LIXIL、ニッスイの障害者雇用は共に働くための「対話」重視【令和7年度 障害者雇用エクセレントカンパニー賞】


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東京都による令和7年度の「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」では、LIXILやニッスイなど都内5企業が東京都知事賞を受賞。「TOKYOはたらくネット」で各社の取り組みが紹介されています。今回は5社の中から、雇用人数が多く、障害者の無期雇用の割合も大きかった株式会社 LIXIL Advanced Showroomと株式会社ニッスイの取り組みをご紹介します。

LIXIL Advanced Showroomは約6割が無期雇用、一般部署で多様な業務に挑戦できる仕組みづくり

株式会社LIXIL Advanced Showroomの障害者雇用の取り組みの説明図。詳しくは、以下本文。

株式会社 LIXIL Advanced Showroom(東京都品川区、以下LAS)は、2013年に設立されたサービス業を手がける企業。住まいに関する総合ショールームの展開・運営のほか、住宅におけるサポート事業やオンラインでの接客・相談サービスなども行っています。設立から3年後の2016年には「ダイバーシティ推進室」を設置し、全ての従業員が自分らしく安心して働ける環境づくりに注力してきました。

LASが評価されたポイント

同社では、「社員みんなが笑顔ではたらく会社にしたい」という想いを込め、ダイバーシティ&インクルージョンのビジョンに「Your Smile, Our Smile」を掲げています。特に障害者雇用の取り組みを「YOurS活動」と呼び、障害のある従業員(YOurSメンバー)と共に、障害の有無にかかわらず「共にはたらく」ことを実現するために様々な仕組みづくりや環境整備を実施してきました。

今回評価されたポイントは、

  • 障害のある従業員が一般部署で多様な業務にチャレンジできる環境を構築したこと
  • オンラインショールームを活用したテレワークで、接客・提案業務という先進的な働き方を実現したこと

などです。

LASで働く障害のある従業員と有期雇用/無期雇用の割合

LASで働く障害のある従業員は、2024年6月1日時点で34人、うち重度障害者は5人です。障害者雇用率は、法定雇用率を大きく上回る3.39%となっています。

同社の障害者雇用の特徴は、勤続5年以上という職場定着を実現した従業員数が44.1%を占めること。無期雇用の割合については、それを上回る61.8%に及んでいます。

精神障害者・発達障害者を中心に雇用しており、「おおらかで温かい社風」で挑戦を支援するとともに、YOurSメンバー自身による月1回の「YOurS通信」により、活動報告や障害のある人のリアルな経験・意見を社内共有しています。

LASでの業務内容

障害のある従業員が担当する業務は様々です。例えば、下表のような仕事が担当業務として挙げられています。

【LASで働く障害のある従業員の業務例】

勤務場所 業務例
本部
  • システムの改廃
  • 人事労務関連業務
  • プログラミング、デザインなど
ショールーム(実店舗)
  • 顧客情報入力
  • カタログ管理
  • フロア美観管理など
オンラインショールーム
  • 予約采配
  • 実店舗と同様の接客・提案業務

特に実店舗とオンラインショールームとで同様の業務を行っていることが、精神・発達障害者雇用におけるテレワーク活用の有効性を示しています。

障害のある従業員が働く現場での工夫

LASでは、障害のある社員を特定の部署に集める雇用管理ではなく、一般部署で協働できる分散配置を実施しています。各部署で安定して働ける環境整備を目的とした企業在籍型ジョブコーチによる丁寧な支援、情報共有ツールの活用、本人の希望を考慮した職域開発などが特徴です。

職場の定着支援では、企業在籍型ジョブコーチなどが活躍

LASでは、企業在籍型ジョブコーチが現場の支援を行っています。一人ひとりの状況に応じた丁寧な仕事のセッティングと継続的なコミュニケーションにより、「どうしたらお互いにとって心地よく、笑顔ではたらくことができるか」を常に考えているからです。

障害の有無にかかわらず、本人が能力を発揮して職場の戦力となって活躍できる仕組みづくりを進めてきました。

セルフケアツールを活用し自己管理・情報共有を促進

障害者雇用において不可欠な体調管理では、「就労安定サポートツール」を活用していると言います。

同ツールを活用することで、障害のある従業員本人は、自身の体調や気分の変化を把握しやすくなります。同時に、セルフケアを学び、その後の体調管理に活かすこともできるようです。

他方、現場の支援者や管理者にとっては、対象従業員の体調やメンタルの状況がすぐに共有されるため、サポートに活用できます。そのときの状態に応じた、よりきめ細やかな配慮ができるのです。

通勤が難しい従業員の業務にテレワークを活用

LASには、障害のある求職者からの希望によって生まれた職域があります。それが、オンラインショールームでの業務です。

同社には、それまで「障害のある方には接客は難しい」という考えがありました。ところが、新卒の求職者自身から接客業務をしたいという希望が出たのです。オンラインコーディネーターとして採用し、本人の希望を反映した長めの研修を実施することで、実店舗と同様の接客・提案・見積作成ができることがわかりました。

オンラインコーディネーターとして採用された方は、「社会人1年目で週5日勤務や事務作業未経験という点で大きな不安」があったと話します。それでも、丁寧な研修により安心感をもって接客業務を習得できたとのことで、自信をもって働けるようになりました。*1

現在は、本部でピアサポーターとして、社内の様々な部署と連携しながら働いています。提案した施策が採用されることもあり、「会社の一部として働いている」という実感があるとのことでした。*2

*1 出典:【イベントレポ】令和7年度 障害者雇用エクセレントカンパニー賞(東京都知事賞)表彰式が行われました|LIXIL Advanced Showroom 公式note
*2 出典:「令和7年度 障害者雇用エクセレントカンパニー賞 受賞企業の取組事例集」(東京都産業労働局雇用就業部就業推進課)

LASが重視する障害者雇用のポイント

無期雇用の従業員が多くを占めるLAS。重視している障害者雇用のポイントは、

  • ステレオタイプの障害特性で捉えない
  • 障害のある従業員一人ひとりの強みを活かし、弱みを補い合う
  • 対話を何度も重ねながら、働きやすくする方法を一緒に考える

といった点です。

さらに、現場のサポート担当者が疲弊しないように

  • サポーターを1人にしない
  • 気軽に相談できる窓口を設置する
  •  “抱えさせない仕組み”をつくる

なども挙げています。

鈴木浩之社長は、公式noteにおいて「今回の受賞を『通過点』と捉え、今後もYOurS活動をさらに深化させ、子育てや介護との両立支援、ジェンダーレスなど、より多様な人財が活躍できる組織を目指します」とコメントしています。*

*出典:【イベントレポ】令和7年度 障害者雇用エクセレントカンパニー賞(東京都知事賞)表彰式が行われました|LIXIL Advanced Showroom 公式note

ニッスイでのキャリアスタートは「ビジネストラストチーム」、その後は分散配置

株式会社ニッスイの障害者雇用の取り組みの説明図。詳しくは、以下本文。

株式会社ニッスイ(東京都港区、以下ニッスイ)は、操業1911年、設立1943年の食料品製造メーカーです。水産・食品・ファイケミカルなどの事業をグローバルに展開し、2016年に人事部に発足したビジネストラストチーム(以下、BTT)を起点とする障害のある従業員の人材育成を行っています。

ニッスイが評価されたポイント

ニッスイでは、障害のある当事者が施策の意思決定に関わることを重視しています。そのため、諸具合社雇用の方針に「成長と活躍」を策定する際も、障害のある従業員を交えた対話を重ねて決定しました。

現場では、障害のある従業員が一人のビジネスパーソンとして成長・活躍できるよう、多様な業務を経験できる機会を通じて能力開発を行っています。業務スキルが向上した従業員は、本人の特性・適性に応じて「部署常駐」や異動によって各部署の戦力となります。

ニッスイの取り組みで特に評価されたポイントは、

  • 障害のある従業員が入社時に配属されるBTTにおいて、多様な業務に挑戦しながら経験を積める教育制度
  • 他部署で戦力として活躍できるキャリア形成の仕組みづくり

の2点です。

ニッスイで働く障害のある従業員と有期雇用/無期雇用の割合

ニッスイで働く障害のある従業員は、2024年6月1日時点で73人、うち重度障害者は7人。障害者雇用率は、法定雇用率を超える2.99%となっています。

同社の障害者雇用の特徴は、勤続5年以上の従業員数が56.2%という大きな割合を占めていること。無期雇用の割合についても、半数以上の52.1%です。

障害種別で見ると、精神障害のある従業員の割合がやや大きい一方、無期雇用では身体障害のある従業員の割合が大きいようです。知的障害のある従業員や精神障害のある従業員について見ると、有期雇用では精神障害のある従業員が多く、無期雇用や勤続5年以上では両者で同程度の割合となっています。

ニッスイでの業務内容

ニッスイでは、入社時に配属されるBTTにおいて、150種類を超える業務の中から特性・適性を考慮した多様な業務に挑戦します。経験を積んだ従業員がほかの部署で活躍している事例では、DX担当やアシスタント業務などを担う従業員が紹介されました。

【ニッスイで働く障害のある従業員の業務例】

勤務場所 業務例
人事部BTT –     各部署依頼業務(データ入力・集計・チェックなど)

–     人事部内業務(採用・研修・入退社・会計処理に関する業務、業務効率化ツールの開発)

–     など

他拠点・他部署 –     工場での業務(DX担当、ライン担当)

–     営業関連業務(営業サポート、DX推進担当)

–     採用アシスタント

BTTで多彩な業務を経験することで、そのスキルを各部署の現場でも活用して働けるという仕組みです。

障害のある従業員が働く現場での工夫

ニッスイでは、障害のある従業員を入社時にBTTへ配属して「ビジネスパーソンとして育てる」という育成体制をとっています。将来的に他部署で現場の業務を担当したりBTTでリーダー職に就いたりするなど、キャリア形成支援も兼ねた仕組みです。

当事者が意思決定とキャリア形成に関わる仕組み

ニッスイは、意思決定に際して障害のある従業員との対話を重視しています。そのため、ビジネスパーソンとしての主体性・責任感・成長意欲を尊重した取り組みを進める中でも、会社から一方的に押しつけないための仕組みがあります。

例えば、主体性・責任感・成長意欲を掲げても、それが具体的な結果に結びつかなければ従業員の意欲は損なわれてしまうでしょう。そこで、キャリアパスの整備や、当事者や上長への「働く満足度・充実度調査」などを実施。その回答を施策に採り入れるなどの工夫を行っています。

当事者が“自分の言葉で話すこと”も支援しており、管理職向けの研修に障害のある社員が上長と一緒に登壇して合理的配慮について説明したり、オンライン座談会で体験談を語ったりしているとのことです。

ビジネスパーソンとして成長し、活躍できる体制づくり

障害のある従業員は、まずBTTに配属されます。ビジネスパーソンとしての基礎スキルと自社で必要とされる業務知識・スキルを習得するためです。

BTTから営業部署へ異動して業務効率化業務を担っている従業員の事例では、一度行った業務に確実に対応できるようになるため、自ら業務をマニュアル化するという工夫を実施。自分なりのアイデアを提案するという積極性も発揮しています。作成した営業用チラシが活用されているのを見て、仕事への自信を深めていました。

他方、BTTの業務からリーダー職へと昇格した従業員は、前職の後輩育成経験を活かしたマネジメントへの挑戦を希望して入社。現在は、障害者職業生活相談員となり、BTTリーダーとしてチーム全体のマネジメントを担当しています。メンバーの得意・不得意を把握したうえで調整を行い、一人ひとりが安心して主体性を発揮できる職場づくりに貢献しています。

近年は、障害のある社員の正社員登用も拡大中です。全社の約8割の部署で障害のある社員が一緒に働いています。

ニッスイが重視する障害者雇用のポイント

ニッスイのサポート担当者は、「同じニッスイの社員として、まず『ビジネスパーソンとして働き成長する』ことを重要視」していると話します。ときに「厳しい」と言われることもあるようですが、「成長と活躍」のモデルを蓄積することで、障害のある従業員のキャリアアップや就労の可能性拡大につなげたいとしています。

合理的配慮でも、「この業務をスムーズに遂行するために、お互いにどんな工夫をすればいいか」という視点で考え、対話を重ねてきました。従業員の能力・状況の変化に応じて見直しも実施しています。

あわせて、「私たち担当者自身が『成長と活躍』のモデルとなっていく努力を忘れないようにしています」とも語っています。*

*出典:「令和7年度 障害者雇用エクセレントカンパニー賞 受賞企業の取組事例集」(東京都産業労働局雇用就業部就業推進課)

2社の取り組み事例における注目ポイント

今回ご紹介した2社の取り組みで、障害者雇用の現場にぜひ採り入れたい施策があります。それが、次の3点です。

【障害者雇用現場で採り入れたい施策例】

  • 当事者との対話を重視する
  • 組織の意思決定や研修に、当事者の声を反映させる
  • 具体的なキャリア形成支援として、キャリアパスを整備する

障害者雇用を効果的に進めるノウハウは、実に多様です。
「〇〇障害だから、このやり方が効く」
「〇〇障害は、これができない」
といった知識は、役立つ場合もあれば、先入観となって取り組みを邪魔してしまうこともあります。だからこそ、「目の前の当事者ときちんと対話する」「本人の声を聴く」という姿勢が欠かせません。

そして、「業務能力を高めましょう」「お互いに助け合いましょう」という目標を掲げても、フィードバックや待遇改善という形での努力の承認、組織の一員として活躍できている実感が得られなければ、働く人にとってつらいものです。障害の有無にかかわらず、
「これができるようになれば、こう評価される」
「これを達成すると、このように働けるようになる」
という具体的な道筋を示し、“仕事のやりがい”を得られるような仕組みを整えていきましょう。

障害者雇用エクセレントカンパニー賞(東京都知事賞)受賞企業の取り組み内容は、「TOKYOはたらくネット」の公式ページから確認できます。今回ご紹介した2社以外の取り組みも、ぜひご覧ください。

【参考】

ルミノーゾチャンネル あなたの働きたいを応援する就労移行支援事業所
就職、職場定着に真に役立つ情報をわかりやすく解説。
あなたの就労に活用ください。
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