「好きなものを ありのままに!」笑顔あふれたパラリンアート世界大会2022


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12月8日、渋谷で「パラリンアート世界大会2022」表彰式が開催されました。受賞者と中山秀征理事、セイン・カミュ理事とのトークでは笑顔があふれ、作品にこめられたメッセージに感嘆の声も。表彰式の様子とともに、東海理化賞のNAMYさん、準グランプリのおおはしみささんへのインタビューをお届けします。


画像提供:パラリンアート運営事務局

12月8日 渋谷でパラリンアート世界大会2022表彰式を開催

2022年12月8日、渋谷で「パラリンアート世界大会2022」の表彰式が開催されました。作品テーマは「未来(FUTURE)」。パラリンアート世界大会は、今年で5回目の開催となります。

グランプリに輝いたのは、Apple Tongさん(中国)の「Future」。準グランプリは、Tanya Darlさん(オーストラリア)の「INCLUSION – For the love of each other and our Earth」と、おおはしみささん(日本)の「自由に」です。グランプリには賞金30万円、準グランプリには賞金10万円、他の受賞作品にも副賞が贈られました。


パラリンアート世界大会2022表彰式の様子(編集部撮影)

応募作品数は、日本を含む世界25カ国から寄せられた498作品。会場には額装された受賞作品が並び、さまざまな文化や想いが作品からあふれてきます。表彰式では一般社団法人障がい者自立推進機構の中山秀征理事、セイン・カミュ理事、そして受賞者であるおおはしみささん、花守洸果さん、NAMYさんの3名が登壇し、笑顔とともにトークを展開。意外な制作方法に驚きや笑いが起こり、それぞれの作品メッセージには感嘆の声も漏れていました。


作品画像提供:パラリンアート運営事務局

受賞作品は、パークホテル東京の29階と32階の回廊に常設展示されます。緻密な描き込みと多彩なモチーフに、制作者それぞれの世界を感じられるはず。インターネットでも一部作品を観られますが、機会があればぜひ実物をご覧ください。
当編集部では、表彰式後に東海理化賞を受賞したNAMYさん、準グランプリを受賞したおおはしみささんにインタビューを実施。今回の作品制作や制作を続ける想いなどをうかがいました。

受賞者インタビュー(1)東海理化賞 「みんなが輝く未来」NAMYさん


写真撮影:編集部

——今回、世界大会でのご受賞、おめでとうございます。どのようなお気持ちですか?
ありがとうございます。世界大会の表彰式には3回出席しているんですが、毎回緊張します。今回も緊張していたんですけど、このような場所に呼んでもらって、とてもうれしいです。

——表彰式のトークで、水彩絵の具やペンを使いながら絵を右下の隅から描いていったというお話がありました。そこから描いてみようと思ったきっかけはなんですか?
今回初めて、全体のイメージがわかなくて、すごく焦ってしまいました。でも何か描き始めないと。ちょっとでもスペースを埋めていきたいというのがあって、今回は、そこ(右下)から描き始めて、徐々に…というやり方になりました。
いつもはイメージがわいて、鉛筆で下描きをした上から色をのせていくんですが、今回は珍しく何もわからない状態で始めましたね。

——今回の作品の制作期間はどのくらいですか?
約3週間でできたと思います。去年もこのコンテストに応募したんですけど、今回はそのときよりも、もう一回りくらい大きい絵にしました。

——すごく鮮やかで、たくさんのモチーフが描かれていますよね。その中で、「このモチーフは特に好き」「特に大切」というのはありますか?
やっぱり、一つには大きなひまわりの部分があります。あとは人間や動物、ロボットとか宇宙人とか。いろんな人達が手をつないで輪になっているところです。見る方にとっても、そこが一番目に入るかなと思います。

——今回の作品で特に伝えたいメッセージは何ですか?
テーマが「未来」ということで、自分としては、やっぱり明るい未来であってほしいと思います。それが見る方に伝わるよう、たとえば色に黄色を使うなどして。見た人にすぐ「明るい絵だな」って思ってもらえるようにしました。

——絵は子どもの頃から描いてきたのですか?
そうですね、幼稚園の頃から絵はすごく好きで描いてました。中学校は美術部に入ったりして。ずっと描いてますね。

——好きなアーティストはいらっしゃいますか?
たくさんいます。Twitterとかで作家さんやイラストレーターさんをフォローして見ています。

——今、いろいろ続けて出品されていますが、その挑戦し続ける原動力は何でしょうか?
原動力はやっぱり、今回みたいに受賞して、こういう場所に呼んでいただくことです。すごく「次も頑張ろう」っていう気持ちになりますし、誰かに観てもらえたというのが、とても原動力になります。

——最後に、これからパラリンアートに挑戦しようかなと思いつつ、ちょっと迷っている方に、作品制作や制作を続けるヒントをひとつ、いただけますか?
自分が描きたいものを見つけて、それを描き続けることです。それが多分一番上達するし、世界観を広げられると思うので。自分の世界を描き続けてほしいです。


作品画像提供(左):パラリンアート運営事務局、トーク写真(右)撮影:編集部

受賞者インタビュー(2)準グランプリ「自由に」 おおはしみささん


写真撮影:編集部

——世界大会でのご受賞、おめでとうございます。今、どのようなお気持ちですか?
すごくうれしい気持ちが一番です。本当に、とにかく嬉しいです。

——今回「未来(FUTURE)」というテーマでしたが、アイデアはすぐ出てきましたか?
そうですね、浮かんできました。スムーズに。パッとでてきたものを最初にボールペンで起こして、それから油絵の具に移りました。

——中央のサイコロや、手前にいる帽子が飛ばないよう押さえている女の子、その他いろいろなモチーフが描かれていますが、特にこれが一番重要というモチーフは?
端のほうにいる小さな車椅子に乗ってる女の子です。そういう子たちが、本当に誰かの助けがなくてもスムーズに動ける世界に、もっと自由な世界になってほしいなっていう想いがあります。小さいんですけど、結構大事なんです。

——表彰式のトークで話されていた「車輪がシャボン玉」というのは初めて見るアイデアで、なるほどと思いました。制作には4週間かかったということですが、通常はどのくらいの期間で描かれるのですか?
作品の大きさによって変わります。1週間とか、早ければ1日とか。美大でやっている課題ですと3カ月くらいかけて大きな作品を描きます。今回は、結構ゆっくり描きました。

——昔から絵を描くのは好きでしたか?
そうですね、昔から好きで。本当に、ちゃちゃっという感じで描いてはいました。昔から好きだったので、それをずっと続けてきた感じです。でも本格的にって思ったのは高校3年生です。

——作品制作をする際に、一番大切にしていることはなんですか?
色です。黒を使いたくないので、青と緑を混ぜた色とか。そういうことを意識しながら描いています。

——影響を受けたアーティストや好きなアーティストは、いらっしゃいますか?
工藤ノリコさんという絵本作家の方がすごく好きです。細かい絵を描く人がすごい好き。小さいときから、細かいものを描くのが好きなんです。

——今回の作品でも、手前の女の子や木の根、足下の鍵盤などがまず目に入って、そのあと木の根の間や周りにあるいろいろなものが見えてきます。どこまでも見られますね。トークの中で、作品を描くときに油絵の具の他にアクリル絵の具や色鉛筆、クレヨンも使うとおっしゃっていましたが、使う画材に偏りはありますか?
学校でやる絵は油絵の具で、家でやる絵はアクリル絵の具で、という形で分けています。油絵の具は時間をかけてやるものなんですけど、アクリル絵の具は結構早く乾く。私的に、ストレス発散というか、気持ちよく描けるんです。学校で言われている「これはこうだよ」と決められていることではないことをアクリル絵の具で自由にやるという感じ。

——なるほど、挑戦の場にもなるんですね。その挑戦し続ける原動力は何ですか?
やっぱり、「好き」が一番勝ちますね。絵に対する愛みたいなものが、すごくあるので。好きだから絵を描ける。情熱というか。うん、愛ですね。

——最後に、これからパラリンアートに挑戦したい方に向けて、作品制作を続けていくためのヒントをひとつ、いただけますか?
とにかく、何か楽しみながら、ありのままに描いている作品が、すごく生き生きして力があります。本当に、何も考えずと言ったらアレなんですけど、自分らしさを出したらいいんじゃないかなって思います。


作品画像提供(左):パラリンアート運営事務局、トーク写真(右):編集部撮影

2023年のテーマは「旅」


画像提供:パラリンアート運営事務局

パラリンアート世界大会は、2023年も開催予定です。次回のテーマは「旅」。他の地域へ旅行するという意味だけでなく、「心の扉を開けて何か一歩踏み出す」ことも旅に含まれると中山理事は説明します。

テーマ発表時は、セイン・カミュ理事が中山理事の揮毫(きごう)パフォーマンスを間近で動画撮影して会場の笑いを誘ったり、NAMYさんの「中山さんの書でやる気が出る」という言葉に中山理事が照れたりする一幕も。登壇者それぞれが、自身の旅や来年の目標を語りました。

パラリンアートコンテストへの挑戦を考えている方も、ぜひご自身の「旅」を描いてみてください。好きなものをありのままに描いた世界は、きっと観る人の旅の第一歩にもなるでしょう。


写真撮影:編集部

取材協力:
パラリンアート運営事務局
NAMYさん、おおはしみささん

【参考】
一般社団法人障がい者自立推進機構 公式サイト
NAMYさんのプロフィール|Paralym Art
おおはしみささんのプロフィール|Paralym Art

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