【障害者雇用助成金】障害者介助等助成金の概要と申請方法【2023年度版】


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障害のある方が安定して継続的に働くための合理的配慮では、さまざまな助成金を活用できます。今回ご紹介する「障害者の介助等助成金」は、職場で介助や支援を行う方や相談窓口担当者の配置・委嘱、職場復帰の支援の実施などに活用できる助成金です。

※2023年4月現在の情報です。最新情報は、記事内でご紹介する公式ページ等でご確認ください。

「障害者介助等助成金」とは

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下、JEED)では、多様な助成金制度の受付窓口として審査や認定、助成金の支給などを行っています。「障害者介助等助成金」もそのうちの一つです。

障害者介助等助成金には、措置別にいくつかの助成金制度があります。
大きく分ければ、

  • 職場介助者の配置や委嘱に関する助成金
  • 特定の障害種別・疾患・特性のある方を対象障害者とする合理的配慮に関する助成金
  • 障害種別・特性を問わず支援が必要な対象障害者への合理的配慮に関する助成金

の3種類で見ることができるでしょう。

<障害者介助等助成金の種類と対象障害種別>

職場介助者の配置や委嘱に関する助成金
職場介助者の配置助成金
  • 重度視覚障害者
  • 重度四肢機能障害者
職場介助者の委嘱助成金
職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金
特定の障害種別・特性のある方を対象障害者とする合理的配慮に関する助成金
手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金
  • 聴覚障害者
重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金 重度訪問介護サービス等の支給決定を受けている方で、週所定労働時間10時間以上の次の方

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
より多くの障害者を対象とした合理的配慮に関する助成金
障害者相談窓口担当者の配置助成金
  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
職場支援員の配置または委嘱助成金
  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 発達障害者
  • 難病等患者
  • 高次脳機能障害のある方
職場復帰支援助成金
  • 身体障害者
  • 精神障害者(発達障害のみを有する方を除く)
  • 難病等患者
  • 高次脳機能障害のある方

ここで、「配置」とは、支給対象障害者の就業時間において、必要な援助を常時実施できるようにするため、常用雇用労働者を配置することを言います。

対して「委嘱」とは、支給対象障害者が必要とする機会において、必要な援助ができるように常用労働者以外の者を特定の任に置くこと、あるいは特定の資格を有する者などにその業務を委任することを言うものです。

支給対象となる障害者や具体的な措置は、助成金ごとに少しずつ異なります。申請方法についても、「認定を受けて措置を実施してから支給申請をする」という大きな流れが共通するケースは多いものの、「重度訪問介護サービス利用者等の職場介助」では、対象障害者が居住する市町村・特別区と連携する必要あるなど特殊なケースがあるため要注意です。

では、それぞれの助成金について詳しく見ていきましょう。

障害者介助等助成金の支給対象者・助成率・支給額

まずは、各助成金の支給対象者、助成率・支給額を、前項の分類にそってご紹介します。支給目的や対象となる措置、支給対象障害者を比較しながら、助成金申請の検討にお役立てください。

職場介助者の配置・委嘱、その継続措置に関する助成金

はじめにご紹介するのは、職場介助者の配置や委嘱、その継続に対して支給される助成金です。

公式パンフレットでは、
「職場介助者の配置または委嘱助成金」
「職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金」

という2種類に分けて説明されることが多い助成金です。

ただ、このように「配置または委嘱」と1つにまとめられていても、配置か委嘱かで要件が異なります。

そのため、今回は「配置か委嘱か」「新規か継続か」という観点から、4種類に分けて見ていきましょう。

この4つの助成金の目的は、障害者を雇用する事業主が、その障害者の雇用継続のために必要な措置を実施する場合に、期間を定めてその費用を助成することで、当該障害者の雇用継続を図ることです。

支給対象となる事業主と障害者の要件は4つに共通で、以下のようになります。

事業主の要件
  • 障害者を労働者として継続して雇用する事業所の事業主である
  • 障害の種類または程度に応じた助成対象措置を実施する事業所の事業主である
障害者の要件
  • 重度視覚障害者(2級以上)
  • 重度四肢機能障害者
    • 2級以上の両上肢機能障害および2級以上の両下肢機能障害の重複者
    • 3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害および3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害の重複者

重度視覚障害者の業務が「事務的業務以外の業務」である場合、活用できる助成金は職場介助者の委嘱助成金のみです。

なお、この助成金で言われる「職場介助者」とは、支給対象障害者が主体的に業務を遂行するために必要不可欠な介助の業務を担当する方を指します。これも、配置か委嘱か、あるいは新規か継続かにかかわらず、共通の規定です。

職場介助者の具体的な業務

重度視覚障害者に対する直接の介護業務
支給対象障害者の都度の判断かつ指示に基づき… 事務処理に必要な文書の朗読・代読、録音図書の作成を行う
文書作成、代筆、およびその補佐業務を行う
書類等の整理を行う
支給対象障害者の業務上の移動・外出の付き添いを行う(職場介助者が自動車を運転する場合を除く)
その他、これらに付随する業務を行う
重度四肢機能障害者に対する直接の介助業務
支給対象障害者の都度の判断かつ指示に基づき… 文書作成、代筆、およびその補佐業務を行う
機器の操作およびコンピュータ入力、その補助業務を行う
書類等の整理を行う
支給対象障害者の業務上の移動・外出の付き添いを行う(職場介助者が自動車を運転する場合を除く)
その他、これらに付随する業務を行う

助成率・支給上限額・支給期間は、主に新規に配置・委嘱するか、継続して配置・委嘱するかで異なります。

新規

/継続

配置

/委嘱

助成率 支給上限額 支給

期間

新規 配置 3/4 月額15万円/人 10年
継続 配置 2/3 月額13万円/人 5年
新規 委嘱 3/4 事務的業務に従事する重度視覚障害者と重度四肢障害者

  • 委嘱1回あたり1万円
  • 年間150万円まで

事務的業務以外の業務に従事する重度視覚障害者の場合

  • 委嘱1回あたり1万円
  • 年間24万円まで
10年
継続 委嘱 2/3 事務的業務に従事する重度視覚障害者と重度四肢障害者

  • 委嘱1回あたり9,000円
  • 年間135万円まで

事務的業務以外の業務に従事する重度視覚障害者の場合

  • 委嘱1回あたり9,000万円
  • 年間22万円まで
5年

手話通訳・要約筆記、重度訪問介護サービス利用者等の職場介助に関する助成金

次は、聴覚障害者を対象とする助成金と、重度訪問介護サービスを利用する障害者を対象とする助成金です。
「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金」
「重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金」
を見ていきましょう。

手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金

「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金」は、聴覚障害のある労働者の雇用管理に必要な手話通訳、要約筆記などの担当者を委嘱する場合に支給されます。

支給対象障害者は、6級以上の聴覚障害者です。

支給対象となる手話通訳・要約筆記等を担当する方の条件と業務は、下表のとおりです。

手話通訳・要約筆記等担当者の条件(以下の1〜3のいずれかに該当する)
1
  • 公共職業安定所の手話協力員として委嘱されている方
  • 聴覚障害者や音声機能障害者または、言語機能障害者の関係団体や地方公共団体が行う手話講習修了者
  • 手話通訳について相当程度の能力と経験がある方
2
  • 要約筆記者養成講習を修了した方
  • 登録試験等に合格した方
  • 地方公共団体等に要約筆記者として登録されている方
3
  • 盲ろう者通訳・介助員養成研修の修了者等
  • 聴覚障害者に対する意思疎通支援について相当程度の能力と経験を有する方
業務内容
1 支給対象障害者の業務において必要な、直接的に行なわれる手話通訳・要約筆記等
2 支給対象障害者の職業能力の向上等のための研修等での手話通訳・要約筆記等
3 支給対象障害者の所属する事業所の労働者に対する、支給対象障害者の業務の円滑化と職場環境改善のための手話研修等

手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金の助成・支給額の上限は、委嘱1回あたりで計算します。支給期間は、最長10年です。

助成率 支給上限額 支給期間
3/4
  • 委嘱1回あたり6,000円
    • 支給対象障害者が9人以下…計28万8,000円まで
    • 支給対象障害者が10人以上…
      計28万8,000円+[10人毎に28万8,000円]まで
10年

重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金

「重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金」は、重度訪問介護サービス等を受けており、一定の条件を満たす重度障害である労働者を対象とする助成金。当該労働者の業務に必要な支援をサービス事業者に委託する場合の費用について、一部を助成するものです。

この助成金は、市町村・特別区で実施される「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」(以下、特別事業)との併用が前提となっています。そのため、まずは当該労働者が居住する市町村・特別区に、特別事業を実施しているかどうかを確認しなければなりません。

支給対象障害者は、次の条件をすべて満たす方です。

  • 重度訪問サービス等の支給決定を受けている方
  • 身体障害者、 知的障害者、 精神障害者の方
  • 週所定労働時間10時間以上の方

助成対象となる職場介助の具体的な内容(委託内容)は、以下となっています。

対象障害者が主体的に業務を遂行するために必要な以下の介助
  • PC等情報処理機器の準備・調整、 情報アクセス・入力・出力等の操作
  • 文書のページめくり
  • 文字盤・口文字等の読み取り
  • 代読・代筆・録音図書の作成
  • 書類等の整理
  • 業務上の移動・外出にかかる付き添い( 介助者による自動車の運転を除く)
助成対象とならない措置(特別事業の支援対象となるため)
  • 就業時間中における業務以外の介助(食事・給水・トイレ使用の補助等)

重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金の助成率・支給上限額・支給期間は以下のとおり。支給上限額は、中小企業かそれ以外かで異なりますのでご注意ください。

  助成率 支給上限額 支給期間
中小企業以外 4/5 月額13万3,000円 委託による支援の開始日から当該年度末まで

※特別事業の利用決定以降、年度ごとに設定

相談窓口担当者、職場支援員、職場復帰支援に関する助成金

3つめにご紹介するのは、次の3つの助成金です。
「障害者相談窓口担当者の配置助成金」
「職場支援員の配置又は委嘱助成金」
「職場復帰支援助成金」

この3種類の助成金は、ここまでご紹介したものとは異なり、支給対象障害者となる方の範囲が比較的広く設定されています。

障害者相談窓口担当者の配置助成金

「障害者相談窓口担当者の配置助成金」は、

  • 障害のある労働者への合理的配慮を提供するために設置された既存の相談窓口の人員を増やす
  • 新しく合理的配慮等のための相談窓口を設置する
  • 合理的配慮等のための相談窓口を外部に委嘱する

といった場合に、その費用を助成する制度です。

ここで言う既存の相談窓口とは、2015年に出された「合理的配慮指針」第6の1(1)に規定される窓口のこと。事業主には、自社で雇用する障害のある労働者からの相談へ適切に対応するための窓口を設置し、その存在を労働者に周知することが義務づけられています。

新しい相談窓口の役割として期待されているのは、

  • 相談を受けて職場での合理的配慮の検討・提供への流れをつくったり助言したりすること
  • 障害者差別に関する相談に応じ、事業所内での解決(自主的解決)を図ること
  • 合理的配慮に関する職場内で周知・啓発すること

などです。

対象障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者となっています。

支給対象となる措置は、3種類あります。窓口担当者や講習などに細かい条件がありますので、申請前にしっかりチェックしてください。

(1)障害者相談窓口担当者の増配置
概要 既存の相談窓口または新設の相談窓口において、合理的配慮に関する相談に応じる常用雇用労働者を新たに配置する
窓口担当者の要件

(いずれかに該当)

  • 精神保健福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士
  • 公認心理師、臨床心理士
  • 産業カウンセラー、看護師、保健師
  • 障害者雇用促進法24条の職業カウンセラー
  • 特例子会社や重度障害者多数雇用事業所での実務経験2年以上の方
  • 障害者の就労支援機関での実務経験が2年以上の方
  • 労働安全衛生法第13条に基づき配置される医師
  • 職場適応援助者養成研修修了者
  • 障害者職業生活相談員資格認定講習修了者、資格保有者
  • 当該事業所で人事・労務管理の業務経験が1年以上で、障害者窓口担当者の研修を受講した方
(2)障害者相談窓口担当者の研修受講
概要 窓口担当者(または配置予定の方)に合理的配慮に関する知識などを習得するための障害者専門機関または都道府県労働局が実施する研修を受講させる
研修・講習の条件
  • 講習時間が1回につき1時間以上である
  • 以下のいずれかに該当する講習方法・内容である
    • 以下のいずれかが講師である
      1. 医師、精神保健福祉士、公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理師、社会福祉士、作業療法士、理学療法士、社会保険労務士、看護師、保健師
      2. 障害に関する専門知識・技術がある学識経験者
      3. 障害者の就労支援や雇用管理に関する経験が3年以上ある方
    • 今雇用している障害者への合理的配慮のための講習であり、障害者専門員または都道府県労働局等による講習である
    • 当該事業所外の機関が実施する、合理的配慮に関する講習であり、障害者専門員または都道府県労働局等による講習である
(3)合理的配慮に関する相談業務等の委嘱
概要 既存の相談窓口が行う合理的配慮にかかる相談業務とは別に、障害者専門員または障害者専門機関に、相談業務を委嘱する
委嘱する業務内容
  • 支給対象障害者を対象とした合理的配慮に関する相談業務
  • 障害者差別および合理的配慮に関して、支給対象障害者から苦情の申し出を受けた際の自主的解決に関わる業務
  • 支給対象障害者からの申し出または自主的解決に基づき、事業主が検討・実施する合理的配慮に関する助言・援助業務
  • 合理的配慮に関する職場内での周知・啓蒙業務

支給額も、措置内容によって細かく規定されています。

条件等 支給額 注意事項
(1)障害者相談窓口担当者の増配置
相談業務に専従 1人あたり月8万円

(最大2人)

窓口担当者の給与月額×1/3が8万円未満の場合は、それを支給額とする
他の業務と兼任 1人あたり月1万円 窓口担当者の給与月額×1/10が1万円未満の場合は、それを支給額とする
(2)障害者相談窓口担当者の研修受講(受講から1カ月以内に配置)
受講費 研修費用×2/3

(上限20万円)

交通費・雑費は含まない
賃金相当額 受講時間数×700円

(最大10時間)

(最大10人)

(1)の支給を受ける担当者、既存窓口の担当者には支給しない
(3)合理的配慮に関する相談業務等の委嘱
委嘱経費×2/3

(月額上限10万円)

(最大6カ月)

交通費・雑費は含まない

支給期間は、事業計画期間のうち、支給対象となる措置を講じた期間で、最長1年です。

職場支援員の配置又は委嘱助成金

「職場支援員の配置又は委嘱助成金」では、対象障害者の職場定着を図るために職場支援員を配置または委嘱した事業主に対して、その費用の一部が助成されます。

職場定着を図ることが目的ですので、助成対象となる職場支援員の配置または委嘱を行う時期には条件があります。配置・委嘱の時期を含む主な支給要件は、次の3つです。

職場支援員の配置又は委嘱助成金 主な支給要件(以下全てを満たす)
右のいずれかの理由から6カ月以内に職場支援員を配置・委嘱する 支給対象障害者に関する…

  • 雇入れ
  • 勤務時間延長
  • 配置転換
  • 業務内容変更
  • 職場復帰
  • 企業在籍型職場適応援助者助成金の支援の終了
支給対象障害者を一定期間継続して雇用し、その賃金を支給した
措置を実施した日以降の期間も、支給対象障害者を常用雇用労働者として雇用している

対象障害者は、

  • 身体障害者、知的障害者、精神障害者
  • 発達障害者
  • 難病患者等
  • 高次脳機能障害のある方

となっています。

また、職場支援員は、以下のいずれかの条件に該当する資格や経験を持つ方でなければなりません。

職場支援員の条件(以下の1〜6のいずれかに該当する)

1

  • 精神保健福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラー
  • 看護師、保健師
  • 障害者雇用促進法第24条に規定する職業カウンセラー
2
  • 特例子会社または重度障害者多数雇用事業所で、障害者の指導・援助に関する実務経験が2年以上ある方
3
  • 障害者就業・生活支援センター、就労支援機関において、障害者の就業に関する相談の実務経験が2年以上ある方
4
  • 障害者職業生活相談員資格認定講習を受講した方
  • 現に障害者職業生活相談員として届け出た方で、障害のある労働者の職業生活に関する相談・指導・援助に関する実務経験が3年以上ある方
5
  •  障害者職業総合センターおよび地域障害者職業センター、または厚生労働大臣が定める民間の研修機関が行う職場適応援助者養成研修を終了した方
6
  • 労働安全衛生法第13条に基づき、支給対象事業主が企業内に配置する産業医以外の医師

助成金の支給額は、支給対象障害者・企業規模の条件とともに、配置か委嘱かによって異なります。配置の場合、基本の計算式は、月額×対象障害者数×月数×期数です。

職場支援員を配置(雇用)した場合
支給月額 支給対象期間 6カ月ごとの支給限度額
短時間労働者以外の場合
中小企業 4万円

それ以外 3万円

2年 中小企業 24万円×4期

それ以外 18万円×4期

短時間労働者の場合
中小企業 2万円

それ以外 1.5万円

2年 中小企業 12万円×4期

それ以外 9万円×4期

なお、「短時間労働者」は原則として週所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者を指しますが、精神障害者の場合は「15時間以上30時間未満」という別の規定があります。支給対象期間についても、精神障害者の場合ではいずれも3年、企業在籍型職場適応援助者助成金を受給した後の継続措置として本助成金を利用する場合は、6カ月です。

職場支援員を委嘱した場合は、よりシンプルな計算となります。

職場支援員を委嘱した場合
支給額 支給限度額
委嘱による支援(訪問相談)1回あたり1万円 月額4万円

職場復帰支援助成金

「職場復帰支援助成金」は、障害等に関連して1カ月以上の療養のための休職等が必要とされた常用雇用労働者である障害者を対象障害者とし、復職支援のための措置を行った事業主に助成金を支給する制度です。

対象障害者となる条件には、主に以下の3つがあります。

職場復帰支援助成金の対象障害者(以下の条件を全て満たす)
(1)常用雇用労働者である
(2)職場復帰の時点で、右のいずれかに該当する
  • 身体障害者
  • 精神障害者(発達障害のみを有する者を除く
  • 難病等患者
  • 高次脳機能障害のある方
(3)医師の意見書により、(2)の障害等に関連して1カ月以上の療養のための休職等が必要とされた者である

本助成金の支給対象となる措置は、下表のものです。職場復帰の日から3カ月以内に開始するとともに、休職期間中も常用雇用労働者として当該障害者を雇用していることが条件に含まれます。

職場復帰支援助成金の支給対象措置(1か2を必ず実施する)

分類

措置内容

(1) 時間的配慮等
  • 医師の意見書と対象障害者の同意のもと、労働時間の調整を行う
  • 終業規則等に関する有給休暇制度以外の「通院または入院のための、特別な有休の休暇の付与」を行う
  • 対象障害者の同意のもと、「独居を解消し親族等と同居するための勤務地の変更」を行う
(2) 職務開発等
  • 外部専門家の援助を得て職務開発を行う
  • 外部専門家の援助の結果、休職等の前の職務を実施できない場合に、それを踏まえた職種の転換を行う
(3) 2に伴う講習実施 以下全てに該当する講習

  • 職務開発等の実施のために新たな職務に従事することになった対象障害者に対して実施する
  • 対象障害者の障害特性に応じて、新たな職務に必要な基本知識・技術習得に向けた講習である
  • 講習の時間が1回につき1時間以上である
  • 講師には、講習内容に直接関連する職種の経験が3年以上ある

なお、ここで言う「外部専門家」とは、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などの支援者で、対象障害者の方を支援する方のことを指します。

支給額は、以下の金額が基本です。

職場復帰支援助成金の支給額等
支給月額 支給対象期間 6カ月ごとの支給限度額
中小企業 6万円

それ以外 4.5万円

最大1年 中小企業 36万円×2期

それ以外 27万円×2期

これに加えて、職務開発等に伴う講習を実施した場合は、講習に要した対象経費に応じて、次の費用が助成されます。

職場復帰支援助成金の(3)講習実施の支給額
要した経費 支給額 支給対象期間
5万円以上10万円未満 中小企業 3万円

それ以外 2万円

1年
10万円以上20万円未満 中小企業 6万円

それ以外 4.5万円

20万円以上 中小企業 12万円

それ以外 9万円

主な申請手続きの流れと申請書等の提出期限

職場介助者等助成金は、認定申請と支給申請を行ってはじめて受給できる助成金です。それぞれの申請には期限があり、具体的な期限は助成金ごとに異なるので注意が必要です。

措置を実施するタイミングと申請書の提出期限との関係を踏まえ、早めに準備を進めましょう。各助成金の申請期限のイメージを図とともにご紹介します。

申請手続きの基本の流れ

障害者介助等助成金の基本的な申請の流れは、まず「受給資格認定申請書」と必要書類を提出して認定審査を受け、認定されたら支給請求(支給申請)を行うというものです。

受給資格認定申請書類や支給申請書類の提出期限は、助成金ごとに定められています。

※重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金は申請の流れが異なるため、別の項目でご紹介します。

職場介助者の配置・委嘱助成金、手話通訳・要約筆記等担当社の委嘱助成金の場合

職場介助者の配置・委嘱助成金と、手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金の場合、認定申請期限は配置・委嘱の前日が基本です。

申請期限は、配置の場合と委嘱の場合で異なります。配置の場合は、配置した日の属する月の翌月初日から6カ月間が1期目の支給請求対象期間。1期目の期間に対応する申請期限は、期間が終了する日の翌月の末日とされています。

認定されると支給申請期限が記載された認定通知書が届きます。具体的な支給申請期限は通知書で確認しましょう。

助成金名称 認定申請期限 支給申請期限
職場介助者の配置助成金 対象障害者の初めての雇入から10年以内で、職場介助者の配置/委嘱を行おうとする日の前日まで 職場介助者を配置した日の属する月の翌月初日から6カ月ずつ経過した期間の末日の属する月の翌月末日
職場介助者の委嘱助成金 初めて委嘱した日から6カ月ずつ経過した期間の末日の属する月の翌月末日
手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金 対象障害者の初めての雇入から10年以内で、委嘱を行おうとする日の前日まで 初めて委嘱した日から6カ月ずつ経過した期間の末日の属する月の翌月末日

各認定申請期限と支給申請期限は、概ね以下のようなイメージです。

事業所ごとの具体的な期限は、申請書類の内容や修正によって変わってきます。申請にあたって不明点が生じた場合は、JEED支部の担当窓口へお問い合わせください。

職場介助者の配置又は委嘱の継続措置に係る助成金の場合

職場介助者の配置又は委嘱の継続措置に係る助成金では、それまで受給していた職場介助者の配置・委嘱助成金における最後の支給請求対象期間終了日の前日が、認定申請期限となります。

支給申請期限は、配置の継続措置であれば配置助成金に準ずる期限が適用され、委嘱の継続措置であれば委嘱助成金に準ずる期限が適用されます。

助成金名称 認定申請期限 支給申請期限
職場介助者の配置の継続措置に係る助成金 職場介助者の配置・委嘱の支給期間が満了する日の前日まで 職場介助者を配置した日の属する月の翌月初日から6カ月ずつ経過した期間の末日の属する月の翌月末日
職場介助者の委嘱の継続措置に係る助成金 職場介助者を委嘱した日から6カ月ずつ経過した期間の末日の属する月の翌月末日

認定申請期限、支給申請期限のイメージは、下図のとおりです。

継続措置に係る助成金の1期目の途中で、それまで受給していた配置・委嘱助成金の最終機の支給申請期限があります。継続措置に係る助成金の認定申請期限とともに、申請忘れがないよう気をつけましょう。

障害者相談窓口担当者の配置助成金、職場復帰支援助成金の場合

障害者相談窓口担当者の配置助成金の認定申請期限と支給申請期限はシンプルです。認定申請期限は、配置しようとする日の前日。支給申請期限は、事業計画期間の末日の属する月の翌月末日となります。

他方、職場復帰支援助成金の場合、認定申請期限は職場復帰しようとする日の前日から起算して3週間前までです。期限が早めですので、書類等の準備を計画的に進めなければなりません。

職場復帰支援助成金では支給申請期限もやや複雑です。ポイントは、対象障害者の賃金締切日と賃金支払い日。まず、支給対象期を「対象障害者の賃金締切日の翌日から起算して6カ月」を1期分とします。その支給対象期間は、支給対象期の最終月分の賃金を支給した日の翌日から起算した2カ月間です。支給申請できる期間が限られている点にご注意ください。

助成金名称 認定申請期限 支給申請期限
障害者相談窓口担当者の配置助成金 事業計画の期間における措置を開始しようとする日の前日まで 事業計画期間の末日の属する月の翌月末日
職場復帰支援助成金 対象障害者の職場復帰の予定日の前日から起算して3週間前の応当日まで 支給申請期間は2か月間

  • 第1期
    最初の支給対象期の最終月分に係る対象障害者の賃金(残業代等の諸手当も含みます)を支給した日の翌日から起算した2カ月間
  • 第2期以降
    第1期の支給申請期間から6カ月ごと
  • 最終期
    計画の末日までに係る賃金を支給した日の翌日から起算した2か月間

職場復帰支援助成金の申請期限については、下図で大まかなイメージをつかんでおくとよいでしょう。

職場支援員の配置又は委嘱助成金の場合

職場支援員の配置又は委嘱助成金では、支給申請期限は職場復帰支援助成金と同じ方法で算出します。しかし、認定申請期限については、2023年10月1日から新制度へ移行。新しい認定申請期限は、職場支援員の任命日や委嘱の「前日から起算して1カ月前まで」です。

2023年9月30日までは、経過措置として旧制度が適用されます。旧制度の認定申請期限は、任命日・委嘱日の「翌日から起算して3カ月後まで」となっており、新制度とは大きく異なります。

助成金名称 認定申請期限 支給申請期限
職場支援員の配置又は委嘱助成金(旧制度) 職場支援員の配置/委嘱日の翌日から起算して3カ月後まで 支給申請期間は2か月間

  • 第1期
    最初の支給対象期の最終月分に係る対象障害者の賃金(残業代等の諸手当も含みます)を支給した日の翌日から起算した2カ月間
  • 第2期以降
    第1期の支給申請期間から6カ月ごと
  • 最終期
    計画の末日までに係る賃金を支給した日の翌日から起算した2か月間
職場支援員の配置又は委嘱助成金(新制度) 職場支援員の配置/委嘱日の前日から起算して1カ月前まで

新制度の申請期限のイメージは下図のようになります。

繰り返しになりますが、2023年9月30日までに職場支援員を配置・委嘱しようとする場合は旧制度が適用され、途中から新制度での申請期限が適用されるケースがあります。申請期限の計算がやや複雑になりますので、不明な場合はJEED支部の担当窓口でご確認ください。

重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金の申請の流れ

重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金は、JEEDだけでなく市町村・特別区との連携が必要です。そのため、申請の仕方が他の障害者介助等助成金とは大きく異なります。

まずは下の図をご覧ください。

この図にあるように、はじめに行うことは、対象障害者が居住する市町村・特別区と本人、そして事業所の三者で支援計画書を作成です。職場での1日のスケジュールをもとに、いつ、どのような介助が必要か、その介助にどのくらいの時間がかかるかを考慮して支援計画を作成しなければなりません。

支援計画書ができたら、事業所がJEEDの窓口に提出します。支援計画書の提出期限は、委託による支援を開始する1カ月前までが目安です。

JEEDに提出された支援計画書は、確認済みの支援計画書として企業に戻ってきます。それを受け取ったら、今度は対象障害者本人が市町村・特別区に対して、その支援計画書を持って特別事業の利用申請を行いましょう。

特別事業の利用が開始された後は、事業所がJEEDに対して支給申請を行ってください。支給申請の提出期間は、職場介助の委託による支援を開始した日の属する月から起算して6カ月ごとに、その期間の最終日の属する月の翌月末までです。

助成金の目的と支給対象措置をチェックして働きやすい環境作りへ

今回は、職場介助者等助成金についてご紹介してきました。障害特性に応じたさまざまな措置には、人員の配置や委嘱、研修費などがかかります。これらの費用に助成金を活用することで、より施策を進めやすくなるでしょう。

障害者の職場定着に活用できる助成金には、他に障害者作業施設等設置助成金などもあります。各助成金の目的や支給対象措置を見比べながら、働きやすい職場作りを進めていきましょう。

JEEDで扱う助成金の詳細は、以下の公式ページからご覧いただけます。

【参考】
助成金|JEED

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