2020/08/27
アビリンピック過去問題|第37回全国(2017)洋裁と縫製
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アビリンピック競技種目の「洋裁」と「縫製」は、ミシンや手縫いで指定された課題作品を製作する競技。洋裁は型紙を使って布を裁断する必要がありますが、縫製はすでに裁断された布が支給されます。2017年の全国アビリンピック大会では、洋裁の課題の難易度が上がり、より注意深く作業を進めることが求められました。
では、2017年開催の第37回全国アビリンピック競技種目、「洋裁」と「縫製」の課題について具体的に見ていきましょう。
もくじ
競技種目「洋裁」とは? 例年より難易度アップ
アビリンピック競技種目「洋裁」は、支給された型紙や材料を使って、ブラウスを製作する競技です。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加できます。
どのような型紙かは当日にならないと分かりませんが、課題の概要が事前に公開されるため、作業の進め方を大まかに検討・練習することができます。
第37回全国アビリンピックでは、例年よりレベルアップしたデザインの課題が出されました。製作するのは、パッチポケット付きの裏無し長袖オーバーブラウス。衿はテーラーカラーになっており、この裁断の出来で評価が大きく分かれたようです。
仕様としていくつか守るべきルールがあり、仕様にない部分は選手がそれぞれの判断で取り組みます。
洋裁で持参するもの・支給されるもの
洋裁では、型紙・布地・芯地・糸などの材料とミシンやアイロンといった設備・用具類が支給されます。一方、定規やしつけ糸、霧吹き、当て布等は選手が持参しなければなりません。
<支給される材料>
- 型紙:一式
- 表地:薄手ウール 1.5m
- 芯地:接着芯 0.8m
- 接着テープ:縦地 1.5m
- ミシン糸:200m巻 1個
- 手縫い糸 1枚
- 穴糸 1枚
- ロック糸 3個
- ボタン:2.0cm 3個
- 肩パット 1組
<会場に用意されている設備・用具類>
- 作業台
- 本縫いミシン
- 電気スタンド
- ベビーロックミシン
- ボビン・ボビンケース
- ミシン針:11号 2本
- ハンガー
- スチームアイロン
- 仕上げ用具:まんじゅう・小馬・そでまん
<選手が持参するもの>
- 洋裁用具一式:ステッチ定規、しつけ糸、霧吹きなど
- 敷布
- 当て布
競技中に用具類の貸し借りをすることはできませんので、忘れ物がないようにしっかり準備しましょう。
洋裁の制限時間と課題の概要
洋裁はアビリンピック競技の中でも長丁場の種目。仕様に従ってブラウスを製作します。2017年の課題は例年よりレベルアップしたため、時間内で完成できるかが危ぶまれました。
洋裁の制限時間
洋裁の制限時間は、6時間です。
生地の裁断から仕上げまで6時間以内に終わらせる必要があり、根気強く丁寧に作業を進めなければなりません。
テーラーカラーはオーダー仕立ての基礎とはいえ、慣れていないと必要以上に時間がかかるかもしれません。各作業にどのくらいの時間が必要かを事前に計測し、なるべく作業時間を短縮できるよう、繰り返し練習しましょう。
洋裁の課題概要
今回の洋裁の課題は、先述の通り「テーラーカラー・長袖・パッチポケット付き」のオーバーブラウスです。大会前に公開された課題概要には、以下のような仕様が記載されていました。
<洋裁課題の仕様>
- 肩・脇・袖下・袖付け・ヘム・見返し奥はロック始末
- 衿付けは、前身頃も見返しも縫い代は割る
- 後ろ襟ぐりは片返しで手まつり
- ポケットはコバミシン付け
- ボタンホーツは手がかり
- 表衿と見返しのゆとり分が各自で行う
当日は支給された型紙を使って裁断するところから作業を始めます。
ミシンの調整も自分で行いましょう。
競技種目「縫製」とは? 競技のポイント
2017年の全国アビリンピック競技種目「縫製」では、エプロン製作が課題でした。
縫製では材料がすでに裁断済みなので、洋裁の課題よりは作業量が少なくなっています。課題図が支給され、どこをどのように縫うのか仕様がしっかり決められているのも特徴です。
知的障害者のみが参加可能です。
縫製で競うのは、適切な布地の扱い方、ミシン縫いの技術、アイロンの使い方など。近年の課題変更で、縫製技術だけでなく、洋裁の基礎知識も必要になっています。
2017年全国大会のエプロン製作では、ダーツ処理やダーツの上のポケット付けに苦戦する選手が多かったようです。
縫製で持参するもの・支給されるもの
洋裁と同じように、縫製でも材料や設備・用具類が支給されます。縫製用具類一式は選手が持参しましょう。
<支給される材料>
- 表地:裁断済みの綿の中厚地(綿ツイル) 1枚分、袖ぐりと土台裾はバイアステープ接着済み、襟ぐりとフリル上部はロック済み
- ミシン糸:化繊糸 #11 1本
<競技会場に用意されている設備・用具類>
- 作業台
- ミシン:職業用自動糸切り
- ボビン・ボビンケース
- ミシン針:11号 2本
- アイロン:家庭用スチームアイロン
- 敷布
<選手が持参するもの>
- 縫製用具類一式(必須):裁ちばさみ、小ばさみ、目打ち、ものさし、チャコ、ステッチ定規など
- 使い慣れたミシン(必要に応じて):ボビン・ボビンケース、ミシン針も持参する
- アイロン(必要に応じて)
ミシンやアイロンを持ち込まない場合は、会場に用意されたものを使いましょう。
洋裁と同じく、競技中の用具類の貸し借りはできません。
縫製の制限時間と課題の概要
縫製は裁断済みの材料が支給されるため、自分で生地を裁断する必要はありません。しかし、肩ひもや腰ひも、ダーツ縫いなどの細かな指定があるため、それに従った縫製をしないと高評価につながりません。仕様を守り、丁寧に仕上げていきましょう。
縫製の制限時間
縫製の制限時間は、4時間です。
どのようなエプロンを製作するか、どのように縫製を行うかなどを指定した課題図は、事前に公開される課題で確認できます。制限時間内に作業を終えられるよう、しっかり練習しておきましょう。
課題の概要
2017年全国アビリンピックの縫製は、プリルとポケットが付いたエプロン製作が課題。仕様は以下のようになっています。
<縫製課題の仕様>
- 肩ひもは、2cmのできあがり幅で三方に端ミシンステッチをかける
- 腰ひもは、4cmのできあがり幅で三方に端ミシンステッチをかける
- ダーツ縫いは、中縫いをして縫い代を中心側へ倒す
- ポケットのポケット口は、1cm、2cmで三つ折り縫いにする
- ポケットのポケット付けは、課題図の通りに付ける。端ミシン、押え金幅(0.6cm)のダブルステッチをかける
- 見返しは、見返し布の下側を0.5cm、1cの三つ折り縫いにする
- 肩ひも付けは、見返しに挟み付ける
- 袖ぐりカーブは、1cm折りで、袖ぐりから胸のステッチ幅は0.6cmの押え金の幅でかける
- フリル作りは、できあがり幅10cm、裾と両端は0.5cmの三つ折り縫いにする
- フリル付けは、ギャザーを寄せて身頃の裾につける。付け縫い代の両端は脇縫いで挟み付ける。押え金0.6cmでステッチをかける
- 脇は、1cm、1.5cmで三つ折り縫いをする。フリル付けの後、腰ひもを挟み込み、脇縫いをする
製作にあたっては課題図の通りの位置、幅で縫う必要があり、できあがり幅が守られているかどうかも採点対象です。事前公開される課題図をチェックし、苦手な作業があれば十分に練習しておきましょう。
特にダーツ縫いやダーツの上にポケットを付ける作業で手間取った選手が多いようですので、意識してダーツやその周辺は意識して丁寧に仕上げていきましょう。