【障害者雇用】令和7年、都道府県・教育委員会で未達成機関が増加


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民間企業で雇用されて働く障害者数が70万4,610.0人となった2025年、公的機関においては国が1万505.5人、都道府県が1万1,375.0人、教育委員会が1万8,550.5人となりました。実雇用率を見ると、国・都道府県は全体として法定雇用率2.8%を上回ったものの、教育委員会は法定雇用率2.7%に届かない2.43%でした。
2025年における国・都道府県・都道府県教育委員会の障害者雇用状況をご紹介します。

2025年における実雇用率での注意ポイント

はじめに、2025年の障害者雇用状況の結果を見るにあたって注意すべき2つのポイントをご紹介します。1つは法定雇用率の引き上げ、もう1つは除外率の引き下げです。

法定雇用率引き上げ・除外率引き下げと実雇用率の低下

法定雇用率は2024年4月に0.2pt引き上げられ、民間企業は2.5%、教育委員会以外の公的機関は2.8%、教育委員会は2.7%となりました。

【公的機関の法定雇用率】

項目 2023年度 2025年度
公的機関
(教育委員会以外)
2.6% 2.8%
教育委員会 2.5% 2.7%

法定雇用率だけを見れば、2024年と同じ基準です。ただ、法定雇用率の引き上げ後、2024年4月に除外率が10pt引き下げられ、法律で定められた“雇用すべき障害者の人数”が増えました。

こうしたことが背景となり、2025年では国・地方公共団体・教育委員会における障害者の実雇用率が前年より低下する結果となっています。

国・地方公共団体における除外率とは

除外率とは、一定の要件に当てはまる業種・職種について、雇用すべき障害者の人数を算出する際に基準とする労働者数・職員数から、一定の人数を差し引く制度です。障害のある人が従事しにくい業種・職種において、障害者雇用の負担を軽減する目的で始まりました。これまで、民間企業では特定の業種が、国・地方公共団体では警察官・自衛官・医師・教育者などが対象となってきました。

では、除外率の適用によってどのくらい差が出るのでしょうか。以下の計算例で見てみましょう。

【除外率適用の有無による人数の差】※法定雇用率2.7%・除外率40%・職員数1,000人の場合

除外率

計算式

雇用すべき
障害者の人数
適用あり 1,000人×2.7%=27人 27人
適用なし 1,000人×40%=400人
1,000人-400人=600人
600人×2.7%=16.2人(端数切り捨て)
16人

上の表の通り、職員数1,000人で除外率40%が適用されると、雇用すべき障害者の人数は11人減ります。そのため、除外率は障害者雇用負担の軽減につながるのです。

しかし、除外率制度の考え方は、インクルージョンの実現という理念に反する制度です。そこで、段階的に除外率を引き下げ、最終的には廃止する方向で調整が進んでいます。これまでのところ、2004年・2010年・2025年に10ptずつ引き下げられてきました。除外率が適用されてきた領域では、雇用すべき障害者の人数が段階的に増えているということです。

次項から、2025年の公的機関における具体的な障害者雇用の状況を見ていきましょう。

国・都道府県の機関における障害者雇用状況

国・都道府県の障害者雇用状況(2025年)の概要を紹介した図。詳しくは、以下本文

国の公的機関では、雇用障害者数が増加した一方で実雇用率が低下。法定雇用率達成機関は100%となっています。都道府県では、雇用障害者数が増加したものの、実雇用率および達成機関の割合が減少しました。

【国・都道府県の障害者雇用の状況(法定雇用率2.8%)】※都道府県は知事局の数値 *1

項目 国の機関 都道府県知事局
雇用障害者数 1595.5
(前年 1万428.0人)
11,375.0
(前年 1万1,030.5人)
実雇用率 3.04
(前年 3.07%)
3.03
(前年 3.05%)
達成機関の割合 100
(前年 97.7%)
88.6
(89.3%)

 

実雇用率を都道府県知事局別に見ると、下表のようになります。

【実雇用率が高い都道府県ランキング TOP5】※都道府県知事局の数値 *1

順位 都道府県名 実雇用率(%)
1 茨城県 3.58
2 大阪府 3.54
3 鳥取県 3.52
4 福岡県 3.49
5 山梨県 3.39

 

【実雇用率が低い都道府県ランキング WORST5】※都道府県知事局の数値 *1

順位 都道府県名 実雇用率(%)
1 富山県 2.30
2 島根県 2.80
2 長崎県 2.80
4 兵庫県 2.86
5 香川県 2.86

 

ここで、国が公表する「地方公共団体における障害者雇用に関する取組状況調査(令和6年度)」で上位5府県と下位5県の取り組みを比較してみましょう。調査項目は多岐にわたりますが、その中で差が見られたのは、以下の取り組みでした。

 

【上位5府県と下位5県の取り組み比較】*2

取り組み

上位5府県 下位5県
プレ雇用の導入・導入予定 3県が実施 なし
ステップアップの枠組みの導入・導入予定 2県が実施 なし
障害者差別の禁止に関する周知方法(研修の実施) 5府県が実施 1県が実施
障害者差別の禁止に関する周知方法(メール配信) 2県が実施 なし
障害者差別の禁止に関する周知方法で、会議・研修・文章配布・内部ネットワーク配信・メール配信の中から2つ以上を選択した府県 5府県が該当 なし
勤務時間に関する配慮対応(始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ) 4府県が実施 2県が実施
対応事例において、勤務時間短縮・フレックスタイム・時刻の繰上げ繰下げ・残業等免除・深夜業免除その他のうち、2つ以上を選択した府県 3府県が該当 1県が該当

全体として極端な偏りは見られませんが、実施数では上位都道府県のほうがやや多い傾向にあるようです。

*1 「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)から作成
*2 「地方公共団体における障害者雇用に関する取組状況調査(令和6年度)」(e-Stat)から作成

都道府県教育委員会における障害者雇用状況

都道府県委員会の障害者雇用状況(2025年)の概要を紹介した図。詳しくは、以下本文。

都道府県教育委員会では、雇用障害者数は前年から増加したものの、実雇用率と達成機関の割合が低下しました。もともと法定雇用率を達成できていない状況に、除外率引き下げの影響が加わったと考えられます。

【都道府県教育委員会の状況(法定雇用率2.7%)】*1

項目

都道府県教育委員会
雇用障害者数 18,550.5
(前年 1万7,719.0人)
実雇用率 2.31
(前年 2.43%)
達成機関の割合 42.6
(前年 53.8%)

 

都道府県別の実雇用率を比較すると、以下のようになりました。

 

【実雇用率が高い都道府県教育委員会ランキング TOP5】*1

順位 都道府県名 実雇用率(%)
1 愛媛県 3.05
2 山梨県 3.04
3 高知県 3.02
4 福井県 2.91
5 茨城県 2.90

 

【実雇用率が低い都道府県教育委員会ランキング WORST5】*1

順位 都道府県名 実雇用率(%) 不足数(人)
1 東京都 1.67 611.0
2 福岡県 1.69 213.5
3 長崎県 1.72 109.5
3 兵庫県 1.72 249.0
5 愛知県 1.75 319.0

 

ランキング上位の都道府県教育委員会は、いずれも法定雇用率を2.0pt以上で上回る結果となっています。ほかに2025年6月1日までに法定雇用率を達成したところは、以下の県でした。

【TOP5以外で法定雇用率を達成した都道府県教育委員会(実雇用率)】*1

  • 大分県(2.89%)
  • 千葉県(2.82%)
  • 広島県(2.80%)
  • 岡山県(2.79%)
  • 香川県(2.76%)
  • 秋田県(2.75%)
  • 三重県(2.72%)
  • 佐賀県(2.72%)
  • 鳥取県(2.71%)

ランキング下位の都道府県教育委員会の場合、いずれも実雇用率が2.0%を切る状況でした。民間企業の中でも実雇用率が低い、40人以上100人未満の企業と同じ水準です。不足数も100人を超えており、非常に課題が大きいといえるでしょう。2025年6月1日までに100人以上の不足数が報告されたのは、ほかに以下の府県があります。

【WORST5以外で100人以上の不足数がある都道府県教育委員会(実雇用率、不足数)】*1

  • 大阪府(2.11%、189.0人)
  • 長野県(2.07%、101.5人)
  • 福島県(1.80%、133.5人)
  • 沖縄県(1.79%、134.5人)

都道府県教育委員会は教育現場との連携を行う機関であり、インクルーシブ教育の推進も担っています。教育委員会自身のインクルージョンを実現するためにも、さらなる積極的な取り組みが必要でしょう。

これまでの教育委員会における障害者雇用の状況は、以下の関連コラムでご紹介しています。併せてご覧ください。

(関連コラム)

  • 【令和4年障害者雇用状況】民間企業・市町村は法定雇用率達成まであと一歩!教育委員会は都道府県ごとに大差
  • 【令和5年障害者雇用状況】民間企業で過去最高の実雇用率2.33%!精神障害者雇用が大きく増加
  • 【障害者雇用状況】民間企業は過去最高を更新も法定雇用率(2.5%)達成ならず【2024年】

また、民間企業における2025年の障害者雇用状況の集計結果は、以下の関連コラムでご紹介しています。

(関連コラム)

  • 【障害者雇用状況】厚生労働省が令和7年集計結果を公表、未達成企業は54.0%

*1 「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)から作成

地方公共団体・教育委員会の障害者雇用にはノウハウ蓄積の促進が必要か

今回、都道府県知事局での障害者雇用は全体として法定雇用率を達成しましたが、各都道府県には大きな差が見られました。取り組み内容に極端な差があるわけではないようですので、支援の質や具体的なノウハウに課題があるのかもしれません。

他方、教育委員会では法定雇用率未達成の状況が続いています。雇用障害者数全体は増加していますし、約3割の都道府県教育委員会は法定雇用率を達成しています。ただ、未達成のまま実雇用率2.0%にも達しないところが1割以上残っている点は、大きな課題です。

法定雇用率引き上げと除外率引き下げの影響から、地方公共団体での障害者雇用は苦しい状況かもしれません。それでも、これらは今後も段階的に進められるため、より一層の取り組みが求められています。

障害者雇用において指導を受けたり企業名が公表されたりしている民間企業の事例を見ると、障害のある労働者に適した職域の創出と職場定着での苦労がうかがえます。困難な状況の打破には、前提となる差別禁止と建設的対話が不可欠。その重要性は、地方公共団体開催のセミナー・講習でも伝えられるところです。

地方公共団体自らの現場でも、そうした知識や手法を向上させ、成功事例を参照しながら結果の出る施策を進めていく必要がありそうです。

【参考】
「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)

【イラスト素材提供】
スエ/ PIXTA(ピクスタ)
kabu/ PIXTA(ピクスタ)

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