2020/05/26
障害者在宅就労にも!障害者自立支援機器と好事例
本ページはプロモーションが含まれています
障害を持つ人の日常生活や就労を支援するものの1つに障害者自立支援機器があります。時間管理やコミュニケーションを支援するもの、体の動きをサポートするものなど、機器が果たす役割はとても大きく、ニーズもあるのですが、社会全体で見ると非常に小さなマーケット。存在自体があまり知られていないことも多いのが実状です。
そこで、今回は障害者自立支援機器とは何か、どのような機器があるのかをご紹介しましょう。
障害者自立支援機器と障害者就労支援
障害者自立支援機器は、障害をもつ人の生活の質を向上させるものですが、障害者就労支援とも深い関係にあります。
では、就労支援において自立支援機器はどのように使われているのでしょうか。
障害者自立支援機器とは
障害者自立支援機器とは、障害者の自立や社会参加を助ける機器のこと。日常生活を支援するものもあれば、職場での業務遂行に役立つものもあります。
たとえば、後述する「指伝話」シリーズは、コミュニケーション障害をもつ人が自分の考えを他の人に伝えやすくなる機器です。さまざまなメッセージを合成音声で読み上げてくれたり、音声読み上げ付きで図と説明を一緒に表示してくれたりします。
時間管理が苦手な人には、締め切り時間までを視覚的にカウントダウンしてくれるタイマーも便利でしょう。
障害者就労支援と障害者支援機器
障害者就労支援では、求人の紹介や採用面接への同行だけでなく、障害を持つ人が抱える仕事上の悩みを解決する支援も行っています。障害者自立支援機器は、そうした悩みを解決に重要な役割を果たしています。
時間管理で問題を抱える人の場合、言葉で「3時から会議ですよ」「会議まであと1時間です」と伝えるのは有効な方法です。しかし、目で見て分かるタイマーがあれば、声かけがない時でも本人が自分で確認できます。
疲れやすい人や他人の視線が気になる人なら、作業場にパーティションを設置することで業務に集中しやすくなるでしょう。
音が気になりやすい場合、遮音と集音をスイッチひとつで切り替えられるイヤーマフやノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンを使えば、作業場所を大きく移動させなくても仕事を続けやすくなります。
どのような支援機器が使えるかは、障害者就労支援においても重要なポイントなのです。
どんな障害者自立支援機器がある?シーズ・ニーズマッチング交流会
障害を持つ人の日常生活や就労を助ける機器は意外と多くあります。ただ、どうしても他の商品より市場が小さく、なかなか開発が進まないという問題もあります。せっかく開発・販売しても世間にあまり知られていない機器も少なくありません。
どんな障害者自立支援機器があるのかを知るには、「シーズ・ニーズマッチング交流会」が貴重な機会となります。
シーズ・ニーズマッチング交流会とは
シーズ・ニーズマッチング交流会とは、公益財団法人テクノエイド協会が主催する開発者(シーズ)と利用者(ニーズ)をつなぐ交流会です。
2019年度は大阪(2019年12月17日〜18日)、福岡(2020年1月14日〜15日)、東京(2020年2月12日〜13日)で行われ、約1,000人が来場しました。
開催結果を報告する公式ページでは、各会場の出展機器が見られるだけでなく、『こんなものあったらいいなニーズ集』も公開されています。
【参考】
障害者自立支援機器 シーズ・ニーズマッチング強化事業|テクノエイド協会
どんな自立支援機器がある?
障害者自立支援機器は、特定の障害を持つ人を対象とした機器から汎用性の高い機器まで、いろいろあります。
たとえば、身体障害者向け機器では、水洗式ポータブルトイレ「流せるポータくん 3号」や、麻痺や拘縮した手指の関節運動を空気を利用してサポートする「エアリハ500」、下肢装具を着けても履ける機能的でおしゃれな革靴などがあります。
耳が聞こえる人も聞こえない人も音楽を楽しめる「抱っこスピーカー・ハグミー」は、ぬいぐるみのような肌触りの円筒形のスピーカー。出てくる音を振動でも楽しめるレクリエーション活動支援機器です。
睡眠に困難を抱える人のために開発された「ウェイテッドふとん・ひざかけ」は、心地よい重量感と質感で気持ちを落ち着け、安眠をサポート。もともと北欧中心に福祉用具として普及していたものを日本でも使いやすいように改良・商品化しました。
先述した時間管理に便利な支援機器では、「クウォーターアワーウォッチ」や「タイムタイマー」があります。クウォーターアワーウォッチは予定の2時間前から15分ごとに丸が1つずつ消えていく仕組み。タイムタイマーは、予定の1時間前からタイマーの針の移動に従って赤い部分が減っていく仕組みです。
各機器について詳しく知りたい場合は、テクノエイド協会や高齢・障害・求職者雇用支援機構の公式サイトをご覧ください。テクノエイド協会の平成30年度障害者自立支援機器導入好事例普及事業で好事例賞を受賞した機器のうち2つについては、次項でも詳しくご紹介します。
【参考】
シーズ・ニーズマッチング交流会2019 東京海上58企業・団体一覧|テクノエイド協会
就労支援機器のページ|高齢・障害・求職者雇用支援機構
好事例(1):コミュニケーション支援ソフト「指伝話」(有限会社オフィス結アジア)
好事例賞からご紹介する障害者自立支援機器の1つめは、有限会社オフィス結アジアが手掛ける「指伝話」です。さまざまな理由からコミュニケーションが困難な人々を支援するために開発されました。
指伝話の大きな特徴は、入力された言葉や文章を流暢な合成音声で読み上げ、相手に声で伝えられること。iPadやiPhoneを使っている人は、すぐに利用できます。
指伝話には用途別にさまざまなアプリが用意されています。自分が使いたい言葉を自由に登録・編集し、それをタップすると音声になる「指伝話プラス」は利用状況に応じた自由なコミュニケーションを支援。指定した時間にチャイム・音声・音楽で通知する「指伝話ぽっぽ」は、利用者が自分で作成した文章を使ってアラームを鳴らせます。「食事の時間です」「仕事開始30分前になりました」などの文章を登録しておけば、何のアラームかすぐに分かり大変便利です。
少し価格は高くなりますが、「指伝話メモリ」というiPad用アプリもあります。絵と文字・音声を組み合わせて「カードで選んで伝える」ことが可能です。職場や状況に応じて自由に追加・削除できるコミュニケーション支援ボードとして使うことはもちろん、お気に入りの物や家族の写真を登録して紹介したり、仕事道具や作業場の写真と説明を登録してマニュアルのように使ったりすることもできます。
【参考】指伝話 公式サイト
好事例(2):障害者在宅就労に「ワークウェルコミュニケータ」(株式会社沖ワークウェル)
2つめにご紹介するのは、障害者雇用の好事例やテレワーク推進でも数々の受賞経験がある株式会社沖ワークウェルが開発した「ワークウェルコミュニケータ」。自社で雇用する障害者の在宅勤務でも長年活用している、現場から生まれた支援機器です。
在宅勤務は、事業所で勤務するのとは異なり周辺に同僚たちの姿がありません。そのため、業務上の連絡・相談がしにくかったり、集中しすぎて時間や健康の管理に問題が生じたり、孤独感に悩んだりすることがあります。ワークウェルコミュニケータは、こうした在宅勤務によくある問題を解決する機能を備えているのです。
<ワークウェルコミュニケータの特徴>
- 常時接続が原則で、クリックひとつで誰にでも声をかけて、打ち合わせを始めることができる
- 会議に限らず、質問や相談をしたいことをすぐに仲間と話せる
- 宅勤務で1人で仕事をしていても、仲間の声が頻繁に聞こえるため孤独感がない
- 雑談や非公式のコミュニケーションに適しているため、在宅勤務者のモチベーション向上や働きがいの向上につながる