2024/01/17
【令和5年障害者雇用状況】民間企業で過去最高の実雇用率2.33%!精神障害者雇用が大きく増加
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2023年12月、厚生労働省から令和5年の障害者雇用状況の集計結果が発表されました。民間企業では、令和4年に引き続き雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新し、法定雇用率2.3%を達成しました。公的機関や独立行政法人などでも、前年を上回る雇用数、実雇用率に。前年にも増して、精神障害者の雇用促進がうかがえる結果となっています。
令和5年 民間企業の障害者雇用状況
法定雇用率2.3%の最後の年となった2023年。民間企業では、雇用障害者数、実雇用率共に過去最高を更新しました。
民間企業の雇用障害者数は64万人、実雇用率は2.33%
2023年6月1日時点での民間企業における雇用障害者数は、全体で64万2,178.0人。実雇用率は2.33%でした。いずれも前年に引き続いて過去最高を更新。民間企業全体の実雇用率が法定雇用率達成とならなかった前年とは異なり、今回は0.08pt増加して2.3%を達成しました。
民間企業の雇用障害者数を障害種別で見ると、
- 身体障害者 …… 36万157.5人(前年 35万7,767.5人)
- 知的障害者 …… 15万1,722.5人(前年14万6,426人)
- 精神障害者 …… 13万298人(前年 10万9,764.5人)
となっています。特に精神障害者の雇用数が大きく伸びており、前回から2万人ほど増加しました。
企業規模別の実雇用率では、例年同様、企業規模が大きくなるほど規模別の実雇用率も高くなっています。
法定雇用率を達成した企業規模は、
- 500人以上1000人未満
- 1000人以上
です。
500人以上1000人未満の企業規模では、前年の実雇用率2.26%から0.1pt上昇し、法定雇用率を達成。1000人以上の企業規模では、前年に引き続き法定雇用率を達成するとともに、0.07pt増加しました。
また、前回から比較的大きく実雇用率を伸ばした企業規模は、
- 43.5人以上100人未満
- 500人以上1000人未満
です。
43.5人以上100人未満の企業規模では、前年から0.11pt上昇して1.95%に。法定雇用率達成には遠いものの、企業規模別の中で最も大きな伸びを見せました。一方、500人以上1000人未満の企業規模でも、0.1ptと大きく伸びています。
企業規模別に雇用障害者数を見ると、最も多い雇用数は、1000人以上の企業規模で32万2.160.5人(前年 30万8,552.0人)でした。次に多いのは、100人以上300人未満の企業規模で、12万2,195.0人(前年 11万7,790.0人)でした。
これを障害種別でも見てみましょう。
雇用障害者数における身体障害者の割合は、いずれの企業規模でも50%を超えており、特に300人以上500人未満の企業規模で58.4%となっています。
知的障害者の割合では、1000人以上の企業規模と、43.5人以上100人未満の企業が比較的大きく、それぞれ24.8%、24.0%でした。他の企業規模より、1.6ptから3.5pt大きい結果です。
精神障害者の割合では、43.5人以上100人未満と500人以上1000人未満の企業規模が大きく、それぞれ23.2%、21.7%となっています。前回調査では、43.5人以上100人見何の企業規模で19.8%が最大でしたので、全体として精神障害者の雇用数増加をあらためて感じる結果となりました。
法定雇用率達成企業の割合
2023年の法定雇用率達成企業の割合は、民間企業全体で50.1%でした。対前年比で1.8pt上昇し、約半数の企業が法定雇用率を達成しています。
これを企業規模別に見ると、下図のようになります。
まず、半数が法定雇用率を達成した企業規模は、
- 100人以上300人未満(53.5%、前年 51.7%)
- 500人以上1000人未満(52.4%、前年 47.2%)
- 1000人以上(67.5%、前年 62.1%)
となっています。
1000人以上の企業規模では、法定雇用率達成企業の割合が前年から5.4pt上昇しました。1000人未満の企業規模でも、300人以上の企業規模では、達成企業の割合が大きく増加しています。300人以上500人未満では、前年から3.0pt上昇して46.9%の企業が達成。500人以上1000人未満では、さらに大きく、5.2ptの伸びを見せました。
例年、障害者雇用促進で大きな課題が見られる43.5人以上100人未満の企業については、達成企業の割合が前年から1.4pt増え、47.2%となっています。障害者雇用の取り組みを進めた企業と、依然として取り組みがあまり行われていない企業とが混在しているようです。
2024年4月からは、民間企業の法定雇用率は2.5%に引き上げられ、対象事業主の範囲も従業員数40.0人以上に拡大されます。法定雇用率と比べて著しく低い実雇用率となっている企業が抱えやすい課題は、障害理解や職域の創出、障害特性に応じた労働条件など。何が問題となっており、どのような解決策を講じられるのか、JEEDの校事例集やデータベース、他社の施策などを参考にしながら、より一層の取り組みを進めていきましょう。
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公的機関・独立行政法人なども前年を上回る結果に
国や地方自治体、教育委員会などの公的機関や、独立行政法人などでも、前年を上回る雇用障害者数、実雇用率となりました。多くの公的機関、独立行政法人などが、法定雇用率2.6%を達成しています。
一方で、教育委員会については、前年から雇用数・実雇用率が伸びたものの、法定雇用率2.5%の達成には至りませんでした。
公的機関と独立行政法人などの実雇用率
2023年の国・都道府県・市町村・教育委員会・独立行政法人などの実雇用率と機関数は、下の図表のとおりです。
前年に引き続き、国、都道府県、独立行政法人などでは法定雇用率を達成。市町村でも、実雇用率が前年から0.06pt上昇して2.63%となり、法定雇用率を達成しました。
他方、教育委員会では、今回も全体での法定雇用率2.5%達成は実現しませんでした。雇用障害者数は、前年の1万6,501.0人から増加して1万6,999.0人に、実雇用率は前年の2.27%から上昇して2.34%になりましたが、雇用促進施策のさらなる強化が必要と見られます。法定雇用率を達成していない都道府県は16ありました。
今回、実雇用率ワースト5となった都道府県教育委員会は、下表の5府県です。
都道府県名 |
実雇用率(%) | 不足数(人) |
愛知県 | 1.63 | 288.0 |
兵庫県 | 1.70 | 203.0 |
京都府 | 1.80 | 70.0 |
沖縄県 | 1.82 | 81.0 |
福岡県 | 1.84 |
119.5 |
雇用障害者数と障害種別の割合
公的機関、独立行政法人などの法定雇用率達成の割合を見ると
- 国 …… 100%(前年同様)
- 都道府県 …… 93.3%(前年同様)
- 市町村 …… 77.6%(前年から2.6pt上昇)
- 教育委員会 …… 67.4%(前年から6.3pt上昇)
- 独立行政法人など …… 83.5%(前年から3.5pt上昇)
となっています。
これを雇用障害者の障害種別の割合・人数とともに整理したものが、下図です。
身体障害者の割合は、いずれも2ptほど減り、かわりに精神障害者の割合が2pt上昇しました。その上で、身体障害者の割合が最も大きかったのは都道府県の機関で79.3%、次いで、市町村の機関で77.8%となっています。
知的障害者の割合を見ると、前年同様、独立行政法人などでの割合が最も大きく、前年から0.2pt上昇した14.5%でした。
精神障害者で最も割合が大きかったのは国の機関で、37.7%です。前年比で見ると1.1pt上昇しており、反対に身体障害者の割合が約1pt減少しました。
こうした公的機関や独立行政法人など、そして民間企業の雇用障害者数の推移をまとめたグラフが、下図です。
全体として、民間企業と同様、公的機関や独立行政法人などでも、精神障害者の雇用をより積極的に進めているように推察されます。
2024年4月から民間企業の法定雇用率2.5%へ引き上げ
今回の結果では、民間企業の実雇用率が2.33%、公的機関では、教育委員会以外が2.6%以上、教育委員会が2.34%、独立行政法人などが2.76%の実雇用率となりました。
2024年4月からは、民間企業でも法定雇用率が2.5%となり、さらに対象事業主の範囲も40.0人以上に拡大されます。2026年7月には、法定雇用率を2.7%へとさらに引き上げられる予定です。
出典:厚生労働省「事業主のみなさまへ 障害者の法定雇用率引き上げと支援策の強化について」
さらなる障害者雇用促進には、これまで雇用してきた主な障害種別の方の雇用数を増やすだけでなく、他の障害種別の方の雇用も視野に入れなければなりません。
現場で使える具体的なノウハウは、障害種別で大きく異なり、同じ障害種別でも個々人の特性によってさまざまな施策が考えられます。雇用担当者や現場のメンバーが「これでいいだろう」と思っている施策が、障害のある従業員本人にとっては「これは違う」というケースも珍しくありません。
事業所で実施してきた従来の業務フローや労働条件などに縛られず、本人とていねいに話し合い、相互理解や合意形成をしっかりと進めていくことが、何よりも重要です。
障害者支援の専門機関などと連携しつつ、質の高い障害者雇用を促進していきましょう。
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