【障害者の在宅ワーク】封入・梱包・軽作業【職域と事例】


特別なスキルがなくても始めやすい封入・封かん・梱包・軽作業などの業務は、障害者雇用でも多く見られる職域です。ただ、実際に物品を扱う必要があることから、在宅ワークで取り組むことは難しいというイメージもあります。こうした分野の在宅ワーク事例とともに、業務管理のポイントをご紹介しましょう。

「封入・封かん」「梱包」「軽作業」は障害者雇用で代表的な職域

封入や封かん、梱包、その他軽作業などの業務は障害者雇用で多く見られる職域です。たとえば、指定された文書やチラシ等を封筒に入れる、商品をルールに沿って梱包する、雑貨などを製造するといった業務があります。

実際に物品を扱う業務のため在宅ワークが難しいという印象があるかもしれません。しかし、業務管理の工夫によっては在宅で進められる場合があります。

必要な業務管理と工夫

封入・封かんや軽作業などを在宅で進めるには、どのような業務管理が有効なのでしょうか?

まず重要なのは、在宅ワーカーへの業務の割り振りと作業に使う材料等の配送です。作業で使う材料などの配送は、支援スタッフが効率的な配送ルートを作成して届けるやり方と、定期的に出社して社員に持ち帰ってもらうやり方、宅配などを利用するやり方があります。

<材料の配送や完成品引き上げの方法(例)>

  • 支援スタッフが直接配送する
    • メリット:新しい材料を渡すと同時に完成品の引き上げができる、在宅ワーカーと直接コミュニケーションがとれる
    • 課題:新しく人員が必要になる可能性がある
  • 出社時に社員が自分で運ぶ
    • メリット:新しい人員の配置が不要、直接コミュニケーションがとれる
    • 課題:あまり重い材料や完成品は運べない
  • 宅配を利用する
    • メリット:材料の運搬や完成品の引き上げがラク
    • 課題:送料がかかる、直接コミュニケーションをとる機会が減ってしまう

業務の割り振りでは、他の職域と同じように障害特性や健康状態に応じて作業内容および作業量を決めなければなりません。業務の手順などについては、あらかじめ動画や写真を用いた分かりやすい作業手順書を作成しておくとスムーズに進めやすくなるでしょう。

出社の有無、人員配置の可否などを検討しながら、それぞれの職場に応じた方法を検討してみてください。

在宅ワークにおける軽作業等の取り組み事例

業務の割り振りや配送以外の業務管理、在宅ワークの環境整備、健康管理などについてより具体的にイメージできるよう、実際にこうした軽作業の在宅ワーク事例を見ていきましょう。

富士ソフト企画のマスク作り


出典:富士ソフト企画株式会社 公式サイト

富士ソフト株式会社の特例子会社である富士ソフト企画株式会社は、障害者雇用は原則として通勤での業務を行ってきました。しかし、2020年からのコロナ禍により在宅ワークを導入。在宅ワークで対応できない通常業務の担当者については、新しい職域の創出を行いました。

富士ソフト企画で新しく生まれた職域の1つは、マスク作りです。作り方はインターネットを通して研究し、作業手順書や型紙を作成。他の社員と共有し、在宅勤務の間はマスク作成、出社時に完成したマスクの洗濯・アイロン・消毒を行い、パッキングを担う他部署へ配送しました。

同社では精神障害、発達障害、知的障害をもつ社員が多いことから、定期的な通勤を通して生活リズムを崩さないことを重視した点にも特徴があります。コロナうつ防止のために声のかけ方や話の聞き方といったコミュニケーション面でも管理職の間で共有し、ヘルスキーパーによる自宅でできるストレッチ等の情報提供も行いました。

<富士ソフト企画における在宅ワーク>

出社頻度 健康状態に配慮した出社率(1日おき等)
業務管理
  • 1日4回(始業・終業・休憩開始・休憩終了)、メールで業務の進捗状況を報告
  • オンライン朝礼で業務報告・連絡・相談等
  • チャット・メール・電話・Web会議等で質問・相談対応
  • 健康状態に応じた仕事量の調整
健康管理
  • 「生活リズム記録表」に毎日の健康状態を記録
  • 不調があった場合は出社時に上司と相談
  • 定期的な通勤で生活リズムを保つ
  • 声のかけ方・話の聞き方を管理職で共有
  • 心身の健康維持の情報を社内イントラネットで配信・共有
環境整備支援
  • パソコン・Webカメラ等を会社が貸与
  • 光熱費・電気代補助として1日100円を支給

新たに在宅勤務制度を導入するにあたり、社員にはWeb会議の研修やセキュリティ要領の作成・周知も行っています。

【参考】
富士ソフト企画株式会社 公式サイト
富士ソフト企画株式会社(令和2年度登録)|チャレンジホームオフィス

在宅就労支援事業団の軽作業


出典:特定非営利活動法人在宅就労支援事業団 公式サイト

特定非営利活動法人 在宅就労支援事業団では、パソコンを使った業務を在宅ワーカーに任せるだけでなく、加工業務や配布業務、文書の封入作業なども請け負っています。

在宅就業支援団体として事業主と在宅ワークを行う障害者の間に立って行うのは、在宅ワーカーへの発注や納品物の品質管理、ワーカーへの報酬支払い、事業主への書類発行など。約1万名という多数の在宅ワーカーが登録しているため、短納期かつ高ロットの業務にも対応できるのが特徴です。

業務の振り分けと軽作業等に必要な材料の配送を常勤スタッフとボランティアスタッフで行い、業務支援は個別の就労支援プログラムに沿った形で実施。独自の在宅就労管理システムを開発し、在宅ワーカーの業務管理に活用してきました。

<在宅就労支援事業団における在宅ワーク>

勤怠管理 独自の在宅就労管理システムを開発・運用
業務管理 常勤スタッフ・ボランティアスタッフが担当

  • 事業主からの受注
  • 在宅ワーカーへの業務の振り分け
  • ワーカーの自宅へ材料を配送
  • 完成物の引き上げと検品
  • 事業主へ納品

在宅就労管理システムを用いた日報の提出

支援体制 個別の就労支援プログラムに基づき指導・支援

元在宅ワーカーの常勤スタッフが事情を考慮して支援

在宅就労管理システムの活用

  • 全員への一斉通知
  • 遠隔サポート
  • 訓練・作業項目の参照リンク表示

支援員とのチャットを使った相談・アドバイス等

在宅就労管理システムは、以下の関連記事でも紹介しています。

(関連記事)
【障害者の在宅ワーク】業務管理に使えるツール3選

【参考】
特定非営利活動法人在宅就労支援事業団 公式サイト

配送方法の工夫と作業手順書の整備で在宅ワークへ

在宅ワークで封入・封かんや軽作業などを実施する場合には、在宅でも業務の進め方がすぐ分かるような仕組みが必要となります。これには、何をどのように進めたらよいのかをいつでも確認できる「作業手順書(写真や動画つき)」を作成するなどの方法が考えられるでしょう。

実際に作業を進める中で生じた疑問や課題は、各種コミュニケーションツールを使って説明・相談したり、出社時に一緒に取り組んでフィードバックを行ったりするといった対応方法があります。

実際に軽作業等を在宅ワークで実施している取り組み事例を参考にしながら、業務の切り出しや環境整備を進めいくとよいでしょう。

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