【障害福祉サービス等報酬改定】就労継続支援A型・B型における改定の概要【令和6年度】


本ページはプロモーションが含まれています

2024年4月から、障害福祉サービス等の報酬が改定されます。これにあたり、2024月2月6日に厚生労働省が改定の概要を公表しました。就労継続支援における改定では、基本の報酬体系が見直されるとともに、新しい加算・減算制度も導入されます。他の主な改定内容とあわせてお伝えします。


就労継続支援A型における改定内容

就労継続支援A型における主な改定は、スコア方式による評価項目の見直しです。平均労働時間がより長く、生産活動収支が賃金総額を上回るほど加点される仕組みとなりました。

また、利用者の一般就労に向けたスキルアップの取り組み支援を評価する項目「利用者の知識及び能力向上」と、経営改善計画が未提出であったり指定基準を満たしていなかったりする場合に減算される「経営改善計画」が新たに設けられています。

現行(見直し前)と2024年4月以降(見直し後)を比較したものが、下表です。

【就労継続支援A型のスコア方式による評価の改定】

項目 評価指標 判定スコア

(見直し前)

判定スコア

(見直し後)

労働時間 1日の平均労働時間 5点〜80点 5点〜90
生産活動 前年度及び前々年度の生産活動収支の状況 5点〜40点 -20点〜60
多様な働き方 利用者が多様な働き方を実現できる制度の整備状況 0点〜35点 0点〜15
支援力向上 職員のキャリアアップの機会を組織として提供している等、支援力向上にかかる取組実績 0点〜35点 0点〜15
地域連携活動 地元企業と連携した高付加価値の商品開発、施設外就労等による働く場確保等、地域と連携した取組実績 0点〜10点 0点〜10点
経営改善計画(新設) 経営改善計画の作成状況 -50点〜0
利用者の知識及び能力向上(新設) 利用者の知識及び能力の向上に向けた支援の取組状況 0点〜10

 

さらに、就労系障害福祉サービス全体に関わる内容にも改定が見られます。その中で、就労継続支援A型に関わる内容は、次のものです。

  • 一般就労中の障害者による一時的な利用の際の評価の見直し
  • 一般就労を行う障害者が休職期間中に利用する際の条件の見直し
  • 施設外就労に関する実績報告書の提出義務の廃止
  • 施設外支援に関する個別支援計画の見直し時期の変更

一般就労中の障害者が就労継続支援A型を一時的に利用する場合、その評価は基本報酬の算定に使われるスコア評価項目における平均労働時間の計算から除外されます。

また、一般就労中の障害者が休職しており、その休職期間中に就労継続支援A型を利用する場合の利用条件については、今後改めて事務連絡で周知される予定です。加えて、支給申請の際は、その障害者を雇用している企業や主治医の意見書等の提出が必要となります。

施設外就労に関する実績報告書の提出は、地方公共団体の事務負担軽減を目的として、2024年4月以降は提出義務が廃止されます。代わりに、施設外就労の実績記録書類の作成・保存が義務づけられることとなりました。

施設外支援に関する個別支援計画の見直し時期は、これまで「1週間ごと」だったものが、「1か月ごと」に変更されます。

就労継続支援A型の報酬算定構造の改定

2024年4月から適用される就労継続支援A型の報酬算定構造について、主な改定内容は次のとおりです。

  • 定員ごと・評価点ごとの単位数*
  • 身体拘束廃止未実施減算…10%減または1%減
  • 虐待防止措置未実施減算…1%減
  • 業務継続計画未策定減算…1%減
  • 情報公表未報告減算…5%減
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算…51単位/日または41単位/日
  • 高次脳機能障害者支援体制加算…41単位/日
  • 緊急時受入加算…100単位/日
  • 集中的支援加算(月4回まで)…1000単位/日
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算*

*条件によって報酬がさまざまに異なるため割愛

詳しくは、厚生労働省が2024年2月に公表した「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」に記載されています。

就労継続支援B型における改定内容

就労継続支援B型の報酬改定では、工賃月額の向上を目的とした報酬体系の見直しと、人員配置「6:1」の報酬体系の追加、収支差率を踏まえた基本報酬への見直し、「短時間利用減算」の新設、「目標工賃達成加算」の新設が行われます。

平均工賃月額が高ければプラス評価、低ければマイナス評価に

就労継続支援B型で大きな見直しとなるものの一つが、平均工賃月額に対する基本報酬単価の見直しです。より高い平均工賃月額の事業所をより高く評価し、低い区分の平均工賃月額の事業所に対しては、単価を引き下げることとなりました。

また、平均工賃月額の算定方法も変更されます。これまでは、工賃総額を工賃支払対象者の総数で割った値としていたものを、年間工賃支払総額を開所日数あたりの平均延べ利用者数で割り、それをさらに12か月で割って算出するものとしました。これは、障害特性などの理由で利用日数が少ない方を多く受け入れているケースを考慮したものです。

【就労継続支援B型の平均工賃月額算定式】

見直し前 工賃総額÷工賃支払対象者の総数

*除外要件

  • 月の途中で利用開始または終了した利用者
  • 月の途中で入院または退院した利用者
  • 月の途中で全治1か月以上のケガや流行性疾患などで連続1週間以上利用できなかった利用者
  • 複数の日中活動にかかる障害福祉サービス利用者
  • 通年かつ毎週1回以上引き続き通院する必要がある利用者
見直し後 年間工賃支払総額÷(年間延べ利用者数÷年間開所日数)÷12か月

*除外要件は廃止

手厚い支援のため人員配置「6:1」を追加

今回の報酬改定の検討にあたり、就労継続支援B型に関する要望では、これまでよりも手厚い支援が可能となる「6:1」の人員配置などが求められていました。これが改定に採り入れられ、新たに人員配置「6:1」が報酬体系に加えられます。

人員配置「6:1」の平均工賃月額を元にした基本報酬は、次のようになっています。

【就労継続支援B型の人員配置「6:1」の基本報酬】

平均工賃月額 基本報酬
4.5万円以上 837単位/日
3.5万円以上4.5万円未満 805単位/日
3万円以上3.5万円未満 758単位/日
2.5万円以上3万円未満 738単位/日
2万円以上2.5万円未満 726単位/日
1.5万円以上2万円未満 703単位/日
1万円以上1.5万円未満 673単位/日
1万円未満 590単位/日

 

収支差率を踏まえた基本報酬

利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系も見直されます。これは定員の規模によって平均工賃月額ではなく一律に基本報酬を定めるもので、2021年の報酬改定で導入された報酬体系です。

今回の見直しでは、これまでよりも基本報酬単位が減少し、例えば人員配置「7.5:1」で定員20人以下のB型事業所の場合、1日あたり556単位だったものが530単位となります。

見直し後の人員配置・定員ごとの基本報酬を以下にまとめました。

【利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する報酬体系】

(B型サービス費Ⅳ〜Ⅵ、2024年4月以降)

定員\人員配置 6:1 7.5:1 10:1
20人以下 584単位/日 530単位/日 484単位/日
21人以上40人以下 519単位/日 471単位/日 430単位/日
41人以上60人以下 488単位/日 443単位/日 398単位/日
61人以上80人以下 479単位/日 434単位/日 390単位/日
81人以上 462単位/日 419単位/日 376単位/日

新設される「短時間利用減算」と「目標工賃達成加算」

2024年4月から、新たな減算制度も加わります。利用時間が4時間未満の利用者が全体の5割以上である場合に適用される「短時間利用減算」です。収支差率を踏まえた基本報酬の見直しとセットで導入される減算制度であり、短時間利用減算が適用されると所定単位数から30%減となります。

ただし、短時間利用減算が適用されない場合もあります。個別支援計画で一般就労に向けた利用時間延長のために支援を行っている場合や、やむを得ない理由で短時間利用となるケースです。これらの場合は、利用者数の割合の算定から除外されます。

 

【(新設)就労継続支援B型の短時間利用減算】

短時間利用減算 所定単位数から30%減

*利用時間が4時間未満の利用者が全体の5割以上の場合

*一般就労に向けた利用時間延長のための支援を実施している場合や、やむを得ない理由で短時間利用となっているケースを除く

 

また、「目標工賃達成加算」も新設されます。平均工賃月額に応じた報酬体系で、1日あたり10単位を加算するものです。加算の条件は、目標工賃達成指導員配置加算の対象となる指定就労継続支援B型事業所等が、都道府県の工賃向上計画に基づき、自らも工賃向上計画を作成しており、その計画に掲げた目標の工賃を達成することとなっています。

【(新設)就労継続支援B型の目標工賃達成加算】

目標工賃達成加算 10単位/日

対象:

目標工賃達成指導員配置加算対象の指定就労継続支援B型事業所等

条件:

●   都道府県が作成する工賃向上計画に基づき、自らも工賃向上計画を作成した

●   その計画に掲げた目標工賃を達成した

 

目標工賃達成指導員配置加算についても、人員配置6:1が追加された関係で、要件や報酬単価が見直されています。見直し前と後の違いは、下表のとおりです。

【就労継続支援B型の目標工賃達成指導員配置加算の見直し】

  見直し前 見直し後
「手厚い支援体制」の内容
  • 職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で7.5:1以上
  • 当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上
  •  職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上
  • 当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で5:1以上
20人以下 89単位 45単位
21人以上40人以下 80単位 40単位
41人以上60人以下 75単位 38単位
61人以上80人以下 74単位 37単位
81人以上 72単位 36単位

その他の見直し

就労継続支援B型に関するその他の見直しとしては、

  • 一般就労中の障害者が就労継続支援B型を一時利用する場合、平均工賃月額の計算から当該障害者の労働時間・工賃を除外
  • 一般就労を行う障害者が休職期間中に利用する際の条件の見直し
  • 施設外就労に関する実績報告書の提出義務の廃止
  • 施設外支援に関する個別支援計画の見直しを現行の「1週間ごと」から「1か月ごと」への変更

などがあります。

いずれも就労継続支援A型で適用される見直しとほぼ同様のものです。

就労継続支援B型の報酬算定構造の改定

2024年4月から適用される就労継続支援B型の報酬算定構造について、主な改定内容は次のとおりです。

  • 人員配置・定員ごと・平均工賃月額ごと、または人員配置・定員ごとの単位数*
  • 身体拘束廃止未実施減算…10%減または1%減
  • 虐待防止措置未実施減算…1%減
  • 業務継続計画未策定減算…1%減
  • 情報公表未報告減算…5%減
  • 短時間利用減算(B型サービス費Ⅳ〜Ⅵを算定している事業所)…30%減
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算…51単位/日または41単位/日
  • 高次脳機能障害者支援体制加算…41単位/日
  • 就労移行支援体制加算のⅠとⅢに「6:1」を追加
  • 目標工賃達成指導員配置加算…定員に応じて36単位〜45単位/日
  • 目標工賃達成加算…10単位/日
  • 緊急時受入加算…100単位/日
  • 集中的支援加算(月4回まで)…1000単位/日
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算*

*条件によって報酬がさまざまに異なるため割愛

詳しくは、厚生労働省が公表した「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」をご覧ください。

具体的な告示等は2024年3月に

障害福祉サービス等の報酬改定に関する告示等は、厚生労働省は2024年3月に出される見込みです。

就労継続支援を含む障害福祉サービス等の報酬算定構造全体の詳細は、以下の厚生労働省の公式ページで既に公表されています。

(関連記事)

【就労系】令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の方向性は?

【相談支援・就労選択支援】どうなる?令和6年度報酬改定の方向性と新設される仕組み

障がい者雇用に関する最新ニュース しごとマガジンのダイジェスト 障がいと仕事に関する最新ニュースを読もう! メルマガに登録する 就職を目指す障がいのある方の就労サポート!就労以降支援事業所全国検索 ルミノーゾチャンネル あなたの働きたいを応援する就労移行支援事業所
就職、職場定着に真に役立つ情報をわかりやすく解説。
あなたの就労に活用ください。
TOP