【合理的配慮好事例・第21回】精神障害者は障害者雇用のどんな職域で働いている?厚労省の調査やJEED好事例集をチェック


2021年1月に公表された「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」では、民間企業での精神障害者雇用数が8万8,016人となりました。雇用される身体障害者(約36万人)や知的障害者(約13万人)に比べてまだ少ないものの、年々雇用数を伸ばしています。

精神障害をもつ方々は、どのような職域で働いているのでしょうか? 厚生労働省の調査結果や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の好事例集などから、精神障害者の雇用数が多い産業や業務を見てみましょう。

精神障害者を多く雇用している産業は?(令和2年 障害者雇用状況報告の集計結果から)

厚生労働省が毎年発表している「障害者雇用状況報告の集計結果」は、民間企業や国・都道府県の機関、教育委員会、独立行政法人などで雇用されている障害者の数を集計したものです。

民間企業で雇用される障害者数については、従業員45.5人以上の会社に関する結果がまとめられており、産業別に雇用されている身体・知的・精神障害者の内訳も公表されています。製造業については区分別の雇用者数もあります。

最新版の令和2年集計結果によれば、精神障害者の雇用数が特に多い産業と製造業の区分は、以下のようになりました。

<精神障害者の雇用数が多い産業 TOP5(2020年)>

  • 医療・福祉(約1万7,000人)
  • 製造業(約1万6,000人)
  • 卸売業、小売業(約1万5,000人)
  • サービス業(約1万2,000人)
  • 情報通信業(約6,000人)

<精神障害者の雇用数が多い製造業の区分 TOP5(2020年)>※「その他」を除く

  • その他機械(約4,400人)
  • 電気機械(約2,500人)
  • 食料品・たばこ(約2,400人)
  • 化学工業(約2,000人)
  • パルプ・紙・印刷(約1,000人)

産業別で第2位となった製造業では、機械に関わる事業で働く精神障害者が多いようす。医療・福祉や卸売業・小売業などの分野では、事業所によって差はあるものの、全体として精神障害者と共に働くノウハウが蓄積されている可能性があります。

【参考】
障害者雇用状況報告の集計結果について|厚生労働省

どのような職業が多い?(平成30年度 障害者雇用実態調査から)

ただ、同じ産業でも実際に事業所で従事する職域は異なることがあります。こうした障害者雇用の実態を調査したものが、5年に1度実施される「障害者雇用実態調査」(厚労省)です。

先述の「障害者雇用状況報告の集計結果」よりもずっと規模は小さいものの、平成30年度は約9,200事業所を対象に調査を実施。従業員数5人以上の事業所における障害者雇用の実態を報告しています。

精神障害者が働く分野として多いTOP3は

  • サービス業(30.6%)
  • 事務的職業(25.0%)
  • 販売の職業(19.2%)

でした。

また、同集計では発達障害をもつ方の状況も報告。精神障害で手帳を所持している方の中には発達障害をもつ方もいるため、こちらも参考になるでしょう。

発達障害者に多い職業では

  • 販売の職業(39.1%)
  • 事務的職業(29.2%)
  • 専門的、技術的職業(12.0%)

がTOP3です。

ちなみに、精神障害者の雇用形態では「無期契約の正社員以外」が最多の46.2%、「有期契約の正社員以外」が次に多い28.2%となっており、非正規で働いている方が多いことも分かります。

(関連記事)
障害者枠で就職した人の給料は?|平均月収と障害者枠のメリット
障害者雇用の賃金はなぜ安い? 最低賃金制度と減額特例

【参考】
平成30年度障害者雇用実態調査の結果を公表します|厚生労働省

精神障害者の職域や担当業務の事例(JEED障害者雇用職場改善好事例集から)

精神障害をもつ従業員の実際の働き方や職場環境の整え方については、JEEDが毎年公表している障害者職場改善好事例集が大変参考になります。

たとえば平成30年度の好事例集(テーマ「精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善」)では、以下のようなデータ入力や書類作成・チェック、清掃、サイト更新などの業務に従事する好事例が紹介されました。

他年度の好事例集でも、さまざまな事業の中でデータ入力やメール管理といった事務系業務を担っているケースが多いようです。

障害特性の関係で電話や来客の対応については、苦手とする人も少なくありません。ただ、別の業務で自信をつけてから段階的な練習を重ねることで対応できるようになった例もあります。

実際にどの業務を担当できるかは個人差が大きいと考えましょう。

なお、専門知識を持っている場合は職域も広がりやすく、多様な専門分野で働く方々の姿も紹介されています。

(関連記事)
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【参考】
精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例集(平成30年度)

職場における精神障害者への合理的配慮

今回は精神障害をもつ方の職域について紹介してきました。ここで改めて気をつけてほしいのは、「精神障害があるから、この業務は難しい」と一律に決めることはできないという点です。

障害がある方の「働きにくさ」は、障害と環境の両方に要因があると考えなければなりません。障害特性は変えようと思って変えられるものではないため、まずは業務を遂行しやすいように職場環境を整えましょう。

多くの事業所では障害者職業センターや就労移行支援事業所などの支援機関と連携し、日々の支援や面談などを実施しています。また、精神障害をもつ方の疲労を軽減するため柔軟な休憩時間を設定したり、体調不良の際にきちんと休める勤務制度や通院のための休暇制度を導入したりする事業所もあります。

具体的な事例や合理的配慮の提供の仕方などは、以下の関連記事で紹介・解説していますので、ぜひご覧ください。

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