【障害福祉サービス等報酬改定】就労移行支援・就労定着支援における改定の概要【令和6年度】


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2024年4月から、障害福祉サービス等の報酬改定が行われます。改定を前に、2024月2月6日に厚生労働省から改定の概要をまとめた資料が公表されました。就労移行支援と就労定着支援における改定では、サービス管理責任者の参加を必須としていた「支援計画会議実施加算」と「定着支援連携促進加算」が「地域連携会議実施加算」に名称変更され、加算条件等も見直されています。他の改定内容とあわせてお伝えします。

就労移行支援における改定内容

就労移行支援における主な改定は、利用定員規模の見直しと「支援計画会議実施加算」の見直しです。

利用定員規模で「10名以上」が追加

就労移行支援における利用定員規模は、これまで「20名以上」でした。2024年4月からは、「10名以上」が追加され、より小さな規模で実施可能となります。

【就労移行支援の利用定員規模】

見直し前 20人以上の人員を利用させることができる規模

(離島等においては10人以上)

見直し後 10人以上の人員を利用させることができる規模

「支援計画会議実施加算」が「地域連携会議実施加算」に

利用者の支援に関する会議を実施した際に加算される「支援計画会議実施加算」については、名称が「地域連携会議実施加算」に変更となり、サービス管理責任者の会議参加が必須ではなくなりました。

サービス管理責任者が参加する場合の加算の単位数は現在の報酬と同じですが、サービス管理責任者が参加しない場合は、408単位/回となります。

【会議実施への加算条件の変更】

名称 条件 加算
見直し前 支援計画会議実施加算 サービス管理責任者の参加必須

1月に1回、かつ1年に4回が上限

583単位/回
見直し後 地域連携会議実施加算(Ⅰ) サービス管理責任者が参加する 583単位/回
地域連携会議実施加算(Ⅱ) サービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員、就労支援員が参加し、会議の結果をサービス管理責任者に共有する 408単位/回

 

見直し後の加算回数の上限は、地域連携会議実施加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)の合計回数で計算し、1月に1回かつ1年につき4回です。

その他の改定

以上のほか、就労系の障害福祉サービス全体に関わる改定事項がいくつかあります。

就労移行支援の報酬に関係する改定は、次の4点です。

  • 休職期間中の利用条件
  • 施設外就労に関する実績報告書の提出義務の廃止
  • 基礎的研修開始に伴う対応
  • 施設外支援に関する事務処理の簡素化

休職期間中に就労移行支援を利用するには、いくつかの利用条件を満たさなければなりません。改定後の利用条件についてはあらためて事務連絡で周知されるとのことです。なお、利用にあたっての申請(支給申請)には、就労移行支援を利用したい休職者の在籍企業や主治医の意見書等の提出が必要となります。

施設外就労に関する実績報告書の提出義務については、通知が改正され、毎月の提出が不要に。しかし、施設外就労の実績記録書類の作成・保存が義務づけられ、必要に応じて自治体による確認が行われます。

2025年度(令和7年度)から始まるJEEDによる「基礎的研修」は、就労移行支援事業所の就労支援員は必ず受講しなければならないものです。ただし、経過措置として、2027年度(令和9年度)までは、基礎的研修を受講していない場合でも、就労支援員の人員基準を満たすものとして取り扱われます。同時に、基礎研修を受講した場合には就労支援関係研修修了加算を算定できるとされました。

そして、施設外支援に関する事務処理の簡素化を目的として、個別支援計画の見直し時期が1週間ごとから1か月ごとに変更されます。

 

就労移行支援の報酬算定構造の改定

2024年4月から適用される就労移行支援の報酬算定構造も厚生労働省から発表されています。

就労移行支援では、

  • 定員ごと・定着率ごとの単位数*
  • 身体拘束廃止未実施減算…10%減または1%減
  • 虐待防止措置未実施減算…1%減
  • 業務継続計画未策定減算…1%減
  • 情報公表未報告減算…5%減
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算…51単位/日または41単位/日
  • 高次脳機能障害者支援体制加算…41単位/日
  • 地域連携会議実施加算…583単位/回または408単位/回
  • 緊急時受入加算…100単位/日
  • 集中的支援加算(月4回まで)…1000単位/日
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算*

などの改定内容が示されました。

*条件によって報酬がさまざまに異なるため割愛

 

就労定着支援における改定内容

就労定着支援では、就労移行支援よりも大きな改定が行われます。実施主体の追加、就労移行支援事業所等の直接処遇職員が定着支援に従事した勤務時間の取扱い、「支援体制構築未実施減算」の新設などです。

実施主体の追加と就労移行支援事業所等の直接処遇職員による定着支援に関する見直し

就労定着支援の実施主体については、現行の実施主体に加えて、障害者就業・生活支援センター事業を行う事業者も追加されます。

就労移行支援との一体的な実施に関しては、就労移行支援事業所等の本来のサービス提供に支障が出ないことを条件として、職業指導員等の直接処遇職員が就労定着支援に従事した勤務時間を、就労定着支援員の常勤換算上の勤務時間に含めることができるようになります。

【就労移行支援事業所等との一体的な実施に関する改定】

見直し前 一体的に運営する就労移行支援事業所等の就労支援員等が、就労定着支援員を兼務する場合

→就労定着支援員にかかる条件換算上の勤務時間に参入できない

見直し後 一体的に運営する就労移行支援事業所等の就労支援員等が、就労定着支援員を兼務する場合

就労定着支援員にかかる常勤換算上の勤務時間に算入できる

報酬体系は就労定着率のみを加味、「定着支援連携促進加算」「地域連携会議実施加算」に

就労定着支援の報酬体系も見直され、これまで利用者数と就労定着率の両方を加味した報酬体系だったものが、2024年4月以降は就労定着率のみを用いた報酬体系になります。

また、利用者の就労定着支援計画に関する会議について加算される「定着支援連携促進加算」の名称と条件も見直され、就労移行支援で適用となる「地域連携会議実施加算」の枠組みを就労定着支援でも適用する形となりました。ただし、報酬の単位は就労移行支援の場合と就労定着支援の場合で異なります。

【報酬体系の改定】

見直し前 利用者数と就労定着率で評価
見直し後 就労定着率のみで評価

 

【会議実施への加算条件の変更】

名称 条件 加算
見直し前 定着支援連携促進加算 サービス管理責任者の参加必須

1月に1回、かつ1年に4回が上限

579単位/回
見直し後 地域連携会議実施加算(Ⅰ) サービス管理責任者が参加する 579単位/回
地域連携会議実施加算(Ⅱ) サービス管理責任者以外の就労定着支援員が参加し、会議の結果をサービス管理責任者に共有する 405単位/回

 

地域連携会議実施加算の適用回数の上限は、(Ⅰ)と(Ⅱ)の合計で1月に1回かつ1年に4回です。

「支援体制構築未実施減算」の新設

就労定着支援に関する改定で、もうひとつ大きなものが「支援体制構築未実施減算」の新設です。定められた内容の施策が未実施のまま就労定着支援を終了した場合、所定単位数の10%に相当する単位数が減算されます。

具体的には、以下の内容について引き継ぎ体制の構築をしていない場合に適用されます。

【就労定着支援終了までに求められる引き継ぎ体制】

企業による職場でのサポート体制、職場定着に向けた生活面の安定に向けた支援の引き継ぎ体制の構築

  • 要支援者の雇用先企業および就労支援等の関係機関への要支援者の情報共有に関する指針の策定
  • その責任者の選任
  • その情報共有の状況にかかる記録の作成と保存

その他の改定

就労系障害福祉サービス全体に関わる改定の中で就労定着支援に関わるものは、就労移行支援の項目で触れた「基礎的研修」開始にともなう受講の必須化と2027年度までの経過措置です。

就労定着支援事業所の就労定着支援員は、この「基礎的研修」を必ず受講しなければなりません。経過措置は2027年度(令和9年度)まで。経過措置の間は、基礎的研修を受講していない場合でも、就労支援員の人員基準を乱すものとして取り扱われます。

就労定着支援の報酬算定構造の改定

2024年4月から適用される就労定着支援の算定構造の改定内容は、以下のとおりです。

  • 就労定着率ごとの単位数*
  • 支援体制構築未実施減算…10%減
  • 虐待防止措置未実施減算…1%減
  • 業務継続計画未策定減算…1%減(2025年4月から適用)
  • 情報公表未報告減算…5%減
  • 地域連携会議実施加算…579単位/回または405単位/回
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算*

*条件によって報酬がさまざまに異なるため割愛

 

告示等は2024年3月

以上の内容を踏まえて、厚生労働省は2024年3月に告示等を出す見込みです。

より詳しい報酬算定構造については、以下の厚生労働省の公式ページから「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」をご覧ください。

 

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