2025/03/11
「ミライロID」の株式会社ミライロが上場へ、3月24日グロース市場
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デジタル障害者手帳「ミライロID」などで知られる株式会社ミライロが、3月24日に東京証券取引所グロース市場に上場します。同社の理念「バリアバリュー」とは、障害を価値に転換するという意味。「バリアバリュー」を軸に様々な事業活動を展開し、外部からも高く評価されてきました。社員の方にも、障害の有無にかかわらず自身の“苦手な部分”を価値に転換して働く姿が見られます。
もくじ
株式会社ミライロが3月24日にグロース市場に新規上場
スマートフォンアプリ「ミライロID」を展開する株式会社ミライロ(大阪市淀川区、以下 ミライロ)が、2025年3月24日(月)に東京証券取引所グロース市場に上場します。
2010年設立の同社は、デジタル障害者手帳として活用される「ミライロID」の企画から開発・提供まで手がけるとともに、ユニバーサルデザインに関するノウハウの提供、障害者の社会参加に関わるリサーチやコンサルティング、手話通訳士の派遣といった分野で広く事業を展開。企業理念を「バリアバリュー」とし、「障害=バリア」を「価値=バリュー」へ転換する活動を行ってきました。
「ミライロID」は2019年から提供されており、ユーザー数は40万人を突破しています。交通機関や自治体をはじめとして、広く活用されています。2022年には、企業などにおける障害者対応の診断サービス「ミライロ・サーベイ」の提供も始まりました。
「ミライロID」とは?メリットと開発の背景
「ミライロID」とは、“デジタル障害者手帳”として使えるスマートフォンアプリです。
従来の紙の手帳と異なり、持ち歩きに便利なだけでなく、オンラインストアなどでの割引適用、障害者割引がついたチケットの購入なども可能です。また、店舗・施設のバリアフリー情報を記載したバリアフリーマップも同アプリから閲覧できます。
「ミライロID」は、企業等にとってはマーケティングや集客、購買活動につなげられるプラットフォームでもあります。ミライロIDに障害者手帳の情報を登録しておけば、それを確認することで簡単に障害者割引を適用できますし、クーポン等の配信によってより多くの人々に情報を届けられるようになりました。
2020年には国の「マイナポータル」との連携も可能となり、翌2021年からは全国の鉄道会社123社で「ミライロID」の画面提示によって割引を受けられます。
「ミライロID」が開発された背景には、紙の障害者手帳の不便さ、そして社会における合理的配慮の提供の仕組み不足があったといいます。障害者を対象とする行政サービスや民間での割引を受けるには、障害者手帳の提示が必須。しかし、紙の手帳を常に持ち歩けば紛失する恐れがあり、手帳を見せることで無関係な人たちにまで「障害者である」と知られてしまうという当事者の悩みも見られたのです。
さらに、障害者手帳を確認する事業者にとっても、その手帳が本物であるかどうかを確認する労力は小さくありません。自治体によって手帳の様式が異なり、「確かに本人が使おうとしているのか」という確認が煩雑になりやすいからです。
こうした社会的課題を軽減・解消すべく、「ミライロID」は日頃持ち歩くスマートフォンに入れて使えるアプリになりました。その主な特徴とメリットは、次の5つです。
【ミライロIDの特徴・メリット】
- スマートフォンアプリなので、持ち歩きに便利である
- 利用するにはユーザーによる障害者手帳の内容の登録と、ミライロによる目での確認・認証が必要であり、不正利用を防ぎやすい(2020年6月からはマイナポータルとも連携可能になり、信頼性をさらに向上)
- アプリ内に障害に関する情報を登録できるため、相手にアプリ画面を見せることで必要な合理的配慮を共有できる
- 対応企業・導入企業が4,000社超にまで増えており、障害者を対象とする割引を受けやすい
- 市町村など自治体の関連施設でもデジタル障害者手帳として活用できる所が多い
「ミライロID」の機能は、障害のある当事者やご家族、社会の課題を受けて拡充されています。現在は、導入企業などの商品・サービス開発や改善に活用できるユーザーアンケート機能もあり、企業と障害者の橋渡し役といえるアプリになりました。
その取り組みが評価され、2023年には「STI for SDGs アワード(国立研究開発法人科学技術振興機構)」で優秀賞、「ASPICクラウドアワード2023(一般社団法人日本クラウド産業協会)」で社会貢献賞、「IT賞(公益社団法人企業情報化協会)」で優秀賞を受賞しています。
「ミライロID」以外の事業では、バリアフリー監修や手話通訳士派遣などの情報保障も
「ミライロID」以外では、企業を対象とするサーベイやコンサルティング、講座の提供などを行っています。
例えば、「ミライロ・サーベイ」は、利用企業における合理的配慮の提供などに関する調査と改善に向けたレポートを提供するサービス。「ミライロ・アーキテクチャー」では、既存施設のバリアフリー化やユニバーサルデザイン化に向けた調査・図面監修・提案などを行い、「ミライロ・クリエイティブ」では、ユニバーサルデザイン対応のマニュアルやWebサイトなどの制作・監修を行っています。
合理的配慮をはじめとするノウハウの提供では、ほかにも教育研修の企画から運営まで手がけるサービスを展開。情報保障に関連する事業も行っており、特に聴覚障害者のための手話通訳士の派遣、遠隔通訳サービスの提供、手話講座の開催なども提供してきました。
多くの企業で導入されている「ユニバーサルマナー検定」の主催・運営もミライロが行っています(認定は、ミライロの非連結子会社である一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会による)。
(関連コラム)
ユニバーサルマナー検定、心のバリアフリーに向けた“はじめの一歩”
ミライロ社員も「バリアバリュー」で「自分らしさ」を大切に働く
様々な社会課題の解決に向けた事業を展開するミライロには、障害のある社員やLGBTQ+の当事者、家族や親しい人に障害者やLGBTQ+の人がいる社員が多くいます。特に、身近な人に当事者がいる社員は全体の過半数を占めており、「家族に当事者がいるからミライロに入社した」という人も珍しくないようです。
ミライロの公式サイトで公開されている社員インタビューを見ると、障害者手帳の有無にかかわらず、それぞれの苦手な部分、バリアと感じている部分を強みに変換する視点が語られています。
例えば、電話が苦手な営業担当の社員は、対面であれば相手の表情や空気から適切な対応ができること、メール文の工夫が得意であることに気づき、「自分なりの接し方」を見つけて、営業成績を向上させました。
ITが苦手なIT部門の社員は、前職でのBtoCの経験とIT面での“専門性の低さ”を活かし、利用者目線でお客様一人ひとりの「何か使いづらい」をかみ砕いて言語化し、システム担当者に改善案を伝えています。
聴覚障害のある親をもつCODA(Children of Deaf Adults)である社員は、もともとCODAであることを嫌に感じることもあったそうです。しかし、他の人々とは異なる環境そのものが、手話の上達にとって「すごく恵まれた環境」であることを知りました。現在、手話通訳士として仕事をする際、聴覚障害のある初対面の人に「CODAなんです」と伝えると、相手に安心してもらえるとのこと。「その期待を裏切らないよう」仕事に向き合っていきたいとしています。
社員一人ひとりの個性やライフスタイルを大切にする社風は、働き方の仕組みづくりにも現れています。
例えば、ミライロでは効果的なイノベーションのために対面でのコミュニケーションを重視していますが、定期的な出社日以外はリモートで働く社員もいます。
勤務時間はフレックスタイム制(一部はシフト制)で、昼休憩とは別に30分単位で取得できる「リフレッシュ休憩」という制度も。コアタイムの終了時刻である16時以降は「一度帰宅して家族と夕食をとってから、また少し働く」などにも使える“中抜け”の制度です。
多様な生き方・働き方ができる社風を実現しながら、ミライロは障害のある当事者の困り事に寄り添い、ビジネスとして企業や自治体にソリューションを提供し続けてきました。
「これからも社会との共創をとおして、障害者とその家族が今日を楽しみ、明日を期待できる社会を実現するための事業展開を拡充すると同時に、業績の拡大に努め、すべてのステークホルダーの皆さまの期待に応えていきたい」
ミライロは、上場決定を知らせるリリースでこのような思いを伝えています。
【参考】
東京証券取引所グロース市場への新規上場承認に関するお知らせ|MIRAIRO
採用情報 バリアバリューな人 紹介|MIRAIRO
本記事は、特定の証券・商品に関する投資勧誘や投資アドバイスを目的としたものではありません。
