2022/06/07
【障害者の在宅ワーク】総務・人事や秘書業務【職域と事例】
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企業にとって縁の下の力持ちとなる総務、企業で働く人や経営者をサポートする人事や秘書といった職域は、在宅ワークに不向きと感じることがあるかもしれません。しかし、パソコンを使う業務やスケジュール調整、Web会議システムを使った業務などは遠隔地からも担えます。ITスキルを活用した事例と分身ロボットOriHimeを活用した事例をご紹介します。
総務・人事・秘書業務も在宅ワークが可能
企業にはさまざまな役割を担う人々が働いています。総務は企業の縁の下の力持ちといえる仕事ですし、企業で働いてくれる人を採用したり育てたりする人事も企業に欠かせません。また、忙しい経営者のためにスケジュール調整や各種連絡、来客対応などを行う秘書の存在は、とても心強いでしょう。
こうした業務は、人やモノと直接関わることが多いため在宅ワークでは難しいと思われるかもしれません。しかし、業務の一部を在宅で行った事例が複数あります。
どのような仕組みや工夫によって在宅ワークを可能にしたのか、2つの事例を見ていきましょう。
スタッフサービス・クラウドワークによる総務系事務の在宅ワーク事例
最初にご紹介する事例は、株式会社スタッフサービス・クラウドワークです。
スタッフサービス・クラウドワークは、人材総合サービス会社スタッフサービスグループで障害者雇用を担当する会社。日本全国で重度身体障害者の在宅ワークを推進しています。
在宅ワークでは、パソコンを使う業務を行います。たとえば、手書きデータの入力やシステムへの登録といった入力・登録系業務、情報の更新・誤字の修正といった補正系業務、インターネットで情報を収集・調査する業務などです。具体的には、パソコンを使用した資料作成、名刺データのチェック、社員台帳入力などの実績があります。
出社や自宅近隣会場への出勤が必要なのは、入社オリエンテーションの日と年1回程度のエリアミーティング程度。それ以外の研修、業務、雑談などはオンラインで実施してきました。
在宅ワークで働く方々には、パソコンや通信カードなど業務に必要なものが会社から貸与されます。
同社にはコミュニケーションを中心としたていねいな研修があり、社員のスキルアップを支援しています。特に入社後1か月から6か月まで行われる業務研修では先輩社員に何度質問してもかまわず、入力が遅くても怒られません。新入社員にとって安心して成長できる環境が整っています。
<スタッフサービス・クラウドワークの研修プログラム>
研修名 | 時期・実施形態 | 内容 |
チームビルディング | 入社当日
出社/近隣会場 |
同期の仲間に自分の気持ちを話したり他己紹介をしたりして相互に理解を深める |
導入研修 | 入社1か月
オンラインで実施 |
会社について基礎的な情報を学びながら就労生活リズムをつくる |
業務研修 | 入社1か月〜6か月
オンラインで実施 |
配属先チームで先輩社員から業務を学ぶ |
フォローアップ研修 | 入社6か月
オンラインで実施 |
同期で集まり、各自が6か月間の成長を振り返る |
日々の業務管理については、メールやWeb会議システムを活用。勤務スケジュールも各自の体調や通院、介助時間等に合わせて決められる仕組みです。
<スタッフサービス・クラウドワークでの業務管理>
勤務スケジュール | 月〜金、9:00-19:00の間
原則6時間のシフト制 休憩時間は、60分〜240分の間で相談可 |
業務管理・コミュニケーション |
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健康管理 |
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パソコンなどの使い方、業務の進め方を会社でサポートするとともに、仲間とのコミュニケーションを大切にすることで在宅ワーカーの孤独感を解消しているのが、スタッフサービス・クラウドワークにおける在宅ワークの大きな特徴といえるでしょう。
【参考】
株式会社スタッフサービス・クラウドワーク 公式サイト
株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート|チャレンジホームオフィス
オリィ研究所における人事・秘書業務の在宅ワーク事例
近年大きな話題となっているOriHime。その開発・製造・販売等を行っている株式会社オリィ研究所では、障害をもつ方がOriHimeを活用して自宅から秘書や広報、接客、障害者の就労支援(採用面接等)といった多岐にわたる業務を担っています。
分身ロボットという「体」があることで「その場にいる」という存在感があること、社内各所にある分身ロボットへ自由に通信できるため1つの場所から別の場所へ一瞬でワープして業務やコミュニケーションができることが、他の在宅勤務とは大きく異なる点です。
OriHime本体や操作に必要な機器などは会社から支給されます。
<オリィ研究所での業務管理・コミュニケーション>
配属部署 | 秘書・広報 |
業務内容 |
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研修 | 個人情報を扱うため、機密情報に関する研修を実施 |
業務管理 |
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業務の間はなるべく繋ぎっぱなしにしたり、OriHime越しに雑談やランチに同席してもらったりすることは、チームビルディングにも効果的です。パタパタと動く手や首の向きで視線を表現できるなど、「体」を活用することによってコミュニケーションの幅が広がり、音声や映像だけで実施するよりも強い一体感につながるでしょう。
OriHimeやOriHimeの活用事例については、以下の関連記事で詳しく紹介しています。
(関連記事)
分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」の常設店舗が6月21日にオープン!
障害者のテレワークをもっと楽しく! 分身ロボット「OriHime」の利用申込方法と導入事例
【参考】
株式会社オリィ研究所 公式サイト
株式会社 オリィ研究所(2019年度登録)|チャレンジホームオフィス
業務管理やコミュニケーション上のポイント
総務や人事、秘書の業務は、直接モノを扱う形でなければ多くの業務を在宅ワークに移行できる可能性があります。特にITスキルが必要な入力・登録系、検索・調査系は現在でも多くの部署で在宅ワークが行われている職域です。
秘書業務については、スケジュールの管理・調整、会議への参加と議事録作成などが可能。在宅ワークが広まりWeb会議システムを用いた面接方法が広まった現在は、採用面接を在宅で実施することも不可能ではありません。
今回ご紹介した2つの事例で共通する業務管理やコミュニケーション上の工夫ポイントは、相談できる相手が常にいること、そして積極的なコミュニケーションを通してチームビルディングを行っていることです。
研修や日々の相談によって無理なくステップアップできる、会社の一員として働いているという意識をもてる環境があれば、総務・人事・秘書でのパソコン業務を在宅ワークに移行しても「意外にできる」と感じられるでしょう。