2026/07/24
民生委員とは?意味・役割・法律をわかりやすく解説
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民生委員とは、無給で地域住民の相談に応じて支援などを行う特別職の地方公務員です。活動内容を法律によって定められている点が特徴です。地域住民に関する個人情報を取り扱うこともあり、守秘義務が課せられています。民生委員とは何か、その役割や信条、法律、仕事内容などをわかりやすくご紹介します。

民生委員とは?意味と役割、信条
はじめに、民生委員とは何かを簡単に見ていきましょう。
民生委員とは?身分は「特別職の地方公務員」
民生委員とは、各地域の中で住民一人ひとりに寄り添いながら相談に応じ、必要な支援を無給で行う人たちです。民生委員の身分は「特別職の地方公務員」とされており、任期は3年間です。地域住民の中から民生委員法に基づいて推薦され、厚生労働大臣から委嘱されて民生委員という立場が与えられます。
地方公務員ではありますが、民生委員法第10条に基づき、民生委員に給与は支払われません。一般のボランティアとの違いは、法律に従い、都道府県知事の指揮監督を受けながら活動することが大前提となっている点です。もし不適切な行動や職務遂行に支障を来す事情がある場合は、任期途中であっても解嘱される(辞めさせられる)こともあります。
なお、民生委員となった人は、必ず「民生委員児童委員協議会」という組織に所属します。
民生委員の役割と「7つのはたらき」

民生委員の役割は、「社会奉仕の精神をもって、常に住民の立場に立って相談に応じ、及び必要な援助を行い、もって社会福祉の増進に努める」ことです(民生委員法第1条)。
より具体的な観点としては「7つのはたらき」があります。
【民生委員活動の7つのはたらき】※
| 1 | 社会調査 | 地域住民の実態や福祉ニーズを日常的に把握する |
| 2 | 相談 | 地域住民が抱える課題について、相手の立場にたち、親身になって相談にのる |
| 3 | 情報提供 | 社会福祉の制度やサービスについて、その内容や情報を地域住民に的確に提供する |
| 4 | 連絡通報 | 地域住民がそれぞれのニーズに応じた福祉サービスを受けられるよう、関係行政機関・施設・団体等に連絡し、必要な対応を促すパイプの役割をはたす |
| 5 | 調整 | 地域住民の福祉ニーズに対応し、適切なサービスの提供を受けられるように支援する |
| 6 | 生活支援 | 地域住民が求める生活支援活動を自ら行い、支援体制をつくる |
| 7 | 意見具申 | 活動を通じて得た問題点や改善策について取りまとめ、必要に応じて民生委員児童委員協議会を通して関係機関等に意見を提起する |
民生委員は、公的サービスの利用が必要な事案から“話し相手”まで、様々な相談・要望を受けることになります。1人だけでは対応できないことも多いため、ほかの民生委員や民生委員児童委員協議会と一緒に活動することも多くあります。
※出典:民生委員・児童委員活動の7つのはたらき|全国民生委員児童委員連合会
民生委員の信条
こうした民生委員活動にあたって、全国民生委員児童委員大会では「民生委員児童委員信条」(旧 民生委員信条)が制定されています。
【民生委員児童委員信条】※
- わたくしたちは、隣人愛をもって、社会福祉の増進に努めます。
- わたくしたちは、常に地域社会の実情を把握することに努めます。
- わたくしたちは、誠意をもって、あらゆる生活上の相談に応じ、自立の援助に努めます。
- わたくしたちは、すべての人々と協力し、明朗で健全な地域社会づくりに努めます。
- わたくしたちは、常に公正を旨とし、人格と識見の向上に努めます。
これらは、民生委員の役割と活動における姿勢を言語化したものです。
民生委員・児童委員・主任児童委員の違い

民生委員が必ず所属する「民生委員児童委員協議会」には、民生委員だけでなく「児童委員」という言葉もあります。「民生委員児童委員信条」も同様です。さらに、民生委員は児童委員も兼務することになっています。
では、民生委員と児童委員にはどのような違いがあるのでしょうか。
児童委員と民生委員の違い
児童委員とは、地域の子どもたちが安心して健やかに成長できるよう見守るとともに、妊娠・子育てに伴う様々な不安・困りごとの相談にのり、援助を行う人です。児童福祉法第17条で定められた児童委員の職務は、以下のようになっています。
【児童委員の職務(児童福祉法第17条第1項)】
- 児童・妊産婦について、その生活や環境の状況を適切に把握する
- 児童・妊産婦について、その保護・保健・その他の福祉に関し、サービスを適切に利用するための情報を提供し、援助・指導を行う
- 児童・妊産婦に関して社会福祉を目的とする事業を営む者や、児童の健やかな育成に関する活動を行う者と密接に連携し、事業・活動を支援する
- 児童福祉司や、福祉事務所の社会福祉主事の職務に協力する
- 児童の健やかな育成に関する機運醸成に努める
- その他、必要に応じて、児童・妊産婦の福祉の増進を図る
民生委員は、年齢等に関係なく地域住民を見守り、支援する立場です。一方、児童委員は子どもたちと妊産婦を対象に見守りや支援を行います。支援対象者が異なることで、援助の観点や持つべき知識・スキルも異なります。
主任児童委員とは
児童委員の中から「主任児童委員」も選ばれます。主任児童委員とは、児童に関する相談・支援を専門的に担当する児童委員のことです。
児童福祉法第17条の規定によれば、その職務は次のようになっています。
【主任児童委員の職務(児童福祉法第17条第2項)】
- 児童の福祉に関する機関と、区域を担当する児童委員との連絡調整を行う
- 区域を担当する児童委員の活動に対して援助・協力を行う
主任児童委員は、自ら児童委員としての職務を行うことに加え、ほかの児童委員の活動を支援したり、関係機関や児童委員の連携をサポートしたりします。
民生委員の根拠となる法律「民生委員法」
民生委員の委嘱・解嘱・職務などの根拠となる法律は「民生委員法」です。民生委員法で定められた内容に関してより細かいルールを定める必要がある場合は、「民生委員法施行令」で定めています。
今回は、民生委員法の中で、特によく言及される第11条・第14条・第15条・第16条をご紹介します。
第11条、第16条は「解嘱」「政治活動」のルール
民生委員法の第11条は、民生委員の解嘱について定めたものです。
解嘱は、「都道府県知事の具申」に基づき、厚生労働大臣が行います。都道府県知事が具申を行うにあたっては、地方社会福祉協議会の同意が必要です。
解嘱のケースとして想定されているのは3パターンです。
【解嘱の3つのケース(第11条第1項)】
- 民生委員の職務ができないケース
- 民生委員の職務を怠ったり、ルール違反をしたりしたケース
- 民生委員としてふさわしくない行為があったケース
2つ目の職務を怠ったりルール違反をしたりしたケースの例には、例えば第16条第1項の違反があります。
| 【民生委員法 第16条第1項】
その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない |
民生委員自身が特定の政党を支持したり、党員になったりすることは禁じられていません。しかし、自らが支持あるいは所属する政党や政治的目的のために、自身が担当する地域の住民に働きかけることは、「職務上の地位を利用した」と解釈され、解嘱される可能性が高まります。これには、特定候補者への投票の呼びかけ、選挙活動なども含まれます。
また、民生委員の倫理規定として「守秘義務」や「人権の尊重」も重要です。民生委員には、活動に必要な個人情報が自治体から提供されることがあります。こうした個人情報を目的外に利用したり、家族や知り合いとのうわさ話で使ったりすることは、守秘義務違反です。「自分の考え方と合わないから」などの理由で相談や援助を拒否することも、人権を尊重した姿勢とはいえません。そのため、こうした行為が続く場合は解嘱される可能性があります。
守秘義務や人権の尊重については、第15条に関する項目で改めてご紹介します。
第14条は「職務」のルール
民生委員法第14条では、民生委員の職務を定めています。
【民生委員法 第14条第1項】
【民生委員法 第14条第2項】 必要に応じて、上記以外にも住民の福祉の増進に向けた活動を行う |
より簡単に言えば、
- 地域住民の中に困っている人はいないか、常に把握できるようにする
- 困っている地域住民の相談にのり、解決に役立つ情報を共有する
- 関係機関と連携し、困っている地域住民が適切な支援・保護などを受けられるようにする
ということです。
情報提供にあたっては、援助対象者が自分で情報を理解することが難しい場合、民生委員が文章を読み上げたり、図や写真などを使って説明したり、より簡単な言葉に言い換えて説明したりするなどの工夫も重要です。
公的サービスの利用申請については、申請の大半は本人か家族が行わなければならず、民生委員が代わりに実施する機会は少ないでしょう。しかし、そうしたサービスを利用可能であることや、申請のやり方などを説明すること、事前に行政窓口に相談することなどは、民生委員も実施できます。
虐待や犯罪行為についての相談を受けたり、目撃したりした際は、関係機関へ通報して対応を求めなければなりません。通報すべきか迷うケースについては、民生委員児童委員協議会に相談し、対応を進めます。
ほかにも、
- 災害時に障害者や高齢者が逃げ遅れないよう、近隣住民と事前に相談して連携体制を整える
- 妊娠・出産・子育て・介護や退職等の理由から地域社会で孤立しやすくなっている人がつながりをもてる場所・機会を紹介する
といった活動もあります。
第15条は「人権の尊重」「差別禁止」「守秘義務」のルール
民生委員法第15条は、人権尊重と差別禁止、守秘義務のルールです。
| 【民生委員法 第15条】
その職務を遂行するにあたっては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守り、人種・信条・性別・社会的身分又は門地によって、差別的又は優先的な取扱をすることなく、かつ、その処理は実情に即して合理的に行わなければならない |
民生委員自身は、特定の宗教を信じたり、特定の政治的信条を持っていたりしても構いません。しかし、そうした宗教上のルールや信条、特定の政治的主張を重視して、それ以外の宗教を信じる人や異なる信条を持っている人を差別的に扱うことは禁止されています。
自身のこだわりや好き嫌いではなく、「一定のルールに基づき、必要な援助を行い、関係機関と連携する」という姿勢を保つ必要があるということです。
加えて、先述した通り、民生委員の活動において知り得た情報を家族や知り合いに話すこと、ブログやSNSに投稿することも、守秘義務違反となります。
民生委員の仕事内容の傾向・具体例

実際の民生委員の活動内容について「令和6(2024)年度福祉行政報告例」を見ると、高齢者に関する活動が過半数を占め、次に子どもに関することが多くなっています。
例えば、支援内容で最も多いのは「日常的な支援(26%)」であり、子どもに関する「地域生活」「教育」「学校生活」が合わせて16%を占めていました。ほかに、在宅福祉や住居・生活環境に関する援助、健康・保健医療に関する援助も比較的多いようです。※1
活動の具体例については、社会調査から意見具申に続く一連の流れを示す事例が「民生委員・児童委員に関するQ&A」で紹介されています。※2
それによれば、
- 社会調査…配食サービスの協力・声かけ・安否確認で住民の状況・ニーズを把握する
- 相談…把握したニーズから高齢者の自宅を訪問し、家族の相談にのる
- 情報提供…家族の希望をふまえ、介護保険制度で利用できるサービス(ホームヘルプサービスやショートステイなど)の情報を提供する
- 連絡通報…本人・家族の申し出を受け、自治体の窓口に連絡して必要な対応を依頼する
- 調整…介護保険制度では対応できない通院の送迎について、社会福祉協議会と連携する
- 生活支援…高齢者の家族が外出する際に、近隣の住民やボランティアグループと連携して見守りを行う
- 意見具申…民生委員児童委員協議会で在宅介護の家族への支援について話し合い、問題点と支援方法を自治体に提起する
といった「7つのはたらき」に沿った形での活動となっています。
※1 出典:民生委員(児童委員)の相談・支援件数,相談・支援の種類×都道府県-指定都市-中核市×委員の種類別|e-Stat
※2 出典:民生委員・児童委員はどのような活動をしているのですか?|厚生労働省
現在の民生委員の人数は定数の9割
民生委員は、任期3年が終わる年に一斉改選が実施されます。直近では2025年に行われ、新しく6万9,207人が民生委員となり、15万1,673人が再任されました。合計で22万880人が民生委員として次の3年を迎えています。
しかし、本来必要な民生委員の人数(定数)は24万971人。現在はこの91.7%にあたる人数となっており、「なり手不足」の問題が続いています。
一方で、近年は「大人の引きこもり支援」にも目が向けられるなど、新たな社会的課題への対応に向けて活動内容がアップデートされてきました。
各地域で活動する民生委員の名簿と、相談に向けた連絡先・窓口は、自治体の公式ページで見ることができます。相談したいときは、「〇〇(市区町村名) 民生委員 名簿」などで検索してみてください。
【参考】
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