障害の種類・等級によるカウント方法の違い|障害者雇用制度


障害者雇用促進法で規定されている法定雇用率の対象障害者は、身体障害者・知的障害者・精神障害者です。

法定雇用率を達成したかどうかを判断するには、常用雇用労働者数を計算する必要がありますが、単純に1人を「1」でカウントできるわけではないため、注意が必要。障害の種類や重さ、その他の条件によってダブルカウントが適用されることがあります。

今回は、障害の種類・等級によるカウント方法の違いを確認しましょう。

障害者雇用促進法における障害者雇用義務と法定雇用率

障害者の職業安定を図る障害者雇用促進法が改正され、特に法定雇用率が引き上げられたことや精神障害者が雇用義務対象となったことが大きく注目されました。ここで、もう一度障害者雇用義務制度について復習しておきましょう。

障害者雇用義務制度とは

障害者雇用義務制度とは、職業が不安定になりやすい障害者の新規雇用と継続雇用を促進するために設けられたものです。

この制度の適用対象は常用雇用労働者数が45.5人以上の事業主。法定雇用率以上の割合で障害者を雇用することが義務づけられています。

法定雇用率と法定障害者数

法定雇用率は、働ける人の数に占める働ける障害者の数の割合から求められます。2019年時点での民間企業の法定雇用率は2.2%です。

法定雇用率の対象となる障害者は、手帳や判定書等を所持している身体障害者・知的障害者・精神障害者。法定雇用率から求められる各事業主が雇うべき障害者数を「法定雇用障害者数」といいます。計算式は以下の通り。端数は切り捨てます。

労働者1人=「1」とは限らない!基本の常用雇用労働者数の計算方法

法定雇用率を達成したかどうかは、毎月の基礎算定日に法定雇用障害者数以上の障害者を雇っているかどうかを計算した上で、それを年度間で合計して判断されます。

そのため、まずは計算に必要な常用雇用労働者数をカウント方法に従って求めなければなりません。カウントを誤ると正しい常用雇用労働者数を求められず、報告書等で修正を求められてしまいます。

常用雇用労働者とは

常用雇用労働者とは、週20時間以上働く労働者のこと。正社員はもとより、有期契約であっても1年を超えて雇用しているか、雇入れから1年を超えて雇用すると見込まれる労働者も含まれます。パート・アルバイト、派遣社員なども週20時間以上働いていれば常用雇用労働者となりますので忘れずにカウントしましょう。

また、常用雇用労働者には、短時間労働者とそれ以外の労働者の区別があります。短時間労働者とは、週の労働時間が20時間以上30時間未満の労働者。週20時間未満の労働者は、常用雇用労働者とは見なされず、カウント対象外です。

常用雇用労働者数のカウント方法

常用雇用労働者を計算する際、基本的には労働者1人をそのまま「1」としてカウントします。しかし、短時間労働者は「0.5」でカウントしなければなりません。

所用雇用労働者の区分とともにまとめると、次の表のようになります。

常用雇用労働者数と法定雇用障害者数の計算例

では、実際に計算してみましょう。表にある労働者の区分と人数、カウント方法を用いて計算します。

次に、この民間企業における法定雇用障害者数を計算してみましょう。

法定雇用障害者数=59×2.2%=1.298

端数は切り捨てますので、法定雇用障害者数は1人となります。

障害者は種類・等級や条件によってカウント方法が異なる

前項の計算例では、法定雇用障害者数が1人となりました。では実際に障害者を1人雇用すれば法定雇用障害者数を達成できるのでしょうか。実は、そうとも限らないのがポイントです。障害の種類や等級、その他の条件によってカウント方法が異なるためです。

身体障害者である場合のカウント方法

法定雇用率の対象となる身体障害者の場合、重度であるか否かでカウント方法が変わります。

3級〜6級に該当する障害を持っていたり、7級に該当する障害を2つ以上重複して持っていたりする重度でない身体障害者は、障害者ではない労働者とカウント方法は同じ。つまり、短時間労働者なら1人を0.5でカウントし、短時間労働者でない常用雇用労働者なら1人を1でカウントします。

一方、1級または2級の障害を持っているか、3級に該当する障害を2つ以上重複して持っている場合は重度身体障害者とされ、「ダブルカウント」が適用されます。これは通常のカウント方法を2倍するもので、短時間労働者は1人を1で、短時間労働者以外の常用雇用労働者は1人を2でカウントします。

よって、法定雇用障害者数が1人の場合、次の選択肢があります。
 重度身体障害者を1人雇う
 重度でない身体障害者で週30時間以上働く人を1人雇う
 重度でない身体障害者で短時間労働者である人を2人雇う

知的障害者である場合のカウント方法

知的障害者の場合も重度か否かでカウント方法が異なり、重度の場合はダブルカウントが適用されます。重度でない場合は、通常のカウント方法と同じです。

障害の重さの表記は、都道府県によって異なるため注意しましょう。東京都の場合は「1度」と「2度」が重度とされ、神奈川県では「A1度」と「A2度」が重度とされます。

法定雇用障害者数が1人の場合、知的障害者を雇い入れるにあたって次の選択肢があります。
 重度知的障害者を1人雇う
 重度でない知的障害者で週30時間以上働く人を1人雇う
 重度でない知的障害者で短時間労働者である人を2人雇う

精神障害者である場合のカウント方法

精神障害者の場合、精神保健福祉手帳で1級〜3級とされる全ての人が法定雇用率の適用対象です。精神障害には重度か否かの区分がないため、原則として通常のカウント方法が適用されます。

しかし、精神障害者である労働者が一定の条件を満たす短時間労働者である場合は、特例として1人を1でカウントします。その条件とは、次の2つを満たすことです。
(1) 新規雇入れから3年以内の人、または手帳取得から3年以内の人
(2) 2023年3月31日までに雇入れられ、手帳を取得した人

よって、法定雇用障害者数が1人の場合、次の選択肢があります。
 精神障害者で30時間以上働く人を1人雇う
 精神障害者で短時間労働者である人を2人雇う
 精神障害者で短時間労働者であり、特定の条件を満たす人を1人雇う

障害者雇用にかかる障害者のカウント方法まとめ

以上のカウント方法をすべてまとめると、下の表のようになります。この表を使って、実際に計算をしてみましょう。

たとえば、ある民間企業が6月に以下の常用労働者を雇用していたとします。
 週所定労働時間30時間以上で障害者でない労働者:40人
 短時間労働者で障害者でない労働者:20人
 週所定労働時間30時間以上で重度でない身体障害者:3人
 短時間労働者である重度身体障害者:1人
 短時間労働者である重度でない知的障害者:2人
 短時間労働者で特定の条件を満たさない精神障害者:2人
 短時間労働者で特定の条件を満たす精神障害者:3人

カウント方法に従って計算すると、この民間企業の6月の常用雇用労働者数は59人です。

法定雇用障害者数=59×2.2%=1.298

ですので、法定雇用障害者数は1人。また、この月における対象障害者である常用雇用労働者数は9人です。

以上のような計算を各月の算定基礎日で行い、年度間で合計した法定雇用障害者数と対象障害者である常用雇用労働者数の数を比較(※)することで、法定雇用率が達成できたかどうかを判断します。

※毎月の計算例と障害者雇用納付金で徴収または支給される金額の計算については、「障害者雇用納付金制度とは?仕組み・算出方法を徹底解説!」へ。

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