フレックスタイム制とは? 障害者雇用におけるメリット・デメリット


働き方改革や感染症拡大防止などの観点から広く導入され始めているフレックスタイム制。実は、障害者雇用でも安定した勤務がしやすくなるなどの理由で導入する企業があります。

フレックスタイム制とはどのような制度なのでしょうか? 障害者雇用におけるメリット・デメリットともに、注意点やフレックスタイム制導入の支援などについて解説します。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた一定期間の合計労働時間の中で、従業員自身が日々の始業・終業・労働時間を自分で決められる勤務制度。「今日は8時間、明日は3時間」というように、従業員の体調や都合に合わせて勤務時間等を調整できるのが最大の特徴です。

フレックスタイム制では、必ず勤務していなければならない「コアタイム」を設定する場合と、コアタイムを設定しない場合があります。

多くの一般企業では昼休憩前後の11:00-15:00あたりをコアタイムに設定し、ミーティング時間として活用しています。しかし、障害者雇用を推進する特例子会社などでは、従業員の通院や体調不良に柔軟に対応できるよう、コアタイムを設定しないケースも見られます。

フレックスタイム制における「あらかじめ定められた一定期間」は「清算期間」、清算期間の合計労働時間は「清算期間における総労働時間」(「清算期間における所定労働時間」)と呼ばれます。

フレックスタイム制では、「標準となる1日の労働時間」を定めなければなりません。これは、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金を計算するために使う労働時間で、以下の式で求めた時間を基準に定めます。

「標準となる1日の労働時間」≒(清算期間の総労働時間)÷(清算期間の所定労働日数)

その他、始業時刻の範囲(8:00-11:00など)や終業時刻の範囲(15:00-19:00など)を定める「フレキシブルタイム」を設定する企業もあります。

障害者雇用におけるフレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制のメリットは、柔軟な勤務時間によって働きやすい環境を実現でき、職場定着につながること。デメリットは、打ち合わせの時間設定に気をつける必要があることと、実務対応が従来と異なるため注意深い雇用管理が必要になることです。

<フレックスタイム制のメリット>

  • 障害特性に合わせて休憩時間を設定できる(こまめな休憩時間の設定・満員電車の回避など)
  • 自分の予定に合わせて勤務時間を設定できる(通院・育児・介護・学校など)
  • 通院や体調不良による遅刻で休暇を取得する必要がない
  • 1カ月〜3カ月単位で総労働時間を見直せる
  • 働きやすさが職場定着につながる

<フレックスタイム制のデメリット>

  • コアタイムがないと打ち合わせ等がしにくい
  • 清算期間における総労働時間の過不足が、清算期間後でないと判断できない
  • 清算期間における総労働時間よりも短い実労働時間になり、不足時間分を次の清算期間の総労働時間に合算する(繰り越しする)場合、次の清算期間が過重労働になる可能性がある

障害者雇用でコアタイムはあり? なし?

フレックスタイム制のデメリットの1つに「打ち合わせ等がしにくい」ことがあります。それを解消できるのが、コアタイムの設定です。

しかし、コアタイムを設定してしまうと、今度は通院や急な体調不良などでの遅刻・早退がしにくいというデメリットが生まれてしまいます。

フレックスタイム制でコアタイムを設定するかどうかは、基本的には、従業員の体調管理や打ち合わせ時間の必要性などから判断するとよいでしょう。

1〜数カ月に1回の集合研修や会議などで顔を合わせる必要がある場合は、あらかじめ時間を調整して連絡しておけば、コアタイムなしでも実施可能です。毎週実施する複数人での打ち合わせ等がある場合は、その時間帯をコアタイムにしてもよいかもしれません(通院や遅刻等への配慮は必要)。

障害者雇用において、コアタイムなしでフレックス制を活用している事業所も複数ありますので、それらの事例を参考にしつつ検討してみてください。

【参考】
検索結果「フレックスタイム」|障害者雇用事例レファレンスサービス

残業・遅刻の扱い方

フレックスタイム制の場合、残業や遅刻の扱いには注意が必要です。

残業については、清算期間の総労働時間を超える労働時間でないと時間外労働とは見なされません。(法定労働時間を超えて時間外労働を行えるようにするには36協定の締結が必要です。)

遅刻についても、清算期間の総労働時間に満たない実働時間となっていない限り、欠勤とは見なされません。

1カ月の法定労働時間の総枠は、清算期間に応じて以下のようになります。

ただし、例外もあります。完全週休2日であり、かつ労使で協定が成立すれば「清算期間内の所定労働時間×8時間」を労働時間の限度とすることが可能。この場合、法定労働時間の総枠を超える月でも「清算期間内の所定労働日数×8時間」による総枠を超えなければ、法定労働時間の総枠を超えても時間外労働とは見なされません。

フレックスタイム制の導入支援・相談窓口

フレックスタイム制は従来の「週5日、1日8時間」といった固定された働き方と異なるため、実務対応でも多くの変更点があります。そうした違いや具体的な対応方法を解説したのが、厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」です。

フレックスタイム制導入にあたっての法律相談や課題解決に向けた相談などができる窓口もあり、東京都ではフレックスタイム制導入に助成金や奨励金も出しています。

厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」

障害者雇用に限らず、フレックスタイム制導入は働き方改革の一環として近年特に注目されてきました。

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」ではフレックスタイム制に関する改正が行われ、2019年4月に施行。この法改正により、清算期間の上限が1カ月から3カ月に延長されました。「7月は資格勉強で忙しくなるので6月に多めに働く」など、1カ月単位で清算する場合よりも柔軟な働き方が可能になったのです。(1カ月ごとの労働時間は週平均50時間。これを超える場合は時間外労働となります。)

厚生労働省でも「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」を発行し、フレックスタイム制導入の仕方などを解説しています。

清算期間が1カ月以下の場合、以下の2点を満たせばフレックスタイム制を導入可能です。

  1. 就業規則等で規定する
    1. 「フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻については、従業員の自主的決定に委ねるものとする」など。
  2. 以下の項目について、労使協定の締結を行う
    1. 対象となる労働者の範囲
    2. 清算期間
    3. 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
    4. 標準となる1日の労働時間
    5. コアタイム(任意)
    6. フレキシブルタイム(任意)

清算期間が1カ月を超える場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要もあります。届出をしない場合は30万円以下の罰金が科せられることがありますので、忘れずに届出を行いましょう。

詳しくは、厚生労働省による手引きを確認してください。

【参考】
フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省

相談窓口や奨励金

働き方改革関連法や課題解決に関する相談は、以下の窓口で受け付けています。

障害者雇用に関する相談先については、以下の関連記事で紹介しています。

(関連記事)
【事業主編】まずは理解しておきたい!分かりやすい障害者雇用促進法(後編)

また、フレックスタイム制導入などの取り組みに対して東京都では奨励金や助成金を出してします。詳しくは以下の関連記事や参考記事をご覧ください。

(関連記事)
東京都・神奈川の障害者雇用支援一覧|奨励金・助成金・補助金

【参考】
働き方改革宣言奨励金|東京都産業労働局
働き方改革助成金|東京都産業労働局

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