2018/07/09
レゴランドの件と障害者差別解消法
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みなさん、こんにちは。
先日、レゴランドが聴覚障害のある方の入園を拒否したことが、話題となりました。
施設側がすぐに謝罪して、この問題は収束しましたが、この問題は障害者を雇用する企業も直面する問題を含んでいます。
今日は、この問題と関連する「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という)について考察をしてみましょう。
障害者差別解消法とは
障害者差別解消法の制定の経緯について確認をしてみましょう。
2006年に「障害者の権利に関する条約」が国連で採択されました。
それを受けて我が国でも法整備がなされました。
その一つは以前ご説明した障害者総合支援法ですし、また、これから説明する障害者差別解消法もこれに含まれます。
それでは、障害者差別解消法はどのような目的の法律なのでしょうか?
第1条
この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
ポイントは、特に最後、「障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。」というわけで、
- 障害を理由とする差別の解消
- 障害の有無によって分け隔てられることなく・・・共生する社会の実現
を目指しているわけです。
昨今のキーワードにもなっている共生社会もここにうたわれています。
事業者の努力義務
そして、このような目的を実現するために、政府や行政機関はもちろんのこと、事業者にも努力義務が課されています。
第8条
第1項 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
第2項 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
第1項は、法律の目的を受けた不当な差別的取扱いの禁止を明記しています。
そして、第2項でいわゆる「合理的な配慮」について努力義務を課しているわけです。
不当な差別的取扱いが許されないのは当然として、合理的な配慮とはどのようなことを指すのでしょうか?
もう少し条文を読み込んでみると
「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」
障害者の方からリクエストがある場合
「当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。」
その方の障害に応じた社会的障壁を除去するアクションを取らなければならない
ただし、
「その実施に伴う負担が過重でないときは」
と限定されますので、例えば、技術的に困難である、予算的に困難である場合にまでやれとはいっていないわけです。
結局の所、ケースバイケースになるのですが、例えば、車椅子の方がその施設を利用したい場合に、バリアフリーの工事ができなかったとしても、補助するスタッフを配置することで利用できるようにするサポートは合理的な配慮として求められる可能性があります。
合理的な配慮については、業種によってガイドラインもありますので、次回以降紹介していきます。