ギフテッドとは?翔和学園「第1回ギフテッド教育フォーラム」開催


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2023年10月14日、翔和学園東京校で「第1回ギフテッド教育フォーラム」が開催されました。翔和学園からのご案内を受け、当マガジンもフォーラムに参加。今回は、フォーラムで伝えられた「ギフテッドとは何か」、発達障害との関係、2Eを対象とするギフテッド教育の重要性、そして主催である翔和学園のギフテッド教育をご紹介します。


画像提供:翔和学園

翔和学園「第1回ギフテッド教育フォーラム」開催!

2023年10月14日(土)、東京都中野区にある翔和学園で「第1回ギフテッド教育フォーラム」が開催されました。講師は、「どんぐり発達クリニック」院長の宮尾益知医師。「ギフテッドとは何か」などをテーマに、米国での定義やギフテッド教育の内容、「2E」の子ども達に対する支援内容も交えて伝えられました。

ギフテッドとは?

宮尾医師によれば、日本における「ギフテッド」の定義は、まだ定まっていないとのこと。明確な定義がない中で、いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる人々にどのような特徴があるのかと探ってきたといいます。

英語の「gifted」について大元の意味では、簡単に言えば「突出した才能を持つ人々」全般を指します。その中で、社会性などに特に課題がなく「何でもできてしまう」人々は「天才型」。米国における定義として、次のような基準が紹介されました。

【米国におけるギフテッドの基準】

定量評価
  • WISC-IVで130以上
  • WPPSI-IVで130以上
特性評価
  • 多様な知的刺激を切望して満たす
  • 興味ある分野を自分の好む学習方法で極めて深く掘り下げ、探求する
  • 学んだ分野に関しては、高いレベルに到達することが多い

以前はIQを基準としてきたものの、現在は“IQだけでは知ることができないもの”と徐々に考えられるようになっています。

一方、頭が良くても社会性に乏しいギフテッドもいます。宮尾医師曰く、日本は他人と異なる特性が差別につながりやすい社会。こうした社会の中で社会性に課題があるギフテッドが生きていこうとすると、うまくいかないことがあります。

ギフテッド・チャイルドの特徴

フォーラムでは、実際に宮尾医師のもとを訪れた子ども達の事例も複数紹介されました。こうした事例に見られる大きな特徴は、

  • 頭がいい
  • 癇癪がある
  • 扱いづらい
  • 好奇心が旺盛
  • 話し方が大人みたい

というものだそうです。

また、人によっては

  • 満足のいく会話ができないと暴力を振るう
  • 大人や他の人達の悪口を頻繁に言う

などもあるとのこと。

繰り返し伝えられた点は、論理的思考や大人びた発言が多い一方で、他人への共感や社会性に乏しいことでした。例えば、次のようなエピソードが紹介されています。

  • 教科書を一度読んだだけで理解してしまうため、授業中に暇を持て余す
  • 教師の質問に対してすぐに答えたり、質問をしたりして、授業の雰囲気を壊す
  • 同級生と話が合わず、浮いてしまう
  • 物事を知らない、理解できない人の悪口を言う

これらが原因となり、学校では教師から疎まれたり、同級生からいじめられたりするといったケースが多く見られるそうです。

ギフテッドと発達障害の違い?「2E」とは

宮尾医師は、発達障害のひとつであるADHD(注意欠如・多動性)の脳機能と薬理作用について研究しています。そして、ギフテッド・チャイルドの特徴を一つひとつ見ていくと、ADHDやASD(自閉症スペクトラム症)の特性を持つ子ども達も実際多いようです。

ADHDのスコアが高いギフテッド・チャイルドの場合、具体的には

  • 課題をさっさとこなすが、やり方が雑
  • 興味のあることについては、やり過ぎて自分を消耗させる

などの特性が見られるとのこと。

一方、ASDのボーダーラインにあるギフテッド・チャイルドの場合は、

  • 議論の中で自分の主張を通し、グループ作業がうまくできない
  • 完璧主義
  • 批判を自己否定と感じてしまう
  • 論理的でない権威に対して批判的姿勢をとる

などがあるとのことでした。

感覚過敏を持つ子ども達もいるそうです。

ギフテッド・チャイルドの全てに発達障害の特性が見られるわけではないものの、こうした特性を併せ持つ子は少なくありません。突出した才能と発達障害の特性の両方をもつ子ども達は、「2E(twice-exceptional、二重に特別)」と呼ばれています。

ギフテッドの生きづらさと必要な支援

日本では、ギフテッド・チャイルドの中で学校に行けない子ども達が「本当に多くいる」と宮尾医師は言います。

原因は、先述した特徴によって「変わり者」扱いされたり、他人から理解されないことで孤独感を強めたりすること。場合によっては、うつ症状などの二次障害も見られます。学校で不登校のまま過ごし、社会からの支援を得られないまま大人になり、生活保護で暮らすというケースもあるそうです。

「ギフテッドには共通点が多く、IQを取らなくても分かりやすいもの。脳の偏りがあり、それをうまく扱えれば社会で活躍できる」と宮尾医師は語ります。

「脳の偏り」をうまく扱うには、ギフテッドに適した教育、いわゆる「ギフテッド教育」が必要です。海外ではギフテッド教育に関与するのは教育分野であり、医療ではありません。

しかし、日本ではなかなかギフテッド教育が進展せず、結果として宮尾医師が手掛けてきました。「日本では、本当にIQの高い人にだけ、スポットライトが当たる。それはおかしい。ギフテッドには、突出したアーティスティックな才能を持っている人達もいる。こうした人達を救うことが、非常に大切」としています。

では、具体的にどのような教育が必要なのでしょうか。

まず、ギフテッド・チャイルドへの教育方法は、従来の教育方法とは異なるという認識が欠かせません。そのため、次の点が重要になります。

  • きちんとギフテッド・チャイルドを教育できる教師の育成
  • 加速されたプログラム
  • 似た能力を持つ子ども達をグループ化することによる学習効率の向上

他に、米国のギフテッド教育で重視されているように、「相手の話を聞いて、そこに自分の意見を加える」という訓練を行うことで、「人の意見を聞くこと、人を尊重する気持ちを養うこと」の重要性も強調されました。

発達障害の特性を併せ持つ2Eの子ども達への支援では、本人の中でも各能力における発達の差が非常に大きくなる点に注意が必要です。例えば、以下のような傾向が見られるかもしれません。

  • 語彙力や文章理解力といった言語理解、または数学の能力は突出しているのに、書く速さが遅い、社会性が極めて乏しい
  • 失敗することを恐れてチャレンジをしない
  • 運動能力が低い

そこで、突出した能力以外の部分を補ったり、社会性を上げたりする訓練がいっそう重要になります。

宮尾医師が紹介する方法は、定型発達の子ども達の場合を比較して、
「○歳では、こういうことができない」
「○歳では、これができる」
などと示していく方法です。

これらの方法は、2Eの子ども達本人の中に「これはできるようになる必要がある」という視点を生じさせます。特に小学4年生くらいで「自分を知る」「他者を知る」という視点や、「他者と自分を比較し、他者の良いところを採り入れ、自分の悪いところを直していこうという姿勢」が出てくるようです。

小6から中2くらいになると、メタ認知も育ちます。すると、「一般的にできなければいけないような心の発達の目標を定めてやっていく」ことが可能に。実際に本人の様子にも変化が現れます。

発達障害の特性を持つギフテッドの場合、こうした論理的な説明とやり方で、実際に本人自身が変わっている点も大きな特徴であると宮尾医師は強調しました。

翔和学園のギフテッド教育


画像提供:翔和学園

ギフテッド教育フォーラムを主催した翔和学園では、かねてより発達障害のある人々に対するギフテッド教育を手掛けてきました。

翔和学園の設立は1999年。「グローバルアカデミー」という名称で支援を開始し、特別支援教育、発達障害のある方々への支援を行っています。当初は18歳以上の方を対象としていましたが、支援を充実させるため高等部を設立。さらに、年齢の低い不登校の子ども達もサポートすべく、小中学部を設置しました。

現在の翔和学園が目指す「ギフテッド教育」は、高IQの子ども達に限定した教育ではありません。人間が持つさまざまな能力のうち、優れている部分を伸ばすとともに、社会性を育てる教育です。

「誰もが得意なことをもっている」「その可能性を現実にし、他人から認められることによるゆるぎない自尊心を育んでいく」ことで、「生きていく気力」をより確かなものとすることを目指しています。

翔和学園が学生達の「特異な才能」を見いだすために大切にしている視点は、3つあります。

特異な才能を発見する3つの視点
  1. 誰が見ても天才的に得意
  2. 1万回繰り返せるほど好き
  3. 数値に示せる才能

また、高校卒業後の方や、大学・専門学校から進路を変更する方を対象とした「翔和学園大学部」では、以下を三本柱として、自立した大人になるための教育も実施。学園の教育理念が最も色濃く反映された教育内容となっています。

大学部の三本柱
  1. 凸をとことん伸ばすギフテッド教育
  2. 凹を補う学習支援と知的興奮を保障する学問
  3. 青春時代を謳歌する行事群


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実際、同学園に通う学生の中で、WISCにおける言語の概念化のスコアが高く、身体の柔軟性にも優れた能力を見せた方は、書道家の先生に才能を見いだされ、書道パフォーマンスや絵手紙の分野で活躍するようになりました。書道家の方は、この方について「内側に表現したいものがある」と見抜いたとのこと。書道の指導を受ける中で、その才能は絵や詩へと広がっていきました。

また、デザインの才能が伝統工芸に結びついた事例もあります。子どもの頃からデザイン画を描くことが得意だった学生は、そのセンスを活かして組み紐に挑戦。専門家の指導を受けつつ、多様なパターンを駆使して作られた組み紐には、大きな可能性が秘められています。

翔和学園では、他の人との交流、「青春時代」の体験・謳歌によって、「人の役に立つ」「人に喜んでもらう」という経験を積み重ねることができます。こうした経験こそ、職業選択において「どう人を喜ばせるか」という自己実現の土台を作るのです。

翔和学園の卒業生約300名のうち、7割ほどの方が企業へ、3割ほどの方が就労継続支援B型事業所などへ就職してきました。企業の障害者雇用枠で就労する方も、長期就労を目指して頑張っています。

今後のイベントに注目! 11月「STARS爆誕」、12月「第2回ギフテッド教育フォーラム」開催


画像提供:翔和学園

翔和学園では、今後もさまざまなイベントを開催します。

2023年11月28日(火)は、野方区民ホールでのパフォーマンス・イベント「STARS爆誕」を開催。翔和学園の学生達による、それぞれの才能が爆発するパフォーマンスや、才能と才能を掛け合わせた共同製作などを披露します。同学園におけるギフテッド教育の集大成ともいうべきステージをぜひご覧ください。ご参加には、事前のお申し込みが必要です。

また、12月16日(土)には、「第2回ギフテッド教育フォーラム」も開催されます。会場は、翔和学園東京校。第1回に引き続き、宮尾医師が講師となり、ギフテッド教育のあり方、支援方法などが伝えられます。ギフテッドの特徴や親御さんによる接し方、育て方など、多くのヒントを得られるでしょう。講演後に質疑応答もありますので、能力の伸ばし方などを聞くチャンスもあります。

翔和学園は、医療、教育、就労支援機関、ご家族、地域の方々など、さまざまな機関や人々と力を合わせて、日本中の子ども達の才能を見つけていきたいとしています。才能の発見や社会性の向上、その他ご相談、学校見学等も随時受付中。気になる方は、以下からお問い合わせください。

【取材協力・画像提供】
翔和学園

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