ジョブコーチになるには、まず地域障害者職業センターの採用試験に合格しなければなりません。
配置型ジョブコーチは、長期間の研修などを経て現場の支援にあたり、就職等が特に困難な障害者への支援を重点的に行っています。また、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携して支援することもあり、各ジョブコーチへの助言・援助などを実施します。
配置型ジョブコーチは、その専門性の高さが特徴です。
訪問型ジョブコーチとは
訪問型ジョブコーチとは、障害者就労支援を行う社会福祉法人などに雇用されて働くジョブコーチです。訪問型ジョブコーチになるには、JEEDや認定を受けた民間の研修機関が実施する養成研修を修了し、相当程度の経験と能力を持っていなければなりません。
訪問型ジョブコーチは、障害者雇用を進める事業所からの求めに応じ、職場を訪問して支援を行います。複数の事業所でそれぞれ支援を実施するため、より多角的な視点から適切な施策を検討することができます。
ただ、一定期間支援したあとは、支援の主体を事業所の担当者に移行させなければなりません。訪問型ジョブコーチによる支援には、“終わり”があるということです。そのため、「スムーズに手を離していく」ことの難しさがあります。
企業在籍型ジョブコーチとは
企業在籍型ジョブコーチとは、障害者を雇用する企業の社員として働くジョブコーチです。JEEDや認定を受けた民間研修機関が実施する養成研修を修了することで、企業在籍型ジョブコーチになれます。
企業在籍型ジョブコーチは、所属企業における障害者雇用に関して、現場での支援を行います。自社の事業や業務内容、現場の特徴などを普段からよく知っているため、現場の方針と対象障害者の状況に合った迅速な支援を実施しやすいでしょう。
また、ジョブコーチが常に自社にいますので、継続的な支援も可能となります。
ジョブコーチ養成研修での資格取得方法

ジョブコーチになるには、専用の養成研修を修了しなければなりません。この養成研修が一般向けに実施されているのは、訪問型ジョブコーチと企業在籍型ジョブコーチです。配置型ジョブコーチの場合は、地域障害者職業センターへの就職が必須であり、就職後に組織内で研修を受けることになります。
今回は、多くの人にとって現実的な道となる訪問型ジョブコーチと企業在籍型ジョブコーチになるための資格取得方法をご紹介します。
ジョブコーチ養成研修の受講要件・費用・申し込み方法
訪問型あるいは企業在籍型のジョブコーチになるには、「職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修」を受講し、全カリキュラムを修了させる必要があります。
養成研修は1年に8回ほど実施されており、都合の合う時期の研修に申し込むことが可能です。
申し込みから修了までのプロセスは訪問型と企業在籍型で多くの点が共通しています。ただ、受講要件と申請書類に若干の違いが見られます。
【訪問型ジョブコーチ養成研修の受講要件】※以下4つのいずれかに該当する
|
満たすべき要件 |
|
| 1 | 以下の条件を全て満たす人
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| 2 | 以下の条件を全て満たす人
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| 3 | 以下の条件を全て満たす人
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| 4 | 以下の条件を全て満たす人
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【企業在籍型ジョブコーチ養成研修の受講要件】※以下2つのいずれかに該当する
|
満たすべき要件 |
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| 1 | 以下の条件を全て満たす人
|
| 2 | 以下の条件を全て満たす人
|
なお、本来は養成研修受講の要件に「障害者の就労支援に関する基礎的研修」を修了していることも含まれますが、法改正からの経過措置として、この要件は当面適用されないことになっています。
申請方法に関する違いは、提出する申請書の種類です。
【訪問型・企業在籍型の申請書類】
| 項目 | 訪問型 | 企業在籍型 |
| 提出する申請書 |
|
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申請書は、期ごとに指定の書式が異なります。必ず地域障害者職業センターの公式ページから所定のExcelファイルをダウンロードし、必要事項を記入しましょう。
また、2026年度における受講の申請方法は、メール申請のみです。必要書類を電子ファイルで揃え、指定の件名で送らなければなりません。2026年度では「職場適応援助者養成研修受講申請書の送付について」という件名が指定されています。「誰から送付するか」「どこに送付するか」といった点にも注意しましょう。個人で申し込むことができない点には、特に注意が必要です。
【申請方法と受講費用(共通)】※2026年度の場合
| ポイント | |
| メール件名 | 「職場適応援助者養成研修受講申請書の送付について」 |
| 申請期間 | 地域障害者職業センターの公式ページで毎期確認 |
| 申請者 | 所属する事業所の長から送付 |
| メール送付先 | 所属する部署がある都道府県の地域障害者職業センター(本所)宛てに送付
(メールアドレスは各地域障害者職業センターの職場適応援助者養成研修に関する公式ページに記載) |
| 受講費用 | 無料 |
申請が完了すると、申請受付期間終了後に受講の可否が確認され、研修初日約4週間前に事業所の長宛てに受講可否の通知が行われます。
受講可能となったあと、全てのカリキュラムを履修すれば、修了証書が交付されます。
ジョブコーチ養成研修の主な内容
ジョブコーチ養成研修は、「集合研修」と「実技研修」の2つで構成されています。集合研修・実技研修の概要は、下表の通りです。
【ジョブコーチ養成研修の概要】
| 集合研修 | 実技研修 | |
| 開催場所 | オンラインまたは幕張/大阪 | 各地域障害者職業センター・地元の企業 |
| 受講期間 | 4日間 | 4日間(集合研修受講後に受講可能) |
| 研修内容 |
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集合研修・実技研修の両方を修了させることが、ジョブコーチ資格取得の条件です。
なお、実技研修は1回40名ほどの少人数受講となります。人数をオーバーした場合は、「受講の優先順位」の基準に従って選定されます。最も優先度が高いのは、助成金を活用したジョブコーチ支援を予定しており、支援対象障害者が具体的に決まっている人です。訪問型ジョブコーチ養成研修においては、これに加えて受講申請時点で障害者の就労支援にかかる業務経験が通算1年以上あると、より優先されやすくなります。
ジョブコーチは障害者雇用好事例やトライアル雇用・チャレンジ雇用などで活躍
ョブコーチは、障害者が働く現場で専門的な支援を行う重要なポジションです。支援対象となる障害者本人への直接的な支援だけでなく、本人の同僚や上司が障害特性を理解し、連携しながら共に働けるよう、助言・提案をしながら職場環境を改善することも仕事です。
こうした役割を果たすジョブコーチは、障害者雇用の好事例や推進制度でも活躍しています。活躍事例を見ることで、ジョブコーチとしての働き方や業務内容を、よりイメージしやすくなるでしょう。具体例を以下の関連コラムでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
(関連コラム)
- 障害者雇用・職場定着のポイントは?「令和7年度障害者雇用優良事業所」厚生労働大臣賞受賞企業の取り組み事例【前編】
- 障害者雇用促進へ!障害者トライアル雇用・チャレンジ雇用とは?
【参考】
【画像・イラスト素材提供】
Bongkarn Thanyakij / PIXTA(ピクスタ)
kabu / PIXTA(ピクスタ)






