公認心理師になるには?仕事内容と国家試験の受験資格・合格率の推移


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公認心理師は、心理学系の専門知識・技能を有することを証明できる国家資格です。2026年現在、受験資格を取得できるルートは区分A〜区分Fの6ルート。社会人が公認心理師の資格取得を目指す場合、通信大学・大学院で指定科目を履修する例が多いようです。

公認心理師の仕事内容や国家試験の受験資格取得、近年の合格率の推移などをご紹介します。

【国家資格】公認心理師とは

はじめに、公認心理師の定義や4つの業務、臨床心理士・認定心理士との違いを見ていきましょう。

公認心理師の定義・役割と4つの業務

公認心理師の定義と4つの業務のまとめ図。詳しくは、以下本文。

公認心理師とは、2015年に成立した「公認心理師法」に基づく国家資格です。第1回公認心理師試験は2018年に実施されました。

公認心理師の法律における定義は公認心理師法第2条に見られ、公認心理師の4つの業務も規定されています。なお、公認心理師は名称独占の資格であり業務独占ではないため、「公認心理師しか〇〇ができない」というものはありません。

公認心理師法 第2条
「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

  1. 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
  2. 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  3. 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

公認心理師は、医療機関・児童福祉・障害福祉などの分野で“心理の専門家”として信頼されるために重要な資格です。実際に公認心理師として活動するには、国家試験に合格したあとの登録が必要です(公認心理師法第28条)。2023年10月末時点での登録者数は、7万1,732人となっています。※

※出典:「令和5年度公認心理師活動状況等調査 最終版」(一般財団法人公認心理師試験研修センター)p.2

公認心理師と臨床心理士の違い

心理学系で信頼されている資格には、公認心理師のほかに「臨床心理士」があります。臨床心理士は、公認心理師よりも前から存在する民間資格。臨床心理士と公認心理師の両方の資格を持つ専門家も見られます。

両資格の違いは、

  • 資格認定組織
  • 受験資格
  • 資格更新の有無

にあります。具体的な違いを下表にまとめました。

【公認心理師と臨床心理士の違い】

公認心理師

臨床心理士

資格認定組織 一般社団法人 公認心理師試験研修センター 公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
受験資格
基本ルート
  • 4年制大学と大学院で指定科目を履修する
  • 4年制大学で指定科目を履修し、プログラム施設で2年間の実務経験を積む
  •  指定大学院を修了し、所定の条件を満たす
  • 医師免許取得者の場合、取得度に心理臨床経験を2年以上積む
資格更新の有無

更新不要

5年ごとの更新が必要

 

最も大きな違いは「国家資格か民間資格か」ですが、受験資格の取得や資格更新の点も、資格選びで検討するポイントとなるでしょう。

公認心理師と認定心理士の違い

「〇〇しんりし」という名称には、「認定心理士」もあります。認定心理士とは、心理学に関する標準的な基礎知識・技能(大学の学部レベル)を有していることを認定する民間資格。日本心理学会が認定しています。

公認心理師との違いは、国家資格か民間資格かという点以外にも、その知識・技能の専門性の有無、試験の有無などに見られます。

【公認心理師と認定心理士の違い】

公認心理師 認定心理士
資格認定組織 一般社団法人 公認心理師試験研修センター 公益財団法人 日本心理学会
知識・技能の専門性 専門レベルの知識・技能 基礎レベルの知識・技能
試験の有無
基本ルート
国家試験の受験が必要(試験結果の点数で合否が決定) 受験不要(大学・大学院の学位と履修単位で認定)

認定心理士が創設された背景には、大学などでの学際化の進行により、心理学に関わる学科でも「心理学」という名称を用いない例が増えたことがあります。学科名で判断できない以上、その知識・技能を有することを認める資格が必要だと考えられ、認定心理士の資格が生まれました。

公認心理師は何ができる?就職先と分野別の業務内容例

公認心理師の勤務先と業務内容の例のまとめ図。詳しくは、以下本文。

2024年3月に報告された日本心理研修センターによる調査結果では、公認心理師の勤務先のうち、保健医療分野が30.7%、福祉分野が29.5%、教育分野が34.2%でした。ほかに、産業・労働分野で働く公認心理師も8.2%となりました。※

同調査結果から、具体的な勤務先の例や各分野の業務内容、支援対象者の概要をご紹介します。

※出典:「令和5年度公認心理師活動状況等調査 報告書〔概要版〕」(一般社団法人 公認心理師試験研修センター)p.5

保健医療分野

保健医療分野の主な勤務先は、病院や精神科を主体とするクリニックです。

支援対象者は様々ですが、次の人々の割合が多く見られました。

  • 気分症(双極症、抑うつ症、気分変調症等)のある人
  • 発達障害のある人
  • 不安または恐怖関連症のある人
  • ストレス関連症(適応障害など)のある人

業務内容として多かったのは、

  • 本人を対象とする心理検査
  • 本人を対象とするアセスメント面接
  • 本人に対する心理面接(カウンセリング、心理療法)
  • 個人(本人、家族、関係者)に対する心理教育

などです。

また、公認心理師の約半数が、医師の診断補助としての心理アセスメントも担っていました。

福祉分野

福祉分野で働く公認心理師の主な勤務先は、児童相談所、児童福祉施設、障害福祉分野の相談支援、通所機関などです。より具体的には、

  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 障害福祉サービス事業所
  • 相談支援事業所
  • 障害者支援施設

などで働いているようです。

支援対象者は、子どもと大人の場合で違いが見られました。

【福祉分野の支援対象者の例】

  • 子どもが対象者の場合
    • 発達障害のある子
    • 知的障害のある子
    • 不登校の子
    • 虐待を受けた子
  • 大人が対象者の場合
    • 精神疾患(うつ病)のある人
    • 発達障害のある人
    • 精神障害のある人
    • 子育てに悩む人

業務内容では、

  • 本人に対するアセスメント面接
  • 本人に対する様々な心理的支援

が中心となっています。本人への支援につながる他職種職員へのコンサルテーションも比較的多く実施されていました。

教育分野

教育分野では、公立の機関や教育委員会、学校などで働くケースが多いようです。具体的には、

  • 公立教育相談機関・教育委員会等
  • 公立幼稚園・小学校等
  • 公立中学校・高等学校等
  • 大学・短期大学・専修学校等の学生相談室

などが多く見られました。

主な支援対象者では、

  • 学校の教職員
  • 保護者
  • 発達障害のある児童・生徒・学生等
  • 精神疾患のある児童・生徒・学生等
  • 通常学級に在籍する小学生・中学生

の割合が大きくなっています。

業務内容について見ると、

  • 本人に対するアセスメント面接
  • 本人に対する心理面接(カウンセリング、心理療法)
  • 本人に対するその他の心理的支援
  • 学級、学校における関与、観察
  • 教職員へのコンサルテーション
  • 保護者へのコンサルテーション

を多くの公認心理師が実施していました。

産業・労働分野

産業・労働分野では、組織内に設置された健康管理・相談室や、組織外で労働者等の心理支援を行う機関で働く例が多いようです。

主な支援対象者では、

  • 労働者本人
  • 病欠者・休職者
  • 障害者就労の労働者

が多く見られます。加えて、困りごとを抱える労働者の上司や管理職に対してコンサルテーションを行ったと答えた人も多く見られました。

業務内容では、

  • 本人に対するアセスメント面接
  • 本人に対する心理面接(カウンセリング、心理療法)
  • 本人に対するその他の心理的支援
  • 本人に対する職場復帰に関する相談・支援
  • 本人の自己理解、特性理解、疾病理解等を促すカウンセリング
  • 本人の関係者に対する心理的視点からのアドバイス、コンサルテーション
  • 本人、上司・管理職に対する心理教育

などが大きな割合を占めているようです。

社会人から公認心理師になるには?受験資格と実務経験

保健医療や福祉、教育、企業といった多様な現場で活躍する公認心理師。国家試験を受けるには、受験資格を取得しやすい4年制大学+大学院という最低6年間のルートで学びを進めるのが基本です。では、社会人もフルタイムの学生として6年間大学・大学院に通う必要があるのでしょうか。

公認心理師試験の受験資格を得る6つのルートと、社会人が公認心理師を目指す現実的なルートを解説します。

公認心理師試験の受験資格と実務経験の要否

公認心理師の資格取得方法の図。厚生労働省公式ページより引用。詳しくは、以下本文。
画像出典:「公認心理師」(厚生労働省)

公認心理師試験の受験資格を得るには、基本的に4年制大学および大学院で指定科目を履修しなければなりません。大学院に進学しない場合は、厚生労働省が認める「プログラム施設」で所定のプログラムに基づいて2年以上の実務経験を積む必要があります。これによる受験資格は区分Aと区分Bです。区分AやBと同等以上の知識・技能があると認められた場合に受験資格を得られる区分Cもあります。

また、第1回公認心理師国家試験が実施される前から活動してきた臨床心理士や大学・大学院に入学した学生に対して、「特例措置」としていくつかの受験資格取得ルートも設けられました。特に「区分G」と呼ばれるGルートは、実務経験5年と講習の受講により受験資格を得られることから、多くの人が活用してきました。ただし現在は、特例措置の1つであるGルートは廃止され、区分D1・D2・E・Fという特例措置が残っています。

以上の区分A〜区分Fまでの要件を下表に簡単にまとめました。

受験資格取得ルート】(2026年4月現在)

受験資格の要件

区分A 4年制大学で指定25科目を履修+大学院で指定10科目を履修
区分B 4年制大学で指定25科目を履修+プログラム施設で実務経験2年以上
区分C 区分A・Bと同等以上の知識・技能があると認定される
区分D1 2017年9月15日より前に、大学院で指定6科目を履修
区分D2 2017年9月15日より前に大学院に入学し、2017年9月15日以後に指定6科目を履修
区分E 2017年9月15日より前に4年制大学で指定12科目を履修+2017年9月15日以後に大学院で指定10科目を履修
区分F 2017年9月15日より前に4年制大学で指定12科目を履修+プログラム施設で実務経験2年以上

2017年9月15日より前に4年制大学や大学院に入学した人は、区分D・E・Fを検討する余地があるかもしれません。区分Cは、外国の大学や大学院で学んだ人と、公認心理師法の施行より前に大学で一定の科目を履修して卒業した人(大学院の要件あり)が対象です。

それ以外の人は、区分Aまたは区分Bでの受験資格取得ルートとなります。

社会人が公認心理師になるには

社会人が公認心理師になるための代表的なルートのまとめ図。詳しくは、以下本文。

社会人が働きながら公認心理師を目指すケースでは、実習の多さが最大のハードルとなります。

「大学や大学院に通学しながら働くのは難しい」という人のために、公認心理師対応カリキュラムを備えた通信大学・大学院もあります。それでも、「スクーリング」という形で現地の実習へ参加しなければなりません。

特に、大学院で行われる「心理実践実習」は450時間以上と定められており、通信制で学んでいる人であっても、この期間は仕事を休む必要があります。450時間は、大学院2年間であれば年平均225時間、3年間でも年平均150時間。1日の実習時間を7時間程度で計算しても、年間で22日〜33日は実習で仕事を休めるよう調整しなければなりません。

「大学院の代わりにプログラム施設で実務経験を積むBルートはどうか?」と考える場合、「プログラム施設に採用されるかどうか」が最大の関門です。採用されれば、給与を受け取りながら受験資格を満たすことができるでしょう。しかし、プログラム施設は全国に12施設のみであり、採用基準もそれぞれです。「簡単に入れる」とは決して言えません。

こうした事情から、社会人が公認心理師を目指す場合は、通信大学で仕事と両立させながら学び、大学院ではフルタイムの学生となって学ぶという方法が、現実的なルートとなります。既に4年制大学を卒業している人であれば、3年次編入により大学での学習期間を短縮できるでしょう。高卒で社会人になった人の場合は、1年次から入学して学ぶことになります。

まとめると、以下のようになります。

【学歴が4年制大学卒の社会人のケース】

  1. 公認心理師対応カリキュラムがある通信大学に3年次編入し、指定科目を履修する
  2. 仕事を年間1か月程度休める場合は、通信制の大学院に入学して指定科目を履修する
  3. 仕事を休めない場合は、公認心理師対応カリキュラムがある大学院に入学し、フルタイムの大学院生として指定科目を履修する(450時間以上の実習あり)

【学歴が高卒の社会人のケース】

  1. 公認心理師対応カリキュラムがある通信大学に1年次から入学し、指定科目を履修する
  2. 仕事を年間1か月程度休める場合は、通信制の大学院に入学して指定科目を履修する
  3. 仕事を休めない場合は、公認心理師対応カリキュラムがある大学院に入学し、フルタイムの大学院生として指定科目を履修する(450時間以上の実習あり)

いずれにしても、大学で過去に心理学を学んだことがない人が公認心理師を目指す場合は、4年以上(大学2年以上+大学院2年以上)の学習期間を見込む必要があります。

公認心理師国家試験の合格率・難易度・試験日程

最後に、公認心理師国家試験の合格率の推移と難易度、直近の試験日程をご紹介します。

公認心理師国家試験の合格者数・受験者数・合格率の推移

まずは、2026年に実施された第9回公認心理師国家試験の結果を見てみましょう。

【2026年 第9回公認心理師国家試験の結果】

受験者数 2,400人
合格者数 1,441人
合格率 60.0%
合格基準点 136/230点

 

合格率自体は60%ですので、現在の難易度としては“難しすぎず、簡単すぎず”といえるでしょう。合格基準点は、総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正されています。

公認心理師国家試験の合格率については、40%台の年もあれば70%台の年もあるなど、バラツキが見られます。第1回からの合格率・受験者数の推移は、次のようになっています。

【公認心理師国家試験の合格率の推移・受験者数】

実施年 実施回 合格率 受験者数
2018年 第1回 79.6% 3万5,20人
2019年 第2回 46.4% 1万6,949人
2020年 第3回 53.4% 1万3,629人
2021年 第4回 58.6% 2万1,055人
2022年 第5回 48.3% 3万3,296人
2023年 第6回 73.8% 2,020人
2024年 第7回 76.2% 2,089人
2025年 第8回 66.9% 2,174人
2026年 第9回 60.0% 2,400人

 

上の表で2022年(第5回)までは、区分Gでの受験資格が認められていました。受験者数が激減した2023年(第6回)は、区分Gによる受験がなくなった最初の年です。それ以降は、受験者数は2,000人台、合格率は60〜76.2%で落ち着いてきたようです。

公認心理師国家試験の試験日程

2026年の第9回公認心理師国家試験は、以下の日程で実施されました。この数年は3月での試験実施が定着しています。

【2026年 第9回公認心理師国家試験の試験日程】

試験日 2026年3月1日
試験実施 午前問題・午後問題に分けて実施
合格発表日 2026年3月27日

 

合否の通知は、公認心理師試験研修センターのシステムにログインしてWeb上で確認・ダウンロードします。郵送による通知はありません。

公認心理師になるには、長期的な視点が必要

ここまで見てきたように、公認心理師になるには長期的視点が求められます。国家試験対策はもとより、受験資格を取得するために必要な期間が長いケースが多いからです。

社会人が公認心理師を目指す場合は、まず職場と休暇取得の調整について相談し、大まかな学習計画を立てるとよいでしょう。3年次編入で最小限の学習期間でも、大学2年+大学院2年を考える必要があります。

プログラム施設で実務経験を積む区分Bで受験したいなら、早めにプログラム施設の一覧と所在地、採用試験の条件などを確認してください。プログラム施設の一覧と各施設へのリンクは、厚生労働省の公式ページに掲載されています。

【参考】
「公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ」(厚生労働省)
一般財団法人 公認心理師試験研修センター 公式サイト

【画像・イラスト素材提供】
webweb/ PIXTA(ピクスタ)
kabu/ PIXTA(ピクスタ)

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