2021/02/11
アビリンピック過去問題|第38回全国(2018)ワード・プロセッサと表計算
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2018年に沖縄で開催された第38回全国アビリンピック。Wordの機能を使いこなす競技種目「ワード・プロセッサ」には42名が、Excelの機能を使いこなす技能を競う「表計算」には31名の選手が参加しました。
課題の概要は例年通りですが、「ワード・プロセッサ」では地図の作成が、「表計算」ではグラフの作成が難しかったようです。
もくじ
競技種目「ワード・プロセッサ」の概要と使用されたソフト
競技種目「ワード・プロセッサ」は、見本となる文書が提示され、その文書をWordを使ってできるだけ再現しながら作成する競技です。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加できます。
2018年の課題は、和文文書と英文文書の合計2つの文書を作成するという例年通りの内容でした。
「ワード・プロセッサ」では、ただ文章を入力するだけでなく、フォントやさまざまな書式の設定、画像や表の挿入など多くの機能を使いこなすことが求められます。作成した文書はカラー印刷して提出するため、色の選択や調整なども評価に含まれています。
作成する文書はいずれも3ページ分ありますので、作業スピードが求められることにも注意してください。実際、2018年大会ではWordをどれだけ使いこなせるかだけでなく、時間配分も評価を分ける大きな要因となりました。
<「ワード・プロセッサ」で使われたOSとソフトウェア>
- OS:Windows 7 Pro
- 使用ソフト:Word 2016
「ワード・プロセッサ」の制限時間・課題概要
「ワード・プロセッサ」の課題では、和文・英文ともに3ページある文書を作成します。文章自体を自分で入力する部分がある他、テキストファイルをインポートしなければならない箇所もあります。
また、和文競技ではWordファイルを作成して印刷を行いますが、英文競技ではWordファイルとともに最終的にPDFファイルも作成しなければなりません。
制限時間と当日の実施時間、持ち込める物
和文・英文のそれぞれの制限時間は以下のとおりです。
<「ワード・プロセッサ」の制限時間>
- 和文競技:80分
- 英文競技:60分
2018年大会は9:00-11:30の時間帯で実施されました。
当日に会場に持ち込めるのは、以下のものに限られています。事前に配布された課題、メモ、辞書以外の参考書や資料等は一切持ち込めません。
<「ワード・プロセッサ」で持ち込める物>
- 国語辞典
- 漢和辞典
- 英和辞典
- 筆記用具等
会場にはA3サイズ(横型)の書見台が用意されています。通常はこの書見台を使って課題をこなしますが、もし障害特性のために別の書見台やソフトウェア等が必要な場合は、事前に申請しましょう。
和文競技の課題概要:「クラシックフェスティバル」のWordファイルの作成
和文競技で行う操作は、主に次のような操作です。いずれも毎年出題される操作ですので、過去問題を使って十分に練習を行いましょう。
<和文競技で求められる操作>
- 用紙の設定(指示通りに印刷面の余白・文字数と行数・ヘッダーとフッターを設定)
- ヘッダーの右側の指定位置に「選手番号 名前」を入力
- フッターの中央の指定位置に「ページ数/総ページ数」を設定
- タイトルをワードアートで作成し、スタイルを設定
- サブタイトルを指定の書式で作成
- 指定の文章を入力し、指示通りに書式を設定(図形の挿入あり)
- 画像の挿入と位置・サイズ調整、スタイルの設定
- 図形機能を使った地図の作成(各部分に色や図形の指定あり)
- 表の作成と書式設定
- 図形、テキストボックス、図を使って見本通りの図を作成
- テキストファイルを読み込み、二段組みを設定
- 指定の文字列を検索・置換
- 出来上がった文書を印刷する
今大会の和文競技では、図形機能を使って地図を作成する箇所の指示が細かく、苦戦した選手が多かったようです。
英文競技の課題概要:「Okinawa」のWordファイルとPDFファイルの作成
英文競技では、和文競技のような操作の他に、図表番号の設定やExcelファイルにあるグラフの挿入などを行う必要があります。また、PDFファイルとして書き出す操作が求められるのも、和文競技との大きな違いです。
<英文競技で求められる操作>
- 用紙サイズをA4に設定
- 指示通りにマージンととじしろを設定
- ヘッダーの右側に、名前(ローマ字)と選手番号、作成日を入力
- 指示に従い、ページ罫線を引く
- フッターの指定位置にページ番号を挿入
- ページ背景に指定の図形を透かしで挿入
- ワードアートを挿入し、指示通りにスタイルを設定
- 指示に従い、見出しフォントを設定
- テキストファイルを読み込み、ドロップキャップを設定
- 画像を挿入し、指示通りにスタイル設定・配置
- 図表番号を挿入し、ラベルを設定
- 箇条書きやタブとリーダー線を設定
- Excelファイルに作成されているグラフを「図」として貼り付け、図表番号を設定
- 表を挿入し、指示通りに書式を設定
- 指定部分に段組や段区切り、境界線を設定
- SmartArtを挿入し、図表番号を設定
- 指定の文字列に対して脚注を挿入
- 出来上がった文書をPDF形式で保存
- 文書を印刷
「ワード・プロセッサ」で高評価につながるポイント
課題内容と制限時間から考えると、高評価を得るには以下の4つのポイントを意識して取り組む必要があるでしょう。
<「ワード・プロセッサ」で高評価につながるポイント>
- Wordのさまざまな機能を使える技能を養う
- 時間配分を意識しながらスピーディーに作業を進める
- 指示に従って見本通りの文書を制限時間内に完成させる
- タイプミスや書式設定等のケアレスミス、レイアウトのズレなどを確認し、修正する
本競技種目の入賞者は、課題のうちほぼ全ての指示を制限時間内にこなせていました。ケアレスミスやレイアウトのズレ等が、より上位に入賞できるかどうかの鍵となったようです。
競技種目「表計算」の概要と使用された表計算ソフト
Microsoft Excelを使いこなす技能を競う種目「表計算」には、4つの課題が設定されています。それぞれの課題に細かな制限時間はなく、75分の中で4つ全ての完成させる競技です。身体障害者・知的障害者・精神障害者が参加できます。
「表計算」では、数値の入力や書式設定だけでなく、表やグラフの効率的な作成・編集スキルや関数を扱うスキルも試されます。「ワード・プロセッサ」種目と同様、ケアレスミスがないように見直し時間をとって、確実に仕上げていきましょう。
<「表計算」で使われたOSとソフトウェア>
- OS:Windows 10 Pro
- 使用ソフト:Excel 2016
「表計算」の制限時間・課題概要
「表計算」の課題は、事前に公表される課題概要のみが公開されています。
課題は全部で4つありますが、どの課題から始めても構いません。制限時間内にできるだけ多くの課題をこなせるよう、得意な分野から取り組んでください。
いずれの課題もファイルを指定箇所に保存するとともに、印刷したものを提出しなければなりません。
制限時間と実施時間、持ち込みが禁止されているもの
「表計算」の制限時間は75分です。2018年大会では13:00-14:15で実施されました。
「表計算」では、障害特性に応じて必要となるソフトウェアや書見台等を事前に申請することで使用を認められる場合があります。しかし、それ以外のもの(事前に配布された課題、メモ、参考書、資料等)は一切持ち込めません。
課題1:装飾・編集
「表計算」の課題1では、数値の入力や配置変更、罫線の変更など基本的な操作スキルが問われます。
<「表計算」課題1で求められる操作の例>
- 表題の作成に図形描画を使う
- 既に入力されている数式を修正する
- 条件付き書式の設定
- 行・列の非表示
これらの基本操作は日常の業務で経験している方も多いでしょう。競技が始まったら、真っ先に片付けてしまいたい課題です。
課題2:関数式による表の完成
課題2では、関数式の知識と活用スキルが問われます。4つの中で最も正答率が低い課題と言われ、苦戦する選手も多く見られる分野です。
<「表計算」課題2で求められる操作の例>
- 関数式の設定
- セル範囲への名前の定義
- ユーザー定義書式による表示形式の設定
関数は、
- 統計関数
- 数学/三角関数
- 日付/時刻関数
- 文字列操作関数
- 検索/行列関数
- 論理関数
から10〜13種類が出題されます。
関数の入れ子もあるため、どの関数で何ができるのかをしっかり把握しておきましょう。出題範囲となる関数の一覧は、大会前の事前課題で公表されます。
関数があまり得意でないなら、他の課題が済んでから取り組むとよいでしょう。
課題3:データ処理
課題3のデータ処理では、Excelの機能の1つである簡単なデータベース機能を用いた操作を行います。
<「表計算」課題3で求められる操作の例>
- フィルターによるデータの抽出と並替え
- 詳細設定による抽出と並替え
- 新規シートを作成、データの貼り付け
- 小計や集計表の作成
課題1の次に取り組みやすい課題といえます。
課題4:グラフ作成
課題4では、グラフの作成と編集、印刷設定を行います。
<「表計算」課題3で求められる操作の例>
- 指定されたグラフ1種類を作成
- グラフエリアやグラフタイトル、凡例、時比べる、データラベルなど、7〜8種類の部分を設定
課題4のポイントは、グラフの種類を把握するだけでなく、指示通りのグラフを作るにはどういった範囲のデータが必要なのかを理解しておくこと。同時に、グラフを分かりやすくするための細かな設定としてどのような部分を編集できるのか(タイトルや凡例、ラベルなど)も、きちんと確認しておきたいところです。
「表計算」で高評価につながるポイント
2018年大会の課題は選手たちにとって難しい内容が含まれていたようで、関数式の扱いやグラフ作成で苦戦する姿が見られたとのことです。
特に関数は知識がないと扱えないため、知識不足だと競技時間内に全ての課題をこなすのも困難。1つの課題にかかりきりになって他の課題ができないと、全体の評価が下がりやすくなってしまいますので、気をつけてください。
また、例年、課題にある指示の読み間違えで設定や操作を誤り、ケアレスミスとして減点されてしまう選手が見られます。
よって、「表計算」で高評価を得るには、以下のポイントを意識して練習するとよいでしょう。
<「表計算」で高評価につながるポイント>
- 時間配分を意識し、得意な分野から取り組む
- 課題にある指示を読み間違えていないか確認する
- 関数の知識と使い方を習得・練習する
- グラフ作成にあたって、どの範囲のデータをどの順番で指定していくべきかを考える
全国大会の過去問題は、多くの競技種目が独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の公式ページに公表されています。ただ、表計算は概要しか公開されていません。概要には出題予定の内容の一覧が記載されていますので、それを参考に取り組みましょう。
(参考)
過去3年の技能競技課題(参考資料)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
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