見たことある? 点字ブロックのQRコードで「shikAI」が道案内—西武グループの障害者支援


2020年6月、西武グループは、障害者の社会参加促進に向けた変革を目指す The Valuable 500 への参加にあたり、施設のバリアフリー化やユニバーサルマナーの習得、障害者雇用推進などのコミットメントを発表しました。2022年には駅の点字ブロックにQRコードを使って視覚障害者の移動をサポートする実証実験を実施。その他、多くの場面で障害者の社会参加をサポートしています。

「shikAI」QRコードがついた点字ブロックで視覚障害者を案内


出典:LiNKX「インクルーシブ社会の実現に向けた取り組みの推進視覚障がい者QRナビゲーションシステム「shikAI」の実証実験を行います」|PR TIMES

株式会社西武プロパティーズ、西武鉄道株式会社、リンクス株式会社の3社が、インクルーシブ社会の実現に向けた取り組みとして2022年3月に「shikAI」の実証実験を行いました。

「shikAI(シカイ)」とは、視覚障害者QRナビゲーションシステム。点字ブロックの上に設置したQRコードを専用アプリで読み取ることで、目的地までアプリが案内してくれるシステムです。各QRコードには正確な位置情報が紐付けられており、視覚障害をもつ方が迷うことなくホームから改札、改札からできの出口へと向かえるよう支援します。

実証実験は西武鉄道池袋線東長崎駅とその周辺で行われました。「全ての障がい者が安心して生活できる世界」の実現を目指すリンクスと、障害者を含む全てのお客様が快適に利用できる施設やサービスを目指す西武グループが協働した取り組みです。

現在、「shikAI」対応の駅・エリアは以下のようになっています。

<shikAI対応駅・エリア>

  • 対応駅: 東京メトロ
    銀座線 外苑駅前
    千代田線 明治神宮前(原宿)駅
    副都心線 明治神宮前(原宿)駅、北参道駅、西早稲田駅
    有楽町線 新木場駅、辰巳駅、東池袋駅、護国寺駅、豊洲駅
  • エリア
    東池袋駅~豊島区役所間
    東池袋駅~豊島区中央図書館(ひかり文庫)間
    豊島区役所~豊島区中央図書館(ひかり文庫)間

西武グループのV500参加とコミットメント

西武グループは、障害者の社会参加を支援する活動を行う中で、2020年に「The Valuable 500」(以下、V500)への参加を発表しました。

V500とは、2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(「ダボス会議」)で発足した、障害者の社会参加推進のための改革を世界500社のビジネスリーダーが起こすべく結成された国際的な組織です。

V500へ参加するには、それぞれの企業やグループが障害者の社会参加推進のために何らかのコミットメントを行うことを発表しなければなりません。西武グループでは、以下の3点について取り組みを進めるとしています。

<西武グループのV500コミットメント>

  1. 様々なお客さまに配慮した施設への改良
    1. 西武グループを利用するすべてのお客さまが安全に、安心して過ごせる施設・空間の提供を目指す
    2. 西武グループを利用するすべてのお客さまが不自由なく快適に過ごせる施設・空間の提供を目指す
    3. 電車、駅施設、ホテル、商業施設などのユニバーサルデザイン化を進める
  2. 様々なお客さまに満足いただけるサービスの提供
    1. 従業員を対象にユニバーサルマナー、心のバリアフリーに関する教育・研修を行う
    2. 従業員のユニバーサルマナーや心のバリアフリーに関する資格取得を推進する
    3. サービスの質の向上を図る
  3. 障害者雇用の促進、働きやすい職場環境の整備
    1. すべての従業員が活躍できる職場を目指す
    2. 障害の有無にかかわらず、従業員一人ひとりの人格や個性を尊重する
    3. 安心して働くことができる職場をつくる
    4. 多様な人材の力を西武グループの成長の源泉とする

では、こうした方針の下で西武グループが具体的にどのような取り組みを進めているのか、見ていきましょう。

西武グループにおける障害者雇用

西武グループ各社では、それぞれに障害者雇用を進めています。その代表的なグループ会社の1つが、西武グループの特例子会社である株式会社西武パレット(以下、西武パレット)です。2007年6月に設立され、約40名の方が働いています。

同社が担当する業務は

  • 沿線の乗務所や外泊所、社員寮、グループ会社の清掃業務
  • 沿線の乗務員事務所、外泊所等のベッドメイキング業務
  • 鉄道本社で送受する郵便物等の集配サービス
  • 鉄道本社OAコーナー用紙等の補給・在庫管理サービス
  • 書類の仕分け・封入・押印等、不要書類のシュレッダー業務
  • 西武鉄道の社内媒体ポスターの交換業務やポスターボードの清掃等

など多岐にわたるのが特徴で、主に知的障害者の方が多く働いているようです。

1日のスケジュールは、一例として以下のような流れが公式サイトで紹介されています。

<西武パレットの1日(石神井公園駅宿泊所での業務例)>

出勤 元気に挨拶

今日の目標を記入

業務開始の準備に入る

朝礼 全員でストレッチを実施

注意事項を共有

業務

(本社の場合)

名刺作成・経理伝票整理・ハスラー業務

リーダーと作業を確認

手順に沿って進める

業務

(宿泊所の場合)

シーツ交換・清掃業務

洗面台や浴室など、隅々まで丁寧に磨く

夕礼 一日の振り返り

その中で、従業員一人ひとりの安定した職業生活に向けて、以下のような取り組みを行ってきました。

<西武パレットの障害者雇用の取り組み>

  • 働くための基本である生活習慣を確立できるよう勤務時間を考慮
  • 年間教育訓練計画を策定し、それに則って社員教育を実施
  • 家族や支援者との連携を深めるため、年2回の4者面談を実施
  • 会社行事を積極的に行いコミュニケーションの維持・向上を図る
  • 指導役となるリーダーは障害者職業生活相談員の資格を取得
  • 県の機関、特別支援学校、地域の就労支援センター等との情報交換に積極的に参加
  • 支援学校初任教諭の体験研修、支援学校生徒の職場実習、見学会等の積極的な受け入れ

各業務はチームを組んで進めているようです。リーダーが各メンバーにとって作業を進めやすい環境づくりや各人のスキルアップをサポートしており、メンバーの方々からは
「リーダーから評価してもらったときは嬉しい」
「次第に作業スピードが上がってきていると自身で実感できることが、やりがいにもつながっています」
といったコメントが寄せられています。

障害者の社会参加に関する他の取り組み

グループ内での障害者雇用だけではありません。西武グループでは、お客様である障害をもつ方の移動をサポートするさまざまな施設やサービスを導入しています。今回は、その中から「ミライロID」や鉄道、タクシーについてご紹介しましょう。

「ミライロID」の支援と活用

2021年2月、西武鉄道は、株式会社ミライロへ(以下、ミライロ)の増資を引き受けました。ミライロは、障害者手帳を電子化してスマホで提示できるサービス「ミライロID」を提供する企業です。

「ミライロID」の利用ができるのは、航空、鉄道、バス、フェリーといった全国の交通機関だけでなく、動物園・水族館、博物館・美術館、テーマパーク、映画館、自治体、飲食店や小売店など、実にさまざま。もちろん、西武鉄道や西武バス、西武園ゆうえんち、埼玉西武ライオンズでも利用できます。

増資を決定した当時、西武鉄道は「ミライロ社が有する、障害のある方々の安全かつ快適な生活を支援する数多くの知見を、当社及び西武グループの各種取り組みに活か」すことで、障害をもつ方々がハード・ソフト両面において安全・安心に暮らせる社会づくりに、一層貢献したいとコメントしました。

なお、「ミライロID」の利用開始方法等は以下の関連記事で詳しく説明しています。使ってみたい方はぜひご覧ください。

(関連記事)
「ミライロID」で障害者割引チケット販売開始! ミライロIDの利用方法は?

車両バリアフリーの推進

西武鉄道の40000系では、車両バリアフリーを推進しています。具体的には、車椅子やベビーカーを利用する方に便利なパートナーゾーンの設置、新型特急車両「Laview」での多機能トイレの設置などです。

駅係員についても公益財団法人「日本ケアフィット共育機構」による認定資格「サービス介助士」の取得を進めており、車椅子等でサポートが必要になった際に対応しやすい体制を整えています。

UDタクシーの導入

また、西武ハイヤーでは、車椅子のまま利用できるUDタクシーを導入しました。24時間いつでも配車を受け付けており、空港や駅への送迎、通院、買い物などでの利用にも対応しています。

UDタクシーでは、スライド式スロープで車椅子のスムーズな乗り入れが可能で、車内には車椅子後退防止ベルトも採用。助手席側のスライドドア付近には、安全な乗り降りをサポートするスライドステップ、乗降用手すりなどもあります。

車椅子利用の場合は乗員を除いて3名まで、車椅子なしの場合は4名まで同時に利用できますので、障害のある方本人とともに、家族や介助者も一緒に乗れます。

営業認可エリアである多摩・埼玉地区内はGPS無線配車で素早く送迎が可能。通常のタクシーメーターと同じ料金体系で気軽に利用できるのも大きな魅力です。

西武グループの企業理念と主な事業


出典:西武ホールディングス 公式サイト

西武グループでは「でかける人を、ほほえむ人へ。」というスローガンをもつグループビジョンを定めています。手がける事業は多岐にわたり、「いつも利用している!」という方も多いでしょう。

グループビジョン「でかける人を、ほほえむ人へ。」

西武グループのグループビジョンは、「グループ理念」「グループ宣言」「スローガン」で構成されています。

<西武グループのグループビジョンの概要>

グループ理念 私たち西武グループは地域・社会の発展、環境の保全に貢献し、安全で快適なサービスを提供します。

また、お客さまの新たなる感動の創造に誇りと責任を持って挑戦します。

グループ宣言 私たちは、「お客さまの公道と感動を創りだす」サービスのプロフェッショナルをめざします。

  1. 誠実であること
  2. 共に歩むこと
  3. 挑戦すること
スローガン でかける人を、ほほえむ人へ。

グループビジョンを社員に浸透させるため、西武グループでは毎年グループ全役職員を対象に「グループビジョン定点調査アンケート」を実施。グループビジョンに基づく素晴らしい取り組みを表彰する「チームほほえみ賞・大賞」や、挑戦しやすい風土づくりやグループ内の横断的な連携を目的に「ほほえみFactory」という社員から経営層に施策やアイデアを提案する仕組みなども設けました。

施設のバリアフリー化やユニバーサルマナーの習得、障害者雇用推進も、これらのビジョンに基づいて進められています。

主な事業


出典:西武ホールディングス 公式サイト

西武グループが手がける事業は、鉄道、バスといった交通インフラ、レジャー、不動産、建設、球団運営など実にさまざまです。

人々の移動手段の提供では、これまでもご紹介してきた西武鉄道や西武ハイヤーがあり、西武バスを利用している方も多いでしょう。観光地として人気の高い伊豆箱根でも、伊豆箱根鉄道、伊豆箱根バスなど、人々の足として広く利用されています。

宿泊業としては、国内で49のホテルを運営。「プリンスホテル」が代表的なホテルで、近隣でボウリングやテニスができる、水族館の近くにあるといった立地のよさが人気です。結婚式場のあるホテルも国内外に約30あります。

レジャーでは「西武園ゆうえんち」が有名です。他にも、テニス、ボーリングといったアクティビティ施設や国内に30以上のゴルフ場も手がけています。

買い物や食事では、「東京ガーデンテラス紀尾井町」という大規模複合施設が2016年に竣工し、公益財団法人「都市緑化機構」によって「都市のオアシス」に認定されました。西武鉄道沿線にも「新横浜プリンスぺぺ」など、多数の商業施設を展開しています。

【参考】
LiNKX「インクルーシブ社会の実現に向けた取り組みの推進視覚障がい者QRナビゲーションシステム「shikAI」の実証実験を行います」|PR TIMES
西武グループコミットメント|西武ホールディングス
The Valuable 500 公式サイト
株式会社ミライロ「障害者の視点からダイバーシティ&インクルージョンの推進を行う「ミライロ」が2億8,000万円の資金調達を実施」|PT TIMES
社会-ユニバーサルデザイン対応|西武ホールディングス
UDタクシーのご案内|西武ハイヤー
障がい者雇用の推進(西武パレットについて)|西武グループ
株式会社 西武パレット 会社概要
埼玉県障害者雇用優良事業所の紹介(第41号-第45号)|埼玉県

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