2024/02/06
パラリンアート世界大会2023受賞者インタビュー!RIEさん、与那覇俊さん
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2024年1月23日、東京都の港区立男女平等参画センターにて、「パラリンアート世界大会 2023」表彰式が開催されました。今回のテーマは “旅(Journey)”。日本を含む世界23の国・地域から488点の作品が寄せられ、多彩な個性が輝く表彰式となりました。
表彰式後、編集部は準グランプリを受賞したRIEさんと与那覇俊さんにインタビュー。今回の作品づくりや、今後の活動についてうかがいました。
提供:パラリンアート運営事務局
「パラリンアート世界大会 2023」5名の受賞者が登壇
撮影:編集部
2024年1月23日、一般社団法人障がい者自立推進機構が主催する障害者アートのワールドカップ「パラリンアート世界大会2023」表彰式が、東京都の港区立男女平等参画センター「リーブラ」で開催されました。
パラリンアート世界大会の開催は、今年で6年目。世界の23の国・地域から、国内342作品、海外146作品、合計488作品が寄せられました。グランプリには賞金30万円と副賞が、準グランプリには賞金10万円と副賞が贈られます。今回の副賞は、協賛したXPpenより「XPPen Artist Pro (Gen2)」が用意されました。
表彰式に登壇した受賞者は、パラリンアート賞を受賞したErinさん(フィリピン)、東海理化賞を受賞した峯愛実さん(日本)、パーソル賞を受賞した田尻はじめさん(日本)、そして準グランプリを受賞したRIEさんと与那覇俊さん(いずれも日本)、グランプリを受賞したpombobarcelonaさん(スペイン)です。
作品画像提供:パラリンアート運営事務局
編集:編集部
作品画像提供:パラリンアート運営事務局
編集:編集部
準グランプリのプレゼンターであるパラリンアートの理事 中山秀征さんは、「本当に嬉しいのは、回を重ねるごとに、作品のグレード、作品の数、そして全てのことが、どんどんレベルアップしているということ」とあいさつ。RIEさん、与那覇さんの作品に「それぞれが、それぞれの想いで、それぞれの旅を見事に表現してくださった」と語りました。
続いて、審査員長の櫛野展正さんからグランプリを発表。受賞したpombobarcelonaさんは「グランプリだと伝えられたのは数カ月前のことになりますが、私の喜びは未だに続いています」とし、「電話中にメモ用紙に描いたらくがきのように見えるもので、無意識という概念を初めて表現したようなもの」と説明しました。「考えすぎることなく」制作された本作品は、上下を逆さまにして観ることできる点が大きな特徴となっています。
プレゼンターの櫛野さんによれば、満場一致でのグランプリだったとのこと。MCの一人であるセイン・カミュさんは「あのクラゲがめちゃくちゃかっこよくて、大好きなんですよ。上下変えられるというのも素晴らしいですね」と笑顔で作品中のクラゲを示していました。
パラリンアート世界大会2023入賞作品は、パークホテル東京の29階と32階にある常設展「パラリンアート ミュージアム 展」に掲出されます。
今大会の選考について、櫛野さんは「人と人がつながる様子だったり、人と国がつながる様子だったり、多様なテーマが描かれていますけれども、もしかしたら旅をするというのは、何かとつながることなのではないか、そんなふうに気づかせていただいた審査でした」と総括。アート活動では障害のある方が自分で色やテーマを決める大切な機会であると強調しました。
当編集部は、表彰式後に個別インタビューを実施。今回は、準グランプリを受賞されたRIEさんと与那覇俊さんに、作品制作のポイントや今後の活動について、うかがいました。
受賞者インタビュー:RIEさん(準グランプリ)
提供:パラリンアート運営事務局
準グランプリ、おめでとうございます。あらためて、今どのようなお気持ちですか?
最初は信じられなくて、びっくりしたのがあるんですけれど、自分の作品が評価されたんだっていうのが、すごく嬉しくて。よく思い浮かんだのは、やっぱり祖母と子どもの絵を描いたので、それが一番嬉しかったです。
——今回「旅」というテーマで、命の旅が終わりに向かっている、その点で全ての命が平等であるということで描かれていましたが、そのアイデアはすぐに出てきましたか?
「旅」って聞いて、普通の旅行とかよりも、やっぱり「命の旅」を描こうというのは、すぐに舞い降りてきたというか、考えましたね。
——命の旅といったときに、自分や家族、友人など、人間を中心に考えることもあるかと思いますが、今回、RIEさんの作品には、海や陸の動物、植物など、いろいろな生物が描かれていました。こうしたイメージが広がったきっかけは何ですか?
これも、やっぱり子どもが動物が大好きっていうのがあるんで、そこからヒントをもらって。そう思うと、命の重さとか、それこそ障害があっても平等っていうのを一番に描きたいなって思ったのと、恐竜も子どもが好きだから描いたっていうのがあります。なので、ひらめいたのは、やっぱり子どもがヒントになってくれていると思います。
——お子さんのイマジネーションとか好きな物とか、そういうのがとてもヒントになっていると。
そうですね。
私も動物が好きです、特に馬が好きで。普段は馬の絵ばかり描いてるんですけど、今回は他の動物を描くのが楽しかったり。
——今回、動物を中心にいろいろなモチーフを描かれているんですけれども、特に重要なモチーフや要素は、どれですか?
古代生物とか恐竜を描いたのは、「終わりが来ても旅は続くよ」っていうメッセージ性があったり。一番ポイントとして見てもらいたかったのは、私の大好きだった祖母、私の子どもにとってはひいおばあちゃんですが、3〜4年経つんですけど、祖母との旅のようす、思い出のようすも少し入れたくて。自分の中のポイントとしては蛍です。
——お子さんの好きな物以外に、RIEさんご自身の思い出も入っているんですね。
思い出って言ったら、そうですね、幼い頃、動物園で見た動物とかもそうだし。記憶の旅っていうのかもしれないです。
——どのくらいの期間で制作されましたか?
最初に描いたのは、結構前になるんですけど、らくがき程度に。でも、この絵を完成させようと、動物とかを描き込んでいったのは、2か月くらいで描き上げました。
普段は、キャンバスの大きさにはよるんですけど、アクリルで20号のキャンバスだと1か月くらい。50号だったら3か月くらいかかっちゃうんです。
撮影:編集部
——作品のサイズはいつもどれくらいのサイズで描かれるんですか?
今回の作品はデジタルなので、パラリンアートではA3くらいのサイズで制作しています。
アクリルのキャンバスでしたら、20〜30号で描きます。
——ちなみに、絵を描き始めたのは、いつ頃からですか?
幼い頃から描いていますね。(一番昔で覚えているのは)3〜4歳ですかね。セーラームーンとかを描いていました。
それから、絵が好きで、高校の美術デザインコースでCGを学んで、デジタルで描くのが軸になったんじゃないかなと自分では思います。逆にアクリルとかを使って描いたことが、あんまりなかったので。
——影響を受けたアーティストはいらっしゃいますか?
昔から好きなのは、アンリ・ルソーですね。思うままに描いていて、色彩豊かで。
遠近法とかめちゃくちゃなんですけど、うまい。(イマジネーションあふれる感じが)素敵ですね。
——モチーフや色合いで好きなものはありますか?
色をすごい使うのが好きで。カラフルなのが好きなんです。うるさくなっちゃうんですけど。写真家の蜷川実花さんの色の使い方も好きです。
——RIEさんの今回の作品も、たくさん色を使ってらっしゃいますね。
はい、たくさん使っています。
苦手な人には苦手だろうなと思うくらい、私の絵では色を使っていますね。
——今回、モノクロ作品を出されている方もいらっしゃいましたが、すごくカラフルな作品の方もいらっしゃいました。
そうですね。グランプリを取られたモノクロ作品を見て、「わあ、なんておしゃれなんだろう」って。そういうことでも影響を受けて、「今度はモノクロも描いてみようかな」って思ったりもしました。
——楽しみにしてます。そうしたアイデアが生まれるきっかけは、他の方の作品だったりすることもあるんですね。
そうですね、いい刺激になります。(表彰式後に発表された)「情熱」という次の世界大会のテーマについても、「ああ、楽しいな」って。いろいろ浮かぶ中で、どれを使おうかなって思ってます。
——さきほど、馬を描くのが好きとおっしゃっていましたが、他によく使うモチーフや色はありますか?
動物ですね。
——今回、青を多く使っていらっしゃった印象ですが。
あれは「母なる海」と思って描きました。
でも、木も描きたくて。欲張っちゃって。木の葉の部分が海になってるっていう。
——確かに、画面の上のほうに海の生物がいて、下のほうに陸の静物がいましたね。青で木々を描かれているのも、深さを感じて、とてもおしゃれだと思いました。
自分の作品をおしゃれだと思ったことがなかったので。ありがとうございます。
(絵にいろいろなモチーフを入れたくて)欲張りなんですよね。
大好きな祖母と息子さん、息子さんが好きな恐竜が描かれたRIEさんの作品
作品画像提供:パラリンアート運営事務局
RIEさん撮影:編集部
——RIEさんが制作において一番大切にしていることはなんですか?
ストーリーです。今回の作品でも、動物たちそれぞれにストーリーがあります。
いろいろな要素を絵の中に入れていくときに、その一つひとつにストーリーを作っています。そうすることで、愛着が出て、ていねいに描き上げられる。それがなかったら、サラッと描いて終わってしまう。
——そうしたストーリーが、RIEさんの絵のさまざまな要素をまとめているのかもしれませんね。RIEさんは、これまでに複数の受賞経験があります。絵を描き続ける原動力は何でしょうか?
「自分の絵なんて誰も見てくれないし、評価されるわけがない」って、自分が楽しいだけって状態でした。でも、ちょっと勇気を出して、人に見てもらえるかなっていうことが、嬉しい。いいと思ってもらえることが、嬉しいです。
そうして、いいと思ってもらえたことで、「次も頑張ろう」となります。
——今後のアーティスト活動について、どのようなことを目指していらっしゃいますか?
私は今A型事業所に勤めていて、レンタルアートっていう絵をお貸しする事業なんですね。そういう中で、自分の作品をレンタルしてもらえる、評価してもらえると嬉しいです。
パラリンアートでは、コンテストでの受賞で常連さんになってるアーティストの方もいらっしゃるので、私もそうなりたいです。
パラリンアートで賞をいただいたのは3回目、入選も含めると4回目ですが、今回のような表彰式に参加したのは1回だけなので。
——最後の質問です。パラリンアートに挑戦したいと思っていても、まだ挑戦していない方、ちょっとためらっている方に向けて、メッセージをお願いします。
本当に、すごく勇気が要ると思うんです。でも、私みたいな人間でも絵を出すことで評価をされたし。
一人で描いていて、もしためらっている方がいるなら、私はその方達の絵を見てみたいし、ちょっとだけ勇気を出してみてほしいです。
受賞者インタビュー:与那覇俊さん(準グランプリ)
提供:パラリンアート運営事務局
——本日の受賞、おめでとうございます。あらためて、今回の受賞が決まったことを知ったとき、どのようなお気持ちでしたか。
(俊さん)
ドキッとしました。すぐお母さんとお父さんに伝えました。
——今まで、たくさん受賞経験がありますね。障害者アートとしても、何回も受賞経験があります。今回、パラリンアートに応募されたきっかけは?
(俊さん)
(就労継続支援の)B型事業所に通っているんですが、そこで紹介されて。出してみようかなと思って出したら、受賞となりました。パラリンアートへの応募は初めてです。(受賞を知って)事業所の皆も喜んでくれました。
——今回のテーマは「旅」ですが、作品のアイデアはすぐに出てきましたか?
(俊さん)
そうですね、すぐ「宇宙旅行にしよう」って。
——「宇宙旅行にしよう」と思った理由は?
(俊さん)
僕は結構、現代社会とか、宇宙めいたことを描くのが好きなんです。それで、すぐ「宇宙」にしようと思って。
——直感的に出てきたアイデアですか? あるいは何かメッセージを込めた?
(俊さん)
今回は「旅」というテーマなので、皆さん、地球上の旅を作られるかなと思ったので、それで「宇宙」にしました。
撮影:編集部
——与那覇さんの作品は、細かいモチーフや文字がいろいろと描かれています。このスタイルになった理由は何ですか?
(俊さん)
そもそもアートを始めて10年と5か月くらいになるんですが、最初から文字はあったんです。初めはミミズみたいな、文字だけの作品だったんですけど。今回出したのは、色も付けるようになったやつです。
——最初は白黒だった?
(俊さん)
最初は白黒でした。
(母 みはるさん)
今も白黒はときどき制作しています。
——白黒とカラーだと、どちらのほうが多いんですか?
(俊さん)
やはり、カラーのほうが一番描いてて(楽しい)。僕、精神やってるので、ちょっと白黒は避けたいんですよね。カラーで明るくいきたい。気持ちが明るくなるので。
——今回の作品の中で、特に重要な部分は?
(俊さん)
僕の作品の場合は、どこかに視点を置くというよりは、全体どこも見られるようにしているんですね。どの場所からでも見られるような。
——実際、作品を拝見したときに、どこを見てもいろいろな色や形、文字がありますね。今回の作品サイズは、与那覇さんにとって大きなものですか?
(俊さん)
サイズが1メートルくらいですよね。僕は2メートル級の作品を作るのが好きなんですよ。どうせ描くんだったら、大きいのがいい。15メートルとか。
——昨年、調布市文化会館「たづくり」でもエレベーターホールのウォールアートを描かれてましたよね。非常に圧倒されるような印象の作品でした。
(俊さん)
ありがとうございます。あれは1メートルの作品を大きく拡大したものなんです。
——今回の作品の制作期間はどのくらいでした?
(俊さん)
今回は5日間ですね。
——速いですね。疲れませんでしたか?
(俊さん)
速いらしいですね。疲れはしないけど、「楽しかったー!」というのもなく。
——わりと淡々と制作されている?
(俊さん)
はい、淡々と描いています。
——これまでのアーティスト活動についておうかがいします。絵を描き始めたのは、いつ頃でしたか?
(俊さん)
2013年の9月ですね。小さい頃は、覚えているのだと、1回だけ水彩画を描いたんですよね。それで「あれ、僕、才能ない」と思って。それで絵は完全にやめてるんです。小学生の頃、10歳くらいの頃です。
——また再開しようと思ったきっかけは?
(俊さん)
ちょっと知り合いの影響で少し絵を描いて、「こころの芸術文化フェスティバル2013」で入賞して。「あれ?」と思って。「僕、才能あるかな?」と。それで続けるようになりました。
——その受賞作は、今のようなスタイルの作品ですか?
(俊さん)
白黒で、もっとシンプルな感じでしたね。なんか、「奇抜だった」って言われました。
(みはるさん)
「今までのスタイルじゃない、見たことがないスタイルだ」って言われたんだよね。
(俊さん)
文字が細かく書かれていて、「見たことがない」って。そこが評価されていますね。
——なるほど。すると、あまり影響を受けたアーティストの方というのは、いらっしゃらない?
(俊さん)
ああ…… ないですね。そうですね。
——それぞれの作品で、文字だけだったり色と組み合わせたりというアイデアは、何がきっかけで思いつきますか?
(俊さん)
手が勝手に。
(みはるさん)
あとは、テレビとか、事象とかの影響もあって、ニュースなどもすぐ作品に取り込んでいます。
——ということは、そのときに描かれた作品には、時事的な問題も入っていたりするんですか?
(俊さん)
大体書いてますね。現代に起きていることとか。
——与那覇さんの作品を順番に並べていくと、何が起こったか分かるわけですね。
(俊さん)
ああ、そうですね。並べていったら、トランプ大統領、バイデン大統領、プーチン大統領とか。
小さな文字やモチーフが描き込まれている与那覇さんの作品
作品画像提供:パラリンアート運営事務局
与那覇さん撮影:編集部
——普段、どのような画材で制作されていますか?
(俊さん)
結構最近は道具が増えて。ちょっと鮮やかになったからなんですけど。
マッキーペンなど、4種類の油性ペンで描いてます。あとはボールペンでも描いてます。
——文字も含めて、細かいモチーフを使っていらっしゃいます。よく描く形や文字などはありますか?
(俊さん)
脳みそかな……。人間の脳、宇宙人の脳。脳を描くのは、好きなんですよ。
昔、「第三の脳」とかを本で読んで。養老孟司さんの本も。それで、脳みそに興味を持ちました。現代の人間の脳じゃなくて、ちょっと大きめの、宇宙人の脳。
——なるほど。制作をしている中で、一番大切にしていることは何ですか?
(俊さん)
毎回同じことを描かないで、新しいことを描いていくことです。アイデアも形も、色も。
それまでのと、ちょっとずつでも変えていきたい。例えば、脳みそでも、第三の脳、第四の脳、第五の脳、と。
——今回の作品と前回の作品で違うところは?
(俊さん)
大体、全般少しずつ変えていってます。
(周りの方から、よりカラフルになったと言われたように)色も変えるし形も変える。文字も。アイデアがどんどんわいてくるんです。
(みはるさん)
これまでの作品では、こういったものもあります(ポートフォリオを広げて)。
——黄色がメインになっている作品もありますね。今回は、メインの色は決めてたんですか?
(俊さん)
作品を描いたあとに、ピンクをどんどん足していきました。マッキーペンのピンクが鮮やかだったので、それで。
——作品ごとに少しずつ変えていったり作品展に出品したりという、その挑戦し続ける原動力は何でしょうか?
(俊さん)
一番大事なのが、新しいことですね。色や形も新しくするんですけど、文字自体、意味自体も新しさがメインです。そうでないと僕らしくないというか。文字の新しさが大事です。
(みはるさん)
NO ART NO LIFEだよね。
(俊さん)
そうそう。形も色も変えていっているつもりですけど、文字や意味もどんどん変えていってる。
——制作された順番で与那覇さんの作品を追いかけていくことで、また鑑賞者が新しくわかる部分もありますね、きっと。
(俊さん)
もし美術展をやるなら、並べようと思ってるんですよね、始めから。
——ええ、ぜひ。時間をかけて観る作品だと感じます。今後のアーティスト活動で目指しているものはありますか?
(俊さん)
世間でうまくいくというよりは、なんというか…。今回、パラリンアートで受賞はしたんですけれど、応募などが自分にとって難儀だったので、制作に集中したいと考えています。
——今後、コンテストなどに応募される予定は?
(俊さん)
沖展などに出す予定はあります。
(みはるさん)
障害者という枠だけではなく、その垣根を越えた活動を本人も、そして本人以上に親も希望しています。沖展は、沖縄で最大の12ジャンルがあるものですけれど、それで賞を取ったり。あとはアートオリンピアでも入選したり、岡本太郎現代芸術賞に入選したり。芸術は芸術として、障害というベールを外して活躍していきたい。
障害者とそれ以外という垣根がない世界については、日本ではどうしても遅れているので。
ポンピドゥーセンターに(俊さんの)作品が所蔵されたり、また櫛野さんを通して作品が海外に出たりもしています。「障害者の芸術」という視点だけで見るのとは違う社会に、日本がなっていったらいいなと思います。
もちろん、本人が障害者アートの作品展に応募したいと言えば、それは応募をしていければと思いますが、(基本的には)より広い世界での活躍を望んでいます。
——今パラリンアートを中心に活躍されている方、挑戦されている方にとっても、大きな道しるべになると思います。
(みはるさん)
「別のステージでもできるんだ」ということを、他の障害のある皆さんにも思っていただけたらと。
——パラリンアートをひとつの足掛かりとして、より大きな世界へ、ということですね。最後の質問です。アートに挑戦しようと思っていても、なかなか一歩踏み出せない方に向けて、メッセージをお願いします。
(俊さん)
一緒に合作したいです。合作とかが、一番作品が新しくなるんです。
これまでも、友達と一緒に音楽をやりながら描くこと(ライブペインティング)などやってきました。
——皆で一緒にライブペインティングしたら、壮大な作品ができそうですね。
(俊さん)
そうですよね。楽しいですね。
2024年のテーマは「情熱」
提供:パラリンアート運営事務局
表彰式のあと、次回「パラリンアート世界大会2024」のテーマが、中山さんによる揮毫(きごう)パフォーマンスとともに発表されました。
次回のテーマは「情熱」です。
中山さんは、人それぞれ、激しい情熱もあれば静かな情熱もあるとした上で、「僕は“情熱”というタネをお渡ししました。皆さんが、どういうふうにそのタネを成長させるか、発芽させるか。それぞれの花があるでしょうし、それぞれの意味があるでしょうし、皆さんによってまた違いますので、私は原点的なものを書いたつもりです」と語ります。
「(これまでの大会で)皆さんがどれだけ時間をかけて、どれだけ作品作りに情熱を燃やしているのかというのを感じました。僕ができることは、皆さんがしっかり仕上げたもの、魂の叫びのような作品を、広く多くの方に観ていただくことです。そういった作品を多くの方に観ていただいて、それが多くの評価を得て、また皆さんのビジネスにつながっていってほしいなって思っております」(中山)
作品の募集期間は7月〜9月を予定。1人または1グループ1作品まで応募可能で、画材は自由です。
提供:パラリンアート運営事務局
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「好きなものを ありのままに!」笑顔あふれたパラリンアート世界大会2022
【取材協力】
パラリンアート運営事務局
RIEさん、与那覇俊さん
【参考】
一般社団法人障がい者自立推進機構 公式サイト
RIEさんのプロフィール
与那覇俊さんのプロフィール