罰金も?!中小企業でも障害者雇用の義務化が進む


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中小企業でも障害者雇用の義務化が進む

障害者雇用促進法によって、全従業員に対する障害者雇用の法定雇用率が変わっていきます。2018年4月には民間企業では2.2%となり、対象が従業員50人以上から45.5人以上に引き下げとなりました。なぜ45.5人と端数が出るのかというと、短時間労働者は1人を0.5人と換算するからです。

※障害者雇用については、常用雇用労働者1人を1人、短時間労働者1人を0.5人として企業の「労働者数」として算定します。ここでは、読みやすさを考え、便宜的に「従業員」と表記しています。

さらに、2021年4月までには、さらに0.1%引き上げが決定しており、民間企業の場合、従業員43.5人以上と対象が拡大していきます。

障害者雇用は決して大企業だけが取り組むべきものではなく、中小企業も考えなくてはいけなくなっています。

障害者雇用率は2.0%越え、現実はまだまだ

障害者雇用促進法で、従業員の2.2%は障害者を雇用しなくてはいけないのですが、実際にはこの数値にとどいていません。

厚生労働省の発表によると2018年の民間企業の雇用障害者数は53万4,769.5人、対前年7.9%(3万8,974.5人)増と15年連続で増えています。実雇用率は2.05%、対前年0.08ポイント増となり、こちらは7年連続で増えています。ただし、数値は達していない状況です。

【参考】
平成30年障害者雇用状況の集計結果丨厚生労働省

全体の数値を見ると、雇用者数も増えていて、雇用率も2%を超えたし、あともう少しと見えるかもしれません。しかし、実情は違います。対象の民間企業は全国で100,586社ありますが、2.2%の雇用率を達成した企業は46,217社。半分にも満たないのです。雇用ゼロ企業も31,439社と全体の3割もある状態です。

企業規模別でみる障害者雇用の実態

これを従業員数別の企業規模で見てみましょう。

従業員数 2018年 2017年
45.5-50人未満 34.0%
50-100人未満 45.4% 46.5%
100-300人未満 50.1% 54.1%
300-500人未満 40.1% 45.8%
500-1,000人未満 40.1% 48.6%
1,000人以上 47.8% 62.0%

100-300人未満規模の企業でやっと50.1%と半分を超えていますが、それ以外はすべて、達成企業が半分もありません。2018年に新たに区分として入った45.5-50人未満規模の企業では、34.0%しか達成していません。まだまだ改善していかなければいけない状況です。

罰金も?!障害者雇用納付金制度とは?

このような状態で、雇用率を達成していない企業にはどのようなペナルティがあるのでしょうか。

まずは、障害者雇用納付金制度です。雇用率2.2%が未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から障害者雇用納付金を徴収します。不足1人あたり月額5万円が徴収されます(常用労働者100人超200人以下の企業は2020年3月までは4万円に減額)。

納付金以外にもハローワークからの行政指導があります。それでも改善が見られない場合は、企業名の公表も行われます。

実際に2016年度に2社、2014年度には8社が公表されています。

「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下「障害者雇用促進法」)においては、民間企業について、障害者雇入れ計画の適正実施勧告に従わず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表できることとなっていますが、これに基づき、厚生労働省は31日、2社について、次の通り企業名を公表します。

【障害者の雇用状況に改善が見られない企業】
1 株式会社エル・エム・エス(本社:東京都文京区、代表者 朝比奈 幸一郎、卸売業)
2 株式会社きもと(本社:東京都渋谷区、代表者 木本 和伸、その他の製造業)

引用元:平成28年度 障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表等について|厚生労働省

民間企業については、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下「障害者雇用促進法」)第47条に基づき、障害者雇入れ計画の適正実施勧告に従わず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表することができることとなっていますが、厚生労働省は31日、8社について、次の通り企業名を公表します。

【障害者の雇用状況に改善が見られない企業】
1 株式会社 ナイス(本社:秋田県秋田市、代表者 齋藤 一郎、小売業)
2 惠山 株式会社 (本社:東京都渋谷区、代表者 沖山 英嗣、卸売業)
3 ブリッジインターナショナル 株式会社(本社:東京都世田谷区、代表者 吉田 融正、情報サービス業)
4 プログレス・テクノロジーズ 株式会社(本社:東京都江東区、代表者 中山 岳人、労働者派遣業)
5 株式会社 セリア(本社:岐阜県大垣市、代表者 河合 映治、小売業)
6 株式会社 日本オプティカル(本社:愛知県名古屋市、代表者 前田 貴志、小売業)
7 株式会社扇港電機(本社:三重県四日市市、代表者 横山 大幸、卸売業)
8 株式会社 日本セレモニー(本社:山口県下関市、代表者 神田 輝、生活関連サービス業)

引用元:障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表等について|厚生労働省

なお、障害者の雇用者数が雇用率を上回る企業には、報償金などが支払われます。

障害者雇用の区分

一言で障害者と言っても、障害は多岐で、簡単に分けることはできません。ここでは、障害者雇用促進法で規定されている障害者の区分をご紹介します。区分によっては、重度障害者という規定があり、労働者数を倍で算出することもできます。

ただ、障害者雇用促進法の表記は非常に難しいので、ここでは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」から抜粋します。

【参考】
はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~丨JEED

身体障害者

まひや切断などの「肢体不自由」「聴覚・言語障害」「視覚障害」のほかに、心疾患、腎臓疾患、HIVによる免疫不全といった「内部障害」も含まれます。身体障害者は、地方自治体から身体障害者手帳が交付されているので、それで確認します。重度障害者は、1級、2級及び3級に該当する障害を2以上重複している方となります。

重度障害者の場合、常用雇用は1人を2人(重度以外は1人)、短期労働は同1人(重度以外は0.5人)と算出します。

知的障害者

理解力・判断力などの知的能力に課題のある方になります。知的障害者は、地方自治体から療育手帳(自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」などの名称)が交付されているので、それで確認します。

そのほか、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医、地域障害者職業センターの判定書でも確認できます。重度障害者、療育手帳Aと地域障害者職業センターで重度知的障害者と判定された方となります。

重度障害者の場合、常用雇用は1人を2人(重度以外は1人)、短期労働は同1人(重度以外は0.5人)と算出します。

精神障害者(2018年4月から対象に)

統合失調症や躁鬱病、神経症などの疾病にかかっている方です。障がい者雇用の場合、てんかんも精神障害者の区分に入ります。精神障害者は、自治体から精神障害者保険福祉手帳を交付されているので、それで確認します。

重度障害者の規定はありません。ただし、短時間労働者の場合、新規雇入れから3年以内又は精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者については、原則として、平成35年3月31日までに雇い入れられた場合又は精神障害者保健福祉手帳を取得した場合に限り、1人を0.5人ではなく1人として算定します。

まとめ

  • 障がい者の対象企業は拡大しており、今後も増えていく。
  • 企業の半数以上は障がい者雇用率2.2%未達。
  • 改善がないと判断された場合は、企業名の公表もあり。実際に公表されている企業もある。
  • 精神障がい者は2018年4月から新たに加わった。
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