アビリンピック過去問題|第17回東京(2018)ビルクリーニング


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アビリンピックの競技種目「ビルクリーニング」は、カーペット床と弾性床、机上の清掃技術を競う種目です。

作業手順の指示が細かく出され、指示通りにできれば加点される評価システムが特徴。そのため、いかに指示に従って早く正確に作業できるかが問われます。

掃除機をかける手順、モップをかける手順、机上を拭く手順を繰り返し練習し、作業手順に体を慣らしていきましょう。

今回は、第17回東京アビリンピック(2018年度)の課題を解説します。

競技種目「ビルクリーニング」とは」? 競技で用いられた用具類

競技種目「ビルクリーニング」は、床や机の上を清掃するスキルを競う競技です。

課題は2つあり、選手全員が順番に課題1に取り組んだあと、休憩時間を挟んでから、また順番に全員が課題2に取り組むという流れで行われます。

身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加できます。

競技はAとBの2面のコートで同時に行われ、それぞれのコートは4m×4mの大きさです。コート入り口から見て中央左寄りに机・椅子・ゴミ箱が設置されています。ゴミとして、シュレッダーで裁断した紙50ml程度が床にまかれます。清掃作業の際、机を移動させてはいけませんが、椅子やゴミ箱は指示の範囲内であれば動かして構いません。

参加する選手は、清掃に適した服装で臨み、清掃前の動作・清掃の手順・清掃終了時の動作・開始から終了までかかった時間などで評価されます。

毎年ほぼ同じ課題が出されますので、普段清掃業務を担当している人には取り組みやすい課題です。

競技で用いられる資機材は全て支給されます。選手は自分が着用する作業着・作業帽・作業靴だけ準備すれば大丈夫。支給される主な資機材は以下のものです。

 真空掃除機(ポット型)
 作業表示板
 モップとダスタークロス
 小型ぼうきと文化ちりとり
 タオル(水拭き用とから拭き用を1枚ずつ)
 ゴミ箱用替え袋

制限時間と競技の流れ

ビルクリーニングの2つの課題は、課題ごとに制限時間が設定されています。

課題1のカーペット床清掃も課題2の弾性床清掃と机上清掃も、全体的な流れは大体同じ。競技開始時の「はじめます」という挨拶で始まり、「終わります」で競技が終了します。制限時間内に「終わります」と報告できない場合は、清掃中であっても打ち切りとなります。

制限時間

制限時間は、課題1が7分、課題2が10分です。制限時間終了2分前に一度アナウンスが流れますので、なるべく時間内に作業を終えましょう。

時間内に終了できない場合、そこで清掃作業は打ち切られます。採点は加点方式なので、制限時間内に全ての作業を終えられないと、評価が低くなります。

作業途中で終了となった場合は、そこで手を止め、競技委員の指示に従いましょう。

当日の競技の流れ

当日の競技は、一度に選手2名ずつが順番に行います。自分の順番が来るまでは、会場に用意された椅子に座って待機。順番が来たら、指定のコート(AまたはB)へ向かいましょう。

競技開始から終了までは、課題1、課題2とも大体以下のような流れになります。

1. 競技委員の指示に従い、選手自身が資機材の準備を行う(必要な資機材のチェック・モップの取り付けと長さ調節等)
2. 資機材の準備が終わったら、競技委員の指示に従ってスタートラインで待機
3. 競技が始まったら、片手を挙げて「はじめます」と挨拶し、一礼する
4. 課題に必要な作業準備を行う(作業看板を立てる、掃除機や作業カートを移動させる等)
5. コートに入る際に入室の挨拶をする(室内に向かって「失礼します」と一礼)
6. 清掃を行う
7. 資機材の忘れやゴミの取り残しがないか、点検(指差し又は目視)を行う
8. 退室の挨拶をする(室内に向かって「失礼しました」と一礼)
9. 資機材を片付ける
10. スタートラインに立ち、「終わりました」等と言って作業が終了したことを競技委員に知らせる

課題(1)カーペット床の清掃の概要

1つめの課題は、7分以内で掃除機を使ったカーペット床の清掃です。掃除機を扱う際に腕の筋力が必要なので、清掃手順に慣れるとともに、掃除機の扱いにも慣れておくことがポイントです。

競技開始の挨拶をしたら、掃除機をコート入り口まで移動させ、電源ケーブルを出してコンセントにつなぎましょう。掃除機のスイッチを入れ、吸引口に手をあてて、風量があるか点検します。

挨拶をして入室し、手順通りに清掃作業を進めます。この時、どの順番で掃除機をかけるかは細かく指定されているので、その手順に従って作業を進めましょう。

ゴミ箱の下は、ゴミ箱を片手で持ち上げて掃除機をかけ、ゴミ箱を元の位置に戻します。椅子の下は、椅子を手前に引き出して掃除機をかけ、椅子を元の位置に戻しましょう。

一連の清掃作業の中で、机を動かしてはいけません。また、掃除機を移動させる時は、引きずらず手で持ち上げて移動させます。

作業の進め方は全国アビリンピックの課題とほぼ同じですので、必要に応じて参照してください。

【参考】過去3年の技能競技課題(参考資料)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

掃除機での清掃作業が終了したあとに、ゴミの取り残しがある場合も多いものです。最後の指差しや目視での点検を忘れずに行いましょう。

点検が終了したら、退室の挨拶を行い、掃除機の片付けをして保管場所に戻します。

以上全てが終了したら、スタートラインに立って「終わりました」と作業終了を競技委員に知らせます。

課題(2)弾性床と机上の清掃の概要

2つめの課題は、10分以内で弾性床(塩ビシート)の清掃と机上の清掃です。作業量が多いので、指示に従いながら効率良く進める必要があります。

競技開始前の準備

競技開始前に、資機材をしっかり準備しましょう。

必要な資機材は作業カートの上部に用意されているので、過不足がないかを最初にチェックします。

次に、ワンタッチモップ柄の長さを調節し、カートの所定の位置にセットしましょう。ダスタークロスは乾式モップヘッドに装着し、カート上部に置きます。

競技の開始

競技委員の指示に従い、スタートラインに立ちます。競技開始の挨拶を行ったら、作業カートを保管場所から作業場所近くに移動させましょう。

作業表示板を所定の位置に立ててから、挨拶して入室し、指示通りに清掃作業を進めます。

椅子上げとゴミ箱

入室して最初に行うのは、椅子上げとゴミ処理です。

椅子を机の上に上げ、ゴミ箱にセットされているビニール袋を回収して作業カートの袋の中に入れます。空になったゴミ箱は、替え袋をセットしてから机上に上げましょう。

乾式モップで除塵作業

2番目に行うのは、乾式モップでの除塵作業です。

ダスタークロスを装着したヘッドを、コート入り口のマットの上で柄に取り付けます。その後、下図の順番で前進しながらモップをかけましょう。コート出入り口に向かってゴミを一か所に集めていきます。

モップでの作業が終わったら、ヘッドを柄から外し、使用済みのダスタークロスをカートの袋の中へ入れます。ヘッドと柄もカートに戻しましょう。

小型ぼうきと文化ちりとりで集めたゴミを回収し、これもカートの袋の中へ。ゴミの取り残しがないか点検し、取り残しがなくなったら、ほうきとちりとりをカートに戻します。

モップで水拭き作業

3番目に行うのは、モップでの水拭き作業です。作業手順に従い、拭き残しや拭きムラが出ないよう、コート全体を拭きます。

水拭きで重要なのは、横拭きで行い、拭いたところを踏まないよう後退しながら拭くということ。また、コーナー周りと机の足下は、房糸に手を添えて拭く必要があります。房糸がコートを区切る幅木や机の脚部に触れないように拭きましょう。

ゴミ箱と椅子を戻し、机上を拭く

最後に行うのは、ゴミ箱と椅子を下ろし、机上を拭くことです。ゴミ箱と椅子は安全に、音を立てないように下ろします。

机上清掃では、青色の水拭き用タオルと白色のから拭き用タオルを使います。

青色のタオルを8つ折りにし、作業手順に従って水拭きします。その後、白色のタオルでから拭きしましょう。拭き方は、水拭きもから拭きも以下の手順で行います。

1. 机上の4辺(縁も一緒に拭く)を一周する
2. 横向きに机上全面を拭く
3. 縦向きに机上全面を拭く

点検と片付け、競技終了

机上清掃が終了したら、資機材を戻し忘れていないか、ゴミの取り残しがないか等を点検。問題がなければ、コート出口で室内に向かって退室の挨拶をして、退室します。

作業表示板をカートに戻し、カートを保管場所に戻しましょう。

以上、全てが終了したら、スタートラインに立ち、「終わりました」と言って作業の終了を知らせます。これで全ての課題が終了です。

ビルクリーニングのポイント

ビルクリーニングのポイントは、先述した通り、細かい指示に従って清掃作業を実施できるかどうかです。制限時間も決して長くはありませんから、テキパキと作業を進めなければなりません。

もし課題の説明や図面だけでは分かりにくいと感じたら、アビリンピックで実際に競技を見てみると大変参考になります。職場内に出場経験のある人がいる場合は、やって見せてもらうのも良いでしょう。

また、手際よく掃除機をかけたりモップをかけたりするには、道具自体を扱い慣れていないといけません。普段の業務や練習の中で、どのように持ったり動かしたりすればラクに使えるかを研究してみましょう。

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