発達障害の症状と問題とは|就職して働くための方法と対策!


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発達障害とは身体や学習、言語、行動において一連の症状を持つ状態で、生涯に渡って持続する障害の総称です。身体障害、精神障害、知的障害に続く “4番目の障害” と言えますが、発達障害のある方専用の障害者手帳はありません。

障害者雇用枠での就職や支援を受けるために手帳が必要となる場合、知的に遅れがあるケースでは「療育手帳」、大人になって診断を受けるケースでは「精神障害者保険福祉手帳」の取得が一般的です。

発達障害の種類と特徴

発達障害は生まれつき脳に何らかの機能異常があることによって発症します。症状は低年齢時から現れるため幼少期に診断されることが一般的であり、長らくは子ども特有の疾患であると考えられていました。

しかし近年になり、発達障害への世間的な認識が広がったことも影響し、子どもの頃に症状を見過ごされたまま大人になった人々が、大人になって初めて発達障害と診断を受けることも増えています。

発達障害は行動や認知の特性により、「自閉症スペクトラム」「注意欠陥・多動性障害」「学習障害」の3つに分類され、ひとによっては3つのうち2つ以上の症状を併発していることもあります。

自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disorder)

自閉症スペクトラム(ASD)は、基本的に “自閉症スペクトラム” でひとつの障害の単位と考えられていますが、症状の強さや、知能指数の高さによってさらに自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害と分類されます。

自閉症スペクトラムの割合は女性より男性の方が多く、ひと家族にふたり以上いることも。見受けられる典型的な症状は下記のようなものです。

対人コミュニケーションに関する問題

友人や同僚など近しい関係であっても相手に対する興味や関心が乏しく、表情や身振り手振りから相手の感情を汲み取ることが苦手で、他人との通常の会話に差し障りが出ることもある。

他人からの冗談や例え話を字面通り受け取ってしまったり、言葉に含まれる意図や指示を理解できないことも多く、コミュニケーションや人間関係に困難が起こることも多い。

興味の範囲や反復行動、こだわりの現れ

特定のものごとや、日課、同じ習慣を繰り返すことに強いこだわりがあり、それを妨げられることに対して苦痛が生じる。

聴覚や視覚、触覚、嗅覚など特定の感覚に対して過剰な敏感さ、あるいは鈍感さがあり、ストレスを感じたり不快感を感じることもある。

注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)

ADHDという呼称で一般的に認知されている注意欠陥・多動性障害は、日本では全人口の2〜4%程度が有していると推定されています。症状は主に、不注意、多動性、衝動性の3つです。

不注意

身の回りの片付けや整理整頓が苦手
忘れものをしたり、ものを失くすことが多い
時間の管理が苦手で、約束の時間や期日を守れない
ひとの話を集中して聞けず、すぐに忘れてしまう
仕事に集中できず、単純なミスが多い

多動性

落ち着かない様子がある
貧乏ゆすりをしたり、目的なく動いてしまう

衝動性

衝動買いをしてしまう
ひとの話を聞かず、思ったことをすぐ口にしてしまう
待つことが苦手で、すぐにイライラしてしまう

学習障害(LD)

学習障害は、全般的な知識発達には問題がないにも関わらず、「読む」「書く」「計算する」といった特定の分野における学習に困難が生じる障害です。そのほかの分野においては影響がなく、知的レベルの高いひとも多くいます。

また、読み、書き、計算すべてに困難が現れるわけではなく、“字を書くことのみ” 、“掛け算や割り算のみ” といった限られた分野だけ苦手とするケースもあれば、“数字や計算にまつわるすべて” を苦手とするケースもあります。

「読む」「書く」「計算する」に関連する困難は次のような内容です。

「読む」に関する困難

ひとから言われたことを聞き間違える
単語の理解が難しく、文章を読むのに時間を要する
正しい発音ができず、文章の意味を正しく理解することが難しい
文字を綴ることが困難

「書く」に関する困難

間違った文字を書いたり、句読点を付け間違える
文法的に誤りの多い文章を書く

「計算する」に関する困難

筆算はできるが暗算を苦手とする
数に対する感覚、計算の正確性に困難がある

発達障害の傾向 “グレーゾーン”とは

発達障害の症状の現れ方は常に一定ではなく、体調や状況によってグラデーションのように色濃く現れたりまたは薄れたりします。その振れ幅の大きさは個人によって異なり、ほぼ常に診断基準を超える状態にあって発達障害の診断を受けるひともいれば、発達障害の傾向はあっても診断基準を満たさない “グレーゾーン” と呼ばれるひともいます。

グレーゾーンに属する理由はさまざまで、診断時に体調がよく症状が確認できないケースもあれば、症状の現れが幼少期からであったことが不明瞭で発達障害であると断定できないケースなどもあります。

グレーゾーンだから症状が軽いとも限らず、障害者手帳を所持することができないため配慮や支援を受けにくい立場にあり、グレーゾーンならではの困りごとも生じます。

その他の症状、障害の併発も

発達障害のあるひとは、その障害の特性から人間関係で思い悩んだり、周囲に不当な扱いを受けたりなど、精神的なストレスを溜め込んでしまいがちです。

ネガティブな経験の積み重なりから “ふつう” であろうと無理な努力を重ねてしまうことも多く、その影響は二次的な障害として不安障害や適応障害、うつ病などの精神疾患の発症につながる可能性も少なくありません。

発達障害そのものの完治はできないとされていますが、二次障害として生じる精神疾患は治療することで効果が期待できます。心当たりがある方は専門機関への相談をおすすめします。

自分に適した仕事・職場を見つけるには

発達障害のあるひとが働きやすい仕事や職場と出会うためには、まず自分の特性を深く知ることが必要不可欠です。

自分の「できること、できないこと」を知り「得意なこと、苦手なこと」を理解することで、どのような職種が向いていて能力を発揮できるのか、職場環境に望む配慮は何かなどが見えてきます。

自己分析で客観的に特性を知る

自分を知るための自己分析は、ひとりで行うよりも他者の視点が介入することでより深く客観的に掘り下げることができるようになります。

あなたのことをよく知る友人や家族に協力してもらうのもひとつの方法ですが、就労移行支援を利用し、事業所に通いながら自己分析を行いアドバイスを受けながら就職までサポートをしてもらうのもいいでしょう。

発達障害者が就職して働くには

社会に出て働くためには、症状や特性をカバーするための工夫や対策が重要になります。障害が根底にあったとしても、ミスの多発や勤怠に関する不備、コミュニケーションの困難などは時として会社への不利益となってしまうためです。

工夫や対策は、自分自身で対応できるものと周囲に協力を求める必要があるものとさまざまで、その方法もひとつとは限りません。自分に適した方法を選択し、周囲からの理解と配慮を得て、働きやすい環境をつくっていくことが大切です。

必要な配慮は言葉にして伝える

世間的に発達障害への認識が広まってきているとは言え、具体的に当人が何に困難を感じているのか、どのような配慮を必要としているのかまでを他人が推し測るのには限界があります。

できないことや苦手なことは共有をして、本人が工夫できること、周囲の手助けが必要なことを整理し明確にしていきましょう。

例えば、耳から入ってくる情報の把握が苦手で、口頭で伝えられる指示の聞き間違いが多かったり内容の理解が追いつかない場合は、メモやメールなどの視覚情報で伝えてもらえるようにお願いをする。

マルチタスクが苦手で提出の期日がたびたび守れない場合は、担当する業務の優先順位や期限を同僚や上司に管理してもらい、期日が近づいたらアラートを出してもらう。

言葉のニュアンスを汲み取ったり曖昧な表現の理解ができない場合は、主語をはっきりとさせ簡潔な指示に限定してもらうなどの対策を取ることができます。

度々注意を受けてしまうことなどがあれば、やり方のどこに問題があるのか過程の見直しが必要です。自分では改善の糸口が見つからない場合でも、誰かに相談をして客観的な視点を
設けることで見えてくることもあります。

発達障害は根本的に治すことはできませんが、特性と向き合うことで本人も周囲のひともよりよい関係を築き、円滑に働くことができるでしょう。

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