東京都23区6市に「まん延防止等重点措置」 マスクをつけられない人はどうする?


東京都の23区と6市が、4月12日から5月11日まで「まん延防止等重点措置」の適用対象区域となりました。まん延防止等重点措置ではカラオケ自粛やマスク着用が強く求められています。

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の違いは何でしょうか? マスクをつけられない障害をもつかたは、どのように生活すればよいのでしょうか?

この記事の前半ではまん延防止等重点措置と東京都による要請や協力金について、記事の後半ではマスクを着用できないかたの生活の工夫についてお伝えします。

「まん延防止等重点措置」対象地域

まん延防止等重点措置が最初に適用されたのは、2021年4月5日。対象区域は宮城県・大阪府・兵庫県です。

特に大阪市では新型コロナウイルス変異株による感染症拡大が深刻化。これまでは重症化する例が少なかった若い人々への感染拡大が進み、重症病床の9割が埋まっているといいます。

東京都・京都府・沖縄県でも感染拡大が目立っており、4月12日からこれらの一部地域もまん延防止等重点措置の実施区域となりました。東京都では23区・八王子市・立川市・武蔵野市・府中市・調布市・町田市です。


出典:3都府県「まん延防止」適用 “都道府県間の移動も極力控えて”|NHK

<まん延防止等重点措置の対象区域と適用期間>2021年4月15日現在

  • 大阪府 2021年4月5日〜2021年5月5日
    • 大阪市
  • 宮城県 2021年4月5日〜2021年5月5日
    • 仙台市
  • 兵庫県 2021年4月5日〜2021年5月5日
    • 神戸市
    • 西宮市
    • 尼崎市
    • 芦屋市
  • 東京都 2021年4月12日〜2021年5月11日
    • 23区
    • 八王子市
    • 立川市
    • 武蔵野市
    • 府中市
    • 調布市
    • 町田市
  • 京都府 2021年4月12日〜2021年5月5日
    • 京都市
  • 沖縄県 2021年4月12日〜2021年5月5日
    • 名護市
    • うるま市
    • 沖縄市
    • 宜野湾市
    • 浦添市
    • 那覇市
    • 豊見城市
    • 南城市
    • 糸満市

今後、神奈川県なども追加で対象区域となります。

※対象区域や期間などの最新情報は政府・自治体の公式サイトでご確認ください。

「まん延防止等重点措置」と「緊急事態宣言」の違い

新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、日本ではこれまで緊急事態宣言の発令が最も強いものでした。まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言発令に至る前の段階で感染症の拡大を抑えるためのものとして設けられています。いずれも国によって発令されます。

緊急事態宣言は原則として都道府県単位で発令されるもの。一方、まん延防止等重点措置の場合は、今回の東京都や沖縄県のように特定地域のみを対象とすることが可能です。現在感染症が流行している地域から他の地域へと拡大しないよう、お店の営業時間や人々の行動・移動に制限を設ける内容となっています。


出典:新型コロナウイルス感染症対策|内閣官房

<緊急事態措置とまん延防止等重点措置の違い>

内閣官房による図を見ると、まん延防止等重点措置の対象となった場合の制限は緊急事態宣言のときほどではないという印象を受けるかもしれません。

しかし、今回のまん延防止等重点措置の内容では「カラオケを行う設備の利用自粛」や「感染防止対策をしていない人などの入場禁止」などが求められています。

カラオケ設備の利用自粛は、高齢世代が主な利用者となっている「昼カラオケ」(カラオケ喫茶など、飲食とカラオケの両方を楽しむ店舗)でのクラスターが複数発生していることを受けてのもの。しかし、「カラオケ設備」と明記されるとともに、後に紹介する東京都からの要請で「カラオケボックス等」と記載されているため、若い世代に人気のカラオケ店なども利用を控える必要がありそうです。

感染防止対策としては緊急事態宣言が出されていたときと同じくらいと考えてよいでしょう。

東京都の対象区域に向けた要請内容と協力金

東京都では都民と事業者向けに次のような要請が出されています。まずは都民に求められていることを見てみましょう。

<都民向けの要請>※要約

  • 不要不急の場合、都県境を越えて外出・移動をしない
  • 特に変異株による感染拡大が見られる大都市圏(大阪など)との往来はしない
  • 不要不急の外出・移動はしない
    以下の場合は外出・移動OK
    医療機関への通院
    食料・医薬品・生活必需品の買い出し
    必要な職場への出勤
    屋外での運動・散歩など
  • 混雑している場所や時間を避けて行動する
  • 飲食店に時短要請が出ている場合、その時間以降はなるべく飲食店に行かない
  • 人と会って話をしながら食事をする場合、話す時はマスクの着用を徹底する

次に、都内の事業者に対する要請内容です。特にクラスターの発生が複数確認されている飲食店、バー、カラオケボックスについては、営業時間の短縮要請やカラオケ設備の利用自粛要請が出されています。

<事業者向けの要請>※要約

  • 営業時間 5時〜20時まで
    酒類の提供 11時〜19時まで
  • これまでの感染防止措置の継続
    従業員に対する検査の勧奨
    入場をする者の整理等
    発熱等の症状のある者の入場の禁止
    手指の消毒設備の設置
    事業を行う場所の消毒
    入場をする者に対するマスクの着用の周知
    感染防止措置を実施しない者の入場の禁止
    会話等の飛沫による感染の防止に効果のある措置
  • 業種別ガイドラインの遵守
  • 飲食店やカラオケボックス等におけるカラオケ設備の利用自粛
  • 入場整理等の協力依頼
  • イベントの開催(大声なし)は5000人まで可
  • イベントの開催(大声あり)は収容定員の半分まで可(最大5000人)

まん延防止等重点措置の対象区域で要請等に応じて時短営業を実施した場合、事業者には事業規模に応じて以下の協力金が支給されます。

<東京都「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(4/12〜5/11実施分)」>

  • 対象期間
    2021年4月12日〜5月11日
  • 支給額
    1店舗あたり計111万円〜600万円を予定
    「区分に応じて算定した日額×時短要請に応じた日数分」で計算
  • 対象区域
    (1)まん延防止等重点措置区域
    23区・八王子市・立川市・武蔵野市・府中市・調布市・町田市
    (2)重点措置区域外
    上記以外の区域
  • 主な要件
    (1)の場合
    もともと20時〜5時に営業していた店舗が、5時〜20時の間に時短営業する
    かつ、酒類の提供を11時〜19時までとする
    要請対象の全期間、時短営業に全面的に協力する
    「感染防止徹底宣言ステッカー」を店舗ごとに掲示する
    「コロナ対策リーダー」を店舗ごとに選任の上、登録する
    (2)の場合
    もともと21時〜5時に営業していた店舗が、5時〜21時の間に時短営業する
    かつ、酒類の提供を11時〜20時までとする
    要請対象の全期間、時短営業に全面的に協力する
    「感染防止徹底宣言ステッカー」を店舗ごとに掲示する
    「コロナ対策リーダー」を店舗ごとに選任の上、登録する

協力金に関する最新情報は、東京都の公式ページをご覧ください。

【参考】
新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置について(第1908報)|東京都
「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(4/12~5/11実施分)」について|東京都

障害をもつかたの生活への影響

まん延防止等重点措置の対象区域となった地域では、緊急事態宣言が出されていたときと同じような感染防止対策が求められます。その中で、内閣官房によって明確に自粛要請が出ている新しい項目に「感染防止措置を実施しない者の入場の禁止」があります。

障害をもつかたの中には、その特性から「マスクをつけられない」というかたは少なくありません。この「障がい者としごとマガジン」でも、マスクをつけられないかたの事情や感染防止対策をお伝えしてきました。

(関連記事)
マスク以外での感染防止対策 精神障害者・発達障害者への新型コロナ拡大の影響

しかし、依然としてマスクを着用できないかたへの視線の厳しさが感じられます。今回のまん延防止等重点措置で「入場の禁止」という強い言葉が使われたことで、そうした視線やマスク着用の要請がより厳しくなったり、店舗を利用しにくくなったりするかもしれません。

マスクの着用が難しいかたは、マスク着用以外の感染防止対策を徹底するとともに、事情を説明できるグッズなどを持ち歩きましょう。

マスクをつけられないかたが安心して生活するには

新型コロナウイルス感染症の流行期に安心して生活するには、これまでの感染防止対策を続けつつ、マスクなしのまま人と話す機会を減らす工夫が必要です。

「3密」を避けて手洗い・消毒

感染防止の一番基本となる方法は、「3密」を避けて行動し、手洗い・消毒を徹底することです。
2020年から1年以上続けてきたこの対策を引き続き実践していきましょう。

<基本の感染防止対策>

  • 毎日検温して体調の変化に気をつける
  • 人ごみを避ける
  • 頻繁に換気をする
  • 他の人から1〜2m離れる(ソーシャルディスタンス
  • 咳エチケットを守る(咳やくしゃみをするときは口と鼻をタオルやハンカチで覆う)
  • 施設に出入りする前後に手洗いまたは手指のアルコール消毒をする
  • 自宅のドアノブなどを消毒する

なお、最近は「空間除菌グッズ」がよく売られていますが、厚生労働省や専門家から効果に対する疑問が出ています。まずは確実に効果がある手洗い・消毒・換気・ソーシャルディスタンスを徹底しましょう。

マスク着用が困難であることを伝える「グッズ」を持ち歩く


出典:マスクがつけられない人のための意思表示マーク・カード|感覚過敏研究所

障害特性からマスクの着用が難しい場合、「マスクをつけてください」と言われたときに説明する必要があります。しかし、マスクをつけていない状態で話すのは、感染防止の点であまり好ましいことではありません。

そこで、話さなくても事情を伝えられるように「マスクをつけられません」などと書かれたカードやバッジを活用しましょう。服やカバンの見えやすいところにつけておけば、周囲の人もぱっと見て「事情があるんだな」と分かりやすくなります。

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それでも、障害特性のためにマスクをつけられない人がいること自体を知らない人に声をかけられるかもしれません。そうした人に対しては、あらかじめ文章で事情を書いたカードを作っておき、そのカードを読んでもらうという方法があります。

カードの文章では、

「マスクをつけたくても、つけられません。感覚過敏のため、マスクをつけると強い痛みを感じて、頭痛が生じることもあります」
「マスクをつけられない理由があります。マスクをつけると呼吸困難になってしまいます」
「体温の調節が難しい障害があります。マスクをつけると体温調節ができなくなってしまいます」

など、伝えられる範囲で事情を記載し、「ご理解をお願いいたします」と書いて終わるとよいでしょう。

マスクをつけていないときは「ジェスチャー」や「筆談」も

マスクをつけていない状態で話す場合、できるだけ相手から2mほど離れて話せると感染リスクを減らせます。しかし、お店のレジなどで実践するのは、なかなか難しいものです。

そこで、話さなくても自分の意思を伝えられる「ジェスチャー」を使ってみましょう。

<話さずに伝えるジェスチャー>

  • 「はい」と伝えたいとき
    • 首を縦に振りながら、声を出さずに「はい」と言う
  • 「いいえ」と伝えたいとき
    • 首を横にふりながら、声を出さずに「いいえ」と言う
  • 「ありがとうございます」と伝えたいとき
    • 少し口の端を上げて、会釈をする

店員のかたに質問をしたいときなどは、紙とペン、スマホなどを使って筆談をお願いすると対応してもらえるでしょう。便利なアプリとしては「指伝話」があります。自分で言葉を登録できるとともに、合成音声で読み上げてくれるので、スマートフォンにインストールしておくと安心です。

「指伝話」については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

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買い物は「宅配」または「人が少ない時間帯」

その日のうちに必要というわけではない物を買う場合は、オンラインショップを利用するのも感染防止には良い方法です。

たとえば、Amazonでは専門の配達員や宅配業者が、翌日〜1週間以内に購入した物を届けてくれることがほとんど。楽天市場でも、通常は1週間以内に宅配業者が届けてくれます。また、生活協同組合などによる食材の定期配達も上手に使えば比較的安い価格で生鮮食品などを届けてもらえるため、かなり便利。買う物やいつ欲しいかなどの希望に合わせて利用を検討してみましょう。

感染症が流行している時期は「置き配(おきはい)」といって、宅配してもらった物を直接受け取らずに、玄関前などにそのまま置いていってもらうことも可能です。置き配であれば、マスクなしでもインターホンごしに話すことができ、サインをする必要もありません。

こうしたオンラインショップやネットスーパーを利用しにくい、実際にお店に行って商品を選びたいという場合は、なるべく人の少ない時間帯を選んで行くとよいでしょう。Googleで店舗名を検索すると、それぞれの時間帯の混雑を見られることがあります。

<「町田 スーパー」の検索結果と混雑状況の表示例>

また、直接お店に「通常、どの時間帯が空いてますか?」と聞いてみてもよいでしょう。

外食は「持ち帰り」または「少人数で静かに食べる」

まん延防止等重点措置や緊急事態措置が適用されている場合、なるべく外食は控えるほうが感染リスクを抑えられます。しかし、「あのお店の料理を食べたい」ということもあるでしょう。

そんなときは、お店に「持ち帰り用メニュー」がないかどうか確認してみてください。お店の公式サイトで「持ち帰り」「テイクアウト」などの案内を探したり、直接お店に聞いたりするとよいでしょう。お店の入口あたりにテイクアウトメニューが書かれていることもあります。

持ち帰りができず店内での飲食が必要な場合は、少ない人数(1人〜4人)で訪れ、なるべく会話をせずに静かに食べると安心です。

入店時にマスク着用を求められたら、マスクをつけられないことを説明するバッジやカードを見せつつ、スマホのメモ機能や「指伝話」を使って「なるべく会話はしません。利用できませんか?」と確認を。それでも利用ができない場合は、感染症が流行しているうちは利用をあきらめざるを得ないかもしれません。

ただ、マスク着用が難しい人にも選択肢が多いほうが、他の人たちにとっても便利になる可能性が高くなります。飲食店に入店できずテイクアウトメニューもない場合は、「このお店の料理がとても好きなので、テイクアウトメニューもあると大変うれしいです」などと伝えてみましょう。お店に余裕があれば、ある時ひょっこり店頭にお弁当が登場するかもしれません。

マスクを着用できる人も難しい人も、一緒に感染防止対策を

感染症流行期は、マスクをつけられるかたはマスクをつけて、つけるのが難しいかたは別の工夫をして生活する必要があります。

新型コロナウイルス感染症は、主に飛沫によって感染が広がるため、その飛沫を自分がなるべく浴びない、他の人になるべく浴びせないことが重要です。

マスクの着用やカラオケの自粛、飲食店の利用を控えることなどは、飛沫を浴びる機会を減らすための手段。手や服、物についた飛沫の場合は、アルコールなどで消毒すれば感染リスクを減らすことができます。

以下のような厚生労働省や内閣官房、国立障害者リハビリテーションセンター、自治体、NHKの新型コロナウイルス特設サイトなどで対策方法や地域の情報を確認しつつ、一緒に対策を続けていきましょう。

【新型コロナウイルス感染症に関する重要サイト】
新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省
感染の再拡大防止特設サイト|内閣官房
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の関連情報|国立障害者リハビリテーションセンター
新型コロナウイルス感染症対策サイト|東京都
特設サイト 新型コロナウイルス|NHK

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