障害福祉サービスとは? 多く利用されているサービスと利用者負担額


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障害のある方にとって重要な障害福祉サービス。居宅介護や生活介護、就労継続支援(B型)の利用者数が多く見られる他、同行援護や生活訓練、就労移行支援と定着支援など多様なサービスが利用されています。今回は、障害福祉サービスの自己負担額や申請の流れなど、障害福祉サービス利用の基本を見ていきましょう。

障害福祉サービス利用者が4年間で約13万人増加

厚生労働省の第28回障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料によると、2018年12月から2022年12月までの利用者数は、障害福祉サービスの利用者は85.9万人から98.8万人に増加。障害児サービスの利用者数も32.4万人から48.2万人に増えました。

2021年12月からの1年間における障害福祉サービス利用者および障害児サービス利用者を見ると、あわせて5.4%の伸び率となっています。特に大きく増加したのは、精神障害のある利用者と18歳未満の利用者です。

障害のある方の生活や就労を支援する障害福祉サービスは、普段の食事やトイレから就職のサポート、職場定着まで、さまざまな場面で活用されてきました。サービスを受けるには、「障害福祉サービス受給者証」の取得や所得に応じた利用者負担が必要です。

今回は、18歳以上で障害のある方が利用できる障害福祉サービスの種類、受給者証の取得方法、サービス利用開始までの流れを確認していきましょう。

障害福祉サービス等の一覧と多く利用されているサービス

障害福祉サービス等には、自宅での支援、通所での支援、職場での支援、施設入所後の支援のほか、利用申請や生活に関わる支援もあります。

障害福祉サービス等の一覧

2023年6月現在の障害福祉サービス等には、大きく分けて「介護給付」と「訓練等給付」があります。

また、「相談支援にかかる給付」も重要なサービスのひとつです。これは、障害福祉サービス等の利用申請に必要な計画案や計画を作成したり、障害福祉サービス事業所と利用者の橋渡しを行ったりするサービスです。

介護給付の中でよく知られているサービスは、居宅介護、生活介護、施設入所支援などでしょう。

居宅介護は利用者の自宅で入浴・トイレ・食事の介護などを行うサービス。生活介護は、常に介護を必要とする方に対して、昼間に入浴・トイレ・食事の介護等を行うだけでなく、創作活動や生産活動の機会も提供するものです。

施設入所支援では、施設に入所する利用者に対して、夜間や休日に入浴・トイレ・食事の介護などを行います。

<介護給付一覧>

居宅介護 自宅で、入浴・トイレ・食事の介護等を行う
重度訪問介護 重度の肢体不自由者、または重度の知的障害や精神障害があり、行動上著しい困難があり、常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴・トイレ・食事の介護、外出時の移動支援、入院時の支援等を総合的に行う
同行援護 視覚障害により、移動に著しい困難を有する人が外出する時に、必要な情報提供や介護を行う
行動援護 自己判断能力が制限されている人が行動する時に、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行う
重度障害者等包括支援 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行う
短期入所 自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含めて、施設で入浴・トイレ・食事の介護等を行う
療養介護 医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護および日常生活の世話を行う
生活介護 常に介護を必要とする人に、昼間、入浴・トイレ・食事の介護等を行うとともに、創作的活動または生産活動の機会を提供する
施設入所支援 施設に入所する人に、夜間や休日に、入浴・トイレ・食事の介護等を行う

訓練等給付では、就労移行支援や就労継続支援、就労定着支援といった訓練系・就労系の他に、共同生活援助というサービスなどがあります。

共同生活援助は、夜間や休日、共同生活を行う住居において、利用者の相談にのったり、入浴・トイレ・食事の介護、その他日常生活で必要な援助したりするものです。

就労移行支援では、一般企業などへの就職を目指す利用者に対して、一定期間(基本的には2年間)、就労に必要な生活リズムや知識・スキルの習得、採用面接への同行などが行われます。

他方、就労継続支援では、一般企業などで働くことが困難な利用者に対して、働く機会を提供しながらスキル向上のために必要な訓練が行われます。就労継続支援のうち、A型は就労継続支援事業所と雇用契約を結んで給与が支払われるもので、B型は雇用契約を結ばずに「工賃」が支払われるものです。

一般企業などへ就職した方は、仕事を安定して続けるための就労定着支援を利用できます。

<訓練等給付一覧>

自立生活援助 一人暮らしに必要な理解力・生活力等を補うため、定期的な居宅訪問や随時の対応により日常生活における課題を把握し、必要な支援を行う
共同生活援助 夜間や休日共同生活を行う住居で、相談、入浴・トイレ・食事の介護、日常生活上の援助を行う
自立訓練(機能訓練) 自立した日常生活または社会生活ができるよう、一定期間、身体機能の維持・向上に必要な訓練を行う
自立訓練(生活訓練) 自立した日常生活または社会生活ができるよう、一定期間、生活能力の維持・向上に必要な支援・訓練を行う
就労移行支援 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識および能力の向上に必要な訓練を行う
就労継続支援(A型) 一般企業等での就労が困難な人に、雇用して就労の機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う
就労継続支援(B型) 一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力の向上に必要な訓練を行う
就労定着支援 一般就労に移行した人に、就労にともなう生活面の課題に対応するための支援を行う

相談支援にかかる給付のうち18歳以上の方が利用できるサービスには、計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援があります。

計画相談支援は、あとで述べる障害福祉サービスの利用申請に必要な「サービス等利用計画案」や「サービス等利用計画」を作成したり、サービス等の実際の利用状況をモニタリングしたりする役割を担っています。

地域移行支援は、利用者の住居を確保するなど、地域での生活に移行するために必要なことについて相談にのったり、他の障害福祉サービスを行う事業所へ同行したりするものです。

地域定着支援では、障害特性が原因となって生じた緊急事態などに対して相談を受けたり、障害福祉サービス事業所等に連絡したりなど、常時さまざまな支援が行われます。

<相談支援に係る給付一覧>

計画相談支援 ●サービス利用支援

サービス申請に必要なサービス等利用計画案、サービスの利用に必要なサービス等利用計画を作成する

●継続利用支援

サービス等の利用状況をモニタリングし、事業所等と連携調整したり、必要に応じて新たな支給決定等に関する申請の勧奨を行ったりする

地域移行支援 住居の確保等、地域での生活に移行するために必要な活動の相談、各障害福祉サービス事業所への同行支援等を行う
地域定着支援 常に連絡体制を確保し、障害特性によって生じた緊急事態等の相談に応じたり、障害福祉サービス事業所等と連絡調整を行ったりするなど、緊急時の各種支援を行う

利用者数が多い障害福祉サービス

障害福祉サービスの中で、特に利用者が多いサービスは、居宅介護、生活介護、就労継続支援(B型)、計画相談支援です。

2022年4月のサービス提供分について特に利用者が多いサービスを見ると、次のようになっています。

  • 居宅介護 約20万人
  • 生活介護 約30万人
  • 就労継続支援(B型) 約32万人
  • 計画相談支援 約23万人

また、2016年度から2021年度までの5年間で大きく利用者数を伸ばした障害福祉サービス等は、就労継続支援(B型)、計画相談支援などでした。
就労継続支援(B型)は2016年度の利用者数が21.8万人だったのに対して、2021年度には29.8万人となりました。

計画相談支援も、2016年度は11.7万人の利用者数が2021年度には21.3万人に増えています。


※第28回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料「障害福祉分野の最近の動向」より作成

なお、同行援護、行動援護、短期入所、療養介護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型)といった障害福祉サービスも、比較的多く利用されているサービスです。

障害福祉サービス利用者負担額(2023年6月現在)

障害福祉サービスの利用者負担額は、第一に利用者の所得に応じて異なります。生活保護世帯や区市町村民税非課税世帯の利用者の場合は、自己負担額は0円。区市町村税が課税されている世帯の利用者の場合は自己負担が生じます。

第二に、自己負担が発生する場合、自宅や通所での利用者と、施設に入所している利用者とで負担額がやや異なります。施設に入所している利用者の場合、月額最大3万7,200円として自己負担が発生。自宅や通所でサービスを利用する場合で、利用者本人と配偶者の収入に関して所得割額16万円未満の場合は、自己負担額は月額最大9,300円、所得割16万円以上の場合は月額最大3万7,200円となっています。

2022年12月のデータでは、障害福祉サービス利用者のうち9割超が自己負担なしで利用していることが分かりました。内訳は、下表のとおりです。

<2022年12月の利用者負担額>

所得区分 最大負担額 利用者数(万人) 所得区分ごとの割合
一般2 37,200円  1.6 1.6%
一般1 9,300円  5.6 5.7%
低所得者 無料 76.6 77.5%
生活保護 無料 15.0 15.2%

※一般2:一般1以外の区市町村民税課税世帯
一般1:区市町村民税課税世帯であり、所得割16万円未満の世帯
低所得:区市町村民税非課税世帯

なお、自己負担が発生する場合でも、サービスによっては自己負担額の減免や家賃の助成などを受けられます。詳細はお近くの障害福祉事業所や区市町村などの窓口にお問い合わせいただくか、以下の厚労省公式ページでご確認ください。

障害福祉サービス利用までの流れと受給者証の取得(東京都の場合)

では、障害福祉サービス等を利用するには、どうすればよいのでしょうか。ここからは、障害福祉サービス等の利用申請から利用開始までの流れを見ていきましょう。今回は、東京都の公式ページにある記載をもとに流れをご紹介します。

まず全体の流れをざっと見ると、概ね下図のようになります。

障害福祉サービスの利用申請の第一歩は、相談支援事業者に相談して利用したいサービスを決定すること。どこに相談すればよいか分からない場合は、利用したい障害福祉サービス提供事業所や区市町村の窓口に問い合わせましょう。

その後、お住まいの区市町村の窓口でサービスの利用を申請します。申請に必要な手続きはある程度自分で行うこともできますが、相談支援事業者に代行してもらうほうが負担が少なくて済みます。

利用を申請したあとは、区市町村による認定調査を受けましょう。認定調査の内容は、医師による意見書の内容、サービス利用を希望する本人や家族などの状況や障害の状況、本人のサービス利用意向など。認定調査は介護給付でも訓練等給付でも実施されますが、介護給付のほうがより細かな項目での調査が行われます。

区市町村から「サービス等利用計画案」の提出を求められた場合は、指定特定相談支援事業者に計画案の作成を依頼し、提出しなければなりません。申請手続きを代行してもらっていれば、作成依頼や提出に関して相談支援事業者のサポートを受けられます。

その後、障害の状況、サービス利用意向の調査結果、「サービス等利用計画案」に基づいて区市町村がさらに検討を行い、どのくらいサービスを利用できるかも含めて支給内容を決定。支給が決定すると、障害福祉サービス受給者証が交付されます。

障害福祉サービス受給者証が交付されたあとは、指定特定相談支援事業者が実際にサービスを提供する事業者と連絡を取り合い、「サービス等利用計画」を作成・提出。その後、サービスを提供する事業者と利用者が契約を結び、実際にサービス利用開始となります。

なお、障害福祉サービスの利用申請方法については、東京都内の自治体においても手続きに差があり、相談支援事業者の関与が不要な場合もあります。詳細な手続きについては、お住まいの自治体にご確認ください。

まずはお住まいの区市町村または相談支援事業者へ

障害福祉サービスは、障害のある方の生活や社会参加にとって重要な支援サービスです。しかし、こうしたサービスを利用できること、相談できる場所があることを知らなければ、なかなかサービスにつながれない可能性があります。

障害福祉サービス等を利用できるかどうか、どのように利用できるかなどを相談するなら、区市町村の窓口または相談支援事業者にお問い合わせを。利用したい障害福祉サービスを提供している事業者でも、利用のご相談や申請のサポートを行っている場合があります。

この「障がい者としごとマガジン」の編集部がある就労移行支援事業所ルミノーゾでも、当事業所のご利用に向けて各種手続きのサポートが可能です。

障害福祉サービスの利用申請には多くの手続きがあり、一人で行うには大変な労力がかかるもの。こうしたハードルを軽減すべく、ルミノーゾではご本人のご希望をしっかりとうかがい、認定調査への同行も含めて、利用開始までのさまざまな手続きをお手伝いしています。

もちろん、利用をご検討いただく際に、就労移行支援や就労定着支援のご相談、ルミノーゾの施設見学も承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

【参考】
第28回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン)」資料|厚生労働省
障害福祉サービス等の利用手続き|東京都福祉保健局

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