2020/11/20
アビリンピック過去問題|第37回全国(2017)ビルクリーニングとオフィスアシスタント
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オフィスを清潔に保ってくれるビルクリーニングは、私たちの職場に欠かせない仕事。業務上の細かなタスクを担ってくれるオフィスアシスタントも、ビジネスにおける縁の下の力持ちです。こうした技能を競うものに、アビリンピック競技種目「ビルクリーニング」や「オフィスアシスタント」があります。
「ビルクリーニング」競技では毎年同じ課題が出され、選手の技能もとても向上しています。一方、「オフィスアシスタント」では競技ルールの変更があり、どのように作業を進めるのか選手自身が工夫できるようになりました。
もくじ
競技種目「ビルクリーニング」とは? 評価ポイントは効率的な動作とあいさつ
競技種目「ビルクリーニング」は、アビリンピック競技種目の中でも参加者が多い競技。オフィスの清掃技術を競う種目です。
「ビルクリーニング」の課題は大きく分けて2つあります。カーペット床清掃(課題1)と弾性床清掃及び机上清掃(課題2)です。細かく手順が決められているため、その手順に従っていかに効率よく、かつ礼儀正しく清掃作業を行えるかが評価のポイントです。
身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能。2017年大会では45名の選手が参加しました。
「ビルクリーニング」の採点ポイントは5つあります。
<「ビルクリーニング」の採点ポイント>
- 作業準備
- 作業動作(手順)
- 仕様誤りの有無
- 作業態度(入退室時の挨拶等)
- 作業時間
「ビルクリーニング」で会場に用意されているもの・持参するもの
「ビルクリーニング」の競技に必要な資機材は会場側で用意されます。会場側で用意されている資機材以外は、使用を認められません。
<「ビルクリーニング」課題1で用意されているもの>
- 真空掃除機(1台):ポット型・リンレイRDエコ2型
<「ビルクリーニング」課題2で用意されているもの>
- 作業用カート(1台):ビルクリーニング技能検定資機材に準拠
- 作業用標示板(1個)
- ワンタッチモップ柄(1本):ワンタッチアルミ伸縮柄
- ラーグ(モップ房・1枚):260g・白色
- 小型ぼうき(1本):30cm幅用
- 乾式モップヘッド(1枚):63cm
- 文化ちりとり(1個):ビルクリーニング技能検定資機材に準拠
- タオル(2枚):水拭き用(青色・1枚)、から拭き用(白色・1枚)
- ダスタークロス(1枚):60cm幅の不織布
- ビニール袋(1枚):ゴミ袋用替袋
選手自身は、清掃作業に適した服装で参加すればOK。基本的には以下のもの一式に限られますが、同一種類のものを予備として持参することは構いません。
<「ビルクリーニング」で選手の持参が認められるもの>
- 作業着(上・下)(1着)
- 作業帽又は三角巾(1個)
- 作業靴(1足)
「ビルクリーニング」の制限時間と課題概要
「ビルクリーニング」の全体の競技時間は非常に長いものですが、選手1人あたりの競技時間は各課題で10分以下。短い時間で4m×4mの面積を手際よく清掃する技能が求められます。
また、作業の際に清掃区画に出入りする時は、軽く挨拶や会釈をしないと評価が下がってしまうので気をつけてください。
「ビルクリーニング」の制限時間
「ビルクリーニング」の制限時間は、課題1のカーペット床清掃が7分、課題2の弾性床清掃及び机上清掃が10分です。
2017年大会では9:00-17:30で1日かけて実施。途中、12:00から1時間の昼休憩がとられました。
「ビルクリーニング」は、選手1人あたりの競技時間は短いものの、待ち時間がとても長い種目です。寒さで風邪をひいたりしないよう、温かい格好で自分の競技時間まで待機しましょう。
課題1:カーペット床清掃
課題1のカーペット床清掃は、4m×4mの区画に敷かれたカーペットの除塵作業。区画内には机と椅子、ゴミ箱が設置されています。
競技時間の準備から競技終了まで、9工程です。
<「ビルクリーニング」課題1の工程>
- 資機材の準備:資機材が過不足なく準備されているか点検、点検が終了したら係員の指示に従ってスタートラインに立つ
- 競技開始の挨拶:審査員から始めの合図があったら「始めます」と片手を挙げて挨拶をし、礼をする
- 作業準備:真空掃除機を保管場所から作業場所の近くへ移動し、プラグをコンセントに差し込んで始動点検を行う(吸込み口に手を当てて風量があるか点検する)
- 入室の挨拶:区画の入口で、区画内に向かって「失礼します」と言って礼をする
- 除塵(真空掃除機):外から入口を吸塵して区画内へ入り、手順に従って吸塵作業を進める(掃除機本体は手で持って移動)
- 点検:ゴミの取り残しがないか指差し及び目視点検を行い、取り残しがあれば処理する(声を出さない)
- 退室の挨拶:区画出口に立って「失礼しました」と言い、一礼する
- 資機材の片付け:掃除機のコードを巻いて掃除機を保管場所に戻す
- 終了挨拶:スタートラインに立ち、「終わりました」と言って作業終了を申告する
なお、カーペット床の除塵作業は、以下の手順で行うよう具体的に定められています。
除塵作業にあたっては、以下の点に気をつけて進めましょう。
- ゴミ箱は片手で持ち上げて下を吸塵し、元の位置に戻す
- 机の下を吸塵する時は、椅子を手間に引き出して行い、吸塵後は椅子を元に戻す(机は動かさない)
- 前進しながら吸塵作業を行う
- 吸塵作業が終了したら掃除機を区画の外に出して、プラグを抜く
課題2:弾性床清掃及び机上清掃
「ビルクリーニング」の課題2は、弾性床の清掃と机上の清掃。作業内容が多く、ルールも細かいのが特徴です。
工程は全部で13あります。
<「ビルクリーニング」課題2の工程>
- 資機材の準備:資機材が過不足なく準備されているか点検、点検が終了したら係員の指示に従ってスタートラインに立つ
- 競技開始の挨拶:審査員から始めの合図があったら「始めます」と片手を挙げて挨拶をし、礼をする
- 作業準備:作業カートを保管場所から作業場所の近くへ移動させ、所定の位置に作業標示板を立てる
- 入室の挨拶:区画の入口で、区画内に向かって「失礼します」と言って礼をする
- 椅子上げとゴミ処理:作業前にイスを机の上に上げ、ゴミ箱からゴミの回収を行い、ゴミ箱も机の上に上げる
- 除塵作業(掃き作業):乾式モップヘッドを柄に装着し、外から入口を除塵して区画に入り、手順通りに掃き作業を行う
- 水拭き(モップ):拭き残しや拭きむらのないよう、かつ幅木や机の脚部に触れないよう気をつけながら、手順に従って区画全体を拭く
- ゴミ箱と椅子を下ろす:音を立てないようにゴミ箱と椅子を元の位置に戻す
- 机上拭き:拭き残しや拭きむらのないよう、机の上の水拭きとから拭きを行う
- 点検:ゴミの取り残しがないか指差し及び目視点検を行い、取り残しがあれば処理する(声を出さない)
- 退室の挨拶:区画出口に立って「失礼しました」と言い、一礼する
- 資機材の片付け:作業標示板を作業カートに収納し、作業カートを所定の位置に戻す
- 終了挨拶:スタートラインに立ち、「終わりました」と言って作業終了を申告する
作業にあたっては、課題2のいくつかの工程で出されている細かいルールも守りましょう。
まず、椅子上げとゴミ処理では、椅子を机の上に上げたら、ゴミ箱にセットされているゴミ袋ごとゴミ処理を行います。取り外したゴミ袋は、カートのゴミ袋に入れましょう。ゴミ箱に替え袋をセットしたら、ゴミ箱を机からはみ出さない位置にきちんとのせます。
次に掃き作業です。掃き作業では、ゴミを踏まないように足場を確保しながら進めましょう。この時、ヘッドは広い方を先行させながら使い、床から離してはいけません。掃き作業の手順は、下図の通りです。
掃き掃除の最後には、区画の出口に向かってゴミを1カ所に集めます。その後ヘッドを柄から外して使用済みダスタークロスをヘッドから外しましょう。柄とヘッドをカートの所定の位置に戻し、小型ぼうきと文化ちりとりを取り出して集めたゴミを取ります。他にゴミの取り残しがないか点検し、取り残しがある場合はほうきとちりとりで取り除いてください。取り残しがなくなったら、ほうきとちりとりをカートに戻して、掃き作業は完了です。
続いて行う水拭き作業のポイントは、幅木(区画を区切っているもの)と机の脚部に房糸が触れないようにすること。そのためには、コーナー周り机の足下は房糸に手を添えて拭く必要があります。これ以外の部分は、横拭きで後退しながらモップをかけていけば大丈夫。ただし、拭いたところを踏んでしまわないよう気をつけてください。水拭きの具体的な手順は下図の通りです。
最後に、机上拭きです。まずは青色のタオルを八つ折りにして持ち、机上を水拭きしましょう。机の縁を含めた4辺を拭いたあと、横方向に机上全体を拭きます。その後、縦方向に机上全体を拭きましょう。水拭きのあとは、白色のタオルを八つ折りにして持ち、机上を同じ手順でから拭きして終了です。
「ビルクリーニング」は地方大会も同内容で実施
アビリンピック競技種目の課題は、全国大会と地方大会で課題内容がやや異なる場合が多いものです。しかし、「ビルクリーニング」は全国大会と地方大会で同じ課題が出されています。
清掃の内容や清掃手順、導線等も同じですので、機会があればアビリンピック地方大会に実際に見に行ってみるのもよいでしょう。実際の体の動きや機材の使い方を見ることで、自分では意識していなかったポイントに気づけるかもしれません。
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競技種目「オフィスアシスタント」とは? 2017年はルール変更あり
業務で発生する書類の発送準備や、郵送されてきた書類を部署ごとに振り分けるなどの細かなタスクを担ってくれるオフィスアシスタント。アビリンピック競技種目「オフィスアシスタント」では、そうした発送準備や書類の振り分け等を素早く正確に行うスキルが競われます。
「オフィスアシスタント」には身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能。2017年全国アビリンピックの参加者は32名でした。
2017年の大会では競技ルールが以下の様に変更されています。
- 書類の三つ折りをする時に折板の使用が禁止された
- 三つ折りの時に全ての文書が見えないように折ることになった
- 従来は工程別に競技時間が設けられていたが、2017年は複数の工程を任意のやり方で40分以内に行うことになった
- 郵便物の宛先が3カ所になった
効率よく正確に行うには集中力が必要です。どういう順番で作業を行えば早く正確にこなせるのか、集中が続きやすいかなどの作戦を立てて臨みましょう。
「オフィスアシスタント」当日の流れと制限時間
「オフィスアシスタント」の競技本番では、課題ごとに説明時間・練習時間が設けられ、練習のあとに本番の競技が行われます。全体としては、以下のような流れです。
<「オフィスアシスタント」課題1の流れ>
- 説明時間:15分
- 練習時間:15分
- 競技標準時間:30分
- 打ち切り時間:39分
課題1が終わると、20分間の休憩時間があります。課題2に備えてトイレを済ませたり体を休めたりしましょう。
課題2の流れも課題1と基本的には同じですが、課題1より時間は短く設定されています。
<「オフィスアシスタント」課題2の流れ>
- 説明時間:5分
- 練習時間:3分
- 競技標準時間:10分
- 打ち切り時間:13分
2017年大会では、9:30-11:30で実施されました。
「オフィスアシスタント」の課題概要
「オフィスアシスタント」は作業量が多いため、素早く正確に作業を進める作戦と集中力が求められます。単純に書類を折って封入したり仕分けたりするだけでなく、部署が不明の場合は氏名一覧から探し出して仕分けたりもしなければなりません。
課題1:文書の三つ折り・宛名シール貼り・封入
課題1では、文書の三つ折り・宛名シール貼り・封入作業を行います。できれば30分以内に作業を完了させたい課題です。開始から39分経っても作業が終わらない場合は、そこで打ち切りとなります。
課題1には3つの作業がありますが、どのように進めるかは選手が自由に決めて構いません。文書を全て三つ折りにしてから宛名シール貼りに進んでもいいですし、1通ごとに文書の三つ折り・宛名シール貼り・封入を行っていってもOK。封筒の宛先と文書の宛先、文書の入れる方向等を間違えないよう、工夫して進めましょう。
各作業で出される指示は、以下の通りです。
<文書の三つ折り作業>
- 指示書に従い、3種類のA4判の文書を三つ折りにする(折り板は使用禁止)
- 文書の書き出しが上にくるように文書を表に置き、用紙をしたから上に1/3折り、残りの1/3を上から下に折る
- 印刷不良があれば抜き取る
<宛名シール貼り作業>
- 指示書に従い、3種類の宛名シールを封筒の所定の位置に正確に貼る(シワにならないように)
- 印刷不良の宛名シールは使わない
<封入作業>
- 宛名シールを貼った封筒に三つ折りにした文書を入れて封をする
- 封筒の宛先と文書の宛先が同じものを封入する
- 封筒の裏面から見て文書の書き出しが右になるように入れる
- 封筒の口を折り返して封をする(のり付けは行わない)
打ち切り時間までに封入まで完了したものが、完成品となります。
課題2:封筒の仕分け
課題2では、封筒の仕分け作業を行います。できれば10分以内に作業を完了させましょう。開始から13分経っても作業が終わらない場合は、そこで打ち切りとなります。
仕分ける封筒は6種類。封筒の宛名を見て部署ごとに正確に仕分けなければなりません。もし部署が不明な場合は、氏名一覧から部署を調べて仕分けましょう。氏名一覧に載っていない場合は、不明として仕分けます。
競技時間自体は短いですが、氏名一覧を調べる手間があるのが特徴の課題2。まずは部署が分かるものと分からないものに分け、部署が分からないものをまとめて氏名一覧で確認するとよいでしょう。