【障害者の在宅ワーク】雑貨・ノベルティ製作【職域と事例】


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障害者の在宅ワークは、自宅で業務を進める以外に福祉作業所の中で作業を行う方法があります。在宅就業障害者支援制度の特例調整金・特例報奨金の対象となり得るため、「自宅で進めるのは難しい」と考えられる業務でも在宅ワークとして発注可能です。実際にそうした業務を請け負っている福祉事業所の取り組みをご紹介します。

「雑貨・ノベルティ製作」をテレワークで

雑貨や企業のノベルティ製作は障害者が従事する職域として多く見られる業務です。こうした業務は実際に物品を扱う作業なので、自宅で進めるには材料の配送や完成品の引き上げ、作業手順の指示等において新たな仕組みづくりが必要になります。そのため、「在宅ワークで任せるのは難しい」というイメージが強いかもしれません。

しかし、福祉作業所でこうした業務を進める形であれば、配送の仕組みづくりや在宅ワークに伴う指示・コミュニケーション上の課題が軽減されます。

在宅の障害者に業務を発注する事業主の方はご存知かもしれませんが、障害者の在宅ワーク支援制度に「在宅就業障害者支援制度」があります。自宅等で働く障害者に仕事を発注する企業に対して、特例調整金や特例報奨金を支給する制度です。

支援対象とされる発注は、在宅ワークをする障害者に対して直接発注する形と、在宅就業支援団体を介して発注する形の2つ。そして「在宅就業」として認められる場所は、障害者の自宅だけでなく、実は障害特性に応じた作業環境が整えられた福祉作業所も対象となっているのが特徴です。

障害者の在宅ワークを文字通りの「在宅」だけでなく、福祉事業所などで行うテレワークも視野に入れて考えられるため、雑貨やノベルティ製作といった実際に物品の取り扱いが必要な作業も発注しやすくなります。

【参考】
在宅就業障害者に対する支援|厚生労働省

雑貨・ノベルティ製作の業務管理と工夫

福祉事業所で雑貨やノベルティ製作を行う場合、発注元となる企業はどのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。

まずは、業務遂行に関する基本的なノウハウや環境整備について福祉作業所でどのように進めていくか大まかに把握しておくことが重要です。具体的なやり方は、これまで福祉作業所が実施してきた支援方法と概ね同様と考えられます。

<障害をもつ方に発注する際の基本的な考え方>

  • 1つの業務を複数の工程に分解する
  • 本人の得意・不得意に応じて工程を割り振る
  • 作業手順書を作成する、見本を示す
  • マルチタスクではなくシングルタスクで取り組む
  • 通院・服薬を含む健康管理に配慮する
  • 障害特性に応じた機器・設備・施設を整備する
  • 指示者は特定の決まった人から出す(支援はチーム体制で行う)

こうした支援は福祉事業所の支援スタッフが中心になって実施します。発注元である企業は、支援スタッフと相談して発注する量や納期を相談し、作業手順書を一緒に作るのがおすすめ。当該作業を得意とする福祉事業所を選べば、作業手順書の作成自体を事業所に任せることもできるでしょう。

福祉事業所では複数の分野で業務を請け負っている場合も少なくありません。まずはどのような作業が可能なのか、どのくらいの納期になるのかなどを相談してみてください。

福祉事業所での取り組み事例

ここで、福祉事業所で雑貨やノベルティ等の製作を受注している事例を2つご紹介します。どのような作業を担い、事業をどのように展開しているかイメージしやすい事例です。

東京コロニーの縫製関連事業とARTBILITY


出典:社会福祉法人 東京コロニー 公式サイト

東京コロニーは、1951年に事業を開始した社会福祉法人。印刷事業、防災・避難用品の製造販売事業、IT事業、メールサービス事業、縫製事業など、さまざま事業を手がけています。特に注目されているのが防災・避難用品の製造販売でしょう。

他に、IT事業「es-team」では障害者が自宅で業務を進められる体制を構築。30年以上続く縫製事業では職場で必要となる作業服やユニフォームなどの企画から製造までワンストップで受注しており、「かつしか帆布(R)」というオリジナルブランドも持っています。

もう1つの「ARTBILITY(アートビリティ)」という芸術作品貸出事業には、障害をもつアーティスト約200名が制作した5000点以上の作品ライブラリーがあり、登録作品をポスターや冊子、カレンダー、布製品、雑貨等に有料で貸し出してきました。

<東京コロニー(縫製事業)の取り組み>

作業場所 東京都葛飾福祉工場
受注
  • 豊富な素材や設備を整備
  • 小ロットから対応できる設備と体制
製造品
  • 防炎素材を用いた各種被服・エプロン
  • 「かつしか帆布(R)」のバッグ
  • 「エマージェンシーバッグ」
  • 事業所や団体のユニフォーム等

多角的な事業と長年培ってきたノウハウは、ときに事業の垣根を越えた製品作りを可能にしています。たとえば、ARTBILITYに登録された作品を印刷して利用する際に印刷に従事する方々が、プリントTシャツを製造する際は縫製に従事する方々が参加するなどの形があります。

【参考】
社会福祉法人 東京コロニー 公式サイト
事業案内|東京コロニー

足柄緑の会「コスモス学園」のオリジナルうつわ製造


出典:プラスチック成形|足柄緑の会

社会福祉法人足柄緑の会では1997年にコスモス学園を設立し、プラスチック成形を請け負ってきました。福祉作業所としては数少ない射出成形機を複数導入している事業所で、故障解析技術者・生産技術専門家・金型メンテナンス専門家といった専門スタッフの指導やチェックのもと、障害をもつスタッフがプラスチックの部品や容器を製造しています。

これまでに蓄積してきたノウハウや管理能力は一般企業にも引けを取らず、生産性向上のための治具や補助具も独自に開発。下表のような業務管理によりプラスチック成形業務を担ってきました。

<コスモス学園の取り組み>

作業場所 コスモス学園 中沼ジョブセンター
受発注の管理 受注・在庫等の情報や出荷指示をデータベースで管理
品質管理
  • 専門スタッフによる製品検査を実施
  • 2重3重の検査を実施
  • 故障解析、金型メンテナンスの専門家がトラブルを防止
  • トラブルが発生した場合、原因を調査し品質改善につなげる
コスト管理
  • 余剰コストを徹底的に削減
  • 独自の治具・補助具開発で生産性を向上
  • 現行製品のコストダウン相談可
納品 自社トラック便、宅配便、チャーター便で対応可能

この中で、コスモス学園が製造する「たまご型容器」は見た目が可愛らしいだけでなく食品向けとして利用できる安心・安全な品質が特徴です。お菓子やデザート容器、小物の保存容器、ラッピングなど、幅広く使えるのも大きな魅力でしょう。

形や色の選択肢が複数あり、オリジナルうつわの製造にも対応しています。

【参考】
社会福祉法人 足柄緑の会 公式サイト
プラスチック成形|足柄緑の会

「在宅ワーク」での雑貨・ノベルティ製作は福祉事業所も視野に

雑貨やノベルティ製作は実際に材料を入手・加工する必要があるため、障害者の在宅ワークとしての発注は難しいと思われるかもしれません。しかし、在宅就業障害者支援制度では、福祉作業所での作業も制度の対象となっています。

こうした業務は、福祉作業所が長年手がけてきた分野。製作ノウハウや受注体制を整備している所が比較的多いため、事業所の近くに発注先となれる福祉作業所があるかもしれません。

雑貨やノベルティ、事業所のオリジナル製品の外注をご検討の際は、ぜひお近くの福祉作業所に発注可能かどうかもチェックしてみてください。

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