アビリンピック過去問題|第37回全国(2017)DTP


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ポスターなどの印刷物をパソコン上でデザインし、データを作成するDTP。全国アビリンピックにもDTPのスキルを競う競技種目があります。毎年、競技会場となる地域の魅力をテーマとした作品制作が課題となり、それぞれの選手がさまざまなアイデアを見せてくれます。

2017年に開催された第37回全国アビリンピックの競技種目「DTP」では、開催地である栃木県の自然をテーマとしたフォトコンテスト作品募集のためのポスター制作が出題されました。

競技種目「DTP」とは? 競技で使われたOSとソフトウェア

アビリンピック種目「DTP」は、与えられたテーマに沿ってロゴやポスターを制作する競技種目。当日提供される画像データやテキストデータを効果的に配置し、見た人を惹き付ける作品を制作する技術や独創性を競います。

身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加可能です。

2017年の全国アビリンピックでは、B4判1枚のポスター制作が課されました。

魅力的な作品を作るには、色彩やレイアウト、フォント選び、印刷に適したデータ作成等の知識やスキルが必須。全国アビリンピックでは、DTPの基本技術だけでなく、企画力や創造性も大きな評価ポイントとなっています。

競技で使用されたパソコンのOSはWindows 10 Pro、使用ソフトはAdobe Photoshop CCとIllustrator CCでした。

DTPで持ち込みできるもの・支給されるもの

DTP競技では、作品制作に使用するデータ類はすべて会場側から支給されます。データ類や参考書等を持ち込むことは一切認められていません。ただ、レイアウト等を考えるために使う画材や電卓は持ち込めます。

選手が持参するものと会場で支給されるものは、以下の通りです。

<DTP競技で選手が持ち込めるもの>

  • 鉛筆・色鉛筆
  • 定規
  • カラーマーカー
  • 電卓

<競技会場で支給されるもの>

  • カラープリンタ用紙 3枚(プリンタにセット済み)
  • 課題データ一式(デスクトップ上のフォルダに配置)
  • 作品保存用USBメモリ 1個
  • B4サイズ下書き(ラフ)用紙 3枚

なお、事前に配布された課題や事前に作成したメモ類は持ち込めません。

制限時間と課題の概要

アビリンピック競技種目DTPは、与えられたデータを使ってテーマに沿ったポスター広告物やチラシを制作する競技。例年、競技会場となっている土地の魅力に関わる内容が出題され、地方大会と同様、事前に課題の一部が公開されます。

事前準備

DTP競技は事前に課題の一部が公開される競技種目です。そのため、大会前に必ず課題を確認する必要があります。

事前公開課題でテーマや制作条件等が分かりますので、それらに従って大まかなレイアウトやイメージなどを考えておくとよいでしょう。

ただし、競技前に作成したメモやデータ類を競技中に見たり使用したりすることはできません。アイデアは自分の頭の中に入れていく必要があります。

制限時間

DTP競技の制限時間は3時間です。

3時間以内に課題内容を把握し、ポスター1枚を完成させましょう。東京大会の1時間45分と比べて競技時間が長くなっています。途中のトイレ休憩等はありません。最終提出作品のプリントは、競技時間終了後に行います。

競技中、もしパソコンの不具合が生じた場合は、速やかに競技委員に知らせましょう。

課題の概要と制作条件

大会当日は、事前に公開された課題内容に加え、ポスターに使う具体的なタイトルやサブタイトル、画像データ、テキストデータ等が提供されます。これらの情報やデータを使い、テーマと制作条件に沿ったポスターを制作しましょう。

2017年の全国アビリンピックのテーマと制作条件は以下の通りです。

<課題のテーマと概要>

  • 「栃木の自然」フォトコンテスト作品募集のためのポスター制作
  • ポスターを見た人が「フォトコンテストに参加したい!」と思えるような作品を制作する

<制作条件1>

  • 仕上げ寸法:B4サイズ(364mm×257mm)縦・横位置は自由
  • CMYKフルカラー片面
  • 作品にはトンボを配置(裁ち落としは3mm)
  • 出力サイズ:A3

<制作条件2(当日公開)>

  • 以下の内容・データを用いる
  • タイトル:Photography Contest
  • サブタイトル:Nature of Tochigi 「栃木の自然」
  • ロゴ・イラスト:主催者「公益社団法人 栃木県観光物産協会」、ロゴの形状は自由
  • テキストデータ:提供される同意英文併記のテキストデータを使用し、作品内に効果的に配置する。囲み罫、配色、大きさ、書体などは自由
  • 応募期間・応募資格・応募規定・賞・作品の送り先:提供された情報を使用し、ポスター内に効果的に配置する
  • 主催:公益社団法人 栃木県観光物産協会

作品に使用する写真は、提供される写真素材の中から適切なものを選んで使用します。使用点数は自由。トリミング、拡大・縮小、ぼかしやドロップシャドウ、フィルター等の加工も自由です。ただし、提供される写真データの解像度は200ppiなので、拡大して使用すると画像が荒れる可能性があることに注意してください。

競技時間中、制作途中で仕上がりを確認するために、2回のテストプリントができます。テストプリントを行うかどうかは選手の自由ですが、終了時間が近くなると混雑し、プリントできない場合があります。どの段階でテストプリントするかを事前に検討しておくと、時間をうまく使えるでしょう。

テストプリント、および最終提出作品のプリント時の出力データは、高解像度PDF文書(PDF/X-1a: 2001)です。

作品が完成したら、データの提出と作品の印刷を行いましょう。流れは概ね以下の通りです。

  • 高解像度PDF文書(PDF/X-1a: 2001)で書き出す
  • ファイル名は「競技者番号」と「名前」
  • 最終作品フォルダに使用した画像データと一緒に保存する
  • 最終作品のプリントは競技時間終了後、競技委員の指示に従って行う
  • 最終作品には、競技者番号、名前を明記する

詳細は当日に指示されますので、それに従って提出してください。

DTPの評価ポイント

作品をしっかり評価してもらうためには、まず制作条件に従って制作を行う必要があります。制作条件を守れないと、DTPの基本的な技術が十分でないと判断されてしまうからです。

全国アビリンピックのDTP競技は選手たちのレベルも高く、製版データの処理技術に関するミスは少ないのが特徴。制作条件を守っていても、魅力あるポスターでないと高評価されるのは難しいと言えるでしょう。

魅力あるポスターを制作するには、提供された画像データやテキストデータをただ配置するだけでは不十分。ポスターを見た人に何を伝えたいかを考え、デザインに一貫性をもたせて制作する必要があります。

2017年の全国アビリンピックで出された課題の場合、開催地である栃木県の自然をアピールすべく、フォトコンテスト作品を募集することが一番の狙いです。よって、「栃木県の自然を撮りたい」と感じられるような画像選び、色彩、レイアウトを考えなければなりません。

当日提供されたテキストデータでは、栃木県には豊かな自然があること、自然環境は人間にとって不可欠な「生存の場」であること、「栃木の自然」を守り続ける必要があることがアピールされていました。制作にあたっては、こうした内容に合うようなポスターの企画・制作が求められます。

DTP種目の評価ポイントは、「アイデアが分かりやすい」「デザインにインパクトがある」など。今回の課題では、アイデアは良いが生かしきれていない作品も多く見られたという講評が出ています。アイデアを形にするスキルを磨けば、高い評価につながりやすくなるでしょう。

なお、東京大会のDTP課題にはデータの作成・管理や評価ポイントなどがより詳しく書かれています。全国大会に比べると作業量は少なめですが、評価ポイントの確認や練習に便利ですので、あわせて取り組んでみてください。
アビリンピック過去問題|第17回東京(DTP)

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