「サービス介助士」とは? 全国に約19万人!大手企業でも取得実績


「サービス介助士」という民間資格は、障害への知識と介助スキルを学ぶ講座を受講し、試験を受けることで取得できます。改正障害者差別解消法の成立で民間企業でも合理的配慮の提供が義務化されるにあたり、お客様だけでなく、障害をもつ同僚への配慮という点でも役立つ資格です。サービス介助士の資格取得の流れや講座の内容について見ていきましょう。

「サービス介助士」は仕事に活かせる!空港スタッフや駅員などが取得

空港や駅を利用していて、下のマークやバッジを見たことはありませんか?


出典:サービス介助士|日本ケアフィット共育機構

これは、「サービス介助士」という資格をもつ人が身につけられるマーク。障害のある方や高齢の方のサービス利用を支援したり、日常生活で適切な配慮を提供したりするための知識と技術を習得していることを意味します。

サービス介助士は公益財団法人ケアフィット共育機構(以下、ケアフィット)の民間資格です。もともとは「サービス介助士2級」など、2級・準2級・3級といった等級が設定されていたものの、2016年4月から以下のように正式名称が変更されました。

サービス介助士は英語で「Care-Fitter」といい、履歴書にも書ける資格となっています。

サービス介助士は国家資格ではありませんが、大手企業も含む1000社で社員に取得させており、2021年6月1日時点で全国に約19万人のサービス介助士がいます。取得者の約47%が交通系の業務に従事する方々、約25%が小売りや流通に携わる方々です。


出典:サービス介助士(ケアフィッター)とは|ケアフィット

たとえば、JR東日本、東京メトロ、東急電鉄、京王電鉄、小田急電鉄などでサービス介助士の資格取得を推進する他、ANAや東京ディズニーリゾートでもサービス介助士が働いています。

就職活動中の方がサービス介助士取得のメリットは?

就職活動をしている方がサービス介助士を取得するメリットは何でしょうか? それは、多様性が当たり前となった社会でさまざまなお客様に対応できる知識とスキルを持ち、より多くの状況に対応できるようになるということです。

職種によっては、普段お客様との直接的な接触がないかもしれません。しかし、もしサービス介助士を取得していれば、いざというときに高齢の方や障害をもつ方への対応が可能です。

交通機関や空港、小売などではサービス介助士の取得が推進されているため、そうした業界への就職活動でも役立つでしょう。

改正障害者差別解消法の合理的配慮とサービス介助士

では、企業でサービス介護士の取得を推進するメリットは何でしょうか?

まず、企業にとってサービス介助士が社員にいることは、高齢のお客様や障害をもつお客様に適切なサービスを提供する知識とスキルを身につけている社員がいることを意味します。年齢や障害の有無に関係なく安全で快適にサービスを利用できるよう配慮・支援することは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも寄与する大切なポイントです。

加えて、職場での合理的配慮の提供においても、サービス介助士で学んだ知識やスキルが大いに役立ちます。

2021年5月28日、障害者差別解消法の一部を改正する法律が国会で成立しました。主な改正内容は、これまで努力義務にとどまっていた民間企業での合理的配慮の提供を義務化することと、行政機関相互の連携強化と差別解消のための支援措置の強化をすることです。本改正の施行日は公布の日から3年以内とされていますが、なるべく早く施行されることになっています。

合理的配慮とは何か、どのように提供していけばいいのかについては、当マガジンでもお伝えしてきました。合理的配慮が義務化されるにあたり、それぞれの事業主があらためて合理的配慮の提供について考えなければならないでしょう。

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サービス介助士の資格をもつ社員が増えれば、同じ職場で働く障害をもつ社員がさまざまな場面で支援を受けやすくなり、ひいては合理的配慮のスムーズな提供にもつながります。

ジョブコーチや就労移行支援事業所と連携するとともに、高齢の方や障害をもつ方の状況を理解し具体的な介助ができる人材を育てることは、今後の障害者雇用を進める大きな力になるでしょう。

ホームヘルパー、介護職員初任者研修との違い

サービス介助士とよく比較されるものに、ホームヘルパーや介護職員初任者研修があります。サービス介助士とホームペルパーの大きな違いは、求められる専門知識・スキルや働く場所です。

ホームヘルパーは高齢の方や障害をもつ方の在宅での日常生活支援を行う知識・スキルを持っています。それに対して、サービス介助士の場合は、主に介護職以外の職場でお客様の年齢・障害の有無にかかわらずサービスを提供する知識・スキルが中心です。

サービス介助士よりホームヘルパーのほうが専門性の高い業務を担っていると考えてよいでしょう。

介護職員初任者研修は、もともと「ホームヘルパー2級」と呼ばれていた資格です。サービス介助士はケアフィットから認定される民間資格ですが、介護職員初任者研修は厚生労働省の指針に基づいて認定される国家資格となっています。ホームヘルパーのうち、訪問介護を行うには介護職員初任者研修を持っていなければなりません。

ホームヘルパーなどの介護職として専門性を高めるのであれば介護職員初任者研修を、介護職ではなく交通や小売り、流通などでサービスを提供していくことが主であるならサービス介助士を取得するという流れになるでしょう。

ユニバーサルマナー検定との違い


出典:ユニバーサルマナー検定|日本ユニバーサルマナー協会

高齢者や障害者への適切な配慮ができる知識やスキルを学ぶものに「ユニバーサルマナー検定」というものもあります。一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会による民間資格で、カリキュラムは障害のある当事者が監修しています。

ユニバーサルマナー検定とサービス介助士の最も大きな違いは、ユニバーサルマナー検定は日常生活での場面を想定しており、サービス介助士は業務における介助を想定しているという点です。

ユニバーサルマナー検定は3級から1級まであり、各級で学ぶ内容は以下のようになっています。

<ユニバーサルマナー検定の等級>

  • 1級:認知症、LGBT、聴覚障害、精神・発達障害といった選択式のカリキュラムと当事者のリアルに触れる体験を通して気づきを得る発展的講座
  • 2級:知的障害者・精神障害者・身体障害者・高齢者への実践的なサポート方法とより詳しい知識を学ぶ実践的講座
  • 3級:高齢者や障害者への基本的な向き合い方や声かけを学ぶ入門講座

特に2級については、高齢者や障害者へのサポート方法を学ぶ点でサービス介助士とユニバーサルマナー検定の内容は似ているでしょう。

一方で、ユニバーサルマナー検定は基本的な理解や声かけの段階から資格取得が可能で、1級になるとより広範な認知症やLGBTといった方々とのユニバーサルコミュニケーションも視野に入れている点がサービス介助士とは異なります。

日常生活の中で障害をもつ方も含む多様な人と適切なコミュニケーションをとり、必要に応じてサポートできるようになりたい場合は、ユニバーサルマナー検定から。業務で高齢の方や障害をもつ方のサポートをするのであればサービス介助士から学ぶと、より実践につながりやすいと考えられます。

サービス介助士になるには?

サービス介助士になるには、ケアフィットで受講を申し込む必要があります。資格取得にかかる期間は、企業に勤めている人でも平均で2か月ほどとのこと。最長受講期間は原則として1年間です。

受講は、社会人だけでなく大学生や専門学校生も可能。受講費は41,800円(消費税10%込)で、テキスト、提出課題問題集、課題採点費用、実技教習費用、検定試験・採点費用、認定状および認定証発行費用、教材および結果通知送料が含まれています。

サービス介助士の講座では、まず240ページ以上あるテキストで自宅学習を進め、100問の課題を提出。課題に合格したら実技教習を受け、最後に検定試験を受けるという流れになります。

実技教習は最短2日で完了するものの、仕事が忙しい方は日程調整が難しい場合もあるでしょう。そのようなときは、実技教習がなく自宅学習で受講が完了する「准サービス介助士」をまず取得し、都合に合わせてサービス介助士にステップアップするという道もあります。

なお、ユーキャンや産業能率大学でもサービス介助士に関連した学習が可能ですが、それで取得できるのは「准サービス介助士」まで。サービス介助士になるには、別途実技教習に申し込み、実技教習終了後に検定試験で合格する必要があります。

サービス介助士の実技教習の内容や持ち物 障害があっても受講できる?

サービス介助士のテキストを学習し課題提出で60点以上をとれれば、実技教習へ進めます。実技教習は「オンライン講座(6〜7時間)+対面形式で1日」または「対面形式で2日」のどちらかを選択可能です。

実技教習の内容には、高齢者疑似体験や2人1組になった視覚障害者の誘導、車いすを押して坂道を上がる、車いすから椅子へ移乗させるなど多くの実技があります。身体的に少し負担がかかり、汗をかくくらいの運動量になるようです。

サービス介助士の実技教習に必要な持ち物や服装は、以下のとおり。服装については、動きやすいパンツスタイルが推奨されています。

<実技教習当日の持ち物>

  • テキスト
  • 筆記用具(鉛筆・消しゴム)
  • 受講票
  • 身分証明書
  • 昼食(任意)
  • 汗をかいたとき用の着替え(任意)

<実技教習当日の服装>

  • ズボン(スカート、ローライズのズボンはNG)
  • 運動靴(サンダル、ハイヒール、ブーツはNG)
  • その他(襟ぐりの広い服はNG)

なお、急な体調不良で欠席した場合、欠席した日から14日以降に実技教習の再申し込みができます。受講中に妊娠が分かった場合は特例措置として受講期間の延長も可能です。

また、もし心身の障害で実技教習における配慮が必要な場合は、事前に相談すれば対応してもらえるとのことです。

サービス介助士の検定試験の内容や難易度、合格率は?

サービス介助士の実技教習をクリアしたら、いよいよ検定試験へ進みます。検定の試験内容、難易度や合格率は以下のようになっています。

合格後は、公式サイトの専用ページからサービス介助士のバッジやシールを購入可能。カードタイプの認定証がほしい場合は、合格後に利用できるマイページの「証書発行・再発行のお手続き」から有料で発行してもらえます。

サービス介助士資格の有効期限は3年間

サービス介助士の資格は、取得してから3年間有効です。長く活用するなら有効期限内に更新手続きを済ませましょう。

更新期間が終わる前に、基本的には登録された住所・氏名宛てに更新の案内はがきが届きます。はがきが届かない場合は、公式サイトの問合せフォームから問い合わせましょう。

更新手続きは、合格後利用可能になるマイページの所定ページから可能です。確認テスト受験と振り返りレポートを提出するとともに、更新料1,650円(消費税10%込)を支払いましょう。

また、マイページではいつでも動画・学習コンテンツの閲覧が可能です。改定テキスト情報や介助技術を復習できる動画がある他、資格取得者向けのフォローアップセミナーにも参加できます。知識面は動画や学習コンテンツを、実技の復習にはフォローアップセミナーを活用するのがおすすめです。

「ナチュラルサポート」ができる社員の育成へ

民間企業の障害者雇用における合理的配慮の提供は、就労移行支援事業所やジョブコーチ、障害者職業生活相談などが中心にサポートしてきました。障害をもつ社員それぞれの特性を理解し、それに合った具体的な合理的配慮の提案や調整は、専門知識をもつ支援員や社員だからこそ担えるものです。

一方で、障害者雇用の現場では「ナチュラルサポート」と呼ばれる支援のあり方も重視されています。ナチュラルサポートとは、障害をもつ社員の上司や同僚といった一般従業員が、障害をもつ方が働き続けるために必要なサポートを日々の業務や通勤の中で自然にできることを意味します。

サービス介助士の学習は、通勤時や職場でのナチュラルサポートを可能にします。障害者雇用推進と合理的配慮の提供のために、基本的な知識や介助の方法を座学と実習の両面から学ぶのに役立つでしょう。

【参考】
サービス介助士 公式サイト
ユニバーサルマナー検定 公式サイト
障害を理由とする差別の解消の推進|内閣府
障害者差別解消法の改正を受けての会長声明|日本弁護士連合会

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