2022/07/15
【障害者の在宅ワーク】さまざまな業務に関わる文書・資料作成【職域と事例】
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事務系職種以外でも多くの部署で必要となる文書や資料の作成は、在宅ワークに適した職域。データの分析や調査のまとめ、帳票、会議資料、営業資料、社外向けセミナー資料などさまざまな業務があります。実際の在宅ワーク事例とともに、必要なツールやスキル、業務管理のポイントを見ていきましょう。
情報収集や調査から「文書・資料作成」へ
在宅ワークに多く見られる業務には、インターネットを活用した情報収集やアンケート等のデータ入力などがあります。そうした情報やデータを活用した「文書・資料作成」も、在宅ワークで行われる業務の1つです。
具体的には、
- 指定のフォーマットに従って作成する
- データをもとに傾向を分析する
- 会議の資料をまとめる
- 社外向けのセミナー資料を作成する
といったさまざまなものがあるでしょう。
1人が全てのタイプの文書・資料を作成できる必要はありません。むしろ、それぞれの得意分野を生かしながら取り組むことで、全体として効率よく進められる分野といえます。
在宅ワークでの文書・資料作成に関わる業務例
在宅ワークでの文書・資料作成について、まずはどのような業務・働き方があるのかを見てみましょう。合同会社DMM.comと国際紙パルプ商事株式会社の事例をご紹介します。
合同会社DMM.comにおける業務例と雇用管理
画像出典:合同会社DMM.com 公式サイト
合同会社DMM.comでは、2019年6月1日時点で27名の障害者がテレワーク勤務をしています。本社を東京都港区におきながら北陸地域を中心に在宅で働く従業員を採用してきました。在宅で働く社員の労務管理等は、金沢事業所が担っています。
DMM.comにおける在宅ワークの業務内容は、社内の他部署から切り出されたものです。商品名のルビ入力や文字起こし等から始まった業務ですが、次第にレベルアップし、現在ではバナーやポスター制作、会員の入退管理、請求書の確認、支払・発注申請等の業務にも実績があります。
在宅ワークの環境整備として、会社側では以下の機器やツールを用意しました。
<在宅ワークの環境整備で会社側が用意したもの>
- 会社指定のパソコン、ビデオカメラ、ヘッドセット一式(貸与)
- コミュニケーションツール(Slack、zoom)
- 遠隔操作サポート(teamviewer, VPN)
- 業務連携ツール(Googleapps)
- 勤怠管理ツール(COMPANY)
業務を遂行するにあたり、同社では日々の日報をもとに時間当たりの仕事の件数を把握し、目標設定や業務評価に反映させているといいます。
<DMM.comにおける障害をもつテレワーカーの雇用管理>
勤務体制 | 1日6時間・週5日 |
勤怠管理 |
|
業務管理 |
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面談 |
|
在宅ワーク支援 |
|
同社で課題とされている点は、デザインのニュアンスなど細かな指示を文字やビデオ通話で伝えるのが難しいこと。一方で、在宅での仕事をするにあたって重要な就業規則、テレワーク特有のルール、ビジネスマナーに関しては、採用後に3日間出勤し、研修を受ける仕組みを整えました。
【参考】
合同会社DMM.com 公式サイト
都市部と地方をつなぐ障害者テレワーク事例集|厚生労働省
国際紙パルプ商事株式会社における業務例
画像出典:国際紙パルプ商事株式会社 公式サイト
国際紙パルプ商事株式会社には、もともと通勤で働いていた社員が視覚障害となり在宅ワークに移行した事例があります。海外営業での豊富な経験と高い英語力を持っているため、海外情報の翻訳・分析、海外支店の議事録の翻訳、市況報告へのコメントと社内配信、海外営業への情報提供などの担当となりました。
在宅ワークに移行するにあたり、同社では就業規則の改定で在宅勤務制を導入するとともに、在宅ワークに必要な機器類や人事サポート体制の整備などを行いました。
<国際紙パルプ商事における業務例とポイント>
障害種別 | 視覚障害1級(中途障害) |
設置機器 |
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勤務体制 | 9:00-17:15
(昼休憩 12:00-13:00) |
担当業務 | 海外情報の翻訳・分析
海外営業担当者への情報提供等 |
業務管理 |
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時間管理
健康管理の例 |
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同社ではダイバーシティの推進に積極的に取り組み、2020年度の障害者雇用率は法定雇用率を上回る2.8%となっています。
また、2020年からの新型コロナウイルス感染症に対応してインフラを整備し、テレワーク制度を本格的に導入。2021年1月にテレワーク実務実施細則を定め、全社員にテレワーク勤務を推奨しています。
【参考】
統合報告書|国際紙パルプ商事株式会社
国際紙パルプ商事株式会社|チャレンジホームオフィス
文書・資料作成に必要なツールやスキル
文書や資料の作成に必要なスキルやツールは、作成する文書・資料の種類や目的に応じて多少異なるでしょう。
基本的にはMicrosoftのWordおよびExcelが中心。プレゼンや営業用に資料を作成する場合はPowerPointなどを利用するケースが多く見られます。文書に画像を多く使用する場合は、画像編集ソフトを活用することで、より見やすい文書・資料づくりができるでしょう。
視覚障害をもつ方が文書や資料の作成を行う場合は、パソコン画面を拡大表示するソフトや視覚障害者用音声ソフト(スクリーンリーダー、画面読み上げソフト)が役立ちます。
<文書・資料作成に必要なツール>
ツール例 | 用途 |
Microsoft Word |
|
Microsoft Excel |
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Microsoft PowerPoint |
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Adobe Illustrator
Adobe Photoshop 等 |
PowerPointやWordで作成する文書・資料に挿入する画像の作成・調整 |
こうしたアプリケーションを使うスキルとともに、どのような文書・資料が必要なのか、レイアウトやデザインなどはどうするかといった点について、質問・相談できるコミュニケーションスキルも重要です。
文書・資料作成の業務管理のポイント
文書・資料作成における業務管理のポイントは、在宅ワーカーそれぞれの得意分野を生かした業務の割り振りを行うことです。
文書や資料で扱う内容、量、体裁などは、1つの事業所内でも作成目的や用途によって大きく異なるもの。細かいデータのチェックが必要なものもあれば、データを元に一定のフォーマットで作成すれば完成するもの、経験に基づく複雑な判断が要求されるものなど、さまざまです。
たとえば、ルーティン化することで業務を進めやすくなるタイプのワーカーには、帳票作成やデータ集計、申請書類の作成・チェック等が合っているかもしれません。特定の分野に強いワーカーなら、その分野のデータ分析、営業資料やセミナー資料等を任せると、これまでの知識や経験を生かせるでしょう。
他にも、「数字を扱うのが得意」「文章を書くのが得意」「図を作成するのが得意」といったスキルで、担当してもらう文書・資料のタイプを検討する方法もあります。
在宅ワークを行う方にどのようなスキルがあるのかを確認し、業務効率の向上につなげていきましょう。
業務に際してのコミュニケーションや在宅ワーク全般に共通する業務管理等については、以下の関連記事で詳しく紹介しています。
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