2026/01/07
障害者雇用・職場定着のポイントは?「令和7年度障害者雇用優良事業所」厚生労働大臣賞受賞企業の取り組み事例【前編】
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2025年9月9日、東京都の丸ビルホールにて「令和7年度障害者雇用優良事業所等表彰」の表彰式が開催されました。「障害者雇用優良事業所」として厚生労働大臣賞を受賞したのは、7社です。
その中から、今回は産業廃棄物収集運搬業のクリーンスペース株式会社、金融業の株式会社徳島大正銀行、小売業の株式会社ナルス、繊維製床敷物製造業の株式会社小野ダスキンの4社における障害者雇用の取り組みを紹介します。

もくじ
地元の障害者施設とも連携するクリーンスペース株式会社
京都府のクリーンスペース株式会社(以下、クリーンスペース)は、産業廃棄物収集運搬業を営む企業。ペットボトルの再資源化処理などで障害者雇用に取り組むとともに、京都府内の20以上の障害者施設へ業務の一部を委託し、就労機会を創出しています。
クリーンスペースにおける障害者雇用の取り組みは、2006年から始まりました。もともとレントゲンフィルムの梱包作業などを福祉施設などへ依頼してきましたが、2006年に知的障害者を雇用して軽作業の担当者としたことをきっかけに、障害者ができる職務範囲の模索が始まりました。
有識者への相談から策定した方針は、「誰でも出来て・危険でなく・納期に迫られず・伸び伸びと出来る仕事」。これに当てはまる業務が、ペットボトルのリサイクル作業でした。
業務では、ペットボトルの荷受け・ラベルはがし・手選別などを行いますが、圧縮梱包など人間の力だけでは困難な作業については機械も使用します。機械は、障害のある従業員でも使いやすいように工夫された装置とのことです。
その後、障害者の雇用数を増やし、2023年には障害者雇用の優良中小事業主認定制度である「もにす」の認定企業となり、今回の受賞に至りました。
【参考】
- 障害者雇用の優良中小事業主認定制度「もにす認定企業」認定通知書交付式を行いました。 クリーンスペース株式会社|京都労働局
- CSR社会貢献|クリーンスペース株式会社
- 創ろう、障害者と共に生きる企業、地域、社会~ペットボトルを障害者と共にリサイクルしています~|障害者雇用事例リファレンスサービス
株式会社徳島大正銀行、徳島県内の金融機関として初めて厚労大臣賞を受賞
もう1つの受賞企業である徳島県の株式会社徳島大正銀行(以下、徳島大正銀行)は、県内の金融機関として初めて厚生労働大臣賞を受賞しました。評価された主な取り組みは、計画的な障害者採用活動や職場定着の仕組みづくりです。
計画的な障害者採用活動においては、地域における障害者雇用の就職説明会等へ積極的に参加。地域の支援学校などでも金融教育を開催するなど、障害者とお金の観点から地域に貢献してきました。
雇用後の取り組みでは、長く働ける職場づくりと職場定着に向けた支援に注力しています。例えば、障害のある従業員の特性理解、働きがいを感じられる業務やフィードバックなどです。金融機関で働く専門職としてのスキルアップを支援するとともに、日頃から障害のある従業員にこまめに声かけを行い、相談しやすい体制を整備してきました。
現在の徳島大正銀行の障害者雇用率は、法定雇用率2.5%を超える3.0%。「今後も企業の社会的責任や地域貢献の観点からも、引き続き、障害者の雇用促進と職業の安定を図ってまいります」とコメントしています。
【参考】
株式会社ナルス(小売業)の専門支援機関と密接に連携したチーム支援

新潟県の企業として受賞した株式会社ナルス(以下、ナルス)は、地域に密着したスーパーマーケットとして、全店舗で障害者雇用を促進。その取り組みは1998年に始まり、この16年間は毎年、法定雇用率を達成しています。2025年3月時点での障害者雇用率は、4.5%と高水準です。
ナルスが評価されたポイントは、長期にわたって継続的に障害者雇用に取り組んできたこと。各店舗で1名以上の障害のある従業員が働いています。店舗における惣菜の調理やパック詰め、品出し、店頭で使う広告の制作など、職域も拡大してきました。2022年には、新潟県障害者雇用優良事業所等表彰で独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞も受賞しています。
ナルスは、障害のある従業員が「就労を通じて誇りを持ち、自立した生活を送ることができるよう」、継続的・計画的に施策を推進。それを支えるのが、企業在籍型ジョブコーチや、地域の就労支援機関と連携した「チーム支援」の実施です。
例えば、地域障害者就業・生活支援センターに自ら相談した当事者のケースでは、まず障害者就業・生活支援センターと新潟障害者職業センターが連携。ご本人が職業準備支援を通じて就職準備性を高めたうえで、新潟の障害者雇用関連制度を利用して、ナルスで2週間の職場実習を行い、採用に至りました。
職場実習では配置型ジョブコーチの支援を入れて、業務との相性や課題への対応などを確認しながら支援。採用後は、職場実習時の配置型ジョブコーチがナルスの企業在籍型ジョブコーチと情報を共有し、支援の方向性を話し合うなどして職場定着をサポートしています。
ご本人が最初に相談した障害者就業・生活支援センターとも連携が続いており、職員が職場を訪問して様子を確認したり、ご本人の家族へ情報を共有したりなど行ってきました。職場で障害特性による困り事が発生した際も、障害者就業・生活支援センターと連携。新潟障害者職業センターのジョブコーチとも情報共有を行いつつ、共通の認識をもって支援できるようにしています。
現場では、
- 作業の習得にあたって段階的に様子を見ながら進めていく
- 曖昧な指示を避ける
- スケジュール表を作成し、本人がチェックしながら進められるような仕組みをつくる
- 定期面談で相談に応じる
といった具体的な支援を実施しているとのこと。周囲の従業員も、一緒に働く障害のある従業員の特性を理解し、打ち解けて働いているそうです。
こうした支援や人間関係の構築により、安定した勤務が実現し、ご本人の成長につながってきました。
ほかにも、ナルスには特徴的な「不就労制度」があります。就業時間内に、1日最大2時間まで仕事を離れることを許可する制度です。
障害のある人には、疲れやすかったり通院が必要だったりする人、薬の副作用で服用後に休憩が必要な人などもいます。不就労制度を利用できれば、一人ひとりが自分の体力や予定に合わせて働けます。
不就労制度は、障害のある従業員だけを対象とするものではなく、外国籍従業員や育児中の従業員など、人材の多様性と個性の尊重を重視した制度です。そのため、障害のない従業員も活用できます。
ナルスの取り組みは、多角的な施策が高い障害者雇用率の実現につながっていることがよくわかる事例です。
【参考】
- 株式会社ナルス 厚生労働大臣賞を受賞 ~令和7年 障害者雇用優良事業所等表彰~|原信ナルス
- CSRレポート2025|原信ナルス(p.36)
- (株)ナルス 障害者雇用優良事業所表彰受賞のお知らせ (独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞)|原信ナルス
- 新潟県障害者雇用事例動画|新潟県
株式会社小野ダスキン(繊維製床敷物製造業)の適性とコミュニケーションを重視した職場定着施策

そして4社目は、株式会社ダスキンの子会社である株式会社小野ダスキン(以下、小野ダスキン)です。兵庫県において、家庭・オフィス・店舗などで使用されるマット及び化成品の製造を手掛けています。
評価されている取り組みは、採用から入社段階での適性の見極めや、誰もが能力を発揮できる環境の整備です。
同社の障害者雇用は、特別支援学校からの依頼をきっかけに始まりました。初期に採用されたメンバーには工場見学などで実際に現場を見てもらいながら社員と交流し、自社で働くことに問題がないと判断して採用しました。
採用後に担当業務を決める際は、実習期間を設けて、様々な業務を体験してもらったそうです。社内の各部署から仕事をリストアップし、作業後に担当部署から適性に関するフィードバックを実施。その結果を踏まえて、業務を絞り込んでいったといいます。
障害のある従業員が担当している業務は、洗濯前のマットに行う特殊作業や、巨大な洗濯機・乾燥機を通ってもつれて出てきたマットをきれいに伸ばす作業、仕分けや整理の作業、製造工程の補助作業などです。
現場におけるサポートでは、コミュニケーションと安全性を重視。コミュニケーションについては、障害の有無にかかわらず全ての従業員に、その重要性を繰り返し伝えています。そうした中で、障害のある従業員の周りでサポートしながら働く従業員には、作業状態の確認や、作業方法に誤りがある場合の声かけを行ってもらっています。
安全面では、作業の内容や手順をわかりやすい言葉でかみ砕いて伝えるなど、誤解や手違いのないよう気をつけてきました。
こうした取り組みにより、小野ダスキンの障害者雇用率は法定雇用率の1.6倍以上となる4.07%を達成。代表取締役社長の鈴木琢さんは、次のようにコメントしました。
「ダスキン創業者・鈴木清一が唱えた『仕事の第一は人間をつくることでありますように』という理念を人材育成の根幹に据え、多様な人材の積極的な登用に取り組んでまいりました。個々の能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めるとともに、仕事を通じて地域社会に貢献できることを願い、今後もさまざまな人材の雇用に取り組んでまいります」
後編では、株式会社サンアンドホープ(福岡県)、旭九州株式会社(佐賀県)、株式会社千代田(大分県)の取り組みをご紹介します。
【参考】


