【障害福祉サービス等報酬改定】就労選択支援の実施主体・仕組み・報酬体系【令和6年度】


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2024年4月から、令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定が行われます。これに先駆け、2月6日に各サービスにおける改定の概要が厚生労働省から発表されました。注目される就労選択支援の対象者や実施主体、基本プロセス、報酬体系、計画相談支援との連携などについてお伝えします。


就労選択支援の実施主・報酬体系・特別支援学校での取扱い

就労選択支援は、今回新たに設けられる障害福祉サービスです。就労先や働き方などについて、障害者本人にとってより良い選択ができるよう、就労アセスメントを行うもので、2025年10月1日から開始されます。

今回の改定内容の概要では、対象者や実施主体、支給決定期間、就労選択支援の基本プロセスなどが改めて発表されました。

就労選択支援が創設される目的などについては、以下の記事をご覧ください。

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障害者総合支援法改正で創設が検討される「就労選択支援」はどんな制度?

就労選択支援の対象者・実施主体・支給決定期間

就労選択支援の対象者は、

  • 就労移行支援を利用したい者・利用中の者
  • 就労継続支援を利用したい者・利用中の者

となっています。

より具体的には、2025年10月から就労継続支援B型を利用したい者を対象とする就労選択支援が始まり、その後2027年4月から、新たに就労継続支援A型を利用したい者や、就労移行支援を標準利用期間を超えて利用したい者が順次対象となる予定です。

この他、特別支援学校では、高等部3年生以外の学年での実施、職場実習のタイミングで就労選択支援を実施できます。在学中の実施回数についても、複数回の実施が認められるとのことです。

就労選択支援の実施主体は、大きく分けて5つあります。

【就労選択支援の実施主体】

  1. 就労移行支援事業所
  2. 就労継続支援事業所
  3. 障害者就業・生活支援センター事業の受託法人
  4. 自治体設置の就労支援センター
  5. 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)による障害者職業能力開発訓練事業を行う機関等

そして、各事業所が実施主体となるには、

  • 過去3年以内に3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用された
  • これらと同等の障害者に対する就労支援の経験と実績がある

という要件も満たさなければなりません。

就労選択支援の支給決定期間は、約1か月です。自己理解等の改善に向けた1か月以上の支援が必要な場合は、2か月まで認められます。ただし、後述する基本プロセスにおけるアセスメントの期間(利用者による作業を通して実施するアセスメント)は基本的に2週間以内とされています。

就労選択支援の人員配置と基本プロセス

就労選択支援の人員配置については、事業所ごとに、管理者と専従の就労選択支援員を置かなければなりません。専従の就労選択支援員の数は、「利用者数÷15」人です。短期間のサービスであることから、個別支援計画の作成は不要。サービス管理責任者の配置も必要ありません。

就労選択支援員であることの要件は、就労選択支援員養成研修の修了となっています。ただし、経過措置や、就労移行支援または就労継続支援との一体的な実施における兼務が認められます。

【就労選択支援員の要件】

基本要件 就労選択支援員養成研修の修了

  •  就労選択支援員養成研修の受講には、基礎的研修の修了が必須
  • 2027年度末までの経過措置として、現行の就労アセスメントの実施等について一定の経験があり、基礎的研修と同等以上の研修を修了した者にも、就労選択支援員養成研修の受講資格がある
経過措置 就労選択支援員養成研修の開始から2年間は、基礎的研修または基礎的研修と同等以上の研修の修了者を就労選択支援員と見なす

(基礎的研修は、2025年度に開始)

兼任 就労移行支援または就労継続支援と一体的に実施する場合、就労移行支援員等の職員および管理者を兼任できる

 

支援の基本プロセスは、アセスメントとアセスメントの結果作成、関係機関との連携、定期的な協議会への参加や情報収集、利用者に対する進路選択に役立つ情報の提供です。各プロセスにおいて期待される支援内容を下表にまとめました。

【就労選択支援の基本プロセス】

アセスメント
  • 短期間の生産活動、その他の活動の機会を利用者に与える
  • それらの機会を通じて、就労に関する適性・知識・能力を評価する
  • 就労に関する意向等を整理する
アセスメント結果作成
  • 多機関連携会議を開催し、利用者の就労に関する意向を確認して、担当者等に意見を求める
  • 多機関連携会議の参加者
    • 利用者
    • 市町村
    • 指定特定相談支援事業者等
    • 公共職業安定所等の関係機関担当者等
関係機関との連携
  • アセスメントの結果を踏まえ、必要に応じて関係機関と連絡調整を行う
協議会への定期的参加・公共職業安定所への訪問等による情報収集
  • 地域における就労支援にかかる社会資源
  • 雇用に関する事例等に関する情報など
利用者への情報提供
  • 利用者に対して、進路選択に役立つ情報を提供する

なお、アセスメントについては、他の機関が実施した同様のアセスメントを活用することもできます。

具体的には、

  • 障害者就業・生活支援センター
  • 障害者職業センター
  • 就労系障害福祉サービス事業所等

によるアセスメントです。

これらを就労選択支援におけるアセスメントの実施の代わりに活用する場合、多機関連携会議の開催や、アセスメント結果の作成、関係機関との連絡調整にあたって、そのアセスメントを行った機関の協力を求めることができます。

就労選択支援における中立性・計画相談支援との連携

就労選択支援を行う事業所が他の就労系サービスを手掛けている場合、就労選択支援の利用者が、就労選択支援を行う事業所と同一法人の他の事業所ばかりを利用することになってはいけません。最も優先されなければならないのは、利用者の就労に向けて最適なサービスであるか否かという観点であり、同一法人の枠組みの中に限定されれば利用者の利益を損なう恐れがあるからです。

よって、就労選択支援には中立性が求められ、中立性に問題があると認められる場合は「特定事業所集中減算」が適用されます(200単位/月、当該地域において利用者が利用できる就労系サービス事業所が1箇所しかない場合など、やむを得ない理由がある場合を除く)。

また、他の障害福祉サービス事業者等やその従業者から、利用者や利用者の家族の紹介を受ける代わりに金品などの利益を収受してはならないこと、利用者本人に提供する情報に誤りや偏りがないようにすることも明記されました。

計画相談支援事業との連携や役割分担については、下表のような説明が行われています。

【就労選択支援と計画相談支援の連携・役割分担】

就労選択支援事業者
  • アセスメント結果を以下の者に提供する
    • 利用者
    • 指定特定相談支援事業者等
指定就労移行支援事業者等
  • 指定計画相談支援事業者と連携する
  • 利用者に対し、定期的に就労選択支援に関する情報提供を行う
相談支援専門員
  • 利用者が就労移行支援または就労継続支援を利用している場合
    • モニタリングの結果等を踏まえて、就労選択支援の利用が必要と認められる場合は、就労選択支援に関する情報提供等を行う
    • 当該就労移行支援事業者、就労継続支援事業者と連携する
  • 利用者が就労選択支援を利用している場合
    • アセスメント結果等を踏まえて、サービス等利用計画の見直しを行う
    • 就労選択支援事業者と連携し、必要な情報の提供、助言、関係機関との連絡調整を行う

就労選択支援の基本報酬と加算・減算

就労選択支援の基本報酬は、サービス提供日に応じた日額報酬となっており、1,210単位/日です。

この基本報酬に対して、他の就労系サービスと同様、以下の減算制度があります。

【就労選択支援の減算制度】

  • 身体拘束廃止未実施減算…10%減または1%減
  • 特定事業所集中減算(新設)…200単位/月
  • 虐待防止措置未実施減算…1%減
  • 業務継続計画未策定減算…1%減
  • 情報公開未報告減算…5%減

また、加算制度については下表のようになっています。

【就労選択支援の加算制度】

加算 単位数
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)〜(Ⅲ) 15〜6単位/日
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ) 51〜41単位/日
高次脳機能障害者支援体制加算 41単位/日
欠席時対応加算(上限月4回) 94単位/回
医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅵ) 32〜100単位/日
利用者負担上限額管理加算(上限月1回) 150単位/回
食事提供体制加算 30単位/日
送迎加算(Ⅰ)(Ⅱ) 片道21〜10単位
在宅時生活支援サービス加算 300単位/日
緊急時受入加算 100単位/日
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)〜(Ⅳ) ※省略

最新情報は厚生労働省公式ページで確認を

就労選択支援に関する最新情報や詳しい報酬算定構造は、以下の厚生労働省の公式ページでも確認できます。

新たに導入される就労選択支援の目的や方向性は、以下の記事でも解説しています。

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