2021/01/29
アビリンピック過去問題|第38回全国(2018)製品パッキングと喫茶サービス
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商品を販売店やお客さんに届けるために必要不可欠な製品のパッキングと、サービスを提供するのに不可欠な店舗の店員。アビリンピック競技種目には、製品パッキングの技能を競う種目「製品パッキング」と、カフェで接客スキルを競う種目「喫茶サービス」があります。
2018年全国アビリンピックでは、「製品パッキング」でも「喫茶サービス」でも、前大会の内容から若干の変更が見られました。特に「製品パッキング」では、結び目の長さや結束の位置などが変更され、審査基準が厳しくなっています。
競技種目「製品パッキング」における変更点
アビリンピック競技種目「製品パッキング」は、梱包に使う部材の組立やセットアップ梱包を行う種目。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加できます。
「製品パッキング」では、2つの課題が出されます。1つめの課題では、2種類の緩衝材をそれぞれ組み立て、5個ずつまとめて結束。2つめの課題では、新たに小箱・中箱・化粧箱・外箱を組み立て、課題1で組み立てた緩衝材も使ってセットアップ梱包を行います。組み立てに使う緩衝材や各箱の大きさ・構造については、2017年大会から変更はありません。
しかし、課題1で行う緩衝材の結束については、結び目の長さや位置、紐を持ち上げたときの紐と製品の間隔が、前大会より短く設定されました。具体的な数値は、以下の通りです。
<「製品パッキング」課題1の結束に関する指示>
- 8cm以内の結び目で、容易に解くことができる結び方になっている(前大会の10cmから減少)
- 緩衝材の端から10cm以内の位置で結束されている(前大会の15cmから減少)
- 紐を持ち上げたときに、紐と製品の間隔が5cm以内である(前大会の8cmから減少)
なお、変更ではありませんが、事前に公開される競技課題内容に「会場に準備されているもの」と「選手が持参するもの」が明記されるようになりました。
<「製品パッキング」で会場に準備されているもの(選手1人あたりの支給材料)>
- 外箱:4枚
- 中箱:16枚
- 小箱:16枚
- 化粧箱 身:16枚
- 化粧箱 蓋:16枚
- 緩衝材A:25枚
- 緩衝材B:25枚
- 梱包する商品:16個
- 結束紐:1巻
- くちばし型カッター:1本
- クラフトテープ:1巻(テープカッター付き)
- 製品敷紙:1枚
<「製品パッキング」で選手が持参するもの>
- 手袋:2双(破れた場合のために予備1双を含む)
- 作業着:1着(スカート、フリルがついているもの、短パン、サンダル、スリッパ、指輪、ピアスなどは避ける)
- 飲料:必要量(熱中症対策のため)
競技後の審査・採点では、時間内にいかに早くかつ正確に、きれいに作れるかといった点が重視されます。スピード重視でやると、箱の折りが甘かったり結束が緩かったり、テープを貼るときにシワができてしまったりして、仕上がりの品質が落ちてしまうことが珍しくありません。大会前の練習では品質を保ちつつスピードアップできるよう工夫していきましょう。
競技本番は、以下の評価ポイントによって採点が行われます。
<競技課題1の評価ポイント>
- 規定の数量を時間内に作成できたか
- 完成品が正しい向きで並べられているか
- 完成品を規定通りに結束できているか
<競技課題2の評価ポイント>
- 規定の数量を時間内に作成できたか
- 緩衝材・小箱・中箱・化粧箱の組み入れが指示通りにできているか
- きれいにクラフトテープを止めているか
- 外観にしわ・破れ・汚れ・凹みなどがないか
「製品パッキング」の制限時間・スケジュールと2018年大会の講評
「製品パッキング」課題1の制限時間は30分です。最大で緩衝材25セットを組み立て、5束に結束します。課題2の制限時間は60分。最終的に4梱包を完成させます。
競技自体にかかる時間は90分ですが、会場下見や事前説明、準備、合間の審査・休憩等があるため、競技は午前と午後に分けて行われます。
2018年は以下のようなスケジュールで会場下見や競技が行われました。
<2018年全国アビリンピック「製品パッキング」開催スケジュール>
- 9:00-10:30 競技会場下見
- 10:30-11:10 競技会場準備
- 11:10-11:20 全体説明
- 11:20-11:25 課題1の説明
- 11:25-11:30 競技部材準備
- 11:30-12:00 競技(課題1)
- 12:00-13:40 休憩・昼食(審査・採点)
- 13:40-13:45 課題2の説明
- 13:45-13:55 競技部材準備
- 13:55-14:55 競技(課題2)
今大会は沖縄で開催されたため、暑さと湿度で段ボールのコンディションが悪かったようです。しかし、選手たちの製品パッキングの技能は高く、審査基準が厳しくなったにもかかわらず、過去最高となる半数以上の選手が規定数量すべてを完成させました。
上位の選手に見られた特徴は、材料・仕掛品・完成品・ゴミ箱を作業手順にそって配置していること。無駄のない効率的な動きが可能となり、一定のリズムで作業できていたと高く評価されています。
講評では、製品パッキングの品質を上げる方法も指摘されました。多くの選手は部材毎に作る「まとめ生産」で組立や梱包を行っていますが、上位の選手は「1つの完成品を早く作る」という流れで、組立から梱包まで1つずつ完成させたとのこと。これにより、まとめ生産よりもテンポ良くきれいに仕上げられたといいます。
競技種目「喫茶サービス」課題内容と変更点
アビリンピック競技種目「喫茶サービス」は、飲食店の店員として技能を競う種目です。選手は、他の選手と一緒に協力しながらサービスを提供します。
身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能です。
2018年全国大会では、前大会より1グループあたりの人数が減り、4〜5人で1グループとなって競技が行われました。
メニュー設定は、前大会から変更はありません。
<「喫茶サービス」のメニュー設定>
- ホットコーヒー
- アイスコーヒー
- 紅茶(レモン・ミルク)
- アイスティー(レモン・ミルク)
- オレンジジュース
- Aセット(クッキー+コーヒーor紅茶)
- Aアイスセット(クッキー+アイスコーヒーorアイスティー)
ただし、会場で競技に関わるスタッフの配置が少し変更されています。前大会では「調理担当者」となっていたスタッフが、「店長等フロア担当者」と「ドリンク等厨房担当者」に分けられました。
よって、当日競技会場内に配置されるスタッフは、以下の6者でした。
<「喫茶サービス」で配置されるスタッフ>
- 店長等フロア担当者
- ドリンク等厨房担当者
- 食器洗浄担当者
- お客様案内・整理担当者
- 競技者案内・誘導担当者
「喫茶サービス」の制限時間と競技上のポイント
「喫茶サービス」の競技時間は、1グループあたり2回以上の競技を実施した合計時間で考えられています。2018年大会での競技時間は、1グループあたり合計60分程度に設定されました。
全てのグループを含めた競技時間は、6時間程度です。
来店するお客さんに気持ちよく過ごしてもらうことを目的にサービスを提供するため、以下が評価ポイントとなっています。
<「喫茶サービス」の評価ポイント>
- 喫茶店での業務にふさわしい身だしなみかどうか
- 業務に必要な挨拶・報告・連絡・相談などができるかどうか
- お客さまが来店してから帰るまでのサービスと後片付けまでの一連の接客業務を正確かつスムーズに行えるかどうか
- お客さまの立場に立って業務を遂行できるかどうか
- 他の従業員(スタッフ・競技者)と連携・協力して業務を遂行できるかどうか
「喫茶店での業務にふさわしい身だしなみ」には、エプロンも含まれます。特別に喫茶店やレストラン専用のユニフォームなどを準備する必要はありませんが、清潔で印象がよく、動きやすい服装で競技に臨みましょう。
他の選手と協力することも重要です。他の選手はライバルではありますが、一緒にサービスを提供する仲間でもあるからです。お店のルールや清潔さを保ちつつ、業務上必要となるコミュニケーションを忘れずに。もし困ったことがあったらチーフに相談しましょう。チーフから指示が出た時は、速やかに対応する必要もあります。
なお、アビリンピックの「喫茶サービス」では飲食に関する代金はもらわないことになっています。注文を通すための伝票記入は行いますが、レジを打つ必要はありません。
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